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第2章 インターハイ〜
第137話 女王たる所以
しおりを挟む満月「男女とも明日は大変な相手になっちゃったね…」
ミーティング後、もはやお決まりとなりつつある1年男女バスケ部での団欒の時。
このホテルもインターハイ開幕時は他チームの選手もおりごった返していたものの、今は星垓の男女バスケ部が泊まるだけとなっている。
武蔵「女子は桃花だっけ」
優花「うん…3年の先輩達が入学してから唯一1度も勝ってない相手なんだよね」
奈津実「そもそも東海地区は桃花筆頭に毎年レベルが高すぎてやばいんだよね」
美保「確かになんか昨日みた桃花学園はレベルが違って見えたかも」
春香「まあ、意気消沈してても仕方ないしやれるだけやって勝っても負けても次の糧にするしかないでしょ!」
慎太郎「しかし…男女揃って全国ベスト4か」
小春「優秀だね、私達」
紗妃「あんたユニフォームすらもらってないでしょ」
(私もだけど)
小春「てへぺろ」
賢「でも今日の北陵相手だって大したこと出来てないのに…明日恥をかくだけだったらどうしようとか思っちまうんだよな」
翔太「じゃあお前、俺とベンチ入り代われよ」
賢「やだ」
政史「俺も出たい!」
翔太「お?今からやるか?」
慎太郎「アホ言ってんなよ、今から外出たらまた正座だぞ」
涼真「…」
涼真、黙ったまま(元々口数も多くはないが)。
慎太郎「おい、眉間に皺寄ってますけど」
涼真「ん?」
慎太郎「だってさっきから黙って怖い顔したまんま喋んねえんだもん」
涼真「いや、とうとう高校No.1プレイヤーのところまで辿り着いたな、って思って」
大樹「そうだな、完全にポジション的にお前がマークするもんな」
宗平「んで、自分は田村さんにディフェンスされる、と」
満月「田村さん…?」
慎太郎「ああ、実はね…」
慎太郎、先程のスカウティングでの内容を軽く説明する。
満月「つまり涼真君は…高校No.1プレイヤーをディフェンスして、高校No.1ディフェンダーから点を取らなきゃいけないってこと?」
優花「拷問じゃん」
涼真「まあ、どうなるのか今から楽しみだけどな。高校No.1を2人ねじ伏せるのか…それとも叩きのめされるのか」
奈津実「うわぁ、ある意味ドMだわ」
そうして、夜も遅くなり解散。
-大会5日目、男女準決勝。
試合数こそ少なくなったが、観客の入りは増える一方。
第1試合から既に立ち見もいっぱいになっている。
尚、この日まで勝ち残っているチームは金・銀・銅のいずれかのメダルが授与される事は確定(準決勝の敗者がいずれも3位として扱われる)。そして最終日の閉会式にも参加する。
電光掲示板には、第1試合の女子の試合が表示されている。
桃花学園 0
星垓 0
まずは第1試合。
関東女王・星垓が優勝候補筆頭で絶対女王の桃花に挑む。
男子は第4試合ということもあり、この試合は女子の応援のために席に座っている。
慎太郎「桃花はでけえな…インサイドなんて180代が2人じゃねえか」
武蔵「バックコートにツインシューターの3年のコンボガード2人、どこからでも点を取れるフォワードのキャプテンと2年生パワーフォワード。そしてサイズだけでも脅威な187㎝のセンターか」
大樹「星垓の女子もいいチームなんだけど…桃花と比べるとやっぱり少し見劣りするよな」
※星垓女子バスケ部のスタメン紹介
#4 高橋 千草
3年 170㎝ スモールフォワード
攻守に優れたオールラウンダー。スピードとテクニックで勝負する。
#5 松本 香音
3年 177㎝ センターフォワード
ゴール下だけでなく中距離も得意とするセンターフォワード。慎太郎からは密かに「大魔神」と渾名をつけられている。
#7 谷口 清美
3年 170㎝ ガード/フォワード
スクリーンを上手く使いスリーを量産するピュアシューター。高橋と並びチームの得点源。
#12 佐藤 奏美
2年 163㎝ ポイントカード
パス優先型のオールドスクールなポイントカード。シュートはあまり打たないがディフェンスとアシストで貢献。
#14 石井 奈津実
1年 176㎝ センターフォワード
松本と共にゴール下のツインセンターの一角を担う。フィジカルの強さでゴール下の防波堤となる。
慎太郎の(密かに)つけた渾名は『進撃の巨人』。
インサイドの身長では10㎝ほどのミスマッチが発生している。
春香「まあでも、相手だって調子悪かったりしてうちの女バスにもチャンスがあったりするんじゃない?」
美保「そうそう、逆にこっちが調子よかったりしてさ」
慎太郎「…そんな甘くねえよ」
美保「どうして?」
慎太郎「なんで桃花が『絶対女王』なんて呼ばれてるか知ってるか?」
春香「むぅ…素人の私達が知るわけないじゃない」
慎太郎「どんな奴らでも王者と戦う時は身構え、緊張するもんさ」
(俺の隣に座ってる例外を除いて)
涼真「…」
慎太郎「んで、『今回はたまたま相手の調子が悪かったり自分達の調子がよかったりしていい試合できるかも』とか逃避する訳よ」
美保「うっ…」
春香「それは…」
美保と春香、ギクリとする。
慎太郎「そういう奴らは、大前提を忘れてるのさ」
ブーッ!!
試合開始時刻になり、選手紹介などのセレモニーが始まる。
慎太郎「王者は、そんなまぐれなんてないから王者なんだって事をな」
試合は当初互角に見えたが、慎太郎の言葉通りになっていく。
第1Q終了
桃花学園 27
星垓 12
星垓は、普段2人で40~60点を稼ぐ#4・高橋と#7谷口が前半で合わせて13点と抑え込まれる。
前半終了
桃花学園 46
星垓 28
#5松本と#14石井はファウルトラブルにこそならなかったものの、インサイドでパワーでもスピードでも技術でも翻弄された。
桃花はチームのスタメンで普段1番シュートにいかないポイントカードの#12佐藤に狙ってシュートを打たせ、そのリバウンドを確実に奪い主導権を握る。
第3Q終了
桃花学園 65
星垓 40
もはや桃花の勝利はほぼ確定的。
観客の興味も次の試合に移り始めていた。
星垓関係者を除いて。
高橋「まだ終わってないのに湿気た面してんじゃないよ!そんな顔で今まで負けていって夢を託してくれた対戦相手に顔向けできる?」
松本「…そうだよね!」
奈津実「1本ずつ返しましょう!」
谷口「星垓女子は諦めの悪さが売りだもんね!」
佐藤「まずは1本!」
新城「いいな千草、まだ目は全然死んでねえ」
中澤「神奈川県内の常勝チームのキャプテンでエースだもんな」
バシッ!!
ほんの一瞬の隙を突いて高橋がボールを奪う。
高橋、そのまま1人でフロントコートに運び
ビッ!!!
スリーを放つ。
スパッ!!
「「よーし!!!」」
観客席の男子も歓声を上げる。
新城「いいぞ!千草!!!」
高橋「いえぃっ!」
新城の声援に、コート上の高橋も思わずVサイン。
慎太郎「新城さんと高橋先輩ってできてるんすか?」
平井「いや、確か保育園から一緒の幼なじみって言ってたよ?」
矢島「そうだよな。新城、彼女居るし」
「「「えええええええええええ!?」」」
1、2年全員はおろか、知らなかった中澤、小宮山も驚く。
新城「…そんな驚く事か?」
中澤「いやビビるだろ!突然そんな爆弾発言」
矢島「んじゃ、1、2年も含めて正直に…彼女いるよー?って奴どのくらいいんの?」
手を挙げたのは、3年では後は矢島だけ。
2年では三石のみ。
1年は誰も手を挙げない。
中澤「別にいいし…バスケが恋人で…」←負け惜しみ
こんなこともありつつも、大声援を受けた星垓女子は桃花学園を第4Qに押した。
積極的に声を掛け合い、ミスをカバーし合い、意地を見せた。が。
ブーッ!!!!
試合終了
桃花学園 83
星垓 71
桃花学園、5年連続の決勝進出。
同時にウィンターカップ出場が決まった。
桃花は最終盤に追い上げられたものの、女王たる所以を見せつけ決勝へ。
一方の星垓も負けはしたものの、このQだけ見れば20-31と追い詰めていた。
星垓女子、準決勝敗退。
……To be continued
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