クラスまるごと異世界転移

八神

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…それから一週間後。


なぜか毎日のように貴族のパーティーが開かれていてあの料理長はどこからも引っ張りだこだった。


そして毎日のように人手不足らしくギルドに依頼が毎日来ていて…


そのおかげで俺はこの一週間毎日のようにあの料理長の技術や料理を教わる事が出来た。


…あとこの一週間でがっぽり稼く事も出来たので…さながらスペシャルウィークだ。


「はっはっは!悪いな兄ちゃん、今日も手伝ってもらって」

「まあ依頼だからな」


今日は城の中でのスイーツ品評会とかいうのが開かれていて…


目玉料理がこの料理長と俺の兵士による新作のお菓子である。


「さて、そろそろ…ゔっ!」

「どーした?大丈夫?」

「ぎ…ギックリ腰が…!」


なにかの準備をしようとした料理長の動きが呻き声と共に止まるので俺が聞くと、どうやら腰をやらかしたらしい。


「料理長!大丈夫ですか!?」
「料理長!」

「ゆ、油断した…!ここ、一カ月、ない、から…!」


他の料理人達が慌てて氷水や冷やしタオルを料理長の腰に当てて数人がかりで別の部屋へと運び出す。


「くっ…!こんな時に…!」

「ちょっと待ってろ」


料理長は背もたれを倒したソファにうつ伏せになりながら悔しそうに呟くので…


俺はクラスメイト女子の力を借りるために電話をかけた。


「…あ、もしもし斉藤?」

「海原君?どうしたの?」

「住吉もいる?」

「うん。住ちゃんに代わる?」

「いや、大丈夫。今から城に来れるか?頼みたい事があるんだけど」

「大丈夫だよ」

「じゃあ俺の兵に案内させるからお願い」

「うん、分かった。直ぐ行くね」


斉藤は用件も聞かずに了承してくれたので俺は電話を切って待つ事に。


…約15分後。


「お待たせ。海原が私たちに頼み事って珍しいね」

「うわー、私お城の中になんて初めて入ったかも!」


急いで来てくれたんであろう二人は少し息を切らしていた。


「この料理長がギックリ腰で動けないんだと。お前らなら治せるだろ?」

「うん。ちょっと待ってね…」

「…!…おお、痛みが…引いていく!」

「はいはい、動かないで」


俺が用件を話すと斉藤がスキルを使ったのか料理長が驚いたように上半身を仰け反らそうとするのでソレを住吉が抑える。


「もう大丈夫だ。痛みは無い、これなら動ける!」

「今は一時的に治っただけで、腰痛は根本的に直さないと意味ないの」

「料理長、住吉の言う通りにしてくれ」

「…しかし時間が…」

「住吉の言う通りにしてくれ」

「…分かった」


住吉の指示に反して動こうとする料理長に俺が二度同じ事を言うと察してくれたのか大人しくうつ伏せになった。
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