なんでもない日々

葉生

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求婚

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 ドアを開ければ本棚、本棚というかガラス戸の扉がついた棚を本の収納に使っているだけだが、とにかく棚が壁となって通路を阻む。ひるまず壁沿いに進み、顔を出さないと奥が見えないように配置されていて、何度来ても来客拒否の意思をつよく感じる。隣室の波間など常にドアを全開、入口には長めの麻の暖簾をかけて中を覗きやすく学生が入りやすく配慮しているのに、まるで対極だ。さかのぼって同じ教授から教えを受けたとは思えない。もっとも廣谷と波間、二人の年齢差は二〇近く、同じ教授からといっても比較が成り立たないくらい世話になった年数が違うのだけれど。
 その教授――も、波間教授というのだが――の著書は、廣谷の研究室に入ったら真っ先に目に飛びこんでくる位置に並んでいる。つまり入ってすぐ壁となっている棚のなかだ。部屋の最奥に置かれている作業机がもっぱらの生息地である廣谷からもっとも遠く、もっとも取りに行きづらい。故意なのか偶然なのか、当然故意であろうが、いくら寛容な瀬戸といえどこの配置は趣味が悪い、と言わざるをえなかった。
 しかし何度も廣谷の研究室に出入りしている、というより別の大学院に通っていて、この大学とは伯母である波間が教授として勤めている、あとは恋人の母校であるということ以外に縁も所縁もない理系の智枝子は指摘するまで気づかなかったくらいだから、結局気にしているから目に入るというだけの話かもしれない。知らないことは存在しないのと同じというわけだ。まあ、伯母と同じ苗字であるからいつかは気づいたかもしれないが。
 廣谷が師事したほうの波間教授は瀬戸の学生時代にすでに亡くなっているので、瀬戸は会ったことがない。写真は見たことがあるものの、それよりも論文のほうがよほど輪郭を持って迫ってくるので、感覚的によく知った相手、になるのを疎ましく思ったものだった。
 和歌史の権威の著書を横目で見やりながら、少し前まであった稚拙な感情は完全に溶けてなくなってしまっているのを確認する。確認作業のなかに寂寥も安堵も混じっていないことに、ほんの少しだけ、愛しさを覚えた。
「廣谷さん、お願いがあるんだけど」
「いやです」
 棚の壁からぱっと顔を出すのと同時ににこやかに言えば、予想どおりにべもなく断られる。が、今さらそんなことを気にする瀬戸ではない。すでに勝手知ったる研究室のソファに深く腰かけ、白衣の背中に声を投げ続ける。そもそも内容が何であれ、人の頼みなど素直に聞く相手ではない。問いかけつつ、返事はあろうとなかろうと同じことだ。
「今日判子持ってるよね? 一つ署名してください」
 表紙が折れてページが開いてしまっている科学雑誌を見つけて手にとる。おそらく山から落ちたのだろう。購読しているのか、それとも研究している和歌史と関係ないのに送りつけられているのか、廣谷の研究室に来るといつも最新号がある。智枝子も読んでいるのを見たことがあるので彼女のために買っているのだろうかと考えたこともあるが、廣谷は智枝子に対して独自のルールを持っていて、あげるのならともかく研究室に置いておくのならばありえないことだろう。廣谷のなかではそうなっているはずだ。
「宗教でも始めたんですか」
「せめてそこは借金の保証人では?」
 だいいち宗教だったとして、入信させるのに署名が必要なのか。明らかに詐欺の匂いがする。
 どちらにせよ違う。人の一生を左右するかもしれない点においては共通しているかもしれないが。
 これです、とソファの前にあるテーブルに置くと、やっと廣谷が振り返ってじっと目を細めた。そして溜息を一つついて、作業机の引き出しから判子と朱肉を持ってきて瀬戸の隣にどかりと座った。ソファに積み重ねられていた本がどざざざと音を立てて床に落ちる。落ちた本によって、床に積みあげられた本の山が崩れる。廣谷は平然としてテーブルに置かれた用紙を凝視していた。一瞬だけ長く瞼を閉じて瞬きをして、今度は細く嘆息する。白衣のポケットからボールペンを取り出し、ノックバーを押して芯を出す。二ヶ所で雪崩が起きたせいか、かちり、という音が部屋中に響いた気がした。
「悪趣味ですよ」
 瀬戸は雑誌から完全に目線を上げて、廣谷の横顔を見つめた。人の目を見たくないからと伸ばされている前髪だが、彼の良心で右目側は分けられているので目元がはっきりと窺えた。それに伴って感情をほぼ狂いなく察することができる。
「僕に呪いをかけさせるなんて」
 言いながら、ぎゅ、とことさらつよく長く捺印した。まるで呪文の最後の仕上げをするみたいに。それでいてここを間違えたら大変だと念を押すように。
「廣谷さんのときは私がしてあげますよ」
「何を」
「許しを」
 廣谷がゆっくりとこちらを向くのに合わせて、慈愛をこめて微笑む。聖書や経典の代わりに、テーブルに放置された用紙が静かに佇んでいた。上から目線で傲慢に、廣谷が言うところの「神にでもなった」つもりで、鷹揚に告げる。
「世界中の誰もが選択を責めたとしても、私が廣谷さんを許しますよ」
 窓の向こう側から、煙が流れてきた。方向から考えても波間の煙草だ。三月とはいえまだ寒いのに、今日も窓を開けてショートピースを吸っているらしい。できるものなら窓もドアも閉めて、室内を煙で満たしたいのだろう。
 ふ、と廣谷の目尻が緩んだ。
「大仰な……」
 久方ぶりに向けられた廣谷の破顔に、ゼロ距離。一瞬だったが当然廣谷は総毛立ち、ざあと青くなるのを見て大笑いした。絶句、を体現するとしたらまさにこんな感じだろう。廣谷は油断していた自分を悔いているのか、すでに諦めの境地なのか、今日何度目かの深い溜息をつくと顔を覆った。
「あなたなんてきらいです」
「それでもいいですよ」
 長く細い、骨ばった指を浅く開いて、間から瀬戸を覗いてくる。もういつもの無表情に戻っていた。行為の意味は正しく伝わっているらしい。誰よりも近くて誰よりも遠い廣谷を瀬戸はよく理解しているつもりだし、廣谷も瀬戸を理解したつもりでいるだろう。
「署名、ありがとうございます。これでやっと全部埋まりました」
 雑誌の代わりに用紙を手に取って立ちあがる。なだれた山は廣谷のなかで決まりごとがあるかもしれないので戻したりはしない。
「瀬戸」
 ドア付近の棚に体を隠そうかというとき、名前を呼ばれて振り返る。
「僕は解き方なんて知りませんよ」
 最大級の祝辞をもらって、くしゃりと顔をゆがめずにはいられなかった。


 *


 やっとすべてが埋まった婚姻届をきれいに拭いたテーブルに置き、飛紗は頬が緩むのを堪えきれない様子で文字をなでた。証人の欄には廣谷の名前と、綺香の名前が書かれている。この週末、二人の結婚式出席に合わせて妹の椛が京都に越してくる以外は、瀬戸に関西住まいの親戚はいない。順当にいけば師事している朽木あたりに願い出るべきなのだろうけれど、もっとも世話になった教授は関東なので、いささか角が立つ。相応しい相手を考えたときに浮かんだのは廣谷しかいなかった。嫌がらせの意味も当然込めている。晟一に頼まないのならと飛紗も父親の和紀に頼むのをやめ、最終的に弟の綺香に落ちついた。嫉妬も自覚していれば自制できるものだ。飛紗は飛紗で、「そんな仲良しなんや、廣谷さんと。年越しも一緒やったもんな」と小さく呟いていたので、もしかするとお互い様なのかもしれない。
「紙に書いたくらいじゃ実感わかんけど、婚姻届ってもうまじまじと見ることないかもと思ったらやっぱりちょっとテンション上がるな」
 提出したらしっぱなしで、控えをもらえないからと、飛紗は写真に収める。無邪気だ。確かにこんな紙切れ一枚ににこにことして、気分を高揚させる飛紗は今度いつ拝めるかわからない。スマートフォンを取り出してぱしゃりと撮れば、撮るなら届のほうだろうと怒られてそちらもついでに収めておく。
「婚姻届って、いま地方でいろいろ個性出してやってるってこの前ニュースで見たわ。その分発行にお金かかったりするみたいやけど」
「ここでも今月から記念婚姻届始めたみたいですよ。よくわかりませんけど、そっちだと記念用がついてくるそうで、インターネットからダウンロードもできるらしいです」
 飛紗の言葉で、そういえば、と思い出した。別件で役所に寄ったらポスターが貼ってあるのを見つけた。引越してすぐ、二月末に婚姻届を受け取ったときにもきっと貼ってあったのだろうが、まったく気づかなかった。
「記念用って言っても、結局二枚書くってことやろ? まだ引越して浅いから市に思い入れみたいなんもないし、普通のでええよ。やっぱりあっちのほうが、って後悔したらそんとき記念用だけ印刷しよ」
 満足したのか、飛紗は婚姻届をクリアホルダーに仕舞いなおし、部屋の隅に置いている鞄に入れた。こういうところが好ましい。
 式と同日に出そう、と提案したのは飛紗だ。朝に出して、その日にそのまま結婚式に臨めば、きっと否が応にも実感がわくだろう、という理由だった。記念日としても覚えやすいしややこしくないので、なにより飛紗のやりたいようにしてほしかったので、瀬戸は了承した。ただ、日曜日だと役所は届を受け取ってはくれるものの内容確認の時間外だ。後日あれが不足しているこれが間違っていると連絡されるのは億劫極まりない。そのためきちんと調べてすでに必要なものを用意している。何かあればすぐネットで調べられて、便利な時代になったものだと思う。むしろ廣谷の署名を最後に回したために、肝心の届が最後になった。彼は昨日まで出張に出ていたのだ。
 いまの住居は瀬戸にとっても飛紗にとっても本籍地ではない。本籍地ではない役所に届け出るとなると、戸籍謄本が必要になる。瀬戸は東京であるし、飛紗は祖父母の家が一応本家らしく、京都だ。飛紗の母親である小春に聞けば結婚するときに和紀の本籍地に合わせたと言っていた。とりあえずそのままで保留にしているが、今後を考えるとせめて東西どちらかに統一したほうが楽だろう。
「三月一九日」
 口元だけ両手で隠し、体を小さくするように座りながら飛紗は言う。さっき届を眺める前に瀬戸が乾かしてやったので、風呂上りでも飛紗の長い髪はほぼ濡れた様子がなかった。ゆったりとした長袖長ズボンの、いわゆるパジャマはまだ卸して一ヶ月も経っていない新品で、瀬戸も色違いを身にまとっている。前にテレビでカップルのペアルックがまた流行っている、というニュースをともに見ていたときには、「眞一とはしたくない、というかペアルックに甘んじる眞一なんて見たくない」とよくわからない主張をしていたわりに、パジャマはよいらしい。
「私が初めて飛紗ちゃんを見かけた日ですね」
「えっ、嘘」
「もちろん嘘です」
 なんや、と飛紗は落ちつかせるように胸元を押さえた。
「眞一の記憶力やとありえそうやからびっくりした」
「さすがにそこまでは」
 何かイベントがあったわけでもなく、名前も認識していない相手と出会った日までは割り出せない。越してきた日、記憶を頼りに飛紗の実家の本棚と同じ並びにしたのをまだ引いているのだろうか。
 素数ですね、と言うと、飛紗は大して興味がないらしくふうんと流されてしまった。
「よかったんですか? 三月一九日で」
 式と同日にしようというのはわかるし、結婚を夢想したことがないから記念日をこの日にしたい、という願望などはない。飛紗もドレスに憧れはあっても、結婚そのものに対する意識は希薄だったみたいなので似たようなものだろう。
 しかし挙式日はたまたまキャンセルで空いた日程に喰いこんだもので、予定よりもかなりはやまった。派手な演出はしないからましなのかもしれないが、直前まで準備に追われて疲弊したのは確かだ。つまり流れで決まった日程である。よかった点といえば、他の目立った記念日といえば誕生日だから、飛紗の五月と瀬戸の八月にかぶらないことくらいか。
「いま言う?」
 苦笑まじりに言い放たれて、そりゃそうだと口をつぐむ。飛紗が寄ってきて、ぴたりと腕がくっつく距離に座りなおした。肩に頭が載せられる。髪が首に当たってくすぐったい。
「眞一のその、わたしにとってのいちばんを考えてくれるとこはすきやけど、たまに考えすぎやで」
 膝を抱えるようにしている飛紗の手を見つめる。薬指には指輪、手首にはブレスレット。指輪は四六時中肌身離さず、ブレスレットは風呂と睡眠時以外は常に身につけてくれている。
「一緒になれるんやったら、いつやろうと関係ないよ」
「飛紗ちゃん」
 体を離して、片膝を立てる。左手を取って、すでにはめられている指輪をなでた。爪が当たるのを気にして、飛紗が指を小さく丸めた。
 じっと見つめても慣れずに頬を紅潮させたり、慌てて目線を逸らされることも、反射的に手を振りほどこうと体を震わせることも、もうない。瀬戸もそんな飛紗を見て揶揄したり、あまりの初々しさに遠慮をすることもなくなった。
 こんなに、ふたりでいるのが当り前になった。いつの間にか。
「飛紗ちゃん、私と、結婚してくれませんか」
 飛紗は微笑みを崩して、ほんの少し、目を見開いた。瞬きを忘れたみたいにまっすぐ瀬戸を瞳に映す。掴んでいる手がぴくりと動いた気がしたが、相変わらずよわよわしい力のまま、変化はない。
 直前まで記念日の話をしていて、先ほどまで婚姻届を見ていて、先日まで式の準備に追われていて、両家への挨拶も結納もとっくに済ませているのに、まるであべこべだ。
「……なんだか、ちゃんと、言いたくなって」
 挙式日と違って、流れでここまできたわけではない。もっと抽象的な言葉で告白をして、飛紗がくみ取って――いや、最初はくみ取れてなかった。確信が持てなかったから後日確認の問いを投げかけてきて、結婚を前提に付き合ってくださいということです、と説明をした。説明と両親への挨拶でしか、はっきりと「結婚」とは言っていない。
「特別に」
 落とすような声で、聞き逃すところだった。
 似ているわけではないのに、いつか見た表情と重なる。あのときは本人も感情を置き去りにしたみたいにぽろぽろと涙を流して、なかなか続きが話せなかった。いまは眉をハの字に下げながらも、照れくさそうにこちらを見つめている。
「眞一の特別に、してくれる?」
 重ねるようにしていた手を握ると、飛紗も握り返した。ふたりにしかわからない、ふたりだけの言葉を繰り返す。なんとなく間の抜けてしまった告白のやり直しをしているようでもあった。
「もうなってます。だから、結婚してください」
「はい」
 初めて聞いた返事でもないのに、気づけば抱きしめていた。思考を置き去りにして体が先に動いてしまうのは飛紗に対してだけだ。もし記憶を切り取って残しておけるのならば、いまの飛紗の笑顔を残しておきたい。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 神のいない場で、秘密を増やすように静かに口づけた。
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