BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第3章 最初で最後の国体

第171話 vsヒマラヤ軍団・改

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第4Q 残り2:12

福岡    81
千葉    84









本庄のスローインから近藤がゆっくりとボールを運ぶ。










霧谷「!」




福岡のディフェンスの陣形が変わっている。












中嶋(2分ある、という考え方か…?)










近藤「ボックスワンか…」











霧谷には上杉がマンマークでベッタリと貼りつき







残りの4人はボックスのゾーンを敷いている。













霧谷(なるほど…こいつは平面の勝負なら俺にも負けてねえ。で、インサイドのパワー勝負はゾーンで封じに来たって訳か…)











霧谷の場所を封じられた千葉のオフェンスは、本庄がスリーポイントを放つも















ガン!!












リングに嫌われる。













このリバウンドは、ゾーンで中を固めた福岡が物にする。










田中「っしゃあ!」








福岡ベンチ「2分切ったぞ!」








由崎「攻めるぞ!」










田中、素早くガードの大塚に展開。












福岡が千葉の守るゴールに攻め上がる。











大塚(相手がスモールラインナップだからかノーマークができない…インサイドを使おうにも霧谷さんがいる)




















ガン!!











結果、福岡も攻めきれず田中がローポストからのシュートを外す。












試合終盤に互いのディフェンスが互いのオフェンスを上回る守り合いに。






















だが、この均衡を…
















スパッ!!












第4Q 残り1:04

福岡    83
千葉    84











「「「よーし!!!」」」





福岡ベンチ「よく決めた!上杉!!」










福岡のルーキー・上杉が決める。









本庄にチェックされタフショットになり、身体が流れながらの難しいミドルだった。














ブーッ!!!







オフィシャル「タイムアウト!千葉!」









ここで千葉、最後のタイムアウト。












千葉を率いる舟栄の佐藤監督がメンバーに指示を出す。










慎太郎「どう来ると思う?」











涼真「決まってんだろ」











涼真の目は、千葉の背番号7を見つめている。












涼真「1番強いとこで、勝負だ」

















ブーッ!!!











タイムアウトがあける。








千葉のハーフコートでのスローイン。










近藤、本庄のスクリーンを使いボールを受ける。






由崎「ディフェンス!!」
(ここを止められれば一気に流れを持ってこれる!)











ボールコントロールする近藤には、大塚が常にプレッシャーをかける。










近藤、なんとかボールをキープするも時間を大幅に消費。










千葉ベンチ「1分切ったぞ!!」











試合の残り時間も1分を切り、1/10秒表示に切り替わる。











霧谷「近藤!出せ!」










近藤「!?」









ビッ!!









近藤、考えるより早く霧谷にパス。










霧谷、右45°でボールを受ける。









霧谷、その場でドリブルを開始。







完全に自分で保持する構え。






目の前のディフェンス、上杉と対峙する。









本庄(あ、これはパスする気ないやつだ)









近藤(お前で勝負するって指示あったけど完全に予定と違うじゃねえかよ…でも…それでいい)








岩倉(こうなったら霧谷コイツと心中するしかねえだろ)








栗原(いつもはチームメイトじゃねえが…任せたぜ、霧谷)









永島(お前ならやれる…!)















そして、24秒タイマーも残り7秒







第4Q 残り47.4

福岡    83
千葉    84












ダム!!!











霧谷がドライブを仕掛ける。










上杉「よし!」
(スピードにはついていける!)












だが。















上杉「!?」










霧谷「おおおおおお!!!!!」











霧谷、身体を上杉に預けるようにして突破。
自らのパワーをドライブに上乗せするかのように力強く突進していく。












上杉「ぐ…!」










パワーに耐えきれず、堪らずコースを開けてしまう上杉。












霧谷、離陸しそのままパワーレイアップの構え。










田中「打たせるか!」











野村「何度もやらせるかよ!」











ヘルプに出てきた田中、そして違う方向から野村も2人ともブロックにドンピシャのタイミングで跳んだ。































だが…












田中「!?」












野村「!?」










2人ともブロックが空を切る。








霧谷、空中でまだボールを保持している。















霧谷、田中、野村の3人とも跳躍の最高点に達し落ち始める中

















フワッ…














霧谷、片手でボールを持ち替え、スナップをきかせてボールをフワリと浮かせる。















パスッ…!













第4Q 残り42.2

福岡    83
千葉    86














千葉メンバー「「「っしゃああああ!!!!!」」」










涼真「マジかよ…」
(あれだけの激しいパワープレイからあんな柔らかいボール捌きができるもんなのかよ…!)









ゾクッ…











傍目には速すぎて、ただドライブからタイミングをずらしたレイアップを決めたようにしか見えなかった。












だが、涼真を含めた実力者達は、その圧倒的なパワーと技術の両立に戦慄した。
















ブーッ!!!




オフィシャル「タイムアウト!福岡!!」











これで福岡も最後のタイムアウト。










中嶋「これは…今の霧谷君のプレイで勝負は決まったかもしれませんね…それ程大きなプレイでした」









山下「福岡も千葉もファウルはこのQまだ2つ…ファウルゲームも視野に入るけど回数的に厳しいかしら…」











タイムアウト後、福岡は野村の場所に霧谷を引き付けてパス、田中のインサイドか上杉、由崎の外で勝負というプランで勝負したが…










バチィッ!!!










野村「なっ…」











ポストアップした野村がまさにパスを捌こうというボールを、霧谷が野村の後ろから弾く。












そのまま千葉の速攻が始まり、福岡はファウルで止めるしかなく本庄がフリースローを得る。













スパァッ!!!









第4Q 残り29.5

福岡    83
千葉    88










本庄は2本とも決め、点差は5点に。
















スパッ!!






第4Q 残り12.0

福岡    85
千葉    88






それでも追いすがる福岡は、残り12秒に由崎が意地のミドルを決める。













そこからファウルゲームを仕掛け、千葉の栗原から近藤へのパスミスを誘発し、同点のスリーを由崎が狙うも…





























ガン!!!!











第4Q 残り0.9

福岡    85
千葉    88











これが外れる。

















ブーッ!!!!














リバウンドを争っているうちに、試合終了のブザーが鳴った。

















霧谷「っしゃあああああああ!!!!!」












霧谷、その場で叫びながらガッツポーズ。









千葉が歓喜の輪を作る。














男子ベスト4の2つ目は、千葉に決まった。







試合終了

福岡    85
千葉    88

















そして第3試合、女子の試合前のアップになり、神奈川男子も第4試合に備えてアップへと向かうことに。











近藤「あ、神奈川だ」









新城「お…」










神奈川勢、千葉メンバーと遭遇。














髙木「見てたよ、流石だったな霧谷」








霧谷「そりゃあ何度も負けっぱなしではいられねえからな」







そして霧谷は、涼真へと絡む。









霧谷「おい北条、必ず決勝まで来いよ?高松にも勝たなきゃいけねえが、お前に勝たなきゃ日本一になった気がしねえからな」










涼真「残念ですけどその時は…俺も負けられないんで」













そして霧谷、涼真の脇にいた選手に目をとめる。








霧谷「ん…お前…」










櫻田「…どうも」











霧谷「お前、関東大会の初っ端でやった桐神?だっけ?のやつだろ?」







櫻田「…覚えてたんすか」




櫻田、少し驚く。










霧谷「当たり前だ。主力が怪我で離脱した状況でも勝つ気で向かってくるような、闘争心のある面白えプレイヤーがいたら顔くらい覚えるっての。で、名前なんだっけ?さ…さ…」






櫻田「櫻田っす」









霧谷「そうそう!」











霧谷、涼真に向き直る。









霧谷「お前と櫻田、両方と決勝でやり合えたら最高だな」











涼真「その前にうちは今日含めてあと2試合あんすよ」














そして神奈川と千葉のメンバーは、それぞれ別れていく。





















そして…


















ブーッ!!!










第3試合 女子

Aコート
愛知 87 - 66 福岡

Bコート
静岡 68 - 70 愛媛


















いよいよ第4試合が始まる。










第4試合 男子

Aコート 宮崎  -  愛知
Bコート 神奈川  -  福井

















神奈川(ユニフォーム白色)

#4 新城 敦史 185㎝ 星垓    3年
#17 北条 涼真 190㎝ 星垓    1年
#5 徳山 勝美 193㎝ 湘洋大付属 3年
#7 髙木 悠介 199㎝ 星垓    3年
#8 中西 岳  203㎝ 湘洋大付属 3年




福井(ユニフォーム紺)※

#5 三上 直哉 184㎝ 北陵    3年
#6 堂林 和樹 190㎝ 北陵    3年
#4 筒井 辰也 194㎝ 北陵    3年
#15 伊達 裕之 213㎝ 北陵    1年
#12 太田 弘明 206㎝ 尚志    2年


※オフィシャルおよび審判は「青」で呼ぶ
















山下「神奈川はスタメンを変えて来ましたね」








中嶋「確かに櫻田君もディフェンスは悪くないとはいえ、堂林君を抑えながら攻守に…というのは辛いですからね…堂林君とマッチアップ経験のある北条君をぶつけ、パワー型の筒井、太田にはそれぞれパワーのある湘洋大付属のフロントコート陣をぶつけてきた」


(まずはこれで様子を見る、唐沢先生らしい手堅い采配だ)












高さとパワーは夏以上。
ヒマラヤ軍団・改とも言うべき福井と、神奈川オールスターの1戦














次回、ティップオフ!



















……To be continued
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