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第2章 インターハイ〜
第106話 Run!Jump!Go for win!
しおりを挟むインターハイ3日目。
男女共にベスト8入りを賭けたサバイバルが始まる。
-会場入りするバスにて
慎太郎「眠い…」
春香「大丈夫?」
涼真「俺たちの自業自得だ。言い訳すんな慎太郎」
慎太郎「そう言ったって眠いもんは眠い」
美保「軽率な行動したうえに体調管理もできないんじゃ試合なんて出れないね」
慎太郎「うるせえな…」
(相変わらず一言多いぜ…)
そうこうしてるうちにバスは会場に着き、選手達はロッカールームへ。
春香「さて、私達はまた観客席で応援だね」
美保「うん」
そして時間は過ぎ
第1試合開始まであと20分ほど。
満月「男子、勝てるかなぁ」
優花「満月最近男子の試合やたらと気にしてるよね」
満月「だって同じ学校で勉強して部活してるんだよ?」
小春「涼真くんと一緒に帰る事も多いからじゃない?」
奈津実「あれ?満月と涼真くんってデキてるの?」
満月「違うってば!たまたま家の方向が同じだけで…」
真っ赤になり言い返す満月。
紗妃「いいんじゃない?満月美人だしお似合いだと思うよ」
満月「…もう知らない!」
奈津実「あら、拗ねちゃった」
そこへ…
美保「あ、満月ちゃん。みんなも」
春香「そっか、女子は第4試合だからまだみんないるのね」
優花「お、男子の方のマネちゃんずだ。やっほー」
美保「マネちゃんず…」
満月「臼井先輩もこんにちは」
臼井「こんにちは、女子もみんな元気そうだね
よーし、横断幕貼っちゃおう」
美保&春香「「はーい」」
優花「そういえばインターハイ前に男子って横断幕新しくなったんだっけ」
奈津実「前みたいに四字熟語でよかったのに。四面楚歌とかさ」
紗妃「それ、追い詰められてるって事じゃない?」
※四面楚歌
周りを敵に囲まれて苦しい立場に陥ったこと。誰の助けもなく孤立すること。
優花「笑止千万とか?」
紗妃「だからなんでおバカな方にいくのよ」
小春「前は男子の横断幕『勇猛果敢』だったよね」
星垓男子バスケ部の横断幕には
『Run!Jump!Go for win!』
と書かれている。
紗妃「直訳すると『走れ!跳べ!勝利のために!』ってことか」
小春「かっこよくていいよねぇ」
満月「女子はもう何年もあの『努力は人を裏切らない』ってやつだもんね」
紗妃「でも毎年のキャプテンがあの横断幕にメッセージ残したりしてるからそう変えられないんだよね」
奈津実「奇想天外とかは?」
優花「いや、一日一善とかでも」
紗妃「だめだこの2人…」
やがて、横断幕を貼り終わった男子のマネージャー3人も女バスと一緒に座り応援する。
コートでは、既にAコートで第1試合を戦う女子のチーム、そしてBコートで男子の第1試合を戦う舟栄と星垓がアップしている。
試合開始まであと10分弱。
星垓はフリーシュート。
張り詰めすぎず、リラックスしすぎず
程よい空気感で練習していた。
ベンチ・オフィシャルでは両監督がスコアラーにスタメンの申請をしたりしている。
山下「今日は初戦からいきなり面白い対決ですね」
村上「星垓はベンチのメンバーがだいぶ入れ替わった。あの時よりチーム力は上がっているだろう。
だがレベルアップしてると予想できるのは舟栄も同じだ。特に霧谷はプレイの質に波があったのが試合を追うごとに安定している…どころか1試合毎に凄みを増しているようにも思える」
ブーッ!!!
審判「3分前!」
新城「集合!」
岩倉「集合!」
両チームベンチへと集まり、試合前の準備に入る。
春香「いよいよだね…」
紗妃「緊張感がここまで伝わってくるよ…」
満月「ね、自分が試合する訳じゃないのに」
美保「きっとコートはもっとプレッシャーが凄いんだろうな…」
(中山くん…出られたらいいね…頑張って)
ブーッ!!
そして、試合開始までの猶予時間が0になる。
舟栄(ユニフォーム緑)※オフィシャルは「青」で呼ぶ
G #6 近藤 太一 3年 179㎝
G/F #4 岩倉 翔大 3年 187㎝
F #11 本庄 智洋 2年 190㎝
F #7 霧谷 昭哉 3年 194㎝
C #5 永島 隼人 3年 199㎝
星垓(ユニフォーム白)
G #4 新城 敦史 3年 184㎝
G/F #9 真田 直斗 2年 183㎝
F #10 北条 涼真 1年 187㎝
F #8 神崎 健太 2年 190㎝
C #7 髙木 悠介 3年 198㎝
村上「両チームともいつものスタメンでスタートか」
山下「北条くんを攻守で霧谷くんにつけるために篠田くんあたりの抜擢がまたあるかと思ったんですけどね」
村上「まあでも、神崎を本庄につけて霧谷には北条をぶつけそうなもんだがな」
審判の笛がなる。
ピッ!
「「「しゃーす!!!!」」」
センターラインを挟み、10人の選手が礼をする。
霧谷「おう北条、久しぶりだな」
涼真「どうも」
霧谷「お前の、いや、お前らの厄介さは前回嫌って程わかってる。最初から本気でいくからな」
涼真「光栄です」
(そうでなくちゃ、倒し甲斐がない)
近藤(なあ岩倉、霧谷のやつの目、見た?)
岩倉(あんな目してるのなんて洛阪の高松や北陵の堂林とマッチアップする時くらいだろ…?こりゃ本気だな)
涼真(前とは霧谷さんの空気が違う…プレッシャーだけでも押し潰されそうだ…でも…)
ビッ!!
ジャンプボールが投げ上げられる。
永島と髙木が同時にボールを叩いた。
涼真(インターハイの組み合わせが決まった時からこの勝負を待ってたんだ!)
バシッ!
舟栄・岩倉がボールを抑えた。
岩倉「よし、任したぜ近藤」
ポイントガードである近藤にパスを出した岩倉。
特に気をつけてた訳でもないが、油断してた訳でもなかった。
バチッ!
涼真の手が近藤の手におさまりかけたボールを弾いた。
近藤「…は!?」
岩倉「どこから…!?」
涼真、いきなりワンマン速攻。
舟栄のオフェンスから始まると思っていたため、霧谷、永島、本庄はフロントコートへと走っていた。
そのため舟栄の選手全員の反応が遅れた。
ドッガアアァァァァァァァァアア!!!!!
涼真、強烈なワンハンドダンク。
開始5秒
第1Q 残り9:55
舟栄 0
星垓 2
予想だにしない涼真のスティールからのワンマン速攻で星垓が先制した。
涼真、すぐさまディフェンスに戻る。
会場がいきなりどよめく中、岩倉がスローインで近藤にボールを入れる。
近藤「ありえねえ…」
(ジャンプボール直後の時点で少なくともバックコートにいたのは俺と岩倉だけだった…少なくとも北条とは3、4メートル離れていたし、岩倉が俺にパスした距離もほんの3メートルくらいだった。なのに…)
岩倉(それだけじゃねえ、あいつ…パスを出すのを見てから反応して動き出しやがった…そんな事が可能なのか…?)
霧谷「やってくれるじゃねえか」
自分のマークにきた涼真に霧谷は笑いながら話しかける。
涼真「挨拶代わりって事で」
霧谷「近藤!俺によこせ!」
近藤「お、おう」
強くボールを要求した霧谷。
ボールは幾人かを経由後
霧谷が右45°でボールを受ける。
周囲はアイソレーションの構え。
霧谷、ドリブルを始め1on1の構え。
涼真、腰を落としディフェンス。
ダムッ!!!
霧谷、右へドライブ。
真田「早え…!」
(前回より段違いに早え…ドライブに行くモーションが見えなかった)
だが涼真、これに反応。
並走してついていく。
ガシッ!!
霧谷、涼真に身体をぶつけながら構わずドライブ。
涼真「ぐうっ…」
涼真、踏ん張りきれない。
涼真(全力で押し返しても踏ん張れねえ…前よかパワーもすげえ…!)
バスッ!!
霧谷、涼真に身体をぶつけながらシュートに跳びレイアップを決める。
第1Q 残り9:40
舟栄 2
星垓 2
「さすが霧谷!すぐに返した!」
新城「まずいな…」
(霧谷のやつ流石に上手え…あれだけフィジカルコンタクトされたらブロックになんて跳べない。涼真のブロック対策にシュートの高さを工夫したりしてかわすんじゃなく跳躍そのものを封じにきたのか)
インターハイ3日目第1試合
舟栄vs星垓は両チームのエースの得点からスタート。
……To be continued
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