BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第4章 集大成・ウィンターカップ

第226話 新たな戦術と弱点

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チーム メンバープロフィール

筒井つつい 辰也たつや

北陵高等学校3年
194㎝88kg

誕生日:3/1

血液型:A

特徴:坊主頭に色黒な肌が特徴。色黒なのは母方の祖父が黒人だから。
恵まれた体格と脚力を持ち、中学時はパワーフォワードだったが平均身長の高い北陵ではスモールフォワードとしてプレーしており、フォワードの両ポジションプレーできる2ウェイプレイヤー。弱点としては、外のシュートはやや苦手。
卒業後は関東1部、日本にっぽん大学への進学が決まっている。

特技:タイピング早打ち

趣味:ネトゲ

得意教科:数学、物理、英語

苦手教科:古典

得意なプレイ:ドライブ、ディフェンス、リバウンド

バスケを始めたきっかけ:小5の時にミニバスに入団して

密かな悩み:色黒な事に関するあだ名をつけられると落ち込む



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昼休憩が終わり、間もなくハーフゲームの2試合目が開始する。










星垓 スターティング

11 中山 慎太郎  169㎝ 1年
4 新城 敦史   185㎝ 3年
9 真田 直斗   185㎝ 2年
10 北条 涼真   191㎝ 1年
7 髙木 悠介   199㎝ 3年



舟栄 スターティング

6 近藤 太一   3年 180㎝
4 岩倉 翔大   3年 187㎝
11 本庄 智洋   2年 191㎝
7 霧谷 昭哉   3年 196㎝
5 永島 隼人   3年 199㎝










佐藤(星垓は神崎に替えてガードの中山を入れてきたか…)















センターサークルでは髙木と永島がジャンプボールを構える。











ビッ!













バシィッ!!













再び互角。













だが、このボールに慎太郎がいち早く飛び込みマイボールにする。












慎太郎「こういう争いでは負けねえよ」
(俺が1番床に近いんだ)













慎太郎「走れ!」













ビッ!











慎太郎、ボールを前線に走っていた新城へ。









新城、ドリブルでウイングへ。








そこに、同じく走っていた涼真が右コーナーからウイングに向かう新城に向かい走ってくる。










涼真、そこにスクリーンをセット。










霧谷「なっ…」
(こいつがスクリーン…?)












逆サイドにはヘルプは誰もいない。












霧谷(なるほど、こうやってトランジションからスクリーンをかけてドライブさせ、イージーなゴール下を狙おうってか)











霧谷、それを阻止しようとドライブするであろうコースに入る。













ビッ!










新城、ドライブの構えからパス。










スクリーンをセットした涼真がそこからロールし、ボールを受ける。










この動きにより、逆サイドにヘルプのいない涼真はゴールへドライブ。









霧谷、近藤も不利なポジションにおり追う形に。











ドッガァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!!












涼真のダンクが決まり、星垓が先制。













霧谷「チッ…髙木以外でもスクリーンのプレーを使ってきやがるか」











岩倉「今までだと、星垓は髙木が8割がたスクリーナーになってピックしてきてたからな…」










近藤「俺たちは俺たちのオフェンスをするぞ!1本だ!」












近藤がボールを運ぶ。







キュッ!!






近藤、右ウイングにボールを運ぼうとするが慎太郎が強くプレッシャーをかけ、左へ左へと押し出そうとする。











近藤「チッ」
(流石に20分続けたら読まれたか…?)










それでもなんとか、右ウイングからポストの永島にパスを入れる。











永島には髙木がマークし、右コーナーにいる本庄は新城がマークしていたが…













キュキュッ!













新城が本庄に寄り、ダブルチーム。













慎太郎は近藤にパスをリターンさせないようにしっかりとディナイディフェンス。












永島(これじゃ勝負にいけねえ。リターンしてもディフェンスには対応されちまうし、コーナーの本庄にパスしても…新城の機動力じゃリカバリーされちまう)











だが、このままボールを持っていては5秒オーバータイムを取られてしまう為、本庄にパス。









キュッ!






新城がマーク。











その瞬間、髙木は永島の前に出てフルフロントでパスを遮る。












近藤「こっちだ!」










慎太郎「させるかよ」











近藤がパスを受けに動くも、慎太郎がディナイしてパスを出させない。








逆サイドから霧谷がハイポストに合わせる動きは、涼真に阻まれる。










ビッ!







本庄、やむなくその場で新城のチェックを受けながらタフショット。













ガン!!








バシィッ!






リバウンドは髙木。












新城「走れ!」








髙木から素早くアウトレットパスを受けた新城、自らドリブルで左ウイングへボールを運ぶ。










そこには、既にスクリーンをセットしている慎太郎。










トップには髙木が走ってきている。











ダム!!










新城、慎太郎のスクリーンでドライブ。










岩倉、慎太郎のスクリーンにつかまる。










近藤「やべ!」











近藤がヘルプに出る。









慎太郎、スクリーンからすかさずトップへ。










ビッ!










その慎太郎へ新城からパスが入る。











岩倉、慎太郎をマークしようとするも髙木が障壁となりマークにいかれない。













ビッ!













慎太郎、スリーポイントシュート。














スパァッ!!!!












星垓メンバー「「「よーし!!!」」」














続く舟栄のポゼッションでも同じ。










星垓メンバーはプレッシャーをかけてボールを回りづらくする。










その後のオフボールの動きもバンプ(身体を当てて進路を妨害すること。やりすぎるとファウルになるがディフェンスにおいて必要な技術の1つ)で制限し、先程までのようにパス回しをさせず














結果として舟栄は、個々の1対1でしか点が取れないでいた。












ブーッ!!!









前半終了

星垓     28
舟栄     18











近藤「あー畜生!上手くいかねえ」









岩倉「的確にトライアングルに対応したディフェンスをしてきたな…」









永島「オフェンスはそうとしても…ディフェンスはどうなんだ?星垓の新しいパターンにまだ対応できてねえ。なんなんだありゃ」











霧谷「わからんが…俺の思う通りなら」










近藤「…なら?」










霧谷「仮に全容を知ったとしても…完全に止めきる事は難しいかもしれねえな。まあそれは俺たちの練度がまだまだなだけでトライアングルオフェンスも同じだがな」









永島「どういう事だよ」










霧谷「俺が見てて思ったのは、星垓のやってるオフェンスは、ボールハンドラー…つまり新城や中山のようにバスケットIQが高くて判断力の優れた、且つ1対1の能力も高いプレイヤーにプレーの選択権を与えるものだと思う」








霧谷、作戦板を取り出し説明する。









霧谷「まず狙ってくるのは…ボールハンドラーの…レイアップやダンク。けどスクリーンで引っ掛けただけじゃスイッチでカバーされるから狙える訳がない。そこでスクリーナーはトップに移動して…トップのセンターを壁に使ってディフェンスをかわし…スリーを打つ」










岩倉「で、レイアップとスリーに意識が行ってディフェンスの位置取りが悪くなれば…スクリーナーはロールしてピックアンドロールでゴール下を狙える訳か」









近藤「あるいは、全部キャンセルして逆サイドから来たプレイヤーとピックアンドロール、ってパターンもあったな」










霧谷「そう。で、ボールハンドラーがその場の状況で選択肢を瞬時に決めるから…ディフェンスはほぼ必ず後手に回る。だから完全に止めきるのは難しいんだ」









岩倉「ボールハンドラーは新城、中山、北条…もしかしたらあの1年の日向もやれるか?」











近藤「何か弱点はないのか…?」











霧谷「あるにはあるが…」











永島「あんのかよ!?なら早く言えよ」











霧谷「まあ待て。とりあえず話を聞け。
まずはあのオフェンスだが、バックコートからフロントコートにボールを運ぶ場面でしか使って来ない。だから…例えばピックの場面で厳しいダブルチームに持ち込むなり止めるやり方はある。言うならばトランジションの中でしか使えないんだろう、練習不足か何かで」








永島「そういやエンドラインでのスローインの時は普通にスペインピックに来たな」








霧谷「ああ。だが…ボールハンドラーは星垓には1人じゃない。3人いる。その状況でダブルチームが効くと思うか?」










近藤「確かに…他のハンドラーで仕掛けられて終わりだな」










霧谷「だからもう1つの方法で行くしかない」


















-星垓ベンチ-











唐沢「前半はなかなかの出来でした」










新城「先生の言ってた通りでしたからね…」















-昼休憩-







唐沢「トライアングルオフェンスといえど万能ではない。長所はもちろん大きいですが、弱点も0ではない。次の20分でその弱点を狙っていきましょう」











唐沢、作戦板を取り出す。











唐沢「まずはトライアングルオフェンスのおさらいから。
ウイングにはガードでパス能力に優れた近藤君、右ローポストにはセンターの永島君、右コーナーにはスコアラーの本庄君、トップにはバランサーの岩倉君、逆サイドの広いスペースにはエースの霧谷君」










唐沢、マグネットを並べていく。








唐沢「トライアングルオフェンスのパスは、必ずウイングからパスが出る。そこからローポストへの展開を最初に狙う。1対1を仕掛けるにもパスにも絶好の場所だからです。
だからここには強力なプレイヤーが配置される事が多い」









涼真「なら、霧谷さんの方がいいのでは?」









唐沢「霧谷君の得意なエリアではないからですね。
彼はハイポストやコーナーから仕掛けるのが得意な反面、パワーに加えてスピードを活かした攻撃をするのである程度のスペースがないと1対1の威力が発揮できない。
なのでローポストからのパワープレーはあまりしてこない」










髙木「だから、ローポストアタックに長けた永島を配置すると」











唐沢「そして、右コーナーへのパスが第2のオプション。そこから本庄君が仕掛ける事もあり、またはボールサイドカット、インサイドの永島君のとのピックアンドロールというパターンもありそうですね」










中澤「霧谷は第2オプションですらないんですか?」










矢島「コーナーからのオフェンスは得意なはずじゃ…」












唐沢「コーナーは確かに霧谷君の得意なエリアですが、コーナーは攻めやすい反面、ディフェンスからしても狭いので守りやすい。
最悪、パスを受けて即シュートという動きも求められます。霧谷君も外は打てますが…シュータータイプではない。本庄君が適任でしょう」









涼真(確かにな…俺も右コーナーからの外は苦手だったからよくわかる)











唐沢「そしてトップの岩倉君が第3オプション。そして逆サイドの霧谷君が第4オプション。霧谷君を逆サイドにした理由は、言わずもがな広いスペースを確保する為です」











慎太郎(改めて膨大なオフェンスパターンがある事がわかる…これをどう止めるんだ?)












唐沢「このようにウイング、ポスト、コーナーの3角形がメインで使われる事からトライアングルオフェンスという名前なんです。
さて、おさらいはこれで終わり。では質問。これだけ膨大なオフェンスパターンがあればディフェンスは的を絞るのが困難だ。それでも採用するチームは少ない。これには戦術理解度が高くないと機能しないからです。が、他にも弱点があるからです。何だと思いますか?」










真田(弱点…?)











涼真「はい」












涼真が手を挙げる。













機能すれば強力なオフェンスである、トライアングルオフェンスの弱点とは…

















……To be continued
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