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第4章 集大成・ウィンターカップ
第255話 アメリカからやってきた男達
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チーム メンバープロフィール
山内 正博
豊誠学園高校3年
185㎝79kg
誕生日:4/3
血液型:B
特徴:やや茶髪気味の坊主頭が特徴(地毛)。チーム1のディフェンスの名手であり、スタメン出場してもベンチ出場しても実力を発揮できるので渡部監督にも重宝されている。ディフェンスがクローズアップされがちだが速攻でフィニッシャーになったりオフェンスでもマルチに貢献できる。
卒業後は関西1部の近畿学院大学への進学が決まっている。
特技:立ち相撲
趣味:ヨガ
得意教科:物理
苦手教科:特にはない
得意なプレイ:ディフェンス
バスケを始めたきっかけ:中学で部活に入って
密かな悩み:菊田に睨まれるとビビる(菊田としては睨んでるつもりはない)
-----------------------------
※英語での会話を日本語としてお送りする場面が出てきます。
英語の会話のカギカッコは『』を用います。
ウィンターカップ準々決勝。
日本中から観客が集まるこの東京体育館に、アメリカから足を運んだ者達がいた。
観客席の後方、メインコートをひと目で見渡せる位置に座る外国人の男性が2人。
『なんで私が日本なんぞに来なければならないんだ?ドノバン?チームはNCAAトーナメントに向けての大事な試合も年明け早々に控えているというのに』
ドノバン『まあ、そう言わずに。来年度以降のリクルートも大切な仕事ですから』
ドノバンと呼ばれた40程の男性が、50代半ばの男性を宥めている。
『だからといって何故レベルの低いアジアなのだ?』
ドノバン『日本人や中国人でもNBA入りする選手は少しずつですが出てきています。優秀な選手をリクルートできればジャパンマネーやチャイナマネーでの収益も見込めるんです。カニンガム監督。そのためにも』
カニンガム『チッ…』
カニンガム監督と呼ばれた男は、不機嫌そうに顔をそらす。
眼前では、博多第一と豊誠学園の試合。
開始早々に菊田がファイからダンクを決めた所。
カニンガム『ほう…あのセンターはなかなかパワーもスピードもあるな、ドノバンよ』
ドノバン『そうですね…身長もフィジカルもインサイドでNCAAでも通用しそうです。見た感じ6フィート9インチから10インチ…ウェイトも250から270ポンド程でしょうか』
※206㎝~208㎝、113.4㎏~122.4㎏
豊誠学園は勢いに乗り、古沢の1対1やロングレンジのスリーポイント、菊田のインサイドを中心に加点していく。
カニンガム『なるほど、アジアの選手でも技術的には通用する部分も多い。フィジカルでも通用する選手がいることにはいるのはわかった。だが…わざわざリクルートする程ではないな』
ドノバン『と言うと?』
カニンガム『アジア人なんぞリクルートしてもせいぜいNBAではロールプレイヤーにしかなっておらん。オールスター経験者も中国人センターが1人だけだ。その選手1人で試合会場を満員にできるような本物のスーパースターは産まれていない。いや…産まれないだろう』
第1Q 残り2:08
博多第一 19
豊誠学園 15
オフェンスが良く最初こそ勢いに乗った豊誠学園だったが、ディフェンスでは博多第一に攻め込まれた。
ビッ!
スパァッ!!
博多第一の1年生、上杉がプルアップジャンパーを沈める。
神崎玲太(リーチがとにかく長い上にその最高点に近い位置で打ってくるからブロックがそもそも届かない…いやその前に…センター程もある身長で動きのキレが一流ガード…星垓の北条にも匹敵するかもしれん)
バス!!!
インサイドでは田中が丸山を吹き飛ばし力強くゴール下を沈める。
丸山(力の差があり過ぎる…少々の技術ならパワーで打ち消してきやがる…このパワーは菊田でないと対抗できない…かといって俺が…あの10番のマッチアップをできるかと言うと…)
そして豊誠学園にとって更なる誤算は
ピピーッ!!
審判「オフェンスファウル!青9番!」
スコアラーの1人である間島が、博多第一のキャプテンである由崎に抑え込まれている事だった。
間島(そもそも能力は高い上に…思い通りのプレーが全然できない…!)
カニンガム『確かこの白のチームの方だが…日本人選手は全員、アンダーカテゴリの代表レベルなのだったな』
ドノバン『そう聞いてますが』
カニンガム(それ見ろ。だから言ったのだ、見る価値などないと)
ドノバン『ですが、代表の主力級の選手はほとんどこの試合にはいません。せいぜい…共に15、6歳である青の方のセンターと白の13番位です』
カニンガム『何?』
ブーッ!!!!
試合終了
博多第一 88
豊誠学園 71
結局、九州王者の博多第一が豊誠学園を寄り切る。
豊誠学園は菊田が20得点13リバウンド、古沢がスリーポイント5本を含む28得点を残すも博多第一の総合力に屈する。
博多第一の上杉は神崎玲太を相手取り37得点。
パワーこそ不足しているものの、その得点能力は日本中の度肝を抜いた。
続いて、第2シードの愛和工業大附属に愛媛の柴田が挑むこの日の第4試合。
カニンガム『あれは…?』
カニンガムの目線の先には、赤いユニフォームの14番・武田。
ドノバン『あの選手がU-16の主力級の1人だそうです』
カニンガム『ふむ…』
(ドリブルやシュートのアップでもわかる。確かにこの選手がこのチームで1番センスがある。それにサウスポーか。身長こそ6フィート2、3インチ(188~191㎝)程だが…)
柴田 スターティング(ユニフォーム白)
12 藤川 陸 1年 172㎝
4 越野 大司 3年 180㎝
8 根元 哲史 2年 184㎝
5 菊池 隆之介 3年 191㎝
11 本田 虎太郎 2年 196㎝
愛和工業大学附属 スターティング(ユニフォーム赤)
9 市河 李太郎 2年 179㎝
4 羽田 勝美 3年 186㎝
14 武田 悟史 1年 191㎝
5 朝岡 敏弥 3年 194㎝
8 山口 啓太 3年 197㎝
カニンガム『平均より大きいとはいえ…どちらも大型チームではないな』
ドノバン『ええ。ですが日本の友人の話だと「その分面白い物も見れる」との事ですよ』
カニンガム『ほう…』
バチッ!!
レフェリーがボールをトスし、ボールは愛和・市河が抑える。
ビッ!
市河、間髪入れずパス。
そこには、いち早く走っていた武田。
ダム!!!
柴田がディフェンスを整える時間もなく、武田はドリブルでゴールへ突進。
武田「食らえ…!!!」
ドッッッガァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!
開始4秒。
武田の強烈なワンハンドダンクで愛和が先制。
ドノバン『なんと…!』
カニンガム『開始早々で狙ってきたか』
(派手なダンクに目が行きがちだが…ディフェンスにマークされていなかった訳ではなく、踏み切るまでにコースも途中で変更していた。それでもディフェンスの間を一瞬で駆け抜けるスピード、体勢がやや崩れてもダンクに行ける跳躍力とボディバランス…)
カニンガム、ニヤリとする。
カニンガム『なるほど…確かに面白い』
そして、カニンガムの興味を引いたのはそれだけではなかった。
スパァッ!!
「来たー!!!!!」
「エースガード・藤川のスリーポイント!!」
藤川、前半だけで5本もの長距離砲を炸裂させる。
武田のダンクを皮切りに5人がバランスよく高確率で得点する愛和に対し、柴田は藤川が時にアシストで、時に自ら打開して対抗。
ブーッ!
前半終了
県立柴田 48
愛和工業大附属 50
ハイスコアで前半が終わる。
ドノバン『トランジションが早かっただけに見応えがあるゲームでしたね』
カニンガム『うむ…この赤のチームがやっている事は本来、格上を相手にしている時かつサイズで劣っているチームがやる事だ…それを優勝候補でサイズも決して劣っていないチームがやってくるか…』
ドノバン『白の12番…ポイントカードの選手も凄かったですね。クイックリリースのシュートもさることながらドライブで切れ込み、自分よりサイズのある選手達をかわして上手く決め続けていましたから』
藤川陸、ここまでで既に22得点。
うち、スリーポイントが6本で18点。
その驚異的なシュート力で愛和の守備をきりきり舞いさせていた。
カニンガム『あれでフィジカルがあったらと思うと恐ろしい選手だ。だが…NCAAやNBAのスカウトにはあれでも懐疑的な目を向けられるだろうな。それに…』
ドノバン『それに…?』
カニンガム『この試合は、赤のチームが勝つ』
ドノバン『一体何故…』
カニンガム『あの白の12番は確かにスペシャルな選手だ。あれ程のシューターかつスコアラーを止めるにはディフェンスでスイッチを頻繁に繰り返し、常にディフェンスのプレッシャーがかかるようなディフェンスをしなくちゃならない。
そして赤のチームは、それができるだけのオールラウンドな選手が5人コートにいる』
カニンガムが予想した通り、第3Qはディフェンスで愛和が仕掛ける。
キュキュッ!!
藤川がスクリーンを使いシュートを打とうとしてもスイッチしたディフェンスがきっちりマーク。
スクリーンからドライブで切れ込んでも結果は同じ。
インサイドのプレイヤーが藤川にきっちり着いて行き、藤川のマークマンがスクリーナーをマークし合わせのプレーも起こさせない。
このプレッシャーは藤川のゲームコントロールの歯車を徐々に狂わせる。
藤川(なかなかいい形でシュートが打てない…それにいい形で合わせられないからオフェンスのリズムが良くないな…)
それを打開しようと越野、根元、菊池といった所が個人技を仕掛けるも…
ドゴォッ!!
「武田のブロックだああ!!!」
「根元のレイアップをボードに叩きつけた!!!」
「すげえ守備力!まるで星垓の北条だ!!!」
カニンガム『それではいかんなぁ…個人技で打開するのは良い手ではあるが…あの14番相手では分が悪い』
それでも1桁の点差で食らいついていた柴田だが…第4Qに入り、攻守で無尽蔵に動く愛和を前についにメンバーの足が止まり始め…
ブーッ!!!
試合終了
県立柴田 83
愛和工業大附属 95
藤川が試合最多の36得点をあげるも及ばず、愛和が夏、秋に続きベスト4入り。
『遅れてすみません』
カニンガム『ん?』
ドノバン『ああ、ミスターハセガワ。この観客の中よく我々を見つけられましたね。カニンガム監督、こちらのミスターハセガワは
先程話していた私の日本の友人です』
長谷川『タツヤ・ハセガワです。お見知り置きを』
カニンガム『ああ、よろしく』
長谷川とカニンガムは握手を交わす。
ドノバン『彼は元オールジャパンの選手で、今は引退し代表の監督業に就いているのですよ』
カニンガム『なるほど…どうりでドノバンが日本の高校生の選手に詳しい訳だ。では早速ミスターハセガワに聞きたいのだが、我々が日本まで呼ばれたという事は…リクルートするに足る選手が日本にいるという事かね?』
長谷川『ええもちろん。この次の試合に出る選手なのですがね、まだ16歳ですが…日本の…いや、アジアのバスケットボールの歴史開闢以来の怪物になる可能性を秘めた選手です』
カニンガム『ほう…?』
ブーッ!!!
第1Q 残り10:00
星垓 0
紅泉 0
……To be continued
山内 正博
豊誠学園高校3年
185㎝79kg
誕生日:4/3
血液型:B
特徴:やや茶髪気味の坊主頭が特徴(地毛)。チーム1のディフェンスの名手であり、スタメン出場してもベンチ出場しても実力を発揮できるので渡部監督にも重宝されている。ディフェンスがクローズアップされがちだが速攻でフィニッシャーになったりオフェンスでもマルチに貢献できる。
卒業後は関西1部の近畿学院大学への進学が決まっている。
特技:立ち相撲
趣味:ヨガ
得意教科:物理
苦手教科:特にはない
得意なプレイ:ディフェンス
バスケを始めたきっかけ:中学で部活に入って
密かな悩み:菊田に睨まれるとビビる(菊田としては睨んでるつもりはない)
-----------------------------
※英語での会話を日本語としてお送りする場面が出てきます。
英語の会話のカギカッコは『』を用います。
ウィンターカップ準々決勝。
日本中から観客が集まるこの東京体育館に、アメリカから足を運んだ者達がいた。
観客席の後方、メインコートをひと目で見渡せる位置に座る外国人の男性が2人。
『なんで私が日本なんぞに来なければならないんだ?ドノバン?チームはNCAAトーナメントに向けての大事な試合も年明け早々に控えているというのに』
ドノバン『まあ、そう言わずに。来年度以降のリクルートも大切な仕事ですから』
ドノバンと呼ばれた40程の男性が、50代半ばの男性を宥めている。
『だからといって何故レベルの低いアジアなのだ?』
ドノバン『日本人や中国人でもNBA入りする選手は少しずつですが出てきています。優秀な選手をリクルートできればジャパンマネーやチャイナマネーでの収益も見込めるんです。カニンガム監督。そのためにも』
カニンガム『チッ…』
カニンガム監督と呼ばれた男は、不機嫌そうに顔をそらす。
眼前では、博多第一と豊誠学園の試合。
開始早々に菊田がファイからダンクを決めた所。
カニンガム『ほう…あのセンターはなかなかパワーもスピードもあるな、ドノバンよ』
ドノバン『そうですね…身長もフィジカルもインサイドでNCAAでも通用しそうです。見た感じ6フィート9インチから10インチ…ウェイトも250から270ポンド程でしょうか』
※206㎝~208㎝、113.4㎏~122.4㎏
豊誠学園は勢いに乗り、古沢の1対1やロングレンジのスリーポイント、菊田のインサイドを中心に加点していく。
カニンガム『なるほど、アジアの選手でも技術的には通用する部分も多い。フィジカルでも通用する選手がいることにはいるのはわかった。だが…わざわざリクルートする程ではないな』
ドノバン『と言うと?』
カニンガム『アジア人なんぞリクルートしてもせいぜいNBAではロールプレイヤーにしかなっておらん。オールスター経験者も中国人センターが1人だけだ。その選手1人で試合会場を満員にできるような本物のスーパースターは産まれていない。いや…産まれないだろう』
第1Q 残り2:08
博多第一 19
豊誠学園 15
オフェンスが良く最初こそ勢いに乗った豊誠学園だったが、ディフェンスでは博多第一に攻め込まれた。
ビッ!
スパァッ!!
博多第一の1年生、上杉がプルアップジャンパーを沈める。
神崎玲太(リーチがとにかく長い上にその最高点に近い位置で打ってくるからブロックがそもそも届かない…いやその前に…センター程もある身長で動きのキレが一流ガード…星垓の北条にも匹敵するかもしれん)
バス!!!
インサイドでは田中が丸山を吹き飛ばし力強くゴール下を沈める。
丸山(力の差があり過ぎる…少々の技術ならパワーで打ち消してきやがる…このパワーは菊田でないと対抗できない…かといって俺が…あの10番のマッチアップをできるかと言うと…)
そして豊誠学園にとって更なる誤算は
ピピーッ!!
審判「オフェンスファウル!青9番!」
スコアラーの1人である間島が、博多第一のキャプテンである由崎に抑え込まれている事だった。
間島(そもそも能力は高い上に…思い通りのプレーが全然できない…!)
カニンガム『確かこの白のチームの方だが…日本人選手は全員、アンダーカテゴリの代表レベルなのだったな』
ドノバン『そう聞いてますが』
カニンガム(それ見ろ。だから言ったのだ、見る価値などないと)
ドノバン『ですが、代表の主力級の選手はほとんどこの試合にはいません。せいぜい…共に15、6歳である青の方のセンターと白の13番位です』
カニンガム『何?』
ブーッ!!!!
試合終了
博多第一 88
豊誠学園 71
結局、九州王者の博多第一が豊誠学園を寄り切る。
豊誠学園は菊田が20得点13リバウンド、古沢がスリーポイント5本を含む28得点を残すも博多第一の総合力に屈する。
博多第一の上杉は神崎玲太を相手取り37得点。
パワーこそ不足しているものの、その得点能力は日本中の度肝を抜いた。
続いて、第2シードの愛和工業大附属に愛媛の柴田が挑むこの日の第4試合。
カニンガム『あれは…?』
カニンガムの目線の先には、赤いユニフォームの14番・武田。
ドノバン『あの選手がU-16の主力級の1人だそうです』
カニンガム『ふむ…』
(ドリブルやシュートのアップでもわかる。確かにこの選手がこのチームで1番センスがある。それにサウスポーか。身長こそ6フィート2、3インチ(188~191㎝)程だが…)
柴田 スターティング(ユニフォーム白)
12 藤川 陸 1年 172㎝
4 越野 大司 3年 180㎝
8 根元 哲史 2年 184㎝
5 菊池 隆之介 3年 191㎝
11 本田 虎太郎 2年 196㎝
愛和工業大学附属 スターティング(ユニフォーム赤)
9 市河 李太郎 2年 179㎝
4 羽田 勝美 3年 186㎝
14 武田 悟史 1年 191㎝
5 朝岡 敏弥 3年 194㎝
8 山口 啓太 3年 197㎝
カニンガム『平均より大きいとはいえ…どちらも大型チームではないな』
ドノバン『ええ。ですが日本の友人の話だと「その分面白い物も見れる」との事ですよ』
カニンガム『ほう…』
バチッ!!
レフェリーがボールをトスし、ボールは愛和・市河が抑える。
ビッ!
市河、間髪入れずパス。
そこには、いち早く走っていた武田。
ダム!!!
柴田がディフェンスを整える時間もなく、武田はドリブルでゴールへ突進。
武田「食らえ…!!!」
ドッッッガァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!
開始4秒。
武田の強烈なワンハンドダンクで愛和が先制。
ドノバン『なんと…!』
カニンガム『開始早々で狙ってきたか』
(派手なダンクに目が行きがちだが…ディフェンスにマークされていなかった訳ではなく、踏み切るまでにコースも途中で変更していた。それでもディフェンスの間を一瞬で駆け抜けるスピード、体勢がやや崩れてもダンクに行ける跳躍力とボディバランス…)
カニンガム、ニヤリとする。
カニンガム『なるほど…確かに面白い』
そして、カニンガムの興味を引いたのはそれだけではなかった。
スパァッ!!
「来たー!!!!!」
「エースガード・藤川のスリーポイント!!」
藤川、前半だけで5本もの長距離砲を炸裂させる。
武田のダンクを皮切りに5人がバランスよく高確率で得点する愛和に対し、柴田は藤川が時にアシストで、時に自ら打開して対抗。
ブーッ!
前半終了
県立柴田 48
愛和工業大附属 50
ハイスコアで前半が終わる。
ドノバン『トランジションが早かっただけに見応えがあるゲームでしたね』
カニンガム『うむ…この赤のチームがやっている事は本来、格上を相手にしている時かつサイズで劣っているチームがやる事だ…それを優勝候補でサイズも決して劣っていないチームがやってくるか…』
ドノバン『白の12番…ポイントカードの選手も凄かったですね。クイックリリースのシュートもさることながらドライブで切れ込み、自分よりサイズのある選手達をかわして上手く決め続けていましたから』
藤川陸、ここまでで既に22得点。
うち、スリーポイントが6本で18点。
その驚異的なシュート力で愛和の守備をきりきり舞いさせていた。
カニンガム『あれでフィジカルがあったらと思うと恐ろしい選手だ。だが…NCAAやNBAのスカウトにはあれでも懐疑的な目を向けられるだろうな。それに…』
ドノバン『それに…?』
カニンガム『この試合は、赤のチームが勝つ』
ドノバン『一体何故…』
カニンガム『あの白の12番は確かにスペシャルな選手だ。あれ程のシューターかつスコアラーを止めるにはディフェンスでスイッチを頻繁に繰り返し、常にディフェンスのプレッシャーがかかるようなディフェンスをしなくちゃならない。
そして赤のチームは、それができるだけのオールラウンドな選手が5人コートにいる』
カニンガムが予想した通り、第3Qはディフェンスで愛和が仕掛ける。
キュキュッ!!
藤川がスクリーンを使いシュートを打とうとしてもスイッチしたディフェンスがきっちりマーク。
スクリーンからドライブで切れ込んでも結果は同じ。
インサイドのプレイヤーが藤川にきっちり着いて行き、藤川のマークマンがスクリーナーをマークし合わせのプレーも起こさせない。
このプレッシャーは藤川のゲームコントロールの歯車を徐々に狂わせる。
藤川(なかなかいい形でシュートが打てない…それにいい形で合わせられないからオフェンスのリズムが良くないな…)
それを打開しようと越野、根元、菊池といった所が個人技を仕掛けるも…
ドゴォッ!!
「武田のブロックだああ!!!」
「根元のレイアップをボードに叩きつけた!!!」
「すげえ守備力!まるで星垓の北条だ!!!」
カニンガム『それではいかんなぁ…個人技で打開するのは良い手ではあるが…あの14番相手では分が悪い』
それでも1桁の点差で食らいついていた柴田だが…第4Qに入り、攻守で無尽蔵に動く愛和を前についにメンバーの足が止まり始め…
ブーッ!!!
試合終了
県立柴田 83
愛和工業大附属 95
藤川が試合最多の36得点をあげるも及ばず、愛和が夏、秋に続きベスト4入り。
『遅れてすみません』
カニンガム『ん?』
ドノバン『ああ、ミスターハセガワ。この観客の中よく我々を見つけられましたね。カニンガム監督、こちらのミスターハセガワは
先程話していた私の日本の友人です』
長谷川『タツヤ・ハセガワです。お見知り置きを』
カニンガム『ああ、よろしく』
長谷川とカニンガムは握手を交わす。
ドノバン『彼は元オールジャパンの選手で、今は引退し代表の監督業に就いているのですよ』
カニンガム『なるほど…どうりでドノバンが日本の高校生の選手に詳しい訳だ。では早速ミスターハセガワに聞きたいのだが、我々が日本まで呼ばれたという事は…リクルートするに足る選手が日本にいるという事かね?』
長谷川『ええもちろん。この次の試合に出る選手なのですがね、まだ16歳ですが…日本の…いや、アジアのバスケットボールの歴史開闢以来の怪物になる可能性を秘めた選手です』
カニンガム『ほう…?』
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