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「え!?で、でもこの二人は冒険者…だよね…?まさか調査員とか…?」
「俺らは冒険者であってんぜ」
「…良かった…やっとココから抜け出せる…」
驚きながら確認してくる女子に藤原が肯定すると女子は安堵の胸を撫でおろしたように息を吐きながら呟く。
「んで、クラスメイトにこう聞くのもアレなんだが…名前なに?」
「えっ!?クラスメイト!?…ホントに…?」
柴田が名前を尋ねると女子は驚きながら信じられないかのように柴田を見た。
「俺らから先に言った方が良いか。俺は藤原」
「だな。俺は柴田」
「俺は海原」
「…ホントにクラスメイトなんだ…私は小林。小林裕子。よろしく」
藤原の気を遣っての自己紹介に柴田も賛同するので俺も名前を教えると、何故か女子はフルネームで答える。
「…クラスメイトなのに面と向かって自己紹介するってなんかおかしいかも。しかもこんな所で…」
少し間が空くとなんか知らんが小林が急に笑い始めた。
「そう言えばなんで私がココに居るって分かったの?井上にも言ってないハズなのに」
「委員長が噂を聞いたって言ってたから」
「…それだけで?わざわざこんな危ない所に?…私は助かったけど…」
「ほらな?やっぱ無謀な挑戦だったんだよ」
「冒険者の勘ってすげーな。いや…この場合は経験則か?」
「まあ経験則でもあるな」
続く小林の問いに俺が答えると訝しむように返されるが藤原は自分の意見の正当性を主張するので俺は普通に褒める事に。
「…勘で助けに来てくれたんだ…」
その会話を聞いてた小林はなんとも言えない微妙な感じで呟く。
「ってか『助けに』ってどういう事だ?こんな最深部まで来てんだから戻るぐらいは出来んだろ?」
怪我して動けないようにも見えないし。と柴田は小林に疑問を投げかける。
「えーと…私の固有スキル?っていうのが『七転び八起き』ってやつなんだけど…セーブポイント?ってのを設置出来て、死んだりやり直したい時にセーブポイントからやり直せる…って事らしくて、それで何度もやり直してココまで来た」
「…なんだそりゃ」
「『死に戻り』ともちょっとちげーな」
「ソレって時間も巻き戻んの?場所だけ?」
「元の状態に戻ってる感じだから…時間も戻ると思う。アイテム手に入れてもロードしたら手元に無いし」
小林の固有スキルの詳細を聞いて俺と藤原が不思議に思いながら言うと柴田が確認し、小林は実体験に基づいた事を話す。
「じゃあ今ロードしたら俺らと会う前に戻る感じ?」
「うーん…会って直ぐに上書きしたから多分自己紹介の時までしか戻らないハズ」
藤原が好奇心で確認すると小林は考えながら否定的に返した。
「そのセーブポイントってのは上書き可能なのか?」
「みたい。だから一つしか設置出来ないし、設置するタイミングを間違えたら今回みたいに大変な事になる」
「ほー、ボス前でセーブしてレベルが足りずに詰むみたいなもんか」
「詰みセーブね。昔は良くあったよな、泣く泣くセーブデータを消して最初からやり直すやつ」
柴田の確認に小林が今まさに経験した失敗談を話すので俺がゲームに例えると藤原は賛同するように腕を組んで微妙な顔になる。
「でもなんでよりにもよってAランクでも最上位のクエストなんて受けたんだ?今まではBランクの上位までしか受けてなかったんだろ?」
「いやー、良い装備とかが落ちてないかと思って欲をかいちゃった…まあボロボロな物だけどそこそこ落ちてたから考えは間違っては無かったんだけど」
「…ハイエナかよ」
「失礼な。トレジャーハンターって言い換えて欲しいな。持ち主が居ないんだから落し物をどう使おうが私の勝手じゃない?」
柴田がココに来た理由を聞くと小林は笑いながら軽い感じで答え、呆れたように言う藤原にムッとしたように反論した。
「俺らは冒険者であってんぜ」
「…良かった…やっとココから抜け出せる…」
驚きながら確認してくる女子に藤原が肯定すると女子は安堵の胸を撫でおろしたように息を吐きながら呟く。
「んで、クラスメイトにこう聞くのもアレなんだが…名前なに?」
「えっ!?クラスメイト!?…ホントに…?」
柴田が名前を尋ねると女子は驚きながら信じられないかのように柴田を見た。
「俺らから先に言った方が良いか。俺は藤原」
「だな。俺は柴田」
「俺は海原」
「…ホントにクラスメイトなんだ…私は小林。小林裕子。よろしく」
藤原の気を遣っての自己紹介に柴田も賛同するので俺も名前を教えると、何故か女子はフルネームで答える。
「…クラスメイトなのに面と向かって自己紹介するってなんかおかしいかも。しかもこんな所で…」
少し間が空くとなんか知らんが小林が急に笑い始めた。
「そう言えばなんで私がココに居るって分かったの?井上にも言ってないハズなのに」
「委員長が噂を聞いたって言ってたから」
「…それだけで?わざわざこんな危ない所に?…私は助かったけど…」
「ほらな?やっぱ無謀な挑戦だったんだよ」
「冒険者の勘ってすげーな。いや…この場合は経験則か?」
「まあ経験則でもあるな」
続く小林の問いに俺が答えると訝しむように返されるが藤原は自分の意見の正当性を主張するので俺は普通に褒める事に。
「…勘で助けに来てくれたんだ…」
その会話を聞いてた小林はなんとも言えない微妙な感じで呟く。
「ってか『助けに』ってどういう事だ?こんな最深部まで来てんだから戻るぐらいは出来んだろ?」
怪我して動けないようにも見えないし。と柴田は小林に疑問を投げかける。
「えーと…私の固有スキル?っていうのが『七転び八起き』ってやつなんだけど…セーブポイント?ってのを設置出来て、死んだりやり直したい時にセーブポイントからやり直せる…って事らしくて、それで何度もやり直してココまで来た」
「…なんだそりゃ」
「『死に戻り』ともちょっとちげーな」
「ソレって時間も巻き戻んの?場所だけ?」
「元の状態に戻ってる感じだから…時間も戻ると思う。アイテム手に入れてもロードしたら手元に無いし」
小林の固有スキルの詳細を聞いて俺と藤原が不思議に思いながら言うと柴田が確認し、小林は実体験に基づいた事を話す。
「じゃあ今ロードしたら俺らと会う前に戻る感じ?」
「うーん…会って直ぐに上書きしたから多分自己紹介の時までしか戻らないハズ」
藤原が好奇心で確認すると小林は考えながら否定的に返した。
「そのセーブポイントってのは上書き可能なのか?」
「みたい。だから一つしか設置出来ないし、設置するタイミングを間違えたら今回みたいに大変な事になる」
「ほー、ボス前でセーブしてレベルが足りずに詰むみたいなもんか」
「詰みセーブね。昔は良くあったよな、泣く泣くセーブデータを消して最初からやり直すやつ」
柴田の確認に小林が今まさに経験した失敗談を話すので俺がゲームに例えると藤原は賛同するように腕を組んで微妙な顔になる。
「でもなんでよりにもよってAランクでも最上位のクエストなんて受けたんだ?今まではBランクの上位までしか受けてなかったんだろ?」
「いやー、良い装備とかが落ちてないかと思って欲をかいちゃった…まあボロボロな物だけどそこそこ落ちてたから考えは間違っては無かったんだけど」
「…ハイエナかよ」
「失礼な。トレジャーハンターって言い換えて欲しいな。持ち主が居ないんだから落し物をどう使おうが私の勝手じゃない?」
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