クラスまるごと異世界転移

八神

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「だな。でもソレが俺の理想よ。欲しい物は小遣いを貰って買う」

「いやまあ多分みんなソレが理想でしょ。養ってもらって楽に生活出来るんなら誰だって働かないし」

「つまり金なんてその程度の価値しか無いって事よ」

「あー……んん?」


佐藤は雰囲気に流されて一瞬納得しかけたがやっぱり少し考えて首を傾げ始める。


「持ってて損は無いけどなりふり構わず集めるほどでは無い、っつーこった」

「持ってて損はないんなら多い方が良いんじゃないの?」

「そりゃそうだ。多いに越した事はねぇ…でも犠牲を払ってまでも集める必要があんのか?って話よ」

「犠牲?」

「パッと思いつくのは健康や人間関係とかだな」

「…あー、得る物と失う物の価値が釣り合うかどうか…って事かぁ」


俺が自分の考えを話すも佐藤は俺の予想とは全然違う良く分からない感じで納得した。



…そんなこんな佐藤と適当に雑談しながら時間を潰すこと、約一時間。



「お。小麦と大根は終わったみてーだな」

「え?あ!マジじゃん!川の方見てたから全然気づかなかった!」

「川っつーか水路だけどな」


兵の報告で一部の作業完了を伝えると佐藤は驚いて振り返り豊作の小麦畑を見ながら声を上げるので俺が訂正するように軽くツッコむ。


「うわー…喋ってる間にただの土からこんな畑になるとか凄すぎてちょっとヒく」

「なんでだよ」

「で、リンゴとかはどうなってるの?」


佐藤の良く分からない呟きに俺がまたしてもツッコむと他の畑の方に移動しながら聞いてくる。


「えーと?…今はギリギリ食えるレベルだな。食料としては最低限の品質だから及第点ぐらい」

「えー…」

「あと一回で市場に出せるレベルになるから…まあ10分あれば終わるかな」

「…一時間とちょっとでソレってやっぱ凄すぎてちょっとヒく」

「だからなんでだよ」


俺の説明にさっきと同じく良く分からない事を言うので俺も同じように返す。


「はー…収穫どーしよ…?海原なんか魔法で出来ない?こう…パパッと」

「出来るぞ」

「マジで!?なんで!?逆に魔法で出来ない事ってなんなの!?」


佐藤が悩んだように呟いた後に確認してくるので俺が短く返すと…


佐藤は内心無理だと思ってたのか意味不明な驚き方をした。


「そりゃ研究されてない事とかじゃね?ワープとかタイムトラベルとか」

「…でも良く考えたら出来ない事はいっぱいあるかぁ…ココから王都まで荷物を運ぶ事だって出来ないもんね」

「今んとこ魔法では無理だな」

「ゲームの中でも意外と、ってゆーか普通に全能じゃないからなぁ…魔法は」

「使い方によっては万能だけどな」


冷静になって考えた結果を話し始める佐藤に俺はちょっとだけその考えを改めさせるように返す。


「うーん…じゃあ収穫もお願い。畑一つで5万出すから」

「畑一つなら7万から8万ぐらいじゃねーとヤダ」

「うわ、足元を見られたよ…流石に高くない?」

「おめー収穫作業を甘くみてねーか?労力的には育てるのと同じぐれー大変なんだよ。本当なら10万取りてーぐらいだし」

「むむ…!…じゃあ7万5千」

「まあ妥当な線だな。それならオッケー」


佐藤の依頼に俺が報酬の交渉をすると難しい顔をしながら半端な額を提示してくるが…まあ範囲内なので了承した。
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