BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第122話 チームのベストプレイヤー

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インターハイ、大会4日目。




この日は男女準々決勝の8試合が2コートで行われる。









会場が1つだけになったこともあり、観客は試合開始1時間前から満員状態。












第1試合

Aコート、女子の試合。











星垓女子のベスト4入りを賭けた戦い。








男子も応援しつつ観戦している。












慎太郎「あ~…クソ暑い」









人が増えた為、会場内はかなりの熱気だ。









ブーッ!!!











満月「がんばー!!!」







応援席から満月ら女子バスケ部の1年生も声援を送る。










涼真「わり、ちょっとトイレ」







慎太郎「あ、俺も行く」








新城「第1試合の途中で身体動かしに行くから早めに戻れよ」








涼真「うす」
















トイレは試合開始直前という事もありすいていた。










慎太郎「なあ、唐沢先生メンバー決めたんかな」


慎太郎、用を足しつつ話しかける。






涼真「さあ…でもそれ程強い相手だからな。策はいくらあっても足りねえよ」







そこへ入ってくる人が。















高松「ん?」







涼真「あ」






慎太郎「た、高松さん…」










高松「お、知ってんのか。お前らは…」
(SEIGAI…星垓か。今日堂林達と当たる…)








涼真「はじめまして、星垓の1年の北条です」




慎太郎「中山っす」






高松「あ~…聞いたことはあるような…昨年の全中王者なった奴らだろ?」








涼真「んじゃ、また」





用を足した涼真は去ろうとする。











高松「おい北条」










涼真「え?はい、なんすか?」










高松「今日、堂林とやるんだろ?お前マッチアップすんのか?」






涼真「いや…まだ何とも…」









高松「そうか。あいつは強えぞ」







涼真「高松さん」






高松「ん~?」







高松も用を足し終わる。









涼真「高松さんなら、北陵とやるなら高松さんが堂林さんにマッチアップしますか?」








高松「ん~わかんねえ。流れによるんじゃないか?ウチは選手層も質も高いし」








慎太郎「ぐ…」







高松「まあでも、堂林レベルの選手には必ずその時のベストプレイヤーをマッチアップさせるだろうな。うちの場合は俺かもしれないし他の奴らかもしれない。完全に止めんのは無理な選手だが、少なくともディフェンスでスローダウンさせられる選手は俺も含めて複数いるからな」






涼真「そうっすか、ありがとうございます」











高松「ま、勝っても負けてもいいゲーム期待してるわ。
どっちが来ても、次は俺達だからな」






涼真「俺だって引く気はないですよ?
堂林さんにも、高松さんにも」









高松「ほう…じゃあ見せてくれよ、プレイでな
正直な話、お前のプレイ生で見る事になるの今日がはじめてなんだよ」






涼真「わかりました」
















慎太郎「わかっちゃいたけど涼真お前、高松さん相手でも物怖じしないのな」





涼真「する必要あるか?」




慎太郎「ああ…」
(そうだ、そういう奴だった)








慎太郎「俺も今日また出れっかな~?正直身長差がキツいからな」






涼真「んだよお前、宮本の前ではカッコつけてたくせに」






慎太郎「別にかっこつけた訳じゃねえよ。プレッシャー紛らわせたかっただけ」





涼真「お前でもプレッシャーって感じるのな」





慎太郎「俺だっていろいろ考えてんの!お気楽なだけじゃないの!」





涼真「はいはい」





慎太郎「で、腹は決まった?」





涼真「…ああ」






涼真と慎太郎は観客席へ戻っていく。




慎太郎(お前も堂林さんとマッチアップで勝負になるのか不安だったんだろ?飄々としててもわかるぜ。
でもお前ならやれるよ。てかお前しかいねえ)
















-観客席-





新城「随分長いトイレだったな」






涼真「すみません」






慎太郎「で、試合は…?」

















第1Q 残り2:09

札幌山手   11
星垓     16






髙木「終始ゲームをコントロールしてるよ。少しずつ差が開いてきたところだ」








慎太郎「女子って確か最高がベスト4でしたっけ」




中澤「確かな。一昨年は準々決勝で桃花と当たって負けてるし、その年の冬も準決勝で桃花に負けて、3決で美濃女子に延長で勝って3位」






矢島「昨年は夏は聖ロザリアに準々決勝で、冬は美濃女子に準決勝で負けて、3決で大阪駿英に負けて4位」




小宮山「まあ今年もこれで勝っても次は桃花だからな…」





大樹「うちの女子は冬に強いんすね」






新城「ま、勝てば6年ぶりだかのインターハイでのベスト4だし気合は入ってるだろうな」









その言葉通り、気合がプラスに作用して星垓は札幌山手を押す。













第1Q終了

札幌山手   13
星垓     21









前半終了


札幌山手   28
星垓     40












Bコートの男子の試合も進む。






前半終了

京洋     37
屋代工業   38








武蔵「こっちは競ってるな」








翔太「でも京洋にしちゃロースコアじゃん。伝統的に走るし点も取るチームなのにさ」







京洋も屋代工業も、かなり走るチームである。





京洋はラン&ガンと言って、攻撃に重点を起き早い展開に持っていく。
その為ハイスコアになりやすい。








対して屋代工業は、粘り強いディフェンスとそこからの速攻が主体で点を取るスタイル。流れをどれだけ掴むかによってハイスコアになることもあれば、ロースコアゲームになることもある。








この試合は、屋代はシュート確率的には普通。シュートタッチ、ディフェンスからの速攻でリズムを作り流れを掴む言わば「自分達の流れ」があった時間の長さも平均的。






京洋はアウトサイドがあまり確率が良くなく、早い展開にしている割に得点は平凡。






慎太郎「どっちかって言うと、屋代のペースでゲームが進んでるって見るのが妥当かな」







涼真「そう言えば監督はどこに…?」





髙木「さあ…?コーチとか監督は関係者室にでもいるんじゃないか?」




涼真「そすか、ありがとうございます」






涼真、席を立つ。








新城「あ、おい?身体動かしに行くっつったろ!?」







涼真「すみません、それまでには戻ります」














新城「ったく…」













ブーッ!!!





髙木「お、後半始まる」






新城「3ピリまで見たら1度外に行くからな」





一同「はい!」








女子は第3Qも崩れることなく試合をコントロールする。

















その頃唐沢は、監督などの控え室でお茶を飲みつつ考えにふけっていた。












コンコン












涼真「失礼します」








唐沢「おお北条君」









唐沢、北条が入ってきたのを見て立ち上がる。









唐沢「どうしましたか?」











涼真「先生、俺は星垓におけるベストプレイヤーでしょうか?もしくはそうであるに相応しい選手でしょうか?」















唐沢「…どうしました?」













涼真「今日当たる北陵は強い。その中でも堂林さんはレベルが違う。チームのベストプレイヤーが付かなければ止められない…いや、それでもスローダウンが精一杯かもしれません」





唐沢「…」










涼真「チームのベストプレイヤーをマッチアップさせるべきだと俺は思います。その上で先生は誰をマッチアップさせますか?」









唐沢「ではそれに答える前に、私からも1つ聞いてもいいかね」







涼真「はい」









唐沢「君をその役割にした時、どうなると思うかね」








涼真「…というのは?」






唐沢「君は、チームを勝利に導いてくれるかね」








涼真「…俺1人では無理です」









唐沢「…」








涼真「バスケは1対1じゃない。5対5です。無論堂林さんには必死で食らいついて勝ってみせます。そしてチームでも、星垓は北陵に勝ってみせます」










唐沢「そうですか」







唐沢、ニッコリ。












唐沢「私も君に確認しようと思っていました。君にポジションが異なる相手エースとのマッチアップをし、かつチームを勝利に導くという重責を背負わせていいものかと。
君は霧谷くん相手に1歩も引かずあのプレイをしたにも関わらず迷ってしまいました。
私の中では彼のマークは、ポジションも近く3年の新城君に任せようと思っていました。ですが己でその答えを出し、かつチームのベストプレイヤーとしての覚悟があるのだと確認できました」







涼真「はい」







唐沢「君がこのチームでのベストプレイヤーだ。堂林君のマーク、やれますね?」








涼真「はい!」













唐沢「では、私もみんなの所へ…」


















-観客席-






新城「お、帰ってきた」








髙木「先生!どうしたんですか?」










唐沢「試合前のアップの前に少しミーティングです。主に今日の作戦についての」









一同、固唾を呑んで聞き入る。








唐沢「まずスタメンですが、まずはいつもの5人(新城、真田、涼真、神崎、髙木)で行きます。
マッチアップですが…髙木君は伊達君に、神崎君は劉君に」







髙木「はい!」
(自分より10㎝以上デカい相手は初めてだな)



神崎「了解です」







唐沢「堂林君ですが…ここは涼真君にお任せします」







慎太郎「涼真に…?」
(フロントコートでのディフェンスになら涼真は慣れてるが…バックコートでほぼフル出場でのディフェンスができんのか?)






唐沢「相手のベストプレイヤーにはこちらもベストプレイヤーを。
単純ですがそういう作戦です」






新城「ってことは俺があの193の筒井、真田が三上って事ですね」









唐沢「いえ、逆です」








真田「え?」
(俺が筒井さんに…?)






唐沢「筒井君はいいフォワードですが、得点源としてはバックコートの三上、堂林の方が怖い。
なのでそこは主将に任せます」








新城「はい!」








唐沢「そして真田君、君はスタメンでは1番小さいがポジションは2番、3番です。こういったケースはこれからも出てくる可能性がある。そのための経験でもあると思っててください」








真田「わかりました」









唐沢「さて、試合までの体調管理やアップは新城君、お任せしますよ」







新城「はい。よし!身体動かしに行くぞ!」






一同「「「おう!!」」」



















その頃、コートでは



















ブーッ!!!








Aコート

試合終了

札幌山手   60
星垓     76









星垓女バスが女子ベスト4 入り1番乗り。











Bコート


試合終了

京洋     76
屋代工業   81










男子ベスト4の1番乗りは第2シード・屋代工業。






そして電光掲示板の表示が、第2試合のものに切り替わる。





Aコート


試合開始前

昭鹿学院     0
聖ロザリア学園  0







Bコート


試合開始前

愛和工業大学附属  0
博多第一      0












……To be continued
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