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あとがき

No,300 さよなら皆様

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【これは「あとがき」です】

「さよなら皆様」とは、宝塚歌劇の終了後──劇場を去るお客様をお送りすべく館内に流れる定番の歌なのです。
 歌唱は何年か毎に変わるのですが、その時々の歌姫(娘役)が務めます。
 いま僕の脳裏には、その歌声が切なく響いています──。


──ご挨拶──


 こんにちは、現在の理久りくです。

 僕の拙い「私小説」にここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございます。

 おそらくネットと言うものが無ければ出会えなかった皆さん。
 このアルファポリスと言う小説投稿サイトが無ければ、僕のこの私小説を発表することも不可能だった事でしょう。
 そして僕から言わせて頂ければ、互いに顔も名前も知らない同士だからこそ、こんな恥ずかしい人生を語れる──それが全てです。

 よく回顧録を自費出版して親類縁者に配る方もいらっしゃいますが、互いに見知っている訳ですから多少はオブラートにくるむでしょうね。
 いやむしろ綺麗事のオンパレードになってしまう恐れがあります。僕だったら(ゲイだし)何も書けませんね。

 ある日突然、見切り発車した思い付きでした。
 とにかく回顧録なのだからヤマもオチもありません。ただ思い出すままに書き散らかせば何とかなる!と始めたのです。
 ところが書き始めて直ぐに気が付きました──これは人生の反芻はんすうなのだと。

 若い頃の記憶は自分ではしっかり覚えているつもりでも、いざ文章にしようとするとあちこち時系列が乱れていたり、人間関係に矛盾が生じていたりと、案外あやふやで頼りないものである事に気付きます。それがリアルに「記憶」です。

 そしてそれを人様に読んで頂くなら、最低限意味の伝わるものにしなければなりません。
 僕はまず、一度書き始めたものを保留にし、「自分年表」を作るところからやり直しました。
 そこには無くした記憶を想像したり、忘れた感情を復活させたりが必要で、若干のフィクションは避けられません。

 僕はそれで良いと思います。

「実録」ではなく「私小説」とした理由はそんなところにもあります。
 書く事によって若い頃の記憶が瑞々しく彩られ、新鮮な感覚で蘇ります。結果、人様に読んで頂く以上に自分自身の糧となりました。

 他所、ブログに載せたこの小説の下書きとも言える「回顧録」は、後先あとさきも考えぬただの覚え書きでした。
 今回は時系列を整え、多少の演出や脚色も添えて「私小説」として整えました。つまりエンタメに寄せたフィクションも含まれる、と言うことです。

 何より一番のフィクションは理久の容姿でしょうか。
 やはり主人公は魅力的でないと話を引っ張れないと思い、作中で何度も「きれい」とか「かっこいい」とか言わせています。
 実際の僕は色が白くてひょろりと背が高いだけで、平凡なコメディ顔ですのでご勘弁ください。

 また、かねがね僕は
「自分は面喰いではない」と言い続けていたのですが、こうして振り返ってみたら
 ジュン
 浩一
 隼人
 夏生
 と、みなさんイケメンばかりじゃないですか?!
 ありゃりゃ、これどう言うこと?

 僕が自分を「面喰いでない」と思い込んでいた理由は、ひとえに亮ちゃん一人のせいではあるまいか?
 いや、それだけ僕の意識の中で、亮ちゃんと言う存在が大きかったのかと改めて気付きました。
──幼馴染み恐ろし!

 もしあの時、
 あの大学生の頃、
 亮ちゃんと別れずにあのままずっと続いていれば、
「僕のこの恋は亮ちゃん色」になっていたのかも知れません。
 でも、結果として
「僕の恋は夏生色」でした。
 夏生との出会いを幸運と思い、彼に感謝しています。

 人生って分からない。
 毎日が取捨選択の繰り返しで、結果として今の自分が有るんですね。

 これからの人生も長いです。
 この自分史を書き上げてからと言うもの、
「毎日を大切に生きて行こう」
 と、改めて強く思うのです。

 途中、何度か息切れして投げ出したくもなりましたが、ここまで書き上げる事が出来てとても嬉しいです。


 寄り添って頂いた皆様の数がポイントとして明記され、とてもやる気が上がりました。
 ありがとうございます。


私小説
「僕のあの恋は何色?」
──────完結です!


───って、あれ?本当に終わるのか?
(なんか淋しい……)



 さよなら皆様



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