136 / 268
第2章 インターハイ〜
第134話 シュートセレクション
しおりを挟む第4Q 残り2:25
星垓 72
北陵 79
唐沢「勝負をかけましょう」
星垓メンバー「「「はい!!」」」
唐沢「中山君、真田君、出番です」
慎太郎「はい!」
唐沢「残りの勝負のメンバーは中山君、真田君、新城君、髙木君、北条君」
星垓メンバー、誰も声を発さない。静かに聞き入る。
唐沢「中山君と新城君はゲームコントロール。髙木君はゴール下で身体を張る。
そして真田君はスリーポイントが仕事です。そのために北条君を囮に使います」
真田「ま、まさか俺のスリーが本命っすか…?」
唐沢「そうです。北条君が目立っていた中、ディフェンスは北条君に集中するでしょう。これ以上の囮はいない。
勿論シュートセレクションによっては他のメンバーが点を取ることも有り得ますが、残り時間を考えると真田君のスリーは不可欠です」
新城「だってさ真田」
髙木「大丈夫だ。お前は誰よりも練習してきただろ、スリーポイントを。
その通りに決めればいいだけだ」
涼真「切り札の出番っすよ」
真田、数秒目を閉じ、真っ直ぐ前を見て立ち上がる。
真田「やります」
唐沢「よろしい。北陵のオフェンスから始まりますが我慢ですよ。すぐ追いつきたいからと言って不用意なファウルはNGです」
星垓メンバー「「「はい!!!」」」
ブーッ!
タイムアウトが開けた。
星垓
G #11 中山 慎太郎 1年 169㎝
G #4 新城 敦史 3年 184㎝
G/F #9 真田 直斗 2年 183㎝
F #10 北条 涼真 1年 187㎝
C #7 髙木 悠介 3年 198㎝
北陵
G #5 三上 直哉 3年 184㎝
G/F #6 堂林 和樹 3年 189㎝
F #8 光山 遼太郎 2年 190㎝
F #4 筒井 辰也 3年 193㎝
C #15 伊達 裕之 1年 211㎝
山下「両チームメンバーを変えてきましたね」
村上「これが残りの勝負の5人なのだろう」
北陵のオフェンスからスタート。
アウトサイドタイプが3人になった事でボールがよく回る。
星垓のディフェンスはマンツーマン。
三上に慎太郎。
堂林に涼真。
光山に真田。
伊達に髙木。
そして、筒井に新城がついている。
山下「なんでわざわざあんなミスマッチを…」
村上「……」
三上(普通に考えるなら筒井のところが狙い目…だが)
新城、筒井に対しフルフロントでディフェンス。
堂林(北条が俺をマークしながら絶妙にヘルプにいける位置で動いてやがる…迂闊に入れたらまずいかもな)
意外にも北陵のオフェンスは攻めきれない。
ガン!!
筒井、24秒ギリギリでボールを受けシュートを打つも涼真のヘルプを意識して手元が狂う。
ガシッ!!
髙木がリバウンド。
中澤「よーし!」
ベンチもリバウンド1本に声援を送る。
あと1回でもファウルしたら後がない髙木、かつてない集中力。
結果、スクリーンアウトでのポジション取りが完璧だった。
新城「攻めるぞ!」
慎太郎がボールを運び、それを追い越すように星垓メンバーが走り出す。
慎太郎(どう真田先輩に繋ぐか…)
涼真「慎太郎!」
慎太郎「!」
慎太郎、ハイポストに走り込んだ涼真にドンピシャのパス。
新城(インサイドアウトか!)
筒井「外にパス出るぞ!シューターチェック!」
北陵が外へのパスコースを切る。
ビッ!
涼真、右手1本でパス。
自身の後方、ゴール下の髙木に。
慎太郎「!?」
髙木、ゴール下シュート。
ドゴッ!!
髙木「!?」
伊達がギリギリでブロック。
涼真(チッ、間に合うのかよ)
ピッ!
審判「青ボール!」
ボールはエンドラインを割った。
慎太郎「なんで今インサイドに出した?」
涼真「…慎太郎、お前なんか勘違いしてねえか?」
慎太郎「なんだと?」
新城「おい、ケンカしてる場合じゃ…」
涼真「違います。冷静だから言ってるんす」
そう言うと慎太郎に向き直る。
涼真「真田先輩を入れた時点でスリーを警戒してくるに決まってんだろ?それでいい形じゃないのに真田先輩にスリーを打たせるのか?そうじゃねえだろ、先生の言ってた事は」
涼真、スコアと残り時間を指差す。
第4Q 残り1:54
星垓 72
北陵 79
涼真「7点負けてるんだ、スリーに拘って得点機会を潰すのは違うだろ?そんな余裕があるのか?シュートセレクションも考えられねえコントロールじゃ何の意味もねえんだ!」
慎太郎「…そうだな、すまん」
髙木「だがどうする?24タイマー15秒でどう攻めきる?」
そこに審判が声をかけにくる。
審判「スローインまだかね?」
新城「あ、今いきます」
涼真「先輩、残り時間、俺にポイントガードやらせてくれないっすか」
新城「何?」
涼真「お願いします」
新城「…わかった、頼んだぜ」
星垓のスローイン。
エンドラインの新城からトップの涼真にボールが入る。
涼真と堂林、向かい合う。
堂林「来い、北条!」
涼真「遠慮なく」
ダム!!
涼真、小細工なしのドライブ。
堂林も並走する。
ヘルプが来てゾーンが収縮する。
ダン!!
涼真、レイアップに跳ぶ。
伊達、堂林がブロックに跳ぶ。
涼真、空中で体勢を変え髙木へパス。
その髙木へ光山がヘルプに走る。
涼真(空いた!!)
ビッ!!
涼真、その体勢から真後ろへ剛速球。
慎太郎「上手い!!」
(さっきのゴール下へのパスが布石になって外が空いた!)
そこには、完全ノーマークの真田。
ビッ!!
北陵ディフェンスが誰も追いつけない中、美しい軌道のスリーポイントが放たれる。
スパァッ!!!
第4Q 残り1:45
星垓 75
北陵 79
「っしゃあああああああ!!!!」
「来た!真田のスリー!!!」
星垓ベンチ、一斉に立ち上がる。
慎太郎(あんなこと言っといて、お前が1番スリーのお膳立て率先してしてるじゃんかよ、しかもこれ以上ないシュートセレクションでな。大した奴だぜ)
涼真「ディフェンス!」
ダン!
いち早くセーフティポジションに戻っていた涼真、地面を両手で叩き気合を入れる。
三上「1本!」
北陵メンバー、チャンスを作ろうとスクリーンを掛け合い動く。
星垓メンバー、堂林にマンマークしている涼真以外もマンツーマンだがゾーンに近い動き。
インサイドを固めていた。
ビッ!!
ボールは幾人かを経由し、ローポストの筒井へ。
背負うのは新城。
ダム!!
筒井、パワープレイ。
新城「ぐっ…」
筒井、振り向きゴール下。
新城「舐めんじゃ…ねえよ!」
新城、同時に跳ぶ。
ドゴッ!!
新城、渾身のブロック。
身長差9㎝を跳ね返す。
だが
ピーッ!!
審判「ファウル!青4番!!」
新城「何!?」
新城はボールのみを叩いた。
だが、筒井が意図的に上手く体勢を崩した為、審判からは新城が押したように見えたのだった。
筒井「助かった…」
三上「けど…」
山下「惜しかったですね…あんな誤審があるなんて」
村上「だが、フィールドゴールを決めさせなかった、という見方もできるがな」
山下「…と言うと?」
村上「フリースローで取る点も大事だが、単発であれば流れを持っていくには至らない。誤審とはいえフィールドゴールを奪わせなかったディフェンスは悪くなかった。仮に2本決めたとしてもわからんぞ、この勝負」
スパッ!
筒井はフリースローを2本とも決めた。
第4Q 残り1:27
星垓 75
北陵 81
涼真「1本!」
ビッ!!
涼真、前線へ鋭いロングパス。
その先には、誰よりも早くスタートしていた慎太郎がいた。
そもそも足の速い慎太郎である。
敵も味方も追いつけなかった。
慎太郎「うげっ!パス強すぎ!」
(イチローのレーザービームかっての!)
しかし慎太郎、難なくキャッチ。
バス!!
無人のゴールでレイアップを決める。
第4Q 残り1:23
星垓 77
北陵 81
山下「中山君、すごい速さでしたね」
村上「見逃さなかった北条も流石だな」
僅か4秒の星垓のオフェンスが終わり、北陵のオフェンス。
リードしている北陵、時間を使いながらボールを回す。
三上(残り1分を有利に戦う為にも…)
ビッ!!
いつもハイポストに構える事が多い伊達、ローポストでボールを受け髙木を背負う。
ダム!!
伊達、髙木相手にパワープレイ。
三上(インサイドの厄介な相手を追い出すか)
髙木、やはりファウルアウトを意識していつものパワーが出ていない。
みるみる押し込まれる。
中澤「髙木!がんばれ!」
矢島「お前、そんなもんじゃねえだろ!」
次回、vs北陵決着。
……To be continued
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです
珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。
それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる