私は義弟の瞳の中

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ぜんぶはじめて

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 ⚠︎閲覧自己責任・性的描写あり

 ーー私の恋は片思いで、確実に脈はない。だから、絶対に成就する事はない、私の恋。

 ーーそれでも構わなかった。私にとって、それは硝子細工のような大事な代物だったから。

 ーー私の中だけに、大切に仕舞って、誰にも言わずに、黙っておきたかった。

   ♡

 ーーさやの処女を下さい。

 私はかすかの言葉を反芻する。何度も何度も。場は沈黙に包まれていた。

 私は、生まれてこの方、男の人と交際した事はない。どちらかというと、セックスとかにはうとい方だとは思う。セックスは気持ちがいいと聞くけれど、どう気持ちがいいのかが分からない。ーー私にとって、セックスそれだった。

「や、やだよっ! ーー嫌に決まってるでしょっ!? 冗談やめてよっ!? かすかっ! いい加減にしてっ!」

 気付けば、反射的に拒否の言葉が口から出てしまう私。かすかは、変わらず、何を考えているのかが分からない。ーー私の言葉を聞いた、かすかは、きびすを返して私の部屋から出て行こうとする。

「そうですか……。残念です。ーーじゃあ、この音声、ネットに投稿しますね。そうすれば、必然的にゆきさんも聴く事になるでしょうから」

 その冷酷な言葉に、私は更に血の気が引き、青ざめた。

「やだっ! やだやだやだやだやだやだッッッ!!! ーーやめてっ!? やめてよっ!?」

 かすかの足に縋り付く形で、かすかの足を止める私。駄々っ子のように泣き叫んだ。

「やだよぉ……うっ……うっ……ぅううううう」

「ーーじゃあ、どうしますか?」

 私は、はっとして息を呑む。選択肢はかすかの提案を呑む他なかった。

   ♡

 ベッドに座らされた私は、パット入りのネグリジェを限界までめくり上げられて、胸を露出される。無理矢理、開脚されて、足の間にかすかの体が入って来た。

 覗き込むようにして、私の女性器を間近で観察するかすかに、もう羞恥心が限界を迎え、声を押し殺して啜り泣く事しか出来なかった。

 小陰唇を左右に広げられて、中を見られる。淡々と「ーーへええ。処女膜って本当に見えるんですね」と感心したような呟く声が聞こえて来て、脚が震えた。

「ゃ、めて、よっ……っ」

 辛うじて言える言葉はそれだけだった。既に自慰行為によって、濡れそぼる私のものを指で興味深そうに弄るかすか。ぴちゃぴちゃと水音がして、もうこの場から逃げ出したくなった。こんな状況なのに、快感が体に走り、感じてしまう私。

「んぅ……やぁ……っ」

「……気持ちいいですか? さや」

「……やだよ……っ……もう、本当に、終わりに、してよっ……」

「はい。ーー分かりました」

 そう言うと、かすかは、いつの間に脱いだのか、下半身は裸で、私を大きく開脚させると、私の女性器に、かすかのそそり立つ男性器をこすりつけて来た。私は、目を白黒とさせる。今になって、未知の恐怖に駆られた。

「やっやだっ! やっぱり嫌だよっ! お願い! かすかっ! 許してっ! 許してよ!? ーー何か、怒っているのなら、私、謝るから……。ちゃんと、話そうよ……っ。ねえっ? お願いっ!」

 私の哀願を無視して、かすかは私の中に入って来た。入口をこじ開けるような形で。めりめりと入って来るかすかの男性器ソレは、固くて熱くて。ーー未知の激痛に、体を真っ二つにされたかのような感覚で私は金切り声を上げる。

「ぃ……痛いっ……やだっ! やめてっ……。ーー痛い痛い痛いッッッ!!!」

 控えめに抵抗するが、かすかは、無常に冷徹に、ずんっと腰を進める。苦悶の声を上げた私を無表情で見下ろす。微かに吐息が乱れていて、深く深く息を吐いた。私と自分の結合部を、指でなぞる。

「処女喪失、しましたね。さや。ーーおめでとうございます」

 淡々と皮肉の言葉を言われて、私は声を出して泣いた。泣く事しか出来なくて。かすかは、ゆさゆさと腰を上下に動き始める。揺すぶられている私は、余りの激痛で何度もかすかへ言った。「ーーやめてくれ」と。だけど、かすかは一向にやめてくれなかった。拷問のような痛みに歯を食いしばって耐えた。耐える他なかった。

「はっ……はっ……。ーーさや」

 結合部から微かな水音と。かすかの吐息混じりの声が聞こえて来る。

「うっ……うっ……ンっ」

 泣きながら、かすかの言葉に耳を傾ける私。かすかは冷酷に言う。

「さや。ーーぼくの名前を呼んで、好きって言って下さい」

 意味が分からなかった。かすかの言葉の真意が、どうしてもはかれなくて。黙ってかすかの命令に従った。

「かすか。……好き。ーー!!? んんんふむぅっ!?」

 唐突に覆い被さるようにキスをされた。それは、深い深いキスで、かすかの熱い舌に、ぞわりと首筋に鳥肌が立ってしまう。口内に蠢く、舌に、自分の舌を絡め取られて、黙って揺すぶられながら、受け入れる事しか出来なくて。

 胸をまさぐるように触られて、やわやわと揉まれた。

 かすかは、またキスを続けながら、言葉を続ける。

「ぼくの名を呼んで……はっ……結婚しよって言って下さい……さやっ」

「…………かすか」

「はい?」

「けっこん、しよ」

「もう一回」

「かすか。……けっこん、し、よ」

「んっ……ふっ……うん。結婚しようね。……さや」

 くちゅくちゅと響き渡る口内の水音。冷めた自分が今の自分を俯瞰して見ているようで、かすかの敬語が外れていると思った。

 かすかが唇を離すと、唾液の糸が繋がって、ぷつんと切れる。

 そうして、かすかの腰の動きが早くなった。私は、ひたすらに、その拷問に耐え、「ーー早く終われ」と心の中で唱え続けた。かすかは、体を震わせながら、欲情した瞳で私を見下ろす。

「さや……さやっ……」

「……っ……っ」

「……ぼくの、赤ちゃんが欲しいって言って下さい」

 もう思考はぐずぐずになっていて、私は壊れたレコーダーのようにその言葉を唱えた。

「……かすかの、赤ちゃんがっ……欲しいですっ」

「はっ……もう一回っ……もう一回、言って? さやっ……はっ……」

「……かすかのっ……ンっ……赤ちゃんがっ……欲しぃ……」

「うん。一緒に作ろうね。さや」

 そう言って、シーツの上に投げ出された右手を絡め取られるように握られた。私は、握り返せなかった。

「んぐっ……」

 かすかはうなると腰を痙攣させた。そして、体の中に何かが入って来る感覚がした。それがかすかの欲だと気付くまで、数秒は掛かった。

 かすかは、男性器を引き抜くと、私の中からかすかの欲がどろりと零れて来て、シーツを汚す。その液体は、私の破瓜の血液と混ざって、ピンク色だった。

「うっ……うっ……ぅうううううッッッ」

 私はひたすらに泣き崩れた。とめどもなく涙が目からあふれて来る。ーーショックだった。信頼していた弟である、かすかにこんな事をされたのが。ただただ辛かった。心をずたずたにされた。沢山。沢山。

 だけど、かすかは、テッシュで私の女性器を黙って拭いて、何も喋る事はなかった。

 月明かりに照らされた私の部屋は、また静寂に包まれて行く。そうして、かすかは私に自分の気持ちを伝えて来たのだ。

「ーーさや、好きです。誰のものにもならないで。ぼくだけの貴方だけでいて下さい」
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