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第17章 恋愛不毛症候群
No,221 ちょっと待った森山!
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【これは30代前半のお話】
「オレにとっては十分大げさな事だったんです。
散々愚痴ったからよく知ってると思うけど、オレ、それまで恋人も友達もまるでいなくて……そう言うのが苦手で……なのにまさか、オレのおしっこの世話までしてくれる人がいるだなんて……
そう、よく分からないけど、何だかとっても切なくなってしまったんです、胸が締めつけられるような?」
「それって、何だか特殊なプレイの話にも聞こえるんだけど」
「おちゃらけないで下さい。
オレ、真面目なんです。
あの時、切なくてキュンとしちゃったんです」
「あ、ごめん」
俺はどう対応して良いのか戸惑い、下を向いた。
「あんな恥ずかしい姿を見られたら、もうオレ、歴野さんには何も隠さず、全部さらけ出しても許されるのかな?って思えたんです。
だって歴野さん、優しいだけじゃなく本当に頼もしく思えたから、だからオレはあの時すっかり歴野さんに身をゆだねてしまった。
そしたら堪らなく歴野さんの事が愛おしく思えて、急速に歴野さんのことが……」
「あ、それってもしかして……あ、あの……」
(おいこれ、愛の告白か?!)
森山の目が俺の目を捕えた。
「さっきの質問に答えます。
オレは今まで、自分をゲイだと思った事はありません」
「なるほど……」
「自分でする時は普通にエロ本とかAVとか、興味はもちろん女の身体で……」
「好きになるのは?」
「もちろん女の子でしたけど、でも今にして思えばそれはあくまでも肉体的な欲求でしかなくて、精神的に愛おしいとまで思えたのは歴野さん、あなたが初めてなんです。そう言う意味では……あの時の気持ちがオレの初恋だったのかも知れません」
「あの……森山?そう決め付けるのは、いささか早計なんじゃないかな?」
「早計?オレはこの問題を一年間も考え続けたんですよ?」
「一年間……って……」
「歴野さんを好きになってから、自分はゲイなのか?って考え続けました。
でも、基本的に男には性欲は湧かないし、歴野さん以外、他の男には興味が無いんです」
「だったらゲイじゃないよ」
「でも歴野さんの事が好きなんです。相手が歴野さんなら性欲もあります。自分でも不思議な感情だけど、あの時確かに抱かれたい……って思ったんです。
だから歴野さんのパンツも大切にして……あの……だから……」
「も、森山……まさかおまえ……俺のパンツで何を……」
森山の顔が耳まで赤くなった。
「あの時オレは、布団の中で迷わず歴野さんにしがみ付きました。素足を絡めて、その温かさに夢中になった……あの時オレは、間違いなく歴野さんとやりたかった」
(え、え、え、これはやばいぞ!森山、目が真剣じゃないか!)
「歴野さん、オレ、今夜は覚悟を決めて話しています。
もう、このもやもやを晴らしたい。最悪トラブルになって会社にいられなくなっても構わない。
とにかく、はっきりさせたいと思って話してます」
「そこまで覚悟して……」
「今度はオレが聞いてもいいですか?」
「あ、うん……」
「歴野さんはゲイですか?」
「あ……」
「あの夜、歴野さんも触りましたよね?オレのお◯ん◯ん」
「え?」
「二度」
「あ……」
「それに、歴野さんも固くしてましたよね?朝方……」
「分かっていたのか……」
「はい」
「うん」
(そうか、森山は全部分かっていたんだ。あの日の事を……)
こうなったら俺は、何もかも覚悟の上で森山の気持に応えなくてはならない。
茶化したり誤魔化したりする訳にはいかない。
「森山……オレはゲイなんだ」
「歴野さん、やっぱり」
「確かにあの夜の俺は過剰に優しかったかも知れない。いくら後輩が泥酔していても、ノンケはあそこまで世話を焼いたりはしないのかも知れない」
「歴野さん、じゃあ、歴野さんもオレを?」
「あの夜、確かに俺はおまえに欲情したし、それにおまえの感情の昂ぶりにも気付いていた」
「だったらオレの思いに応えてくれたら良かったのに!あの時オレは、歴野さんに精一杯の気持ちで身体を投げたのに……」
「でも、だけど俺とおまえは違うんだ。俺は生まれながらのゲイだけど、でもおまえは違う。
あの時はずみで手を出したら、俺はおまえの人生を狂わせる事にもなりかねないと、そう思って我慢したんだ」
「一緒ですよ!違ってなんかいない!俺はあの時、確かに歴野さんに抱かれたかった」
「違うんだよ森山!俺にはそれが分かる。おまえはゲイなんかじゃない。だって、他の男には興味が無いんだろ?全然ゲイじゃないよ」
「だったら、オレのこの気持ちは何なんですか?」
「森山……刷り込み、って知ってるか?」
「え、もしかして……卵からかえったヒナが一番最初に見たものを親と思うって、あれですか?」
「おまえ、人に優しくされたのが初めてだ、って言ったよな?」
「まさか歴野さん、そんなバカなこと……!」
「いや、十分有り得ると思う。
あの時の状態で優しくされれば相手は俺じゃなくても、他の誰かでもおまえはそうなったんだよ。
刷り込み、そう、やっぱ刷り込みだよ」
「歴野さん、ふざけないで下さい」
森山はちょっと、半泣きのような顔になってしまった。
「オレにとっては十分大げさな事だったんです。
散々愚痴ったからよく知ってると思うけど、オレ、それまで恋人も友達もまるでいなくて……そう言うのが苦手で……なのにまさか、オレのおしっこの世話までしてくれる人がいるだなんて……
そう、よく分からないけど、何だかとっても切なくなってしまったんです、胸が締めつけられるような?」
「それって、何だか特殊なプレイの話にも聞こえるんだけど」
「おちゃらけないで下さい。
オレ、真面目なんです。
あの時、切なくてキュンとしちゃったんです」
「あ、ごめん」
俺はどう対応して良いのか戸惑い、下を向いた。
「あんな恥ずかしい姿を見られたら、もうオレ、歴野さんには何も隠さず、全部さらけ出しても許されるのかな?って思えたんです。
だって歴野さん、優しいだけじゃなく本当に頼もしく思えたから、だからオレはあの時すっかり歴野さんに身をゆだねてしまった。
そしたら堪らなく歴野さんの事が愛おしく思えて、急速に歴野さんのことが……」
「あ、それってもしかして……あ、あの……」
(おいこれ、愛の告白か?!)
森山の目が俺の目を捕えた。
「さっきの質問に答えます。
オレは今まで、自分をゲイだと思った事はありません」
「なるほど……」
「自分でする時は普通にエロ本とかAVとか、興味はもちろん女の身体で……」
「好きになるのは?」
「もちろん女の子でしたけど、でも今にして思えばそれはあくまでも肉体的な欲求でしかなくて、精神的に愛おしいとまで思えたのは歴野さん、あなたが初めてなんです。そう言う意味では……あの時の気持ちがオレの初恋だったのかも知れません」
「あの……森山?そう決め付けるのは、いささか早計なんじゃないかな?」
「早計?オレはこの問題を一年間も考え続けたんですよ?」
「一年間……って……」
「歴野さんを好きになってから、自分はゲイなのか?って考え続けました。
でも、基本的に男には性欲は湧かないし、歴野さん以外、他の男には興味が無いんです」
「だったらゲイじゃないよ」
「でも歴野さんの事が好きなんです。相手が歴野さんなら性欲もあります。自分でも不思議な感情だけど、あの時確かに抱かれたい……って思ったんです。
だから歴野さんのパンツも大切にして……あの……だから……」
「も、森山……まさかおまえ……俺のパンツで何を……」
森山の顔が耳まで赤くなった。
「あの時オレは、布団の中で迷わず歴野さんにしがみ付きました。素足を絡めて、その温かさに夢中になった……あの時オレは、間違いなく歴野さんとやりたかった」
(え、え、え、これはやばいぞ!森山、目が真剣じゃないか!)
「歴野さん、オレ、今夜は覚悟を決めて話しています。
もう、このもやもやを晴らしたい。最悪トラブルになって会社にいられなくなっても構わない。
とにかく、はっきりさせたいと思って話してます」
「そこまで覚悟して……」
「今度はオレが聞いてもいいですか?」
「あ、うん……」
「歴野さんはゲイですか?」
「あ……」
「あの夜、歴野さんも触りましたよね?オレのお◯ん◯ん」
「え?」
「二度」
「あ……」
「それに、歴野さんも固くしてましたよね?朝方……」
「分かっていたのか……」
「はい」
「うん」
(そうか、森山は全部分かっていたんだ。あの日の事を……)
こうなったら俺は、何もかも覚悟の上で森山の気持に応えなくてはならない。
茶化したり誤魔化したりする訳にはいかない。
「森山……オレはゲイなんだ」
「歴野さん、やっぱり」
「確かにあの夜の俺は過剰に優しかったかも知れない。いくら後輩が泥酔していても、ノンケはあそこまで世話を焼いたりはしないのかも知れない」
「歴野さん、じゃあ、歴野さんもオレを?」
「あの夜、確かに俺はおまえに欲情したし、それにおまえの感情の昂ぶりにも気付いていた」
「だったらオレの思いに応えてくれたら良かったのに!あの時オレは、歴野さんに精一杯の気持ちで身体を投げたのに……」
「でも、だけど俺とおまえは違うんだ。俺は生まれながらのゲイだけど、でもおまえは違う。
あの時はずみで手を出したら、俺はおまえの人生を狂わせる事にもなりかねないと、そう思って我慢したんだ」
「一緒ですよ!違ってなんかいない!俺はあの時、確かに歴野さんに抱かれたかった」
「違うんだよ森山!俺にはそれが分かる。おまえはゲイなんかじゃない。だって、他の男には興味が無いんだろ?全然ゲイじゃないよ」
「だったら、オレのこの気持ちは何なんですか?」
「森山……刷り込み、って知ってるか?」
「え、もしかして……卵からかえったヒナが一番最初に見たものを親と思うって、あれですか?」
「おまえ、人に優しくされたのが初めてだ、って言ったよな?」
「まさか歴野さん、そんなバカなこと……!」
「いや、十分有り得ると思う。
あの時の状態で優しくされれば相手は俺じゃなくても、他の誰かでもおまえはそうなったんだよ。
刷り込み、そう、やっぱ刷り込みだよ」
「歴野さん、ふざけないで下さい」
森山はちょっと、半泣きのような顔になってしまった。
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