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第1章 入学〜インターハイ予選
第56話 関東大会で得たもの
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第4Q 残り35.0
星垓 79
舟栄 83
星垓、タイムアウト。
唐沢「平井さん、うちのファウルの状況は?」
平井「えっと、新城くん2つ、髙木くんも2つ、神崎くん3つ、真田くん3つ、北条くん3つ、篠田くん2つですね」
唐沢「そうですか…」
新城「残り35秒、まだ追いつける!ディフェンスはオールコートでマンツーマンでいくぞ」
星垓メンバー「おう!」
まだまだ逆転を信じている星垓メンバー。
そんな中、涼真は足にマッサージを受けている。
賢(足がパンパンになってる…それほど強敵だったんだ…あの7番って…)
ピピーッ!
タイムアウトが開ける。
山下「ものすごく濃い35秒になりそうですね!」
村上「ああ。だが舟栄の圧倒的有利は変わらん。ここからあの舟栄の攻撃を食い止め、かつ決めにゃならんのだ。5点以上な」
山下「延長になると体力勝負…北条くんが足にきてそうですからね」
村上「同点でも問題ないとなると、舟栄勝利は9割以上決まりと見て間違いないだろう」
残り2分を切ってタイムアウトを取ったため、星垓はスローイン・ライン(スリーポイントラインのトップの延長線上とサイドラインの交差する場所にあるライン)からスローイン。
涼真、ボールを受ける。
オフェンスにかけられる時間は多くない。
涼真、最後の力を振り絞り霧谷をドライブで振り切ろうとする。
霧谷、半身遅れてついていく。
涼真、レイアップに踏み切る。
霧谷も遅れながらも踏み切る。
バスッ!
星垓メンバー「よっしゃああああ!」
だが。
ピピーッ!
涼真の前には舟栄11番、本庄が倒れている。
審判「ノーカウント!オフェンスファウル!チャージング!青13番!」
第4Q 残り26.4
星垓 79
舟栄 83
星垓、痛恨のターンオーバー。
時間を減らし舟栄に攻撃権を渡してしまう。
オフィシャルが示す涼真のファウルは「4」。
※個人のファウルは5つで退場となる。
続く舟栄のオフェンス。
今度は本庄がファウルを受ける。
ファウルは武蔵。
第4Q 残り22.9
星垓 79
舟栄 83
本庄、1投目。
スパッ!
舟栄メンバー「よしよし!いいぞ!」
もはや勝利を疑っていない舟栄メンバー。
2投目。
スパッ!
第4Q 残り22.9
星垓 79
舟栄 85
新城、前方に大きなロングパス。
勝利を確信していた油断のせいか、不意を突かれた舟栄メンバー。
パスを受け取ったのは涼真。
だが。
霧谷「行かせねえ!」
ワンマン速攻に向かう涼真の前に霧谷が立ちはだかる。
いち早くゴール付近まで戻っていた。
だが涼真、いきなりストップしスリーポイントシュート。
霧谷「なっ…!?」
慌ててチェックにいくも、既にボールはリリースされた後。
スパァッッッ!
第4Q 残り18.4
星垓 82
舟栄 85
星垓サイドから怒号にも似た歓声が飛ぶ。
「いよっしゃーぁ!」
「行け!ディフェンス!ファウルで止めろ!」
息つく間もなく舟栄がリスタート。
パスで大きくボールを運び、ファウルのために寄ってきたディフェンスをまたパスでいなし時間を使う舟栄。
ボールは本庄から霧谷へ。
涼真は丁度目の前にいた霧谷の手を叩く。
ピピーッ!
第4Q 残り7.3
星垓 82
舟栄 85
11秒もボールをキープされてようやく涼真のファウルで時計を止めた。
だが。
オフィシャルに示されたファウル数は「5」。
涼真(5回目…!)
観客席「まじかよ!あの13番が退場かよ!?」
「ここまで点取りまくってたのあいつだろ!?」
山下「やってしまいましたね…時計を止めるためとはいえ」
村上「奴はまだ1年だ。大したプレイヤーだよ。だが現時点では舟栄が、霧谷が1枚上手だった。それだけだ」
涼真、ベンチに腰掛けタオルで顔を覆う。
コートを直視できなかった。
涼真(負けた…個人でも試合でも)
コートではファウルを受けた霧谷が落ち着いてフリースローを2本とも沈める。
第4Q 残り18.4
星垓 82
舟栄 87
星垓のオフェンス。
退場した涼真に変わりコートに入ったのは神崎。
涼真と変わって霧谷とマッチアップ。
だが舟栄の最後の力を振り絞ったディフェンスに星垓はシュートすらままならない。
新城の最後のスリーが外れる。
リバウンドを奪った霧谷がボールを天高く投げ上げる。
それが合図となったかのように舟栄メンバーが拳を突き上げる。
ピピーッ!
試合終了
星垓 82
舟栄 87
新城「負けた…」
センターラインで終了の挨拶の後、喜びに沸く舟栄メンバーを新城、髙木らは静かに見つめていた。
山下「惜しかったですね…」
村上「まだ舟栄が一枚上手だったな」
山下「北条くんの退場もありましたし…」
村上「いや、あれ自体は勝敗にはさほど関係ないだろう。それより体力面や精神面で負けていたからな。
だが星垓はまだまだ連携やシュート精度、改善点はいくらでもある。まだ夏までに伸びてきそうだな、このチームは」
山下「そうですね…インターハイに出たら楽しみなチームの1つですね」
準決勝が終わり、男子のABトーナメントの決勝の組み合わせは
舟栄vs湘洋大付属
秀英vs東裁大菅生
の組み合わせになった。
-控え室
ドアをノックする音。
平井「みんな、着替えた?」
新城「着替えたよ、入って大丈夫」
ドアが開き、平井と唐沢、そしてベンチ外の選手達も入ってくる。
敗戦後とあって空気は決して良いものではない。
唐沢「よく戦いました…現チームの全てを出し切りましたが勝つことは叶いませんでしたね」
一同、沈黙。
唐沢「各自課題も見つかり、格上の相手に善戦し得るものもあったと思います。優勝はできませんでしたが関東大会ベスト4、素晴らしいことです。胸を張って帰りましょう」
一同「はい!」
唐沢「明日(月曜日)からは中間テスト前なので部活はありません。我が校は文武両道がモットーですから勉強でもしっかり結果を残してください」
慎太郎「うげっ…」
唐沢「そしてテストが終わったらインターハイ予選が始まります。組み合わせはもう出ていますから知っていると思いますが、関東大会予選で県2位のうちはスーパーシード。つまり6回戦の準々決勝までは試合がありません。
順当に行けばうちのブロックではベスト8に上がってくるのは平塚学院だと思われます」
新城「平塚学院か…」
髙木「確か最長身は189㎝だっけ?そんなデカいチームじゃなかったよな」
唐沢「そして北条くんをストップできるような強力なペリメーターのディフェンダーもいません。
かといって油断できる相手ではありません。ここからインターハイ予選までに相手も必死で仕上げてくる。うちもそれを迎え撃つために、そしてその先の決勝リーグで強敵達を打ち破るために。やれることは全てやっていきましょう」
一同「はい!」
星垓高校、関東大会準決勝敗退。
To be continued…
星垓 79
舟栄 83
星垓、タイムアウト。
唐沢「平井さん、うちのファウルの状況は?」
平井「えっと、新城くん2つ、髙木くんも2つ、神崎くん3つ、真田くん3つ、北条くん3つ、篠田くん2つですね」
唐沢「そうですか…」
新城「残り35秒、まだ追いつける!ディフェンスはオールコートでマンツーマンでいくぞ」
星垓メンバー「おう!」
まだまだ逆転を信じている星垓メンバー。
そんな中、涼真は足にマッサージを受けている。
賢(足がパンパンになってる…それほど強敵だったんだ…あの7番って…)
ピピーッ!
タイムアウトが開ける。
山下「ものすごく濃い35秒になりそうですね!」
村上「ああ。だが舟栄の圧倒的有利は変わらん。ここからあの舟栄の攻撃を食い止め、かつ決めにゃならんのだ。5点以上な」
山下「延長になると体力勝負…北条くんが足にきてそうですからね」
村上「同点でも問題ないとなると、舟栄勝利は9割以上決まりと見て間違いないだろう」
残り2分を切ってタイムアウトを取ったため、星垓はスローイン・ライン(スリーポイントラインのトップの延長線上とサイドラインの交差する場所にあるライン)からスローイン。
涼真、ボールを受ける。
オフェンスにかけられる時間は多くない。
涼真、最後の力を振り絞り霧谷をドライブで振り切ろうとする。
霧谷、半身遅れてついていく。
涼真、レイアップに踏み切る。
霧谷も遅れながらも踏み切る。
バスッ!
星垓メンバー「よっしゃああああ!」
だが。
ピピーッ!
涼真の前には舟栄11番、本庄が倒れている。
審判「ノーカウント!オフェンスファウル!チャージング!青13番!」
第4Q 残り26.4
星垓 79
舟栄 83
星垓、痛恨のターンオーバー。
時間を減らし舟栄に攻撃権を渡してしまう。
オフィシャルが示す涼真のファウルは「4」。
※個人のファウルは5つで退場となる。
続く舟栄のオフェンス。
今度は本庄がファウルを受ける。
ファウルは武蔵。
第4Q 残り22.9
星垓 79
舟栄 83
本庄、1投目。
スパッ!
舟栄メンバー「よしよし!いいぞ!」
もはや勝利を疑っていない舟栄メンバー。
2投目。
スパッ!
第4Q 残り22.9
星垓 79
舟栄 85
新城、前方に大きなロングパス。
勝利を確信していた油断のせいか、不意を突かれた舟栄メンバー。
パスを受け取ったのは涼真。
だが。
霧谷「行かせねえ!」
ワンマン速攻に向かう涼真の前に霧谷が立ちはだかる。
いち早くゴール付近まで戻っていた。
だが涼真、いきなりストップしスリーポイントシュート。
霧谷「なっ…!?」
慌ててチェックにいくも、既にボールはリリースされた後。
スパァッッッ!
第4Q 残り18.4
星垓 82
舟栄 85
星垓サイドから怒号にも似た歓声が飛ぶ。
「いよっしゃーぁ!」
「行け!ディフェンス!ファウルで止めろ!」
息つく間もなく舟栄がリスタート。
パスで大きくボールを運び、ファウルのために寄ってきたディフェンスをまたパスでいなし時間を使う舟栄。
ボールは本庄から霧谷へ。
涼真は丁度目の前にいた霧谷の手を叩く。
ピピーッ!
第4Q 残り7.3
星垓 82
舟栄 85
11秒もボールをキープされてようやく涼真のファウルで時計を止めた。
だが。
オフィシャルに示されたファウル数は「5」。
涼真(5回目…!)
観客席「まじかよ!あの13番が退場かよ!?」
「ここまで点取りまくってたのあいつだろ!?」
山下「やってしまいましたね…時計を止めるためとはいえ」
村上「奴はまだ1年だ。大したプレイヤーだよ。だが現時点では舟栄が、霧谷が1枚上手だった。それだけだ」
涼真、ベンチに腰掛けタオルで顔を覆う。
コートを直視できなかった。
涼真(負けた…個人でも試合でも)
コートではファウルを受けた霧谷が落ち着いてフリースローを2本とも沈める。
第4Q 残り18.4
星垓 82
舟栄 87
星垓のオフェンス。
退場した涼真に変わりコートに入ったのは神崎。
涼真と変わって霧谷とマッチアップ。
だが舟栄の最後の力を振り絞ったディフェンスに星垓はシュートすらままならない。
新城の最後のスリーが外れる。
リバウンドを奪った霧谷がボールを天高く投げ上げる。
それが合図となったかのように舟栄メンバーが拳を突き上げる。
ピピーッ!
試合終了
星垓 82
舟栄 87
新城「負けた…」
センターラインで終了の挨拶の後、喜びに沸く舟栄メンバーを新城、髙木らは静かに見つめていた。
山下「惜しかったですね…」
村上「まだ舟栄が一枚上手だったな」
山下「北条くんの退場もありましたし…」
村上「いや、あれ自体は勝敗にはさほど関係ないだろう。それより体力面や精神面で負けていたからな。
だが星垓はまだまだ連携やシュート精度、改善点はいくらでもある。まだ夏までに伸びてきそうだな、このチームは」
山下「そうですね…インターハイに出たら楽しみなチームの1つですね」
準決勝が終わり、男子のABトーナメントの決勝の組み合わせは
舟栄vs湘洋大付属
秀英vs東裁大菅生
の組み合わせになった。
-控え室
ドアをノックする音。
平井「みんな、着替えた?」
新城「着替えたよ、入って大丈夫」
ドアが開き、平井と唐沢、そしてベンチ外の選手達も入ってくる。
敗戦後とあって空気は決して良いものではない。
唐沢「よく戦いました…現チームの全てを出し切りましたが勝つことは叶いませんでしたね」
一同、沈黙。
唐沢「各自課題も見つかり、格上の相手に善戦し得るものもあったと思います。優勝はできませんでしたが関東大会ベスト4、素晴らしいことです。胸を張って帰りましょう」
一同「はい!」
唐沢「明日(月曜日)からは中間テスト前なので部活はありません。我が校は文武両道がモットーですから勉強でもしっかり結果を残してください」
慎太郎「うげっ…」
唐沢「そしてテストが終わったらインターハイ予選が始まります。組み合わせはもう出ていますから知っていると思いますが、関東大会予選で県2位のうちはスーパーシード。つまり6回戦の準々決勝までは試合がありません。
順当に行けばうちのブロックではベスト8に上がってくるのは平塚学院だと思われます」
新城「平塚学院か…」
髙木「確か最長身は189㎝だっけ?そんなデカいチームじゃなかったよな」
唐沢「そして北条くんをストップできるような強力なペリメーターのディフェンダーもいません。
かといって油断できる相手ではありません。ここからインターハイ予選までに相手も必死で仕上げてくる。うちもそれを迎え撃つために、そしてその先の決勝リーグで強敵達を打ち破るために。やれることは全てやっていきましょう」
一同「はい!」
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To be continued…
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