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第一章 わたしと変身能力者(シェイプシフター)
02 破壊神になりたい
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次の日、昼休憩の一〇分前。
「はい……はい……いやあ、大変申し訳ございません……」
数分前から、課内の空気はちょっと重苦しい。
「はい……ええもう、おっしゃる通りです……はい……以後気を付けるよう、本人にはよく言って聞かせますので……」
電話越しに謝罪をしているのは、営業職の木村さん。縦にも横にもデカい男性で(横の方が目立つ)、普段は声量もデカいんだけれど、今はちょっと抑えている感じ。
謝罪相手は、木村さんが担当している取引先の岩崎さんっていう、そこそこ偉い社員のおじさんなんだけれど、この人がなかなか面倒な人で。さて、今日は一体どんな苦情を入れてきたのやら……。
「はい……はい……すぐに再発注入れますので! はい、では失礼致します」
木村さんはそう言うと、少ししてから音を立てて受話器を置き、盛大に溜め息を吐いた。相手が先に切るのを待っていたのだろう。
「どしたよ木村君。発注ミスか?」
木村さんの右隣の池川さんが尋ねた。木村さんと違ってかなり細身の、わたしと同じ営業事務職の男性だ。
「ああ……そこそこ大きな発注ミス」
「え、どんなんよ」
課内全員の視線が木村さんに集まると、木村さんはもう一度盛大に溜め息を吐いた。
「桐島さん、やってくれたね」
……えっ? わ、わたし?
「先々週、桐島さんが電話で受けて俺に回してくれたトイレ用水栓の注文! お客さんは旧品番で頼んだのに、全部新品番で届いたって!」
ええええええっ!?
「あちゃー、やっちゃったね。大丈夫か?」
池川さんの口調は、心配しているようにも、他人事のようにも聞こえた。……多分、この人の性格的に後者なんじゃないかと思うけれど。
「もう工事始まっちゃってるんだよ! これの旧品番は発注から届くまでに日にち掛かるし、下手すりゃ何処にも在庫ないかもしれないぞ!」
木村さんの声が荒くなり、顔付きも険しくなった。
「あーもう! 何でそんな重要な事間違えるかな! うっかりにも程があるだろ!」
「ご、ごめんなさ──」
慌てて謝りかけて、わたしははたと気付いた。
……あれ、わたしその注文受けたっけ?
「あの、木村さん。その注文ってどんな内容でしたっけ」
「ええ? 横浜駅近くの、色んな会社が入ってるでっかいビルの改装工事だよ! 地上一五階、地下二階建てで、全部のトイレを片っ端からいじるから、他の部品も発注量多かっただろ。そんなのも覚えてねーわけ?」
ううん? あれ、やっぱり身に覚えがないぞ。
「ああ、すぐに在庫探さないと! あと課長にも報告しないといけねーし!」
「あの! その注文受けたのわたしじゃないです。別件と勘違いしてました。わたしも先々週に注文受けたんですけど、それは横須賀市内の個人のお家の分です」
「はあ? 向こうは桐島さんて女の子に頼んだって言ってたけど?」
そんなまさか! 最初は反射的に謝ろうとしちゃったけれど、そんな大きな注文受けていたら、流石に忘れないはず。それに……。
「じゃあ木村さんは、わたしからその注文を聞いた記憶あります?」
「ああ、そりゃあ──」
言い掛けて、木村さんは口を開いたまま固まった。ほら、やっぱり変だ!
「あ、あのっ!」
全員の視線が、今度は新たな声の主に集中した。
「その注文受けたの、わたしですっ! ごめんなさい!」
今にも泣き出しそうなその女性は、営業事務職で課内最年少の水島さんだった。
「あ、あれっ! そうだった……っけ!?」木村さんの声が若干上擦った。
「はい、わたしです!」
「え、でもさっき岩崎さんは桐島さんて──」
「間違えたのよ、桐島さんと水島さんとを」
お局ポジション(と言っても嫌な人ではなく、むしろ気さくないい人だ)の大塚さんが、デスクの上の書類を揃えながら答えてくれた。
「ほら、同じ〝島〟が付くじゃない。あの人、営業事務の人間の名前は大して覚えていないみたいだから、時々そういう間違いするわよ」
「ああっ、そういえばこの間、水島さんが注文の電話を受けていたような! 今になって、何となく思い出してきました!」
ちょっと興奮気味な口調で援護射撃してくれたのは、木村さんの正面、営業職では最年少の男性である吹石君だ。
「あれっ……あ、そうだったっけ? え、何だ、俺は俺でちゃんと覚えてなかった……?」
「そうみたいだね木村君」
ポカンとする木村さんの肩を、池川さんが苦笑しながら軽く叩いた。
ああ良かった、どうやらこれでわたしの無実がはっきりしたっぽい。
「なぁ~んだ、光里ちゃんだったか~!」先程までの苛立ちは何処へやら、木村さんは破顔した。「ま、大丈夫だろ。今からパパッと在庫を問い合わせてみるよ」
……うん?
「は、はい。本当にすみませんでした!」
「いいよいいよ、気にしないでさ。間違いは誰にでもあるんだし。次から気を付けてくれればさ」
……んんんっ?
えっと……何なの、この違いは。わたしはアウトで水島さんはセーフ?
「あー……て事は、わたしは怒られ損だったってわけですねえ……?」
わたしは木村さんに、苦笑しつつちょっと嫌味っぽく言ってやった。
「ん? ……ああ」
こちらを向いた木村さんの顔には、水島さんに見せたものとは違う笑みが浮かんでいた。わたしにはそれが、〝何だよ面倒臭えな〟と言わんばかりに見えた。
「桐島さんも最初勘違いしてたじゃん。すぐに違うって言ってくれりゃ良かったのにさ」
木村さんは小馬鹿にしたような口調でそれだけ言うと、再発注するために卸業者に電話を掛け始めた。
はい? え、ちょっと待ってよ……謝罪はなし!?
昼休憩を告げるチャイムが鳴った。若干気まずい空気のまま、電話中の木村さん(と、この場に不在の佐伯課長)以外の各々が仕事の手を止め、食堂に行くための支度を始めた。
……何なのそれ。納得いかないんだけど!
ふと気付くと、吹石君がわたしの隣まで来ていた。
「気にしない方がいいですよ」
吹石君は小声でそう言うと、ちょっと笑って小さく頭を下げ、財布を手に去って行った。あら優しい! でも今は、怒りとショックの方が強くて、あんまり素直に感謝出来そうにないや……ごめんね。
無意識にその背中を目で追うと、水島さんがこっちを見ている事に気付いた。水島さんはわたしに深々と頭を下げると、丁度迎えにやって来た隣の課の女の子と去って行った。ああ、別にあなたがわたしに濡れ衣を着せようとしたわけじゃないんだから、そんな気にしなくていいのよ……。
「あ、在庫あります? おお、沢山ある? 良かった~助かった! 流石は山田窯業さん! じゃあ最短納期で、直接現場に!」
わたしはリュックから弁当箱と水筒を引っ張り出すと、馬鹿デカい声で電話する木村さんを睨み付けてから部屋を出た。陽気なワガママボディさんは全く気付いていなかったけれど!
ドア付近で、右側から佐伯課長がこちらに歩いて来るのが視界の端に入ったけれど、気付かないフリをしてそのまま真っ直ぐ進んだ。こんな最悪な気分の時に何か嫌味を言われたら、感情が爆発しちゃいそうだったから。
「ああ、破壊神になりたい」
帰宅途中、自宅の最寄り駅改札を出るなり、わたしは思わずそう呟いていた。周囲に通行人はいるけれど、聞かれたって構やしない。
結局、木村の野郎からの謝罪は一切なかった。帰り際に大塚さんが労いの言葉を掛けてくれたけれど、それでもこのイライラやモヤモヤは当分の間晴れそうにはない。
確かに、わたしだって確認せずに早とちりして謝ろうとはしたし、相手方も名前を間違えていた。だから木村さんは余計に記憶違いに気付けなかったんだろう。
でもさ、やっぱり一言でも謝罪が欲しかった。「ごめん」でも「悪い」でもあれば多分許せたし、今ここまで沈んじゃいないよ?
ああ、破壊神になりたいなあ! 巨大化して会社ビルをぶっ壊してスッキリしたいなあ!
はあ……こんなんじゃ駄目だ。少しずつでも気持ちを切り替えていかないと。今日もスイーツ買って帰ろう。うん、そうしよう。
でもそれだけで浮上出来るかな。課長のいつもの嫌味よりもダメージあるし。何かこう、もっと癒しになるものが……
あ、そうだ! タヌキの置き物!
朝はすっかり忘れていたけれど、あれがまだ残っているなら、またよしよししちゃおう。へへへっ。
わたしはコンビニでエクレアとエスプレッソを買うと(今日は一人分だ)、タヌキの置き物がまだいる事を願いながら駐車場へと向かった。
「はい……はい……いやあ、大変申し訳ございません……」
数分前から、課内の空気はちょっと重苦しい。
「はい……ええもう、おっしゃる通りです……はい……以後気を付けるよう、本人にはよく言って聞かせますので……」
電話越しに謝罪をしているのは、営業職の木村さん。縦にも横にもデカい男性で(横の方が目立つ)、普段は声量もデカいんだけれど、今はちょっと抑えている感じ。
謝罪相手は、木村さんが担当している取引先の岩崎さんっていう、そこそこ偉い社員のおじさんなんだけれど、この人がなかなか面倒な人で。さて、今日は一体どんな苦情を入れてきたのやら……。
「はい……はい……すぐに再発注入れますので! はい、では失礼致します」
木村さんはそう言うと、少ししてから音を立てて受話器を置き、盛大に溜め息を吐いた。相手が先に切るのを待っていたのだろう。
「どしたよ木村君。発注ミスか?」
木村さんの右隣の池川さんが尋ねた。木村さんと違ってかなり細身の、わたしと同じ営業事務職の男性だ。
「ああ……そこそこ大きな発注ミス」
「え、どんなんよ」
課内全員の視線が木村さんに集まると、木村さんはもう一度盛大に溜め息を吐いた。
「桐島さん、やってくれたね」
……えっ? わ、わたし?
「先々週、桐島さんが電話で受けて俺に回してくれたトイレ用水栓の注文! お客さんは旧品番で頼んだのに、全部新品番で届いたって!」
ええええええっ!?
「あちゃー、やっちゃったね。大丈夫か?」
池川さんの口調は、心配しているようにも、他人事のようにも聞こえた。……多分、この人の性格的に後者なんじゃないかと思うけれど。
「もう工事始まっちゃってるんだよ! これの旧品番は発注から届くまでに日にち掛かるし、下手すりゃ何処にも在庫ないかもしれないぞ!」
木村さんの声が荒くなり、顔付きも険しくなった。
「あーもう! 何でそんな重要な事間違えるかな! うっかりにも程があるだろ!」
「ご、ごめんなさ──」
慌てて謝りかけて、わたしははたと気付いた。
……あれ、わたしその注文受けたっけ?
「あの、木村さん。その注文ってどんな内容でしたっけ」
「ええ? 横浜駅近くの、色んな会社が入ってるでっかいビルの改装工事だよ! 地上一五階、地下二階建てで、全部のトイレを片っ端からいじるから、他の部品も発注量多かっただろ。そんなのも覚えてねーわけ?」
ううん? あれ、やっぱり身に覚えがないぞ。
「ああ、すぐに在庫探さないと! あと課長にも報告しないといけねーし!」
「あの! その注文受けたのわたしじゃないです。別件と勘違いしてました。わたしも先々週に注文受けたんですけど、それは横須賀市内の個人のお家の分です」
「はあ? 向こうは桐島さんて女の子に頼んだって言ってたけど?」
そんなまさか! 最初は反射的に謝ろうとしちゃったけれど、そんな大きな注文受けていたら、流石に忘れないはず。それに……。
「じゃあ木村さんは、わたしからその注文を聞いた記憶あります?」
「ああ、そりゃあ──」
言い掛けて、木村さんは口を開いたまま固まった。ほら、やっぱり変だ!
「あ、あのっ!」
全員の視線が、今度は新たな声の主に集中した。
「その注文受けたの、わたしですっ! ごめんなさい!」
今にも泣き出しそうなその女性は、営業事務職で課内最年少の水島さんだった。
「あ、あれっ! そうだった……っけ!?」木村さんの声が若干上擦った。
「はい、わたしです!」
「え、でもさっき岩崎さんは桐島さんて──」
「間違えたのよ、桐島さんと水島さんとを」
お局ポジション(と言っても嫌な人ではなく、むしろ気さくないい人だ)の大塚さんが、デスクの上の書類を揃えながら答えてくれた。
「ほら、同じ〝島〟が付くじゃない。あの人、営業事務の人間の名前は大して覚えていないみたいだから、時々そういう間違いするわよ」
「ああっ、そういえばこの間、水島さんが注文の電話を受けていたような! 今になって、何となく思い出してきました!」
ちょっと興奮気味な口調で援護射撃してくれたのは、木村さんの正面、営業職では最年少の男性である吹石君だ。
「あれっ……あ、そうだったっけ? え、何だ、俺は俺でちゃんと覚えてなかった……?」
「そうみたいだね木村君」
ポカンとする木村さんの肩を、池川さんが苦笑しながら軽く叩いた。
ああ良かった、どうやらこれでわたしの無実がはっきりしたっぽい。
「なぁ~んだ、光里ちゃんだったか~!」先程までの苛立ちは何処へやら、木村さんは破顔した。「ま、大丈夫だろ。今からパパッと在庫を問い合わせてみるよ」
……うん?
「は、はい。本当にすみませんでした!」
「いいよいいよ、気にしないでさ。間違いは誰にでもあるんだし。次から気を付けてくれればさ」
……んんんっ?
えっと……何なの、この違いは。わたしはアウトで水島さんはセーフ?
「あー……て事は、わたしは怒られ損だったってわけですねえ……?」
わたしは木村さんに、苦笑しつつちょっと嫌味っぽく言ってやった。
「ん? ……ああ」
こちらを向いた木村さんの顔には、水島さんに見せたものとは違う笑みが浮かんでいた。わたしにはそれが、〝何だよ面倒臭えな〟と言わんばかりに見えた。
「桐島さんも最初勘違いしてたじゃん。すぐに違うって言ってくれりゃ良かったのにさ」
木村さんは小馬鹿にしたような口調でそれだけ言うと、再発注するために卸業者に電話を掛け始めた。
はい? え、ちょっと待ってよ……謝罪はなし!?
昼休憩を告げるチャイムが鳴った。若干気まずい空気のまま、電話中の木村さん(と、この場に不在の佐伯課長)以外の各々が仕事の手を止め、食堂に行くための支度を始めた。
……何なのそれ。納得いかないんだけど!
ふと気付くと、吹石君がわたしの隣まで来ていた。
「気にしない方がいいですよ」
吹石君は小声でそう言うと、ちょっと笑って小さく頭を下げ、財布を手に去って行った。あら優しい! でも今は、怒りとショックの方が強くて、あんまり素直に感謝出来そうにないや……ごめんね。
無意識にその背中を目で追うと、水島さんがこっちを見ている事に気付いた。水島さんはわたしに深々と頭を下げると、丁度迎えにやって来た隣の課の女の子と去って行った。ああ、別にあなたがわたしに濡れ衣を着せようとしたわけじゃないんだから、そんな気にしなくていいのよ……。
「あ、在庫あります? おお、沢山ある? 良かった~助かった! 流石は山田窯業さん! じゃあ最短納期で、直接現場に!」
わたしはリュックから弁当箱と水筒を引っ張り出すと、馬鹿デカい声で電話する木村さんを睨み付けてから部屋を出た。陽気なワガママボディさんは全く気付いていなかったけれど!
ドア付近で、右側から佐伯課長がこちらに歩いて来るのが視界の端に入ったけれど、気付かないフリをしてそのまま真っ直ぐ進んだ。こんな最悪な気分の時に何か嫌味を言われたら、感情が爆発しちゃいそうだったから。
「ああ、破壊神になりたい」
帰宅途中、自宅の最寄り駅改札を出るなり、わたしは思わずそう呟いていた。周囲に通行人はいるけれど、聞かれたって構やしない。
結局、木村の野郎からの謝罪は一切なかった。帰り際に大塚さんが労いの言葉を掛けてくれたけれど、それでもこのイライラやモヤモヤは当分の間晴れそうにはない。
確かに、わたしだって確認せずに早とちりして謝ろうとはしたし、相手方も名前を間違えていた。だから木村さんは余計に記憶違いに気付けなかったんだろう。
でもさ、やっぱり一言でも謝罪が欲しかった。「ごめん」でも「悪い」でもあれば多分許せたし、今ここまで沈んじゃいないよ?
ああ、破壊神になりたいなあ! 巨大化して会社ビルをぶっ壊してスッキリしたいなあ!
はあ……こんなんじゃ駄目だ。少しずつでも気持ちを切り替えていかないと。今日もスイーツ買って帰ろう。うん、そうしよう。
でもそれだけで浮上出来るかな。課長のいつもの嫌味よりもダメージあるし。何かこう、もっと癒しになるものが……
あ、そうだ! タヌキの置き物!
朝はすっかり忘れていたけれど、あれがまだ残っているなら、またよしよししちゃおう。へへへっ。
わたしはコンビニでエクレアとエスプレッソを買うと(今日は一人分だ)、タヌキの置き物がまだいる事を願いながら駐車場へと向かった。
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