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第2章 インターハイ〜
第125話 エース同士のぶつかり合い
しおりを挟む準々決勝・最終試合。
春香「いよいよだね…」
美保「今日もいつものスタメンかぁ」
奈津実「あれあれ~みほりん、誰かさんが出てないからって元気ないですなぁ」
美保「え?な、なんのことよ…」
観客席には女子バスケ部も応援している。
優花「またまた~大丈夫、身長高い相手でも中山君の出番はあるよ」
美保「なんで中山君なのよ」
紗妃「え~?最近いい仲なんじゃないの?」
美保「…もう知らない!」
美保、膨れっ面でコートに目を戻す。
優花「ちょっとやりすぎたかな」
満月「まったくもう…」
満月もコートに目を向ける。
満月(がんばって!涼真君!)
ビッ!!
レフェリーがボールを投げ上げる。
バシッ!
高さに勝る北陵・伊達がボールを弾く。
髙木(なるほど…高さじゃまるで叶わねえ)
ボールを持つのは北陵・三上。
三上「1本!」
新城「マーク確認!」
真田「4番!!」
神崎「10番!!」
髙木「15番!!」
新城「5番!!」
涼真「ふぅ…」
涼真、一息入れて目の前のプレイヤーに集中。
涼真「6番!!!」
村上「なんと!?」
(マンツーマン…しかも堂林のマークは北条だと!?北条にガードポジションのマークができるのか…?)
堂林「ふうん…お前が付いてくるのか」
涼真「よろしくです」
筒井(北条は典型的なフォワードの2ウェイプレイヤーだ。ガードポジションのマークの経験は乏しいはず…)
三上(んじゃ、遠慮なく)
バシッ!
堂林、右45度でボールを受け涼真と対峙。
ダム!!!
堂林、フェイクも無しにドライブ。
涼真「ぐ…」
涼真、1歩遅れるも反応。
ダム!!
キュッ!!
堂林、ドライブからバックステップでスリーポイントラインの外に出る。
バッ!!
そこから必殺の片足ステップバックスリー。
ビッ!!
堂林、ボールをリリース。
ブン!!!
堂林「!?」
(なんだと!?)
直後、涼真のブロックが空を切る。
涼真「ダメか…!」
(1歩間に合わねえ!)
スパァッ!!!!
第1Q 残り9:44
星垓 0
北陵 3
北陵メンバー「「きたぁああ!!」」
「ナイッシュ堂林!」
星垓サイドは消沈する。
満月「あんな片足で…スリーポイントなんて打てるの…?」
紗妃「いや打てるとは思うけど…バランス難しいから身体流れそうだし力も伝わりづらいはず…」
春香「わかっちゃいたけど…あんな速くて凄い人を涼ちゃんはマークしなきゃならないんだ…」
筒井「ナイッシュ堂林」
三上「今日もタッチいいな」
堂林「ああ」
筒井「よし!ディフェンス!」
堂林「…」
(北条…ステップバックのタイミングなんて完全に逆足になるタイミングを狙った。普通ならアンクルブレイクされてるタイミングだ。)
新城「1本!!」
堂林(いや、その前のドライブだって北条の足がほんの数センチ前に出たタイミングで抜いたから反応できたとしても3歩は遅れるはず…つまり完全に抜けてたはずだったんだ。
だが実際は1歩しか遅らせる事はできず、ステップバックもリリースがあと一瞬遅かったらブロックを食らうところだった…なんなんだあの反応の速さは?)
北陵もディフェンスはマンツーマン。
新城に堂林
真田に三上
涼真に筒井
神崎に劉
髙木に伊達
というマーク。
新城、ボールを左45度の真田へ。
新城、パスと同時に真田へ向かい走りハンドオフでボールを受ける。
新城「む…」
新城、トップに行った真田にボールを戻す。
ダム!!
真田、ボールを受けると同時にドライブし若干遅れた三上をカウンターで抜く。
そしてそこに神崎がスクリーン。
そして、スクリーンからロールする神崎に髙木が更にスクリーン。
いわゆるスペインピックの形。
真田「ちっ」
(ノーマークができねえ…スタックアウトもスペインピックも対策してきてるな)
ビッ!!
真田、右コーナーよりややウイング寄りの位置にいた涼真にパス。
ダム!!!
涼真、筒井を一瞬で抜く。
筒井「……!!」
堂林「!!!」
ヘルプに劉、伊達が出ようとするも劉を髙木が、伊達を神崎がシールしてヘルプに行かせない。
ドッガァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!
強烈なワンハンドトマホーク。
星垓メンバー「「「よーし!!!」」」
第1Q 残り9:24
星垓 2
北陵 3
筒井「くそ…」
三上「どんまい、取り返そう」
堂林(あの野郎…俺がさっき北条にやった抜き方を即パクってきやがった…あんなの一朝一夕でできるもんでもないのに)
堂林「成程…」
堂林、再びボールを受ける。
涼真、腰を落としすぎず上げすぎず。
堂林(いいなコイツ…ドライブにもシュートにも備えたいいディフェンスだ)
ダム!!!
堂林、右にドライブ。
キュッ!!
堂林、バックステップと見せかけ、ロールターンで抜きにかかる。
涼真「ぐ…」
(今までの誰よりもキレがすげぇ…)
だが、涼真もそれでも完全には抜かせない。
堂林「やるな、初見でこのスピードに反応するなんてよ」
ビッ!
堂林、インサイドへパスを通す。
髙木「あっ!?」
劉のスクリーンで一瞬フリーになった伊達にボールが入る。
ダム!
ビッ!!
伊達、ワンドリブルから得意のスカイフック。
バス!!
劉「ナイスシュート」
伊達「はい!」
髙木「くそ…高い」
(届かないうえに…届いても触れたらゴールデンディング…)
新城「切り替えるぞ髙木!」
髙木「…あっ、ああ!」
新城、堂林のマークを受けながらボールを運ぶ。
新城(なんとかボールは運べてるが…シュート打てる気もしねえしドライブで抜ける気もしねえ…走る速さやドライブの鋭さ、シュートのリリースもそうだか細かい動きの1つ1つの速さが桁違いだ…これが『スピードスター』と形容される所以なのか…)
新城、スペインピックに行こうとするも堂林がファイトオーバーしてスクリーンにかからず。
新城「く…」
髙木「なら…」
髙木、すぐに振り向きもう一度その場でスクリーン。
新城もクロスオーバーで方向転換しスペインピックを発動させようとする。
バシッ!!!
新城の持つボールが弾かれた。
堂林「それは…バレバレ」
ルーズボールを劉が拾う。
劉、ボールを前線に投げる。
三上がいち早く走っていた。
真田「しまった!」
真田が懸命に追いかけるも出遅れたせいで三上がフリースローライン程でレイアップへステップを踏もうという時、まだ真田はセンターライン付近だった。
だが。
伊達「三上さん!来てる!」
三上「!?」
すぐ後ろに猛スピードで迫る青のユニフォーム。
三上「北条か?」
(まあ、想定内だけどな)
三上、1度レイアップに行くと見せかけ、ボールを持った左手を下げる。
これにより、涼真の左手でのブロックが空を切る。
そしてクラッチを入れ、逆のゴール下に抜けバックシュート。
真田(上手え…!!)
だが。
バコォッ!!!
三上「!?」
涼真、これをブロック。
三上「なんで…?」
ブロックが1度空を切り、逆サイドから安全にバックシュートに行ったはずだった。
涼真「そのくらいやると思ってましたよ」
涼真、左手でのブロックだけでなく、空いている右手側も逆サイドのシュートをブロックしようとはじめから備えて跳んできていた。
ボールはボードに叩きつけられ、大きく跳ね返る。
そのルーズボールを真田が拾う。
新城「よし!」
真田「新城さん!」
真田、新城へパス。
バシィッ!!
このボールが奪われた。
堂林「はい油断した」
堂林、狙いすましたようにスティール。
しかもよりによって、スリーポイントラインの1歩外。
ビッ!!
堂林、スリーポイントシュート。
堂林(よし!)
決まるのを確信した次の瞬間。
バコォッ!!!
バレーボールのスパイクのように空中で起動を変えられる。
ボールはラインを割りアウトオブバウンズ。
ピピッ!
審判「北陵ボール!」
ブロックしたのは、青の背番号10。
シュートが最高点に行こうかというまさにゴールテンディングギリギリの位置のボールに触れ、弾き飛ばした。
山下「両エースが最初から凄いぶつかり合い…」
村上「ふむ…北条の奴、霧谷と2度対決してから一段と全体的にパワーアップしたような…」
(エース同士のぶつかり合いで何かが変わったか?)
堂林「やってくれるじゃねえか」
(そこからでもあの高さに届くのか…それも計算してオフェンスしねえとな)
堂林「おい筒井、三上、マーク変われ」
筒井「ん?」
三上「なんだ?」
堂林「筒井は真田、三上は新城につけ」
筒井「ってことは…」
堂林「ああ。俺が北条につく」
(霧谷がいなくて本気出すのは準決勝までお預けかと思ってたが…準々決勝でも面白い勝負ができそうだ)
……To be continued
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