BUZZER OF YOUTH

Satoshi

文字の大きさ
上 下
144 / 268
第2章 インターハイ〜

第142話 有り得ない勝負

しおりを挟む








涼真「行くぜ!相棒!」










慎太郎「おう!」












慎太郎、ボールを運ぶ。













第1Q 残り8:59

洛阪    7
星垓    3












キュッ!





慎太郎、トップでドリブルストップ。













そこに新城が走り込み、ハンドオフでボールを受ける。











ビッ!








新城、右ウイングの慎太郎にすぐリターン。














慎太郎「涼真!」















ボールは右コーナーの涼真へ。














そして髙木が涼真にスクリーンをかけにいく。












田村「こんな狭いところでスクリーン…?」













ダム!









涼真、構わずドライブ。














田村(くっ…)








田村、髙木のスクリーンをかわせない。
















田村「スイッチ!」



















バッ!!














涼真、髙木の体を障壁に使い、フリーでジャンプシュート。


















スパッ!!












星垓メンバー「「よしよし!ナイッシュ!」」










涼真、田村を指差す。














涼真「田村さんから点を取らなきゃ意味がない」








田村「狭いところでスクリーンからピックアンドロール…と見せかけて普通にジャンプシュートかよ」





塚森「なんちゅうこすい手を…」











高松「いや、だが点を取られたのは事実だ。取り返すぞ」














第1Q 残り8:42

洛阪    7
星垓    5















洛阪、再びホーンズセット。












今度は先程と違い、エルボー付近には大谷と高松。











ダム!










塚森、右サイドへスライド。













ビッ!!











ウイングまで上がってきた笹本にパス。
















塚森「かせ!」













塚森、ハンドオフスクリーンの形で至近距離で笹本からボールを受ける。













ビッ!















塚森、鋭いパス。












エルボーで高松が大谷のスクリーンを使い、ボールサイドカットでボールを受けた。














涼真は大谷のスクリーンに行く手を阻まれている。












髙木「スイッチ!」














高松「はい、狙い通り」













ダム!!!











ダダム!!
















高松、ドリブルで髙木を翻弄。













髙木「ぐ!?」














バッ!!














高松、ユーロステップ(変則的なステップを踏むレイアップのステップ)で髙木をかわし、レイアップ。












髙木「く…」
(上手すぎる!)













バス!!














第1Q 残り8:42

洛阪    9
星垓    5















慎太郎「1本!」












リスタートパスを受け、慎太郎がボールを運ぶ。
















笹本「…」













慎太郎(この人…手の出し方と距離の取り方が上手い…こっちの選択肢をどんどん奪ってきやがる)














涼真「く…」












涼真は田村のフェイスガードに捕まっている。













スクリーンを使ってもヘルプに出るスピードが早く、その間に田村に追いつかれる。













新城「慎太郎!ボール止めすぎだ!回せ!」














慎太郎、新城にパス。












新城「いくぞ!」






塚森「吠えたって何もさせねえよ」










ダム!!










新城、左ウイングで左へドライブ。










そこには神崎がスクリーンを張っていた。











だが塚森、スライドして新城を引き続きマーク。









ダム!!











新城、すかさず右へドライブ。











神崎、そのまま振り向き引き続きスクリーン。










塚森「しつけーな!」















ガシッ!!








そこに髙木のスクリーン。











塚森、この2枚のスクリーンは流石にかわせず振り切られる。











大谷「くっ…」





大谷、ヘルプに出るのを躊躇。









大谷(ヘルプに出たら髙木にパスを通されて決められちまう…)














中澤「新城!打て!」














新城、タイマーを見る。














24秒タイマーが残り2秒。















ビッ!!












新城、ミドルシュート。











だが、塚森が追いつき厳しくシュートチェックしていた。

















ブーッ!!
















24秒タイマーと同時に宙に浮いていたこのシュートは























ガッ!!















ポスッ!

















リングの上でワンバウンド後、ゴールに吸い込まれる。












第1Q 残り8:18

洛阪    9
星垓    7

















新城「あぶねー」
(楽なシュートが全然打てねえよ)













山下「洛阪はなんというか…ボールに対する執念みたいなものが凄いですよね」










村上「それが王者たる所以だろう。練習から一切の妥協を許さず、優勝候補筆頭という立場にもあぐらをかかず、勝利へ1番飢えているチームだから勝ってきていると言える」











洛阪のオフェンス。
塚森がボールを運ぶ。














先程と同じくホーンズセットでのオフェンス。












涼真(シンプルでオーソドックスなオフェンスだけど…相当自信があるみたいだな)










だが。










ガン!











笹本のミドルがリングに弾かれた。












慎太郎「助かった…」
(完璧にノーマークで崩されてたからな)


















山下「初めてオフェンス失敗しましたね」















村上「シュートを外したのは厳密には失敗とは言わん。今のはたまたまシュートが外れたがホーンズセットから完璧に崩されていた」















かくして、試合は洛阪ペースで進んでいく。


















洛阪はホーンズセットから確実にイージーなゴール下のシュートやアウトサイドでもほぼノーマークでのシュートチャンスをクリエイトする。







無論シュートミスはあるが、ターンオーバー(ミスでシュートに行けずボールの権利を失うこと)が全くない。













対して星垓は…





















ダム…














慎太郎「くっ」
(こっちが出されたくねえところに確実に手を出して妨害してきやがる!)















新城(北陵の三上、舟栄の近藤、湘洋の平井もディフェンスは良かったが…この洛阪の2人塚森と笹本は揃いも揃ってそれ以上だ…)












ブーッ!!


















オフィシャル「タイムアウト!星垓!」

















オフェンスが単調かつ、タフなシュートが多くなっていた星垓は第1Q半分程でタイムアウト。
ターンオーバーも既に2つ犯していた。



















第1Q 残り4:49

洛阪    16
星垓    11













洛阪はタイムアウトまでに7点を3分程で積み上げた。







内訳は、高松がスクリーンで涼真を振り切り神崎を相手に決めた1対1。






塚森のドライブからのキックアウトのアシストで笹本のスリーポイント。






そして塚森のミドルシュートのミスを高松が神崎に競り勝ちタップシュートで押し込んで決めた3本である。














シュートも何本か外したが、シュートミス以外のミスらしいミスはオフェンスでは皆無だった。













対して星垓は、髙木が大谷とのゴール下での争いを制して決めた1本と、涼真が田村の厳しいチェックを避けながら打ったフェイダウェイでのミドルシュートの4点。










ノーマークで打てたシュートは洛阪とは対照的に0だった。
















-観客席-










先に決勝進出を決めた愛和工業大附属の選手もこの試合を見守る。













朝岡「点差はそれ程ないけど…ここまで内容が違うかよ」














羽田「星垓はノーマークで打ててない分、洛阪がちょっとシュートタッチがいつもより少しだけ良くないのと星垓が逆にラッキーなシュートが入ってるのに救われてる印象だな」













山口「こういうのって、タイムアウトとかクォーターの切れ目で一気に離れたりするよな。そういうのって試合の流れが1度切れるから」













羽田「うん、けどそれは星垓の唐沢監督も洛阪の吉永監督もわかってるはずだ。どっちもその為に策を用意した結果、離れも詰まりもせずにしばらく進むかもな」


















ブーッ!!















タイムアウトが明け、星垓のエンドスローから試合再開。















星垓はパスを回す。
















洛阪のディフェンスはそれに反応し、きっちりと動く。














だが。















塚森(なんだこいつら星垓?攻め気が無くないか?)















バシッ!














24秒タイマー残り12秒














ボールは、右コーナーの涼真へ。













周囲には誰もいない。



















大谷(アイソレーション…)













笹本「馬鹿なのか…?田村さんのディフェンス力を考えたらその勝負のし方だけは有り得ないだろ…」















高松「…」














タイムアウトで唐沢監督が指示したのはこれだけ。





















-北条涼真で、勝負しなさい-

















髙木(確かにここでエースが点を取れれば少なくとも洛阪とイーブン位の状態には持って行きやすい。けどそれにしたって…)


























-記者席-


村上「わかっているか北条…」






山下「何をですか?」











村上「この1対1、仮に北条が負けることがあればこの試合、そこで終わりだ」












山下「ええ!?」
(まだ第1Qですけど!?)












村上「後で説明してやる」









バッ!











バッ!












涼真、素早くジャブステップを幾度も踏む。


※ジャブステップ:踏み込むタイプのフェイント。ドライブやシュートの「1歩目」のフェイントに使われる。













田村、それぞれのステップに一瞬反応するも大きな隙は見せない。















新城(だめだ…こいつはフェイクにかからない…)




















バッ!











涼真「!」











何度目かのジャブステップの瞬間。
















涼真、重心を後ろに動かしシュート体勢に。
















田村、反応して腰が浮いてしまう。



















ダム!!!!!

















涼真、シュートフェイクからいきなり最高速での必殺のドライブ。















田村「!!!!!!!!」










シュートフェイクに反応し重心が上に上がった田村、反応出来ず為す術なく抜かれる。


















バス!!!

















涼真、静かにレイアップを決める。

















第1Q 残り4:29

洛阪    16
星垓    13















星垓メンバー「「「よぉーし!!!!!」」」















新城「…恐れ入ったぜ、全く」













髙木「ふぅ…とにかくこれで」
















涼真「なんとか首の皮一枚、繋がったかな」


























……To be continued
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

[1分読書]彼女を寝取られたので仕返しします・・・

無責任
青春
僕は武田信長。高校2年生だ。 僕には、中学1年生の時から付き合っている彼女が・・・。 隣の小学校だった上杉愛美だ。 部活中、軽い熱中症で倒れてしまった。 その時、助けてくれたのが愛美だった。 その後、夏休みに愛美から告白されて、彼氏彼女の関係に・・・。 それから、5年。 僕と愛美は、愛し合っていると思っていた。 今日、この状況を見るまでは・・・。 その愛美が、他の男と、大人の街に・・・。 そして、一時休憩の派手なホテルに入って行った。 僕はどうすれば・・・。 この作品の一部に、法令違反の部分がありますが、法令違反を推奨するものではありません。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...