クラスまるごと異世界転移

八神

文字の大きさ
上 下
408 / 556

408

しおりを挟む
その後。


昼過ぎのもうすぐおやつの時間…ってぐらいにモニクァの王子が訪ねて来た。


「何か用?」

「おお、ウミハラ殿。実はようやく時間が空いてな…研究を手伝って欲しいのだ」

「お、久しぶりに再開しちゃう?」

「うむ。しかしココだと前にも増して人手不足でな」

「オッケー」


どうやら王子は久しぶりに研究の手伝いを依頼してくるので俺は軽く了承し、柴田や藤原に出かける事を告げて家を出る。


「そういえば…ワウシャープのルドラ殿から聞いた『魔結晶』なる鉱石を転用するという話…アレはどうなのだ?加工が難しいと聞くが実際に出来る物なのか?」

「多分出来ると思うよ。俺の友達に沼内って奴がいるんだけど…その魔結晶を使って俺らのスマホと似たような物を作ってたし」


歩いてる最中にモニクァの王子がワウシャープの王子の話を引き合いに出して確認してくるので、俺は沼内の例を挙げて肯定的に返した。


「ヌマ…ウチ…?…スマホとはウミハラ殿が持っている遠隔通信装置の事か?」

「そうそう。昨日だったか一昨日だったか完成品のテストっつって電話が来てね…とりあえずガライアの首都からココまでは余裕で電波が届くみたい」

「なんと…!ガライアから…!?」

「まあココからかなり離れてるから上手く行けばこの世界のどこでも通信が可能になるかもね」


当然ダンジョン内とかの例外はあるけど…と、俺は沼内の発明品の内容を説明しつつ王子に誤解されないようにちゃんと補足する。


「ほう…!しかし遠方との連絡が瞬時に取れる手段が本当だとすればとんでもない事だぞ!」

「だろうね。俺も『創造神』なんて呼ばれってっけど、どちらかといえば俺よりも断然アイツの方が創造神に相応しいと思うんだよなぁ…」

「…もし…もしも、の話だが…その遠隔通信装置とやらを手に入れる事は…」

「どうかな…?一応国からの依頼だ、って言ってたから…ま、ちょっと聞いてみるよ」


王子が珍しく遠慮するような感じで聞いてくるので俺は沼内に電話して聞いてみる事に。



「もしもし?」

「もしもし、海原だけど。今時間大丈夫か?」

「あ、うん。ゲームは今細かい所詰める作業に入ってるところだけど…」

「マジで?もう?早くね?」


俺の確認に沼内は何を勘違いしたのか新作ゲーム機の進捗状況を報告するので俺は驚いて真偽を確認した。


「でもやっぱり粗が結構目立つかな…fpsもまだ120ぐらいだから、それの倍は欲しいかも」

「いや、120ってったら結構じゃねーか?普通30とか60だろ?」

「ゲーム誌に載ってたんだけど、開発者が『フレームレートが低いと酔いの原因になる。容量が許す限り最大を目指すべきだ』って言ってたらしい」

「…はー、開発者の苦悩ってのは俺らみたいな消費者には分からんもんだな」


沼内がよく分からん開発の裏話みたいのをし始めるので俺は感心しながら返す。


「ウミハラ殿、どうだ?」

「おっとそうだ。ゲームの話はまた今度な、電話した用件はそっちじゃねぇんだ」

「あ、そうなの?」

「おう。お前が作った電話の事を王子に話したら是非使ってみたいって言い出してな」

「あー…えーと、材料が足りない、ね。ゲーム機用のヤツを使えば一つは作れるけど…」


王子の確認に俺が本題を切り出すと沼内は材料を確認したのか何か探してるような感じで答える。


「一つじゃ意味ねーだろ」

「一応役人に渡したのを合わせたら二つになるけど」

「いや、その国の役人が待ってても余計意味ねーから。とりあえず後で材料持って行くから必要な分リストアップしといてくれ」

「あ、それなら大丈夫。オッケー、分かった」

「じゃ、後でな」

「うん」


俺は沼内にアポを取ってから電話を切った。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)

土岡太郎
ファンタジー
 自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。 死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。 *10/17  第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。 *R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。  あと少しパロディもあります。  小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。 YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。 良ければ、視聴してみてください。 【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮) https://youtu.be/cWCv2HSzbgU それに伴って、プロローグから修正をはじめました。 ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる。

網野ホウ
ファンタジー
【小説家になろう】さまにて作品を先行投稿しています。 俺、畑中幸司。 過疎化が進む雪国の田舎町の雑貨屋をしてる。 来客が少ないこの店なんだが、その屋根裏では人間じゃない人達でいつも賑わってる。 賑わってるって言うか……祖母ちゃんの頼みで引き継いだ、握り飯の差し入れの仕事が半端ない。 食費もかかるんだが、そんなある日、エルフの女の子が手伝いを申し出て……。 まぁ退屈しない日常、おくってるよ。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

隠密スキルでコレクター道まっしぐら

たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。 その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。 しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。 奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。 これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

処理中です...