料理人がいく!

八神

文字の大きさ
上 下
47 / 113

47

しおりを挟む
そして青年が来ないまま時間は流れ…


ついに作戦第二段階移行2分前に。


「間に合わなそうだナー」

「そろそろ行くか」

「…っ…!ま、まだあと1分残ってます!」


彼女と男が大釜に手を着くと女の人が叫ぶ。


「1分て…」

「っ…!すまない、遅れた!」


彼女が呆れたように何かを言いかけると青年が息を荒げながら戻ってくる。


「おお、ちょうどだな…」


ぜぇぜぇ…と膝に手を着いて息を荒げる青年を見て男が驚いたように零した。


「なんっ…とか、説得に、成功…したっ…!」


青年は息も整えずに苦しそうに報告する。


「…この方達が…」

「…なるほど、アレに入ってるのが…」


遅れて走ってきた人達は全員『騎士』と表示されていて、青年や女の人と同じ鎧を着けていた。


「…少し遅れるが、コイツの息が整い次第作戦は第二段階に移行だな」


男は十数人いる騎士団の面々を見て彼女と女の人にそう告げる。





「…ふぅ、もう大丈夫だ」

「んじゃ、行きますか」


少しすると息が整った青年が上半身を上げて彼女が大釜を押す。


「今から拠点に移動する!目的地まで、我々に群がって来るゾンビを倒さずに退ける事!」

「「「「イエッサー!!」」」」


青年が彼女と一緒に大釜を押しながら大声で指示すると、騎士団の面々は胸の高さまで腕を上げるポーズを取って叫んだ。


「拠点はココから歩いて15分ほどだ、俺が先導しよう」


男が集団の先頭に立って歩き、彼女と女の人と青年が大釜を押し、騎士団の面々が群がって来るゾンビを倒さずに撃退する…という役割で街を進む。


「「「う~…あ~…」」」

「噛まれないように気をつけろよ!」

「間違っても倒すんじゃないぞ!」


群がってくるゾンビに騎士団の面々は声を掛け合いながら迎撃していく。


「いやー大変だねぇ…」


大釜を押しながら彼女は他人事のように呟いた。


「「「う~…あ~」」」

「中にはHPが低いやつもいるから気をつけろ!」


まさかの敵を倒さずに撃退する事に騎士団は困惑しつつもゾンビを彼女達に近づけないようにする。


「HPが低いやつはどうすれば!?」

「蹴り飛ばせ!」

「赤で点滅しているやつは!?」

「投げ飛ばせ!」


騎士団の面々が困惑しながら問うと『騎士団長』と表示されている男が答えた。


そうして混乱状態の中を拠点と呼ばれる場所を目指して進む。


「あそこだ」

「みんな、あと少しだ!踏ん張ってくれ!」

「「「「イエッサー!!」」」」


男が目的の場所を指差し青年が声をかけると騎士団の面々の士気が上がった。


「もう少し…もう少しだ…!」


徐々に目的地である拠点に近づき青年は士気を下げないように状況を報告し続ける。


「…よし!みんな、急いで中へ!」


ドアを開けて拠点となる大きなビルの中に大釜を入れると慌てて青年が外に出た。


そして群がるゾンビの猛攻を凌ぎ切った騎士団の面々がビルの中に入ると青年がドアを閉めて一旦鍵をかける。


「…ふう、とりあえずは第二段階は完了…次は第三段階だな」


作戦の山場を抜けたからか青年は一息吐いてから告げた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~

厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない! ☆第4回次世代ファンタジーカップ  142位でした。ありがとう御座いました。 ★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

葉柚
ファンタジー
婚約者の二股により婚約破棄をされた33才の真由は、突如異世界に飛ばされた。 そこはど田舎だった。 住む家と土地と可愛い3匹の猫をもらった真由は、猫たちに囲まれてストレスフリーなスローライフ生活を送る日常を送ることになった。 レコンティーニ王国は猫に優しい国です。 小説家になろう様にも掲載してます。

魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました

うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。 そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。 魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。 その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。 魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。 手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。 いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。

処理中です...