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第20章 僕のこの恋は夏生色
No,271 例えば……の話し
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【俺達のそれから・40代②】
金曜日の夜。
──俺たちは夏生のベッドの中で他愛も無い会話を楽しんでいた。
休日前夜の余裕の時間。こんな時だからこそ、俺は以前から一度は話しておきたかった話題を投げ掛けてみた。
「ねぇ夏生。これ、例えばの話なんだけどさ、俺の知っている限りゲイのカップルって中々長続きが難しいよね」
「……え、なんの話し?オレたちの話し?」
「そうじゃなくてね、あくまでも例えばの話なんだけど……。
そうだな、男と女の間でも浮気でトラブル起こすのって大抵が男の方だろ?やっぱ男って、やりたい生き物なんだと思う。俺は生物学的な意味でのオスの生態ってものを確信している」
「つまり、男女の間だったら女が繋ぎ止める役割を果たすけれど、男同士だと双方がやりたい放題だからダメになっちゃうって言う、あの理論?」
「そうそう、その理屈。それでいて男は反面とても独占欲が強いから、相手の浮気は絶対に許さないぞ!って言うあの身勝手なオスの心理。それらをそのまま男同士のカップルに当てはめたら、そりゃ長続きなんてしないよな」
「だね……で、なにが言いたい?オレたちも危ない、って話?」
「そりゃ、俺たちも例外じゃない
と思う。この重大問題を放り投げ
たままにしていたらね」
「つまりどうする?」
「俺達は男同士なんだから、互いの生理はよく分かってるよね」
「まぁね、特にオレ達は付き合いも長い。男の……ってより、理久の性質ならよく分かってるつもりだけど……」
「俺は、実はSEXなんて大して重要な事じゃないって思ってる。
女性が思うような愛だの恋だのの前に、あれは単なる生理的な排泄行為なんだって、男同士なら容易に理解できると思ってる」
「なるほどね。重ねて言うけど、それは男にとっては、って言うより、理久にとっては、って理屈なんだろうけど、理久がそんな風に思っている事はよく分かってる」
「だから要するに、夏生がどっかのタイミングでふらっと遊んじゃったとしても、それは男の生理なんだから仕方が無いな、って俺は思っている」
「ええっ?それって、オレの浮気を許すってこと?!」
「いや、許すって事じゃなくて、そう言う事が有っても男のやる事だから仕方が無いな~って思っているだけで、つまりさ、そんな事くらいで別れるだの破局だのって騒いでいたら、本当に男同士なんて長続きしないなって思ってる。
つまりね、SEX絡みのそんな生理的トラブルなんかで大事な二人の仲を壊したくないんだ」
「えっ?理久が何を言いたいのか良く分からないんだけど」
「うん、つまりね、もし他で遊んじゃう事があったとしても絶対に俺には気付かれないように上手くやって欲しい!ってこと。
分かる?」
「……ああ、なるほど。浮気ぐらいの事で切った張ったの別れ話にはしたくないから、だから上手に隠し通せ、ってこと?」
「うんうん、そう言うこと♪
いくら俺だって夏生が他で遊んでいたら穏やかではいられない。
でもそんな事でケンカはしたくないから、だからやるなら絶対に俺が気付かないようにして欲しいって、切なる願い」
「あのさ~理久、それなら普通に浮気はするなよ!って言えばいいんじゃない?」
「そんなじゃ普通の男女カップルと同じゃない?俺は夏生の性欲や排泄まで束縛しようとは思わない。だってそんな事は無理だって分かってる。男の生態は良く知っているから」
「何だかいつもの理久節だな~。それ言われるとむしろ浮気を奨励されているような気になる。
てか、オレばっかり遊ぶような事になってるけど理久は?理久だって相当なやりちんだよね?」
「ああ……俺は遊ばない。夏生と結婚したからもう他はいらない。
ほら、俺は姫だから」
「え~っ?何だか嘘っぽいな~。理久ってこの頃、都合好く姫になったり殿になったりしてないか?」
「だってそれはほら、俺は夏生だけの姫だから。だから俺はもう他では遊ばないよ?ホントだよ?」
「うわ~っ、かなり怪しい!」
「だってさ、夏生は鋭いから俺が何かやらかしたら直ぐに気付くだろう?だから俺は何もしない事にしたんだ」
「確かに理久の行動は見え見えだけど、って……あ、そうか、そう思っていること自体がオレ、理久に騙されている気がしてきた。
もしかして、オレのこと洗脳しようとしてる?」
「まさかまさか!だってさ、夏生はずば抜けてカッコいいから周りが放って置かないだろ?今までも相手を切らした事なんて皆無だろ?」
「あ、でもオレは付き合ってる相手がいる時に浮気なんてしたこと無いぞ。浮き名を流すなら理久の方こそ一枚も二枚も上手じゃないか」
「え、そうか?」
「そうだよ!オレなんかより理久の方がずっとモテるよ!ってか、変なのぞろぞろ連れて来る大天才じゃないか」
「えっと、確かに変なのばっかり連れて来たけどね、昔は……」
「それに……オレ、やっと理久とこうして一緒になれたんだ……。
もう、他で遊ぶなんて全く思わない。今後どんな男と巡り逢っても、理久ぐらい好きになるなんて絶対にないよ……♡」
「………………」
「……え?……あれ?……オレにこんな事を言わせるための会話だった?」
「…………へっへっへ」
「ああっ!やっぱ謀ったな!
あ、遊んでやる!これからオレ、あっちこっちで遊びまくってやるんだから~!」
「あれれ?夏生、可愛いナッキーちゃんキャラに戻ってるな」
「もう知らん!ぷんぷん!」
──って、その夜もまた楽しい会話が延々と続く。
金曜日の夜。
──俺たちは夏生のベッドの中で他愛も無い会話を楽しんでいた。
休日前夜の余裕の時間。こんな時だからこそ、俺は以前から一度は話しておきたかった話題を投げ掛けてみた。
「ねぇ夏生。これ、例えばの話なんだけどさ、俺の知っている限りゲイのカップルって中々長続きが難しいよね」
「……え、なんの話し?オレたちの話し?」
「そうじゃなくてね、あくまでも例えばの話なんだけど……。
そうだな、男と女の間でも浮気でトラブル起こすのって大抵が男の方だろ?やっぱ男って、やりたい生き物なんだと思う。俺は生物学的な意味でのオスの生態ってものを確信している」
「つまり、男女の間だったら女が繋ぎ止める役割を果たすけれど、男同士だと双方がやりたい放題だからダメになっちゃうって言う、あの理論?」
「そうそう、その理屈。それでいて男は反面とても独占欲が強いから、相手の浮気は絶対に許さないぞ!って言うあの身勝手なオスの心理。それらをそのまま男同士のカップルに当てはめたら、そりゃ長続きなんてしないよな」
「だね……で、なにが言いたい?オレたちも危ない、って話?」
「そりゃ、俺たちも例外じゃない
と思う。この重大問題を放り投げ
たままにしていたらね」
「つまりどうする?」
「俺達は男同士なんだから、互いの生理はよく分かってるよね」
「まぁね、特にオレ達は付き合いも長い。男の……ってより、理久の性質ならよく分かってるつもりだけど……」
「俺は、実はSEXなんて大して重要な事じゃないって思ってる。
女性が思うような愛だの恋だのの前に、あれは単なる生理的な排泄行為なんだって、男同士なら容易に理解できると思ってる」
「なるほどね。重ねて言うけど、それは男にとっては、って言うより、理久にとっては、って理屈なんだろうけど、理久がそんな風に思っている事はよく分かってる」
「だから要するに、夏生がどっかのタイミングでふらっと遊んじゃったとしても、それは男の生理なんだから仕方が無いな、って俺は思っている」
「ええっ?それって、オレの浮気を許すってこと?!」
「いや、許すって事じゃなくて、そう言う事が有っても男のやる事だから仕方が無いな~って思っているだけで、つまりさ、そんな事くらいで別れるだの破局だのって騒いでいたら、本当に男同士なんて長続きしないなって思ってる。
つまりね、SEX絡みのそんな生理的トラブルなんかで大事な二人の仲を壊したくないんだ」
「えっ?理久が何を言いたいのか良く分からないんだけど」
「うん、つまりね、もし他で遊んじゃう事があったとしても絶対に俺には気付かれないように上手くやって欲しい!ってこと。
分かる?」
「……ああ、なるほど。浮気ぐらいの事で切った張ったの別れ話にはしたくないから、だから上手に隠し通せ、ってこと?」
「うんうん、そう言うこと♪
いくら俺だって夏生が他で遊んでいたら穏やかではいられない。
でもそんな事でケンカはしたくないから、だからやるなら絶対に俺が気付かないようにして欲しいって、切なる願い」
「あのさ~理久、それなら普通に浮気はするなよ!って言えばいいんじゃない?」
「そんなじゃ普通の男女カップルと同じゃない?俺は夏生の性欲や排泄まで束縛しようとは思わない。だってそんな事は無理だって分かってる。男の生態は良く知っているから」
「何だかいつもの理久節だな~。それ言われるとむしろ浮気を奨励されているような気になる。
てか、オレばっかり遊ぶような事になってるけど理久は?理久だって相当なやりちんだよね?」
「ああ……俺は遊ばない。夏生と結婚したからもう他はいらない。
ほら、俺は姫だから」
「え~っ?何だか嘘っぽいな~。理久ってこの頃、都合好く姫になったり殿になったりしてないか?」
「だってそれはほら、俺は夏生だけの姫だから。だから俺はもう他では遊ばないよ?ホントだよ?」
「うわ~っ、かなり怪しい!」
「だってさ、夏生は鋭いから俺が何かやらかしたら直ぐに気付くだろう?だから俺は何もしない事にしたんだ」
「確かに理久の行動は見え見えだけど、って……あ、そうか、そう思っていること自体がオレ、理久に騙されている気がしてきた。
もしかして、オレのこと洗脳しようとしてる?」
「まさかまさか!だってさ、夏生はずば抜けてカッコいいから周りが放って置かないだろ?今までも相手を切らした事なんて皆無だろ?」
「あ、でもオレは付き合ってる相手がいる時に浮気なんてしたこと無いぞ。浮き名を流すなら理久の方こそ一枚も二枚も上手じゃないか」
「え、そうか?」
「そうだよ!オレなんかより理久の方がずっとモテるよ!ってか、変なのぞろぞろ連れて来る大天才じゃないか」
「えっと、確かに変なのばっかり連れて来たけどね、昔は……」
「それに……オレ、やっと理久とこうして一緒になれたんだ……。
もう、他で遊ぶなんて全く思わない。今後どんな男と巡り逢っても、理久ぐらい好きになるなんて絶対にないよ……♡」
「………………」
「……え?……あれ?……オレにこんな事を言わせるための会話だった?」
「…………へっへっへ」
「ああっ!やっぱ謀ったな!
あ、遊んでやる!これからオレ、あっちこっちで遊びまくってやるんだから~!」
「あれれ?夏生、可愛いナッキーちゃんキャラに戻ってるな」
「もう知らん!ぷんぷん!」
──って、その夜もまた楽しい会話が延々と続く。
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