BUZZER OF YOUTH

Satoshi

文字の大きさ
上 下
101 / 268
第2章 インターハイ〜

第99話 健太、目覚める

しおりを挟む




ダムッ!







神崎(健)「ぐっ…」









神崎(玲)「もらったあ!」










バスッ!















第2Q 残り2:56

星垓    33
豊誠学園  46








間島「よっしゃあ!ナイス神崎!」









古沢「よし、ディフェンス!」
















山下「じわじわと点差が広がりましたね」








村上「パワーフォワード4番のポジションのマッチアップに差があるからな。
県大会を見ている限り、悪い選手ではないんだがな…元々控えめだったが萎縮してしまってる印象だ」








続く星垓のオフェンス。









ドゴォッ!









スペインピックから神崎健太がゴール下に合わせるも、神崎玲太にブロックされる。








山内「よし!よく追いついた神崎!」










ビッ!











前線に大きくパスを飛ばした間島。







いち早く山内が速攻に走っていた。

















山内「っしゃあ!」










ダッ!!











バゴォッッツ!











山内「!?」









山内が放ったレイアップが、最高点ギリギリでバックボードに叩きつけられた。











山内「北条10番だと!?」
(どっから飛んできやがった…?)











村上「点差は少しずつ離れていっているが…星垓はまだ食らいついていってるな」





山下「やっぱり彼ですかね?」










目線の先には、今しがた強烈なブロックを決めた背番号10。









バシッ!









ピッ!










レフェリー「アウトオブバウンズ!星垓ボール!」












ピックアンドロールからキックアウトで真田にボールを繋ぐも間島がボールを弾きコートの外にボールが転がる。











ブーッ!!








オフィシャル「交代!星垓!」










コートサイドに立つのは背番号13、武蔵。












武蔵「神崎さん!」











神崎(健)「おう…」













武蔵「監督が、マッチアップは新城さんはそのまま4番古沢、俺が9番間島、真田さんが5番山内、涼真は10番神崎玲太に着くようにと」








真田「オッケー」










涼真「おう」










新城「9番間島は強えぞ、あしひっぱるなよ?」







武蔵「了解っす」
















涼真がパワーフォワードに入った事で、県予選の湘洋大付属の時のようにスペインピックのフォーメーションが変わる。








ビッ!









涼真、新城からのパスを受けミドルシュート。










スパッ!









中澤「よーし!」








矢島「ディフェンス!1本止めろ!」















神崎、ベンチに力なく腰を下ろし黙って見ている。











中澤「健太、切り替えろ」









神崎「…中澤さん」













中澤「お前、いつもあんなに縮こまってねえだろ、らしくねえぞ」











神崎「…」










中澤「確かにあの10番神崎玲太は上手えよ。でもお前、普段ならもっと食らいついていくじゃねえかよ」








神崎「俺、あいつに勝ったことないんすよ」








矢島「ん?」








神崎「同い年で、同じスポーツしててもちろんライバル意識もあったんすけど…小学校の高学年の時にバスケ始めてから…バスケに関してはどんなプレーでもあいつには及ばない。
最後に戦ったのは中学3年の時っすけど、どんなに頑張っても歳を追うごとに差が広がってる気がして…」










中澤「ふーん…で?」












神崎「は…」













中澤「それが何だよ?」










神崎「…すみません」












中澤「だからって何もできねえでやられっぱなしってか?
今俺たちが戦ってるのは一発勝負のトーナメントだ。全国のな」











神崎「はい…」











中澤「お前、自分が弱気になってるのにかこつけて全員の夢、終わらす気かよ」











中澤、立ち上がり神崎の前に立つ。













神崎「…」













中澤「お前今日、全然自分のプレーをしてねえだろ、相手神崎玲太を意識するあまり!
練習でやってきたことを全然しねえで相手の土俵で戦って負けて更に弱気になって…何様のつもりだお前?
後ろ…見てみろや!!」











神崎、振り返る。











ベンチに入れず、応援席にいる朝や三石、福島など同学年のメンバーが目に入る。











中澤「お前…あいつらの代表だろうが!
ましてやお前スタメンなんだぞ?
勝つ気がねえなら今すぐこの場を立ち去れ!」














神崎、黙ってうつむいてしまう。
















唐沢「…」
(中澤くん…)













中澤「…すまん、言い過ぎた」











中澤、ベンチに腰掛ける。













中澤「神崎、あのな…確かに速さでは向こうが上だと思う
でも、インサイドのプレーや他の身体張ったプレーならお前も負けてねえはずだ」












神崎「…中澤さん…」

















中澤「お前の出番はまた来る。お前はできることやりゃいいんだ
何も、相手に合わせてやることはねえ」













神崎「…はい!」
















唐沢(さすがに3年生ですね、中澤くん
ガードだけあって選手をよく見ている。相手も味方も)



















バスッ!















コートでは古沢が新城の厳しいチェックをかわしシュートを決める。








第2Q 残り50.3

星垓    39
豊誠学園  52










新城「きついな…」
(1対1だとシュート力とボディバランスがありすぎてダブルクラッチなんかで決められちまう…インサイドのヘルプが欲しいとこだが…髙木もずっとゴール下にいられる訳じゃねえ。あの丸山ってセンターも髙木にヘルプさせねえように動いてるし…オフェンスは悪くねえが…いかんせん失点が多すぎる)










唐沢「神崎くん」










神崎「はい」













唐沢「この試合、勝つにはどうしたらいいと思いますか?」









神崎、しばし考える。













バスッ!!









涼真がスペインピックでトップから仕掛け、髙木がゴール下を決める。





第2Q 残り37.6

星垓    41
豊誠学園  52









神崎「オフェンスは正直、相手がスペインピックに対応しきれてないので今のところ問題はないと思います。
ディフェンスは…相手のツーガードを新城さん、武蔵で懸命に抑えているにしても…相手がチームとしての戦略でツーガードに点を取らせに来ているから抑えきれていない。
なら、こちらもツーガードの得点を許さないディフェンスを、マンツーマンでのマッチアップだけでなくチームでするべきかと」














唐沢「よろしい。では、君にそのディフェンスの組み立ての役割、お願いしましょうか」











矢島「神崎に…?」











バシィッ!















ゴール下、丸山のシュートを髙木がブロック。




















新城「速攻だ!」

















涼真がボールを受け、セーフティポジションにいた古沢と1対1。













涼真、スリーポイントライン付近でロッカーモーション(ドリブルの状態から上体を起こしたフェイク)を入れる。











古沢「!」










古沢が一瞬反応した瞬間、トップスピードで抜き去る。











古沢「なっ…」
(なんつー高速のチェンジオブペース…!人間ってこんな早く動けるもんなのかよ!?)












バス!














そして…

















ピピーッ!!













涼真のレイアップが決まると同時に前半終了。















前半終了

星垓    43
豊誠学園  52

















新城「ふう…なんとか1桁差か」











髙木「後半でひっくり返さないとな」








真田「あのツーガードに得点取られまくってますからね、あそこをどうするか」









前半だけで古沢が21点、間島が15点。









インサイドでは神崎玲太も10点を奪っていた。









-豊誠学園、ロッカールーム












間島「ラストちょい粘られましたね」









古沢「あの1年…くそ」









マネージャー「今のところ星垓は43点のうち10番北条が18点、7番髙木が10点ですね。無得点は途中から出た13番篠田のみと」








山内「さすがに世代別の日本代表候補なだけあるな。全てにおいてレベル高ぇしついてくのが大変だったぜ」










古沢「オフェンスは問題ない。このままのペースで行っても勝てるだろう…が、より確実に勝ちに行くためにも10番北条7番髙木を抑えに行くぞ」










丸山「インサイドで怖いのは7番だけだしな。10番もペネトレイトが多いから人数をかけて対処だな」









神崎(玲)「…」
(健太…正直歯ごたえが無さすぎる。前は倒しても倒しても向かってきたじゃねえかよ。そんなもんか?健太…)


















そんな玲太の不安をよそに
















星垓の背番号8、神崎健太は



















神崎(健)「やってやる…」
(個人の勝負で勝てなくても…試合にまで負けてたまるか…!)





















やる気に満ち溢れていた。

















……To be continued
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

[1分読書]彼女を寝取られたので仕返しします・・・

無責任
青春
僕は武田信長。高校2年生だ。 僕には、中学1年生の時から付き合っている彼女が・・・。 隣の小学校だった上杉愛美だ。 部活中、軽い熱中症で倒れてしまった。 その時、助けてくれたのが愛美だった。 その後、夏休みに愛美から告白されて、彼氏彼女の関係に・・・。 それから、5年。 僕と愛美は、愛し合っていると思っていた。 今日、この状況を見るまでは・・・。 その愛美が、他の男と、大人の街に・・・。 そして、一時休憩の派手なホテルに入って行った。 僕はどうすれば・・・。 この作品の一部に、法令違反の部分がありますが、法令違反を推奨するものではありません。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...