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第2章 インターハイ〜
第99話 健太、目覚める
しおりを挟むダムッ!
神崎(健)「ぐっ…」
神崎(玲)「もらったあ!」
バスッ!
第2Q 残り2:56
星垓 33
豊誠学園 46
間島「よっしゃあ!ナイス神崎!」
古沢「よし、ディフェンス!」
山下「じわじわと点差が広がりましたね」
村上「パワーフォワードのポジションのマッチアップに差があるからな。
県大会を見ている限り、悪い選手ではないんだがな…元々控えめだったが萎縮してしまってる印象だ」
続く星垓のオフェンス。
ドゴォッ!
スペインピックから神崎健太がゴール下に合わせるも、神崎玲太にブロックされる。
山内「よし!よく追いついた神崎!」
ビッ!
前線に大きくパスを飛ばした間島。
いち早く山内が速攻に走っていた。
山内「っしゃあ!」
ダッ!!
バゴォッッツ!
山内「!?」
山内が放ったレイアップが、最高点ギリギリでバックボードに叩きつけられた。
山内「北条だと!?」
(どっから飛んできやがった…?)
村上「点差は少しずつ離れていっているが…星垓はまだ食らいついていってるな」
山下「やっぱり彼ですかね?」
目線の先には、今しがた強烈なブロックを決めた背番号10。
バシッ!
ピッ!
レフェリー「アウトオブバウンズ!星垓ボール!」
ピックアンドロールからキックアウトで真田にボールを繋ぐも間島がボールを弾きコートの外にボールが転がる。
ブーッ!!
オフィシャル「交代!青!」
コートサイドに立つのは背番号13、武蔵。
武蔵「神崎さん!」
神崎(健)「おう…」
武蔵「監督が、マッチアップは新城さんはそのまま4番、俺が9番、真田さんが5番、涼真は10番に着くようにと」
真田「オッケー」
涼真「おう」
新城「9番は強えぞ、あしひっぱるなよ?」
武蔵「了解っす」
涼真がパワーフォワードに入った事で、県予選の湘洋大付属の時のようにスペインピックのフォーメーションが変わる。
ビッ!
涼真、新城からのパスを受けミドルシュート。
スパッ!
中澤「よーし!」
矢島「ディフェンス!1本止めろ!」
神崎、ベンチに力なく腰を下ろし黙って見ている。
中澤「健太、切り替えろ」
神崎「…中澤さん」
中澤「お前、いつもあんなに縮こまってねえだろ、らしくねえぞ」
神崎「…」
中澤「確かにあの10番は上手えよ。でもお前、普段ならもっと食らいついていくじゃねえかよ」
神崎「俺、あいつに勝ったことないんすよ」
矢島「ん?」
神崎「同い年で、同じスポーツしててもちろんライバル意識もあったんすけど…小学校の高学年の時にバスケ始めてから…バスケに関してはどんなプレーでもあいつには及ばない。
最後に戦ったのは中学3年の時っすけど、どんなに頑張っても歳を追うごとに差が広がってる気がして…」
中澤「ふーん…で?」
神崎「は…」
中澤「それが何だよ?」
神崎「…すみません」
中澤「だからって何もできねえでやられっぱなしってか?
今俺たちが戦ってるのは一発勝負のトーナメントだ。全国のな」
神崎「はい…」
中澤「お前、自分が弱気になってるのにかこつけて全員の夢、終わらす気かよ」
中澤、立ち上がり神崎の前に立つ。
神崎「…」
中澤「お前今日、全然自分のプレーをしてねえだろ、相手を意識するあまり!
練習でやってきたことを全然しねえで相手の土俵で戦って負けて更に弱気になって…何様のつもりだお前?
後ろ…見てみろや!!」
神崎、振り返る。
ベンチに入れず、応援席にいる朝や三石、福島など同学年のメンバーが目に入る。
中澤「お前…あいつらの代表だろうが!
ましてやお前スタメンなんだぞ?
勝つ気がねえなら今すぐこの場を立ち去れ!」
神崎、黙ってうつむいてしまう。
唐沢「…」
(中澤くん…)
中澤「…すまん、言い過ぎた」
中澤、ベンチに腰掛ける。
中澤「神崎、あのな…確かに速さでは向こうが上だと思う
でも、インサイドのプレーや他の身体張ったプレーならお前も負けてねえはずだ」
神崎「…中澤さん…」
中澤「お前の出番はまた来る。お前はできることやりゃいいんだ
何も、相手に合わせてやることはねえ」
神崎「…はい!」
唐沢(さすがに3年生ですね、中澤くん
ガードだけあって選手をよく見ている。相手も味方も)
バスッ!
コートでは古沢が新城の厳しいチェックをかわしシュートを決める。
第2Q 残り50.3
星垓 39
豊誠学園 52
新城「きついな…」
(1対1だとシュート力とボディバランスがありすぎてダブルクラッチなんかで決められちまう…インサイドのヘルプが欲しいとこだが…髙木もずっとゴール下にいられる訳じゃねえ。あの丸山ってセンターも髙木にヘルプさせねえように動いてるし…オフェンスは悪くねえが…いかんせん失点が多すぎる)
唐沢「神崎くん」
神崎「はい」
唐沢「この試合、勝つにはどうしたらいいと思いますか?」
神崎、しばし考える。
バスッ!!
涼真がスペインピックでトップから仕掛け、髙木がゴール下を決める。
第2Q 残り37.6
星垓 41
豊誠学園 52
神崎「オフェンスは正直、相手がスペインピックに対応しきれてないので今のところ問題はないと思います。
ディフェンスは…相手のツーガードを新城さん、武蔵で懸命に抑えているにしても…相手がチームとしての戦略でツーガードに点を取らせに来ているから抑えきれていない。
なら、こちらもツーガードの得点を許さないディフェンスを、マンツーマンでのマッチアップだけでなくチームでするべきかと」
唐沢「よろしい。では、君にそのディフェンスの組み立ての役割、お願いしましょうか」
矢島「神崎に…?」
バシィッ!
ゴール下、丸山のシュートを髙木がブロック。
新城「速攻だ!」
涼真がボールを受け、セーフティポジションにいた古沢と1対1。
涼真、スリーポイントライン付近でロッカーモーション(ドリブルの状態から上体を起こしたフェイク)を入れる。
古沢「!」
古沢が一瞬反応した瞬間、トップスピードで抜き去る。
古沢「なっ…」
(なんつー高速のチェンジオブペース…!人間ってこんな早く動けるもんなのかよ!?)
バス!
そして…
ピピーッ!!
涼真のレイアップが決まると同時に前半終了。
前半終了
星垓 43
豊誠学園 52
新城「ふう…なんとか1桁差か」
髙木「後半でひっくり返さないとな」
真田「あのツーガードに得点取られまくってますからね、あそこをどうするか」
前半だけで古沢が21点、間島が15点。
インサイドでは神崎玲太も10点を奪っていた。
-豊誠学園、ロッカールーム
間島「ラストちょい粘られましたね」
古沢「あの1年…くそ」
マネージャー「今のところ星垓は43点のうち10番が18点、7番が10点ですね。無得点は途中から出た13番のみと」
山内「さすがに世代別の日本代表候補なだけあるな。全てにおいてレベル高ぇしついてくのが大変だったぜ」
古沢「オフェンスは問題ない。このままのペースで行っても勝てるだろう…が、より確実に勝ちに行くためにも10番、7番を抑えに行くぞ」
丸山「インサイドで怖いのは7番だけだしな。10番もペネトレイトが多いから人数をかけて対処だな」
神崎(玲)「…」
(健太…正直歯ごたえが無さすぎる。前は倒しても倒しても向かってきたじゃねえかよ。そんなもんか?健太…)
そんな玲太の不安をよそに
星垓の背番号8、神崎健太は
神崎(健)「やってやる…」
(個人の勝負で勝てなくても…試合にまで負けてたまるか…!)
やる気に満ち溢れていた。
……To be continued
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