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第1章
Ⅱ
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3人は広い廊下をゆっくりと歩く
もちろん、ハクリュウは道を知らないのでルカとギルが優しく手を引いて歩く
だが、道がわかれている所に来るとルカとギルが違う道に行こうとするのでどっちが合ってる道なんだろうと思っていた
「ギル、そっちに行ってしまうと裏庭に出てしまうよ」
「そうだっけ?」
どうやらギルの方が道に迷っていたらしい
「…ごめんハクリュウ。役立たずの兄で本当にごめん」
ギルが急に泣きそうな顔でハクリュウを見ながら謝る
その姿は白龍の時、ハクリュウがよく父親やショウに言っていた言葉によく似ていた
『…お父、さん。ごめんな、さい。役立たず、で……生まれて、きてごめん、なさい』
『…ショウ僕の、せいでご、めん…役立た、ずでごめん』
ハクリュウは右手で胸元を押さえて踞る
ルカは咄嗟にハクリュウへと手を伸ばすが、ハクリュウがその手を払いのける
「ぁ…ごめん、なさい…ごめ…さい」
ハクリュウの虚ろな目にはルカとギルではなく父親とショウが映っている様だった
「ハクリュウ、その事は…その記憶は忘れていいんだよ。今ここに居るのは僕とギルの2人だ。君の兄2人だけなんだよ」
ルカはハクリュウを抱いて落ち着かせるように優しくゆっくりと声を掛けながらハクリュウの額へと手を当て、「記憶を一部封印する」とハクリュウにも聞こえないように小さく唱えた
「ハクリュウ、僕らが母様と父様の所に連れてってあげるからその間寝てて」
ハクリュウは頷くことも返事を返す事もなくルカに寄りかかるように倒れた
「ーー兄上、良かったのですか?勝手に記憶を封じたりして」
ギルはハクリュウが起きていたときの話し方と比べてとても丁寧にルカへと問い掛ける
「僕だって記憶を封じたりする気はなかったよ。でも、あんなに怯えられていると母様達と話すときにもなられたら説明できないし、なんだかあれ以上話させてはいけないように感じたんだ。僕がハクリュウを叩きそうだったから」
ルカはハクリュウを起こさないように優しく抱っこする
「そうですね。兄上、これからハクリュウは俺たちがしっかりと守っていきましょう。ハクリュウが前みたいに壊れないように…人間に××されないように」
ギルはハクリュウの頭を撫でながら自分の決意をルカへと伝える
その目はハクリュウを見ているようであの人を見ているようにルカは感じた
「(それはダメだ。ダメだよ、ギル。ハクリュウをあの人に重ねてはダメだ。ダメなんだよ、ギル)」
ルカは小さく息を吐いた
もちろん、ハクリュウは道を知らないのでルカとギルが優しく手を引いて歩く
だが、道がわかれている所に来るとルカとギルが違う道に行こうとするのでどっちが合ってる道なんだろうと思っていた
「ギル、そっちに行ってしまうと裏庭に出てしまうよ」
「そうだっけ?」
どうやらギルの方が道に迷っていたらしい
「…ごめんハクリュウ。役立たずの兄で本当にごめん」
ギルが急に泣きそうな顔でハクリュウを見ながら謝る
その姿は白龍の時、ハクリュウがよく父親やショウに言っていた言葉によく似ていた
『…お父、さん。ごめんな、さい。役立たず、で……生まれて、きてごめん、なさい』
『…ショウ僕の、せいでご、めん…役立た、ずでごめん』
ハクリュウは右手で胸元を押さえて踞る
ルカは咄嗟にハクリュウへと手を伸ばすが、ハクリュウがその手を払いのける
「ぁ…ごめん、なさい…ごめ…さい」
ハクリュウの虚ろな目にはルカとギルではなく父親とショウが映っている様だった
「ハクリュウ、その事は…その記憶は忘れていいんだよ。今ここに居るのは僕とギルの2人だ。君の兄2人だけなんだよ」
ルカはハクリュウを抱いて落ち着かせるように優しくゆっくりと声を掛けながらハクリュウの額へと手を当て、「記憶を一部封印する」とハクリュウにも聞こえないように小さく唱えた
「ハクリュウ、僕らが母様と父様の所に連れてってあげるからその間寝てて」
ハクリュウは頷くことも返事を返す事もなくルカに寄りかかるように倒れた
「ーー兄上、良かったのですか?勝手に記憶を封じたりして」
ギルはハクリュウが起きていたときの話し方と比べてとても丁寧にルカへと問い掛ける
「僕だって記憶を封じたりする気はなかったよ。でも、あんなに怯えられていると母様達と話すときにもなられたら説明できないし、なんだかあれ以上話させてはいけないように感じたんだ。僕がハクリュウを叩きそうだったから」
ルカはハクリュウを起こさないように優しく抱っこする
「そうですね。兄上、これからハクリュウは俺たちがしっかりと守っていきましょう。ハクリュウが前みたいに壊れないように…人間に××されないように」
ギルはハクリュウの頭を撫でながら自分の決意をルカへと伝える
その目はハクリュウを見ているようであの人を見ているようにルカは感じた
「(それはダメだ。ダメだよ、ギル。ハクリュウをあの人に重ねてはダメだ。ダメなんだよ、ギル)」
ルカは小さく息を吐いた
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