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第2章 インターハイ〜
第105話 軽率
しおりを挟む審判「スコア通り!礼!」
「あー(りがとうございま)したっ!!!」
両チーム健闘を讃え合う。
古沢「新城っていったっけ?俺たちの分も頼んだぜ」
新城「ああ。舟栄戦はお前らの分まで出し切ってくるさ」
古沢と新城、握手を交わし別れる。
菊田「…」
涼真「またやろうぜ。今度はフルタイムでな」
菊田「…次は勝つ」
涼真「返り討ちにしてやる」
涼真と菊田も握手を交わす。
神崎玲太「…」
神崎健太「玲太…」
玲太「あの大人しかった健太が…知らなかったよ、あんな戦う目をするなんて」
健太「でも結局、全然お前には歯が立たなかったよ」
玲太「それでも勝ったのはお前らだ」
健太「また秋や冬に戦おう玲太。次当たる時までにもっと鍛えておくよ」
玲太「ああ、次は個人でもチームでも勝つ」
-観客席、観戦していた舟栄メンバー
近藤「ほんとに星垓との再戦になったな」
霧谷「ああ。待ってたぜ…星垓」
霧谷はニヤリとする。
-そして、インターハイは2回戦を全て終え、残りチームは16に絞られた。
山下「ほぼ下馬評通りのチームが勝ち残りましたね」
村上「そうだな。そして明日でベスト8、更に半分に絞られることになる。」
山下「えーっと、明日の組み合わせとスケジュールは…っと…」
インターハイ 大会3日目
男子第1会場
9:00~
紅泉(滋賀) - 京洋(東京)
11:00~
湘洋大付属(神奈川) - 県立屋代工業(秋田)
13:00~
泰正学園(大阪) - 博多大学附属大濠(福岡)
15:00~
洛阪(京都) - 明桜(宮城)
男子第2会場
9:00~
舟栄(千葉) - 星垓(神奈川)
11:00~
日南学園(宮崎) - 北陵(福井)
13:00~
県立柴田(愛媛) - 博多第一(福岡)
15:00~
愛和工業大学附属(愛知) - 東裁大学附属諏訪(長野)
山下「好カードばかりですね」
村上「俺たちは明日は第2会場の取材だ。準備しとけよ」
-夕方、星垓高校の泊まる宿舎にて-
真田「今日も勝ったから…これで…」
須川「ベスト16か、昨年の冬に続いてここまでこれたんだな」
中澤「明日はいよいよまた舟栄との再戦か」
矢島「冬の成績を越えられるかだけじゃなく、関東大会の事もある。二重の意味でリベンジマッチな訳だな」
チームのミーティングは既に終わっている。
夕食も終わり、翌日の舟栄戦に備えて各々体調管理しつつ思い思いに過ごしている。
新城、髙木は今日の試合結果を確認している。
新城「シード校は今日が初戦だった訳だが…今のところどこも勝ち上がってるな」
髙木「同じ関東の京洋も、同じ神奈川の湘洋大付属も勝ち上がってるじゃん」
新城「優秀だな、関東のベスト4チーム」
髙木「それは自画自賛か?」
新城「っと、失礼」
髙木「しかし…また舟栄か…」
新城「ここからは強豪同士での潰し合いだ。ベンチメンバーも今まで以上に重要になってきそうだな」
唐沢「その通りです」
そこへ唐沢がやってくる。
新城「先生、明日のゲームプランは…?」
唐沢「そうですね…舟栄に勝つにはどうしても霧谷くんをどうにかしないといけない
そこは前と同じく北条くんにお願いするつもりです。が、相手は百戦錬磨のプレイヤーです。ルーキーである北条くん1人で抑えきれるほど甘くはない」
髙木「つまり、マッチアップするのは北条がやるとしても、個で抑えるのではなくチームで抑えると?」
唐沢「そういうことです」
満月「あ、慎太郎くん」
慎太郎「おお、女子今日圧勝だったんだって?」
同じ宿舎には星垓の女子バスケ部も泊まっている。
紗妃「そりゃあ先輩達が強いからね」
満月「あーあっ…私も早くユニフォーム貰って試合出たいなぁ
同じ1年生の優花と奈津実はベンチ入りしてるのに」
慎太郎「あの2人は俺よか背も高いしなぁ…てか女子で170半ばとか…俺と身長交換して欲しいわ」
小春「男子は明日舟栄となんだっけ?」←スルー
武蔵「ああ。関東大会のリベンジマッチだな。
そういや女子も明日大一番でしょ?相手博多大学附属若葉だし」
満月「先輩達ならだいじょーぶ!」
小春「男子もこないだあんないい試合したんだし、勝つチャンスだって絶対あるよ!」
慎太郎「前回舟栄とやったときはベンチ入りしてなかったしな。あの時のうちとは全然違うチームになってるし。
まあ、向こうも当然レベルアップしてるだろうけどさ」
満月「そういえば涼真くんは?」
慎太郎「あいつなら部屋で1人で集中してるよ。
今日も反省点だらけだったって言ってたし、前回の負けもよっぽど悔しかったんだろうな」
涼真は部屋で瞑想している。
涼真(明日は俺の全てを出し切らないと勝てない…)
涼真の脳裏には関東大会の記憶。
強力なフィジカルの霧谷に終始押され
全力のドライブも何度も止められた。
挙句最後はファウルアウトに追い込まれた。
涼真「負けるのは、1回で十分だ」
涼真、部屋の外をふと見ると、近くの公園にバスケットのゴールが設置されてるのが見える。
涼真(最近じゃ日本でも珍しいことでもないんだな。公園にバスケットのゴールがあるなんて。
アメリカとかじゃ腐るほどあるらしいけど)
涼真、いてもたってもいられずボールを持ち外へ。
ロビーを通ると、男女バスケ部の1年生が勢揃いしてだべっていた。
慎太郎「こんな時間にどこ行くんだよボールなんか持って」
涼真「いや、外の公園にバスケットのゴールあんの見えたから少し動いとこうかと思って」
大樹「おいおい、明日俺達第1試合だぞ?今から疲れてどうすんだ」
武蔵「まあ、気持ちはわかるけどな」
(やっと霧谷さんとまた戦えるんだ。いてもたってもいられなかったんだろ)
満月「バスケットのゴール近くにあるんだ?あたしもシュート打ちたい!試合出てないし」
この満月の一声がきっかけとなり、成り行きでマネージャーを除く全員(男子8人、女子5人)で行くことに。
満月「やったー!またあたしの勝ちね!」
慎太郎「あーもう!なんで入らねえんだ!」
涼真「情けねえぞ慎太郎…これで3連敗じゃねーか」
今満月と慎太郎はスリーポイントシュートで対決している。
NBAのオールスターで毎年行われているスリーポイントコンテストのルールでどちらが多く入るか競っているのだ。
賢「慎太郎も25本のうち14、5本くらいはコンスタントに決めてるのにな…」
1回目
満月 17/25
慎太郎 14/25
2回目
満月 19/25
慎太郎 15/25
3回目
満月 17/25
慎太郎 16/25
涼真「満月お前…なんでこのシュート力でベンチ入りできねーんだ?」
満月「うう…」←痛いところを突かれてる
小春「満月は試合形式になると途端に入らなくなるんだよね」
優花「ほんと、本当なら先輩入れても1番シュート力あるのにね」
武蔵「6、7割スリー入ればそりゃそうだろうな」
奈津実「今度はダンクコンテストやってみてもいいかもね。
男子がダンク、女子は採点ね」
慎太郎「…俺がダンクなんてできると思う?」
奈津実「大丈夫、誰も慎太郎くんが出れるとは思ってないから」
慎太郎「うるせえよデカ女(ぼそっ)」←169cm
奈津実「あ゛!?」←176cm
慎太郎、とぼけたふりで誤魔化す。
優花「慎太郎くんもそのうち伸びるって」←174cm
紗妃「わたしよりおっきいからいいじゃん」←164cm
満月「おっきくてもシュートでは負けないもん」←161cm
小春「わたしは今の背でいいかなぁ」←159cm
慎太郎(女子にしちゃ全員平均以上だっつの)
優花「てか実際さ、男子でダンクって誰ができるの?試合で見てるから北条くんはわかるけど」
大樹「俺もできるよ」←187cm
賢「同じく」←198cm
政史「俺も」←178cm
紗妃「うそ!?湊くん180…ないのにできるの?」
優花「見たい見たい!」
政史「いいけど」
政史、ボールを思いっきり強くバウンドさせる。
慎太郎「1人アリウープ…?」
政史、空中でボールを掴み、そのまま…
ドガァッ!!!
ワンハンドダンク。
…を、外す。
政史「うげっ!?」
賢「ありゃ」
翔太「ハンドリングダメなとこは直ってないか…」
武蔵「はい女子のみなさん、採点どうぞ」
小春「え?するの?」
(気まずっ…)
紗妃「0点じゃない?失敗してるし」
優花「0点」
奈津実「お情けで1点」
満月「私もお情けで1点」
小春「じゃあ…1点」
武蔵「はい、合計3点…と」
政史「なんでだよ!?もっかい!もっかいだ!」
※NBAオールスターでも何回かチャンスはある
優花「そういえば佐藤くんはできないの?北条くん達とあまり背変わらないのに」
宗平「いや、こいつらが身体能力お化けなだけで俺は凡人だから」
翔太「ま、最高到達点リングには普通に越えれてるから要はパワーとかの問題じゃね?」
大樹「じゃあ次俺いっていい?」
奈津実「お、やる気だねえ」
小春「いけいけー!♪」
大樹、ドリブルでリングに向かっていく。
大樹「食らえ!」
大樹、両手でボールを掴み、左回りに1回転しながら頭の後ろにボールを振りかぶる。
ドゴォッ!!!!!
武蔵「おお!360°でボースハンドのトマホークかよ」
宗平「結構難易度高いダンクじゃん」
(まあ、360°回るのに意識いってダンクがちょっと迫力不足だけど)
武蔵「はい女子、採点」
満月「9点!」
小春「10点でいいんじゃない?」
奈津実「9点かな…ダンクがちょっとソフトだったし」
紗妃「8てーん!」
優花「9点」
武蔵「合計45点か。まあまあだな」
武蔵「じゃあ次は賢か?」
賢「いや、大樹のあれは越えらんねえからやめとく」
慎太郎「んだよー意気地ねえなぁ」
涼真「じゃあ後は俺か」
翔太「いよっ!待ってましたうちのエース!」
涼真、その場で数回ドリブルをついた後、全速力でリングへ。
バッ!!!
全員「!?」
その瞬間、この場にいた全員が信じられない物を見た。
ドッガアアァァァァァァァァアア!!!!!
奈津実「な…」
優花「何…今の…」
武蔵「ふ、フリースローラインから飛んで…」
賢「しかも…」
翔太「ボールを身体の後ろを通して…」
紗妃「更に…」
慎太郎「う、ウインドミルダンク…」
「「おおおおおお!!!!」」
一瞬静寂した後、全員が歓声を上げる。
小春「こんな凄いダンク、生で初めてみた!」
満月「高校生でこんなことできる人いるんだ…」
武蔵「あ、そうだ女子、採点」
女子全員「「「10点」」」
武蔵「はい50点満点。わかっちゃいたけど涼真の優勝ね」
政史「もっかいやらしてくれてもいいじゃんよ…(ぶつぶつ)」
慎太郎「てか今、何時?」
満月が携帯を見る。
満月「あ」
現在時刻、22時半。
そして何件もの着信履歴。
慎太郎「俺の携帯も電話めっちゃ来てる…」
-宿舎-
新城「こんな時間までどこ行ってやがった!?」
慌てて宿舎に戻った1年生。
今先輩達の説教を受けている。
「遊びに来てるんじゃないんだけど?浮かれてるんじゃないの?」
満月「すみません…キャプテン」
男女のキャプテン、そして監督もいる。
唐沢「軽率な行為だと言わざるを得ませんよ」
慎太郎「…反省してます」
涼真「俺が公園にリングあったからシュートしようって言い出したんです…」
夜も遅く、幸いトラブルなども何もなかったため、罰としてミーティングで借りる部屋の掃除を明日試合後にする事と、ミーティング中は正座で聞く事とされた。
インターハイ2日目はこうして夜が更けていった。
……To be continued
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