164 / 556
164
しおりを挟む
「だな。でもソレが俺の理想よ。欲しい物は小遣いを貰って買う」
「いやまあ多分みんなソレが理想でしょ。養ってもらって楽に生活出来るんなら誰だって働かないし」
「つまり金なんてその程度の価値しか無いって事よ」
「あー……んん?」
佐藤は雰囲気に流されて一瞬納得しかけたがやっぱり少し考えて首を傾げ始める。
「持ってて損は無いけどなりふり構わず集めるほどでは無い、っつーこった」
「持ってて損はないんなら多い方が良いんじゃないの?」
「そりゃそうだ。多いに越した事はねぇ…でも犠牲を払ってまでも集める必要があんのか?って話よ」
「犠牲?」
「パッと思いつくのは健康や人間関係とかだな」
「…あー、得る物と失う物の価値が釣り合うかどうか…って事かぁ」
俺が自分の考えを話すも佐藤は俺の予想とは全然違う良く分からない感じで納得した。
…そんなこんな佐藤と適当に雑談しながら時間を潰すこと、約一時間。
「お。小麦と大根は終わったみてーだな」
「え?あ!マジじゃん!川の方見てたから全然気づかなかった!」
「川っつーか水路だけどな」
兵の報告で一部の作業完了を伝えると佐藤は驚いて振り返り豊作の小麦畑を見ながら声を上げるので俺が訂正するように軽くツッコむ。
「うわー…喋ってる間にただの土からこんな畑になるとか凄すぎてちょっとヒく」
「なんでだよ」
「で、リンゴとかはどうなってるの?」
佐藤の良く分からない呟きに俺がまたしてもツッコむと他の畑の方に移動しながら聞いてくる。
「えーと?…今はギリギリ食えるレベルだな。食料としては最低限の品質だから及第点ぐらい」
「えー…」
「あと一回で市場に出せるレベルになるから…まあ10分あれば終わるかな」
「…一時間とちょっとでソレってやっぱ凄すぎてちょっとヒく」
「だからなんでだよ」
俺の説明にさっきと同じく良く分からない事を言うので俺も同じように返す。
「はー…収穫どーしよ…?海原なんか魔法で出来ない?こう…パパッと」
「出来るぞ」
「マジで!?なんで!?逆に魔法で出来ない事ってなんなの!?」
佐藤が悩んだように呟いた後に確認してくるので俺が短く返すと…
佐藤は内心無理だと思ってたのか意味不明な驚き方をした。
「そりゃ研究されてない事とかじゃね?ワープとかタイムトラベルとか」
「…でも良く考えたら出来ない事はいっぱいあるかぁ…ココから王都まで荷物を運ぶ事だって出来ないもんね」
「今んとこ魔法では無理だな」
「ゲームの中でも意外と、ってゆーか普通に全能じゃないからなぁ…魔法は」
「使い方によっては万能だけどな」
冷静になって考えた結果を話し始める佐藤に俺はちょっとだけその考えを改めさせるように返す。
「うーん…じゃあ収穫もお願い。畑一つで5万出すから」
「畑一つなら7万から8万ぐらいじゃねーとヤダ」
「うわ、足元を見られたよ…流石に高くない?」
「おめー収穫作業を甘くみてねーか?労力的には育てるのと同じぐれー大変なんだよ。本当なら10万取りてーぐらいだし」
「むむ…!…じゃあ7万5千」
「まあ妥当な線だな。それならオッケー」
佐藤の依頼に俺が報酬の交渉をすると難しい顔をしながら半端な額を提示してくるが…まあ範囲内なので了承した。
「いやまあ多分みんなソレが理想でしょ。養ってもらって楽に生活出来るんなら誰だって働かないし」
「つまり金なんてその程度の価値しか無いって事よ」
「あー……んん?」
佐藤は雰囲気に流されて一瞬納得しかけたがやっぱり少し考えて首を傾げ始める。
「持ってて損は無いけどなりふり構わず集めるほどでは無い、っつーこった」
「持ってて損はないんなら多い方が良いんじゃないの?」
「そりゃそうだ。多いに越した事はねぇ…でも犠牲を払ってまでも集める必要があんのか?って話よ」
「犠牲?」
「パッと思いつくのは健康や人間関係とかだな」
「…あー、得る物と失う物の価値が釣り合うかどうか…って事かぁ」
俺が自分の考えを話すも佐藤は俺の予想とは全然違う良く分からない感じで納得した。
…そんなこんな佐藤と適当に雑談しながら時間を潰すこと、約一時間。
「お。小麦と大根は終わったみてーだな」
「え?あ!マジじゃん!川の方見てたから全然気づかなかった!」
「川っつーか水路だけどな」
兵の報告で一部の作業完了を伝えると佐藤は驚いて振り返り豊作の小麦畑を見ながら声を上げるので俺が訂正するように軽くツッコむ。
「うわー…喋ってる間にただの土からこんな畑になるとか凄すぎてちょっとヒく」
「なんでだよ」
「で、リンゴとかはどうなってるの?」
佐藤の良く分からない呟きに俺がまたしてもツッコむと他の畑の方に移動しながら聞いてくる。
「えーと?…今はギリギリ食えるレベルだな。食料としては最低限の品質だから及第点ぐらい」
「えー…」
「あと一回で市場に出せるレベルになるから…まあ10分あれば終わるかな」
「…一時間とちょっとでソレってやっぱ凄すぎてちょっとヒく」
「だからなんでだよ」
俺の説明にさっきと同じく良く分からない事を言うので俺も同じように返す。
「はー…収穫どーしよ…?海原なんか魔法で出来ない?こう…パパッと」
「出来るぞ」
「マジで!?なんで!?逆に魔法で出来ない事ってなんなの!?」
佐藤が悩んだように呟いた後に確認してくるので俺が短く返すと…
佐藤は内心無理だと思ってたのか意味不明な驚き方をした。
「そりゃ研究されてない事とかじゃね?ワープとかタイムトラベルとか」
「…でも良く考えたら出来ない事はいっぱいあるかぁ…ココから王都まで荷物を運ぶ事だって出来ないもんね」
「今んとこ魔法では無理だな」
「ゲームの中でも意外と、ってゆーか普通に全能じゃないからなぁ…魔法は」
「使い方によっては万能だけどな」
冷静になって考えた結果を話し始める佐藤に俺はちょっとだけその考えを改めさせるように返す。
「うーん…じゃあ収穫もお願い。畑一つで5万出すから」
「畑一つなら7万から8万ぐらいじゃねーとヤダ」
「うわ、足元を見られたよ…流石に高くない?」
「おめー収穫作業を甘くみてねーか?労力的には育てるのと同じぐれー大変なんだよ。本当なら10万取りてーぐらいだし」
「むむ…!…じゃあ7万5千」
「まあ妥当な線だな。それならオッケー」
佐藤の依頼に俺が報酬の交渉をすると難しい顔をしながら半端な額を提示してくるが…まあ範囲内なので了承した。
0
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説


備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

隠密スキルでコレクター道まっしぐら
たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。
その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。
しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。
奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。
これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる