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第4章 集大成・ウィンターカップ
第191話 名将・唐沢監督
しおりを挟むチーム メンバープロフィール
小林 英将
東裁大相模高等学校3年
190㎝83kg
誕生日:9/2
血液型:O
特徴:切れ長の目と坊主頭が特徴。その見た目から畏怖されがちだが実はわりと小心者。
中等部からバスケを始め、出場の描写は少ないがチームでは梅村のバックアップセンターを務める。梅村をも凌ぐパワーもあり東裁大相模の選手らしくディフェンスも得意だがオフェンス面や身体能力では梅村と比べるべくもない為控えに甘んじている。が、梅村も小林が控えているからこそ思い切りプレーできている。
大学には進学せず、就職する事が決まっている。
特技:リンゴ潰し(握力85kg)
趣味:プラモデル作り
得意教科:英語
苦手教科:古典
得意なプレイ:ディフェンス、スクリーン、リバウンド
バスケを始めたきっかけ:中等部の時に勧誘されて
密かな悩み:見た目のせいで誰も話しかけてくれない
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審判「ワンショット!」
髙木、フリースローを構える。
ビッ!
スパッ!
星垓メンバー「「「よーし!!!」」」
髙木、3点プレーを完成。
第4Q 残り5:18
星垓 79
東裁大相模 76
今野「1本!」
相模のオフェンス。
今野がボールを運ぶ。
眼前には慎太郎。
今野のドリブルに対して積極的に手を出し、今野の動きを制限する。
今野「くっ…」
(知ってたが厄介な野郎だ…)
慎太郎(休憩貰って体力有り余ってるからな。最後までしつこく行くぜ!)
今野、慎太郎のディフェンスに苦戦しパスコースを探すも、他の4人がパスコースを完全に消している。
阿部(今野には11番がベッタリついているが…他はパスコースを消しつつゾーンを敷いている…!ここでマッチアップゾーン…!)
相模はパスを回すにも苦労する。
バシィッ!
インサイド、梅村がボールを持つ。
キュキュッ!!!
髙木だけでなく真田、神崎も梅村を取り囲む。
梅村(ダメだ…シュートには入れない…)
だが囲んでいる3人がパスコース、視線を塞ぐ。
ピピーッ!!!
審判「3秒!オーバータイム!」
※3秒オーバータイム
オフェンスは、ゴール付近の正方形、通称「ペイントエリア」にはボールを持っていてもいなくても3秒以上留まる事は許されない。
強力なインサイドプレイヤーがゴール下に長く留まるのを防ぐ為のルール。
星垓メンバー「「「よーし!!グッディ!」」」
中澤「いいぞ!よく守った!」
矢島「次のオフェンス大事だぞ!大事に!」
阿部「チッ」
(こりゃ流れが星垓に行っちまったか…?)
ビッ
慎太郎のスローインから新城がボールを運ぶ。
満月「あれ?新城先輩がボール運ぶの?」
美保「いつもは慎太郎君の役目なのに…」
涼真「今オフェンスで当たってるのは新城さんと髙木さんの3年コンビだからな。ボールを長く保持させて乗らせたいんだろうな」
新城、トップで慎太郎に手渡しでパス。
新城、コーナーの真田にスクリーン。
これを受けて真田がウイングに上がってくる。
今野(させるか…!)
今野、真田へのパスコースに手を伸ばす。
ダム!!!
慎太郎、パスフェイクからドライブ。
いつの間にかそこには、髙木がスクリーンをかけに来ていた。
パスコースに手を出していた今野、反応が遅れ完全に抜かれる。
梅村、ピックアンドロールで髙木をマークするか慎太郎をケアするか判断に迷う。
ビッ
慎太郎、パスフェイク。
梅村「!」
これにより梅村は髙木のケアを優先。
慎太郎、ミドルシュートを構える。
椿「簡単に打たせるか…!」
遅れていた今野に加えて椿も慎太郎を潰そうとディフェンスが収縮する。
だが、慎太郎はシュートに跳んでいない。
慎太郎、真田に向かいパスの構え。
阿部「まずい…!」
空いた真田に向かって阿部が走る。
クッ…
阿部「!?」
慎太郎、このパスもまたフェイク。
ビッ!
慎太郎、今度こそパス。
慎太郎「残念でした!」
ゾク…
涼真「マジかよ…」
(1人でディフェンス4人引っ掛けやがった!)
そしてそのパスは…
新城「ナイス!」
(いいパスな上にちゃんとインサイドアウト!)
※外のシュートはインサイドから外にパスを出すと非常に打ちやすい
スリーポイントライン1歩外、阿部がマークを外した事でノーマークになった新城へ。
ビッ!
新城、スリーポイントシュート。
スパァッッ!!!!!
星垓メンバー「「「きたあああああ!!!!」」」
「ここぞの1発!新城!!!」
第4Q 残り4:43
星垓 82
東裁大相模 76
阿部「まだだ!1本返すぞ!」
阿部がリスタートのパス。
今野が受け取る。
今野「いっぽ…」
バシィッ!!!
今野「!?」
今野がドリブルを突こうとした瞬間、ボールが弾かれた。
犯人はこの男。
慎太郎「焦って周りを見ないと、そうなる」
春香「慎ちゃん!ナイス!」
美保「さ、流石!」
ルーズボールは、またしてもスリーポイントライン1本外で新城が拾う。
しかも、ノーマーク。
梅村「おおおおおおおお!!!!」
1番近くにいた梅村、必死でシュートチェック。
ビッ!
新城、シュートの体勢からゴール下に矢のようなパス。
そこには、髙木が走り込んでいた。
中澤「行けえええええ!!!!」
ドッガァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!
髙木、ゴールが壊れんばかりのボースハンドダンク。
ブーッ!!!!
オフィシャル「タイムアウト!青!!」
東裁大相模、タイムアウト。
第4Q 残り4:39
星垓 84
東裁大相模 76
星垓メンバー「「「よーし!!!!」」」
ベンチに座っているメンバーは誰もいない。
全員で盛り上がっている。
唐沢監督、そんな選手達をまずはベンチに座らせる。
唐沢「はい、ここまではほぼ予定通り。残り5分を切って8点リード。リードして流れを持ってきたとはいえ安全圏とは言えません。この残り時間でこの点差などあってないようなもの。ここから1ゴールでも多く奪った方の勝ちです」
一同「「「はい!!」」」
慎太郎(まあ、言ってることは当たり前の事だけど…)
唐沢「中山君」
慎太郎「は、はい?」
(やべ…まさか先生、人の心でも読めるのか?)
唐沢「君の役割はゲームメイクの他にディフェンスです。マッチアップゾーンでボールハンドラーをマークする事になる君には、最後の最後までディフェンスを頑張って貰います。
具体的には、ゲームメイクをする今野君にピッタリマークし、彼の思うようなゲームメイクをさせないこと。君がサボったら作戦が瓦解するので肝に銘じるように」
慎太郎「は、はい」
(やべえ…監督怖い…)
震え声の慎太郎。
唐沢「神崎君は視野の広さとディフェンス力を活かすこと。ディフェンスの司令塔としてマッチアップゾーンの穴を埋め、失点を防ぐこと。
それと梅村君以外決してサイズが大きくない相模を相手取るにあたって、君のサイズは大きな武器になる。リバウンドやルーズボール、スクリーンなどチームメイトを活かす動きが得意な君ならいい仕事をしてくれるはずです」
神崎「はい!!!」
唐沢「真田君はボールを持ったら最大の武器であるスリーポイントをまずは狙うこと。そして相手にスリーポイントを打たせないこと。梅村君が疲れてきている今、神崎君もいるのでリバウンドは支配しやすい。外すのを恐れず君の武器を炸裂させてください」
真田「はい!」
唐沢「そして新城君、髙木君」
新城「はい、先生」
髙木「はい」
唐沢「攻撃の中心は君達2人だ。新城君のオールラウンドな得点力と髙木君の強力なインサイド。最後の冬、君達2人のより一層の奮起に期待します」
新城「はい!」
髙木「お任せを」
唐沢「そして勝つためには相手の攻撃回数を減らし、こちらの攻撃回数を増やさねばならない。攻守に限らず全員がリバウンドの意識を強く持つこと。以上です」
星垓メンバー「「「はい!!!!」」」
涼真「恐れいったな…相模に押されてるかと思いきや…唐沢監督にとってはこの展開が想定通り…どころか唐沢監督の手のひらの上だったとはな」
美保「…わかるように説明して」
涼真「まず前半。うちは徹底して梅村を外に釣り出して内外に攻めてリードしただろ?ってなると梅村をゴール下に置いておきたい相模は後半でゾーンを敷いてくる可能性が高い、と唐沢監督は考えた訳だ」
糸織里「ふむふむ」
涼真「で、星垓の攻め口を外に限定させた後、外のチェックを厳しくしてリズムを崩しにきた。反対に相模のオフェンスは6年間で培った阿吽の呼吸のセットオフェンスでいいリズムを作って、相模は逆転まで持ってきた。
でも相模にとって想定外の事があったんだよ」
佳奈絵「なになに?もぐもぐ…」
佳奈絵、おにぎり2つ目(昆布)。
華音(だからどこに隠し持ってたのよ…)
涼真「1つは、逆転するまでに第4Q半ば…試合終盤までかかっちまった事。唐沢監督がおそらく何か言ったんだろうけど、モチベーションを落とすことなく相模の流れを最小限で耐えきった」
春香「確かに…とっくに10点以上リードされてるみたいな気がしてたけど、実は大半でリードしてたのは星垓なんだよね…」
涼真「もう1つは、梅村の疲労がもうピークに来ようとしている事。梅村という強力なインサイドがいるから相模はアウトサイドもよく決まるし、内外で点が取れる。今思えば試合開始から梅村を外に釣り出して走らせる事で最初から梅村のスタミナを切れさせるのを狙ってたんだろうな。そして後半、相模にゾーンを使うように仕掛けたのもその為だ。実はマンツーマンより遥かに頭を使うし疲れるからな、ゾーンディフェンスは」
糸織里「そ、そんなとこまでのりちゃん先生は徹底してたんですか…!?」
華音「す、凄すぎやね…」
満月「で、流れが来たと同時に梅村君の動きも悪くなった。そんな時に星垓の得意なマッチアップゾーンを仕掛ける…」
涼真、腕組み。
涼真「ああ。星垓の監督は、俺達の想像以上の名将だぜ…」
ブーッ!
タイムアウトがあける。
唐沢「さあ、最後の勝負ですよ」
唐沢監督は、涼しい顔で選手をコートに送り出していた。
……To be continued
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