BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第4章 集大成・ウィンターカップ

第192話 東裁大相模 バスケットボール部

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チーム メンバープロフィール

渡邉わたなべ 芳樹よしき

東裁大相模高等学校3年
179㎝68kg

誕生日:1/6

血液型:A

特徴:髪が頭頂で立っている他は特に特徴もない髪型。チームには今野や椿、北田といった優れたガードが多く、自らは得点力不足の為控えに甘んじているが率先して声を出しベンチからチームを支える。相模の選手だけあって鍛え上げたディフェンス力はかなりのもの。ムードをよくしようと時折ギャグを飛ばすがチームメイトにはよくスルーされている。
卒業後は自動車工場への就職が決まっている。

特技:面白い(と本人は思っている)ギャグ

趣味:散歩

得意教科:生物、古典、現代文

苦手教科:英語、数学

得意なプレイ:ディフェンス、アシスト

バスケを始めたきっかけ:中等部の時に勧誘されて

密かな悩み:ギャグに反応してもらえない



-----------------------------















ブーッ!!











タイムアウトがあける。










星垓

11 中山 慎太郎  169㎝ 1年
9 真田 直斗   184㎝ 2年
4 新城 敦史   185㎝ 3年
8 神崎 健太   191㎝ 2年
7 髙木 悠介   199㎝ 3年



東裁大相模

11 今野 正志   176㎝ 2年
5 北田 剛毅   181㎝ 3年
4 阿部 理人   186㎝ 3年
8 村越 悠聖   188㎝ 3年
15 梅村 聡紀   198㎝ 1年









相模は椿に替えて、3年の北田を投入。
シュート力は椿より落ちるものの、経験と安定感を強化。







中嶋「おそらくは星垓のマッチアップゾーン対策にボール回しを円滑にし、攻撃を再び活性化させるのが第1でしょう。負けてる以上、点を取らないと勝てませんから」















ビッ










相模ボールからスタート。










今野がボールを運ぶ。














キュキュッ!!











慎太郎、今野の進路を塞いだり、積極的に手を出してドリブルやパスを限定する。












北田「今野!よこせ!」











ビッ!











ボールは今野から北田へ。











北田「1本!」











北田がボールコントロール。












涼真「なるほど、北田さんを入れたのはこのためか。ガードが2人いれば安定感は増すし、どちらかが潰されても、もう1人がコントロールできる」













北田、村越のスクリーンを使い、フリーに。









ディフェンスが出てきた所をインサイドの梅村にパス。













梅村「…」













また負けるのか…?










先輩達と全国に行きたいなんて言っておいて…こんなとこで終わるのか…?










ダメだ…そんなのダメだ











嫌だ…











梅村「こんなとこで…負けたくねえ!」













ダム!!!!!












梅村、渾身のパワードリブル。












髙木「ぐおっ…!?」









パワーに対応する体勢になってた髙木、きちんと対応したにも関わらず押し込まれる。












梅村「おおおおおおおおおおっっ!!!!!!!!!」















ドッガァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!














髙木「ぐはぁっ…」











髙木、耐え切れずエンドライン付近まで吹き飛ばされる。












梅村、ボースハンドダンク。









第4Q 残り4:18

星垓      84
東裁大相模   78











涼真「おいおい…」
(あいつ…追い詰められてゾーンにでも入りやがったか…?
さっきまで得意のボースハンドダンクじゃなくて、ワンハンドでしかダンクに行けない程疲れてたのに…)














梅村「ディフェンス!!」











梅村、自ら声を出す。











真田「はやっ!」
(もう自陣までディフェンスに戻ってやがる…!)












新城「大丈夫か?髙木?」









髙木「ああ」








新城、髙木を助け起こす。









髙木「やけに気持ちのこもったダンクだったな」











新城「ああ。だが勝ちたい気持ちなら…俺達も負けちゃいねえぜ」






慎太郎「1本!」












慎太郎、ボールを運んだ後髙木にスクリーンをかけに来るようサインを出す。










ダム!!!









慎太郎、髙木とピックアンドロール。













そしてそこに、新城も髙木にスクリーンをかける。











阿部(スペインピック!)














ビッ!










慎太郎、外の新城へのパスを選択。











今野「チッ」










慎太郎をマークしていた事で近くにいた今野、新城のアウトサイドをケア。












バチッ!








今野「!?」






新城、弾くようにボールをインサイドへ。













そこには、新城についていた阿部を背負った髙木。












ダム!












髙木、阿部を押し込みゴール下のシュート。











そこに













梅村「させるかああああ!!!!!」













梅村が跳んできた。













髙木(ああ、知ってるよ反応してたのは)












フワッ








梅村「!?」









髙木、空中で後ろにふわりとしたパス。











これにより、梅村のブロックが空を切る。












ビッ!











バス!!





そこには、パスの直後、今野の隙を突きすぐさま走り込んでいた新城。












空中でボールをキャッチし、指先で弾くティップでゴールを決める。











第4Q 残り4:18

星垓      86
東裁大相模   78










真田「っしゃあ!ナイス連携!新城さん髙木さん!」









神崎「2人も相模に負けず劣らず阿吽の呼吸っすね」












新城「お前らのお陰だっつの」






新城、2人の背中を軽く叩く。







真田と神崎は、ただ外で待機していた訳ではなかった。










新城が切れ込むのに合わせて、神崎はスクリーンで新城をフリーに。










真田はオフザボールの動きで、北田がヘルプにいかないように動いていた。











その後、相模は展開を早くし、3分間で梅村がゴール下で6得点を稼ぐも、FG成功率は決して良いとは言えなかった。















その間、相模の必死のディフェンスに苦しみながらも星垓も髙木のバスケットカウント、真田のスリーポイントで同じく6得点。














そして…
















バス!!!














「決まったああああ!!!!」













「星垓最強のホットライン!新城のパスから髙木!」















第4Q 残り1:07

星垓      94
東裁大相模   84













山下「決まりましたかね」









中嶋「はい」













残り1分、唐沢監督が奮起を求めた3年生2人の連携で勝負は決した。









そして残り1分、相模は選手交代。









星垓

11 中山 慎太郎  169㎝ 1年
9 真田 直斗   184㎝ 2年
4 新城 敦史   185㎝ 3年
8 神崎 健太   191㎝ 2年
7 髙木 悠介   199㎝ 3年



東裁大相模

7 渡邉 芳樹   179㎝ 3年
5 北田 剛毅   181㎝ 3年
4 阿部 理人   186㎝ 3年
8 村越 悠聖   188㎝ 3年
6 小林 英将   190㎝ 3年











ここまでほとんど出場のなかった3年生、渡邉と小林がコートに入る。












最後の試合の最後の瞬間をコートで。









原監督の…3年生への最後の配慮であった。
















そして…


















ブーッ!!!!


















試合終了

星垓      94
東裁大相模   84













星垓メンバー「「「っしゃあああ!!!!」」」













喜びに湧く星垓ベンチ。









コツン







コート上では、新城と髙木が拳をぶつけ合っている。













そして












グッ!!










2人とも、観客席にいる涼真に拳を突き上げる。











新城(まずは勝ったぜ、涼真)








髙木(見てな…あと1勝…必ずお前とまた全国で戦うために物にしてやる!)













グッ!











涼真も拳を突き出す。


















コートでは両チームが整列。












審判「スコア通り!礼!」










両チームメンバー「「「あざっした!!!」」」









新城「…」






阿部「…託したぜ、新城」








新城「心得た」













それだけ言って両キャプテンは握手し、別れる。














































梅村「うっ…うああああああああっ!!!!!」













梅村、人目も憚らず大声で大粒の涙を流す。















膝をつき、拳で床を叩く。













阿部、そんな梅村の肩に手を置く。












北田、村越はじめ渡邉や小林といった3年生もタオルで顔を覆い泣いている。












試合に出ていた今野、椿も歯を食いしばり必死でこらえている。



出ていない1年の岸も同じく。
















そしてコートでは次の試合、湘洋大付属と桐神学園のアップが始まっている。
















山下「まず星垓が、昨年に続いて決勝に」











中嶋「相模も勝ちたい気持ちでは負けてなかったんですけどね…ベンチワークと選手の総合力で明らかに星垓が上回っていた」
















その時












パチパチパチパチパチパチ














「ナイスゲームだったぞ!星垓!相模!!」










「星垓!決勝も頑張れよ!!!」










「負けてなかったぞ相模!前を向け!胸を張れ!!お前らは強かった!!!」












観客席から拍手と共に声援が送られる。











阿部「…」









阿部、涙をふく。











阿部「整列!!!!」












阿部、主将として最後の仕事。










選手をコートサイドに整列させる。














阿部「気をつけ!!!応援!ありがとうございました!!!!」









相模メンバー「「「ありがとうございましたっ!!!!!」」」














堂々と頭を下げる相模メンバーに、惜しみない拍手が送られる。


























-試合後-










誰もいない通路で梅村は1人、タオルを被り黄昏ている。












梅村(終わっちまった…先輩達との全国の夢が…今年の東裁大相模のバスケが…)













思い出されるのは、自分がやられたプレーばかり。











幾度となくゴール下で星垓の攻撃を跳ね返し、インサイドを蹂躙した記憶は、もうない。












そこに歩み寄る、1人の人影。













阿部「なんだ、こんなとこにいやがったか」











梅村「…先輩」













阿部「何やってんだ、ミーティングだぞ」













梅村「…」











梅村、頭ではわかっているが立ち上がれない。
合わせる顔がなかった。
















ガシッ!!!












阿部、梅村の肩を掴む。











阿部「しゃんとしろ!梅村!」










梅村「!?」











阿部が突然出した大声に驚く梅村。












阿部「お前がいたからうちの売りであるディフェンスは崩壊しなかったんだぞ!神奈川でも屈指の…いや、全国でも指折りのセンターがいたからうちは神奈川の強豪でいられたんだ!
…確かに今日、俺達は負けちまった。俺達3年はもうチームにはいられない。
でもお前は来年以降もある!だから今日の悔しさを絶対に忘れるな!来年以降お前がやらなきゃ相模は勝てねえんだ!」











梅村、その顔を見てはっとする。












阿部は、静かに泣いていた。








阿部は、泣きながらも梅村を奮い立たせようとしていた。












阿部「お前が俺達のために死ぬ気で練習も、試合も身体張ってくれてたのなんて…みんな知ってるよ
そんなお前に俺達が残せるものは…俺達の果たせなかった夢だ」










梅村「…阿部先輩…」











梅村も泣き出す。












阿部「お前はこれからも、俺達がいなくなってもインサイドで君臨しろ。それこそが…俺達に対するはなむけだ」









梅村「…はい!」












阿部「さ、ミーティングだ」








阿部、梅村を立たせて控え室へ。














そして東裁大相模、現行チームでの最後のミーティング。












原「お前達はよく戦った。全国ベスト4のチームを相手に1歩も引かなかった。本当に強いチームだった」










相模メンバー「「「……」」」












原「全国まで戦えなくなったのは残念だが…最後まで戦う姿勢を見せてくれたお前達を…俺は誇りに思う。特に3年生は最後の大会、集大成に素晴らしいプレーを見せてくれた。本当にありがとう、お疲れ様」












阿部「…全員起立!!!」








阿部の号令で全員立ち上がる。










阿部「原先生!ありがとうございました!」









相模メンバー「「「ありがとうございました!!!」」」






















そして、選手だけのミーティング。
















阿部「まずは1、2年生。俺達はこれで引退になる。下級生の支えがあったから俺達は最後、ここまで戦えた。感謝してる」












下級生「「「はい!」」」













梅村「ぐすっ…」











梅村は涙が先程から全く止まっていない。












阿部「来週から新チームになる訳だが…3年生の満場一致で今野を新キャプテン、豊橋を新副キャプテンに指名する」












今野「…はい!」








豊橋「わかりました」













阿部「全国の夢は、来年以降のお前達に託す。俺達はこれから受験なり、新しい戦いが始まる。お前達も下を向いてる暇はないぞ?全国への戦いは今、この瞬間から始まってる。そう思え」










下級生「「「はい!」」」















阿部「それじゃ、3年だけで積もる話があるから。お前らは試合見にいけよ。そこから何か吸収しな」









阿部、下級生のみ解散させる。













残ったのは、3年生の5人。











小林「…終わっちまったな」









渡邉「ったく、こんな状況じゃ普段キレッキレのギャグも1つも出てきやしねえ」









北田(いや、キレてないし)














村越「6年間一緒にバスケしてきたお前らとも…これでバラバラか」











阿部「俺と村越は内部進学での東裁大で一緒だけど…」












北田「小林と渡邉は就職、俺はこれから受験だしな」










小林「へぇ…北田どこ狙ってんの?」











北田「二橋ふたつばし大学」









渡邉「マジ?難関校じゃん」










北田「まあ、関東3部だけどバスケは続けるつもりだよ。受かればだけど」











村越「大丈夫、お前の頭なら楽勝だろ」










渡邉「阿部と村越は関東1部…それも超強豪に入るわけね」









小林「卒業までに一軍入りしなかったら俺ら全員に何か奢れよ」












阿部「はあ?」











村越「絶対やだわ…絶対メンバー入りしてやるし…」












北田「はははっ、4年後が楽しみだな」



















東裁大相模、神奈川県大会準決勝敗退。














阿部 理人、北田 剛毅、村越 悠聖、小林 英将、渡邉 芳樹









引退。




























……To be continued
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