上 下
277 / 302
第20章 僕のこの恋は夏生色

No,276 その後のみんな②

しおりを挟む
【そして俺達も50代になった】

 当然の事だけれど、みんな一緒に年を取る。
 今回も、その後のみんなの様子をお知らせしたい。


※──────────※


 親友のビアンちゃん→雪絵

=彼女は中学から大学までずっと鷹岡の女子校だったんだけれど、卒業後は東京の会社に勤務した。
 高校、大学の時も仲良かったけれど、一緒に東京だった頃にも良く会っていたっけ。丁度、隼人と付き合っていた頃だ。

 そのうち父親の関連会社を任されて外国へ行った。向こうで知り合った同性の恋人と今でもずっと暮してる。
 帰国した時は必ず会って親交を深めている。東京でもだけれど、彼女の実家はここ鷹岡だ。そう、彼女との仲が長続きするゆえんだ。

 案外タッチとも相性が良くて、一緒に東宝劇場にも行ったそうだ。遅ればせながら、今になって宝塚歌劇にハマってる。

 数年前、雪絵から珍しい問い合わせがあった。
「最近、テレビで舞台中継を観てから宝塚に興味津々なのよ。近いうちに東京に行くからチケットが欲しいんだけど、どうしたらいいかしら?」
 って持ち掛けられた。
 僕が夢中だった時には全然興味を示さなかったのに、人の心の変化は面白くて不思議だ。

 宝塚のチケットなんて今の僕ではどうしようもないからタッチを紹介した。そしたら二人で意気投合したと言うことだ。
 僕にとっての古い親友二人が、今になって仲好しになるなんて全く思いもしなかった。

 みんなで楽しく飲みたいな♪


※──────────※


 さて、最後に隼人…………

 これは、実は夏生の知らない秘密がある。
 この私小説を書き始め、隼人の事を締めくくるに当たって僕は悩んだ。自分自身の心に決着を付ける意味でも、この際ここに書いてしまいたいと………

 隼人の結婚を機に別れたのに、そのあと隼人からの未練たらたら攻撃が凄かった。
 本文でも書いた通り、僕は断固としてそれを拒絶した。
──と言う事にはなっているが、電話や手紙に留まらず、時として部屋を直撃されるし、帰宅するとドアの前に座り込んでいるしで、あの、その、だから…………

 当時の夏生には内緒だったけれど、時々単発的に受け入れてしまった。
 それは頻回でこそなかったけれど、実は俺が帰郷するまで度々続いた。つまり俺の「愛の巡礼」の期間中、時々「箸休め」的に、隼人につまみ喰いされていたのだ。

 どうやら彼女とのSEXがとても困難で苦しんでいたけど、それはもはや僕の関知するところではなかった。
 それに女性の扱いを知らない僕には何のアドバイスも出来なかった。
(僕は僕で愛の巡礼に彷徨さまよっていた頃だし……)

 隼人には実家の情報は与えなかった。
 だから僕が帰郷する事で、隼人との縁は完全に切れた。

 今はどこでどうしているやら?
 彼女とは円満にやっているのやらどうやら?
 僕には全く分からない。

 今回これを書くにあたり、事前に夏生に告白した。

「夏生ちゃ~ん、実は隼人と別れた当時、あの、その、実はその後も隼人にせがまれて、つまり……何度かその……」
「もうそんな昔話はどうでもいいよ。大体そんな事、当時からバレバレの見え見えだったし」
 って、
「ええっ?!そうだったの?」

「それに理久、隼人につまみ喰いされたみたいに言い訳するけど、当時欲求不満でつまみ喰いしてたのは理久の方だろ?オレ、ちゃんと気付いてたから」って……

 そうか、夏生ちゃんにはとっくにバレていたのか。
 何でもお見通しなんですね。

 なるほど………
 トホホ

「大体にして理久、オレをちゃん付けで呼ぶ時はろくな話じゃないな」
 なんて言われた。
 やっぱ俺って分かり易い?


※──────────※


 さて、「最後に隼人」って言ったけど、やはりここで夏生に触れたい。
 夏生とはずっと仲好しで上手くやってる。両家の家族とも円満だ。

──そして月日は過ぎた。
 
 これは普通の夫婦にも言えるのだろうけど、俺たちの間に愛だの恋だの、浮かれた雰囲気が徐々に消えていった。

 あ、いや、消えたわけではない。高揚感がおさまって来たのかな?

 今では恋人感覚なんて遠い昔の絵空事──SEXも形骸化して、ただの排泄処理のような気もする。
(だったら自己処理の方が簡単でお手軽)

 二人は夫夫ふうふと言うより家族? 
 家族の絆は夫夫ふうふより大切?

 そして……家族になると、もう恋人には戻れないのかな?

 これは男女の夫婦でも一緒の問題なのかも知れないけれど、何だか……幸せなのに何故か淋しい。

 こんなの俺の我儘なのかな?

 倦怠期って……あるの?

──なんて思秋期の切ない悩みがむくむくと……。


 次回からそんなお話に続きます。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

女子に間違えられました、、

夜碧ひな
青春
1:文化祭で女装コンテストに強制的に出場させられた有川 日向。コンテスト終了後、日向を可愛い女子だと間違えた1年先輩の朝日 滉太から告白を受ける。猛アピールをしてくる滉太に仕方なくOKしてしまう日向。 果たして2人の運命とは? 2:そこから数ヶ月。また新たなスタートをきった日向たち。が、そこに新たな人物が!? そして周りの人物達が引き起こすハチャメチャストーリーとは! ちょっと不思議なヒューマンラブコメディー。 ※この物語はフィクション作品です。個名、団体などは現実世界において一切関係ありません。

処理中です...