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第19章 スピンオフ・夏生物語「今明かされる夏生の愛と苦悩の真実」って、おい理久ふざけんな!オレのこと勝手に書くなよ!SP
No,258 夏生、大芝居を演じる
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オレは思わず声を張った。
「えっ、ええ~っ?!オ、オレが宝塚っすか?!」
びっくり仰天!
青天の霹靂!
「まあ、とにかく理久がぞっこん惚れ込んでいるスターさんのビデオを貸すからよく研究してみて?
男っぽく、力強く、上から目線で迫ってみなよ!あ、ポイントはね、とにかく恥ずかしいくらいに臭~くね♡」
「はあ……臭く、って……」
「ちなみにナッキーちゃんにとって、理久を宝塚の娘役に例えたならどんなイメージ?
おきゃんな村娘?妖艶な小悪魔?それとも粋な酒場の女かな?」
「それは……もちろん姫です」
「ええっ?!姫~?!姫なの~?
迷わず言ったね、いや~アバタもエクボだわ~!僕から見たら理久なんてヒロインに敵対する意地悪な金持ちの娘、ってところなんだ
けど、いやいや、姫とは恐れ入った!」
「え?オレにしたら姫としか思えないんですけど……」
「うん分かった、ナッキーちゃんがそう思うならそれでいい。本人の気持ちが一番大事だし、むしろ姫なら見立てやすい。
ナッキーちゃん、騎士になれ!」
「……それは、前からそんな風に思ってはいたけど……」
でも達也さ~ん!
これってそんなに簡単な話なのかな~?
※──────────※
そしてオレは、理久が大ファンだって言う男役の口調を真似て、トーンの低い声で訴えた。
「理久……!」
──この男役のビデオは頑張って数本観た。確かに現実、こんなに臭い話し方をする男は見たことがない。
「愛する人の幸せを祈るのが本当の愛だなんてそんなの変だ、戯言
だ!……だって、どんなにオレがおまえの幸せを祈ったって、全然おまえは幸せにならないじゃないか」
(本当に大丈夫なのか?こんな学芸会のような台詞で……)
「ナ、ナッキー?俺、何か怒らせた?」
「いいから黙ってオレの話を聞け」
「うん、え?、あ、はい……」
(あれ?理久の顔が真っ赤になってる。耳まで赤いぞ?)
「理久、オレは今日、おまえへの想いを全て打ち明ける決意でここに来た」
「はい……」
理久の身体から力が抜けていくのが伝わった。そしてオレの目をじっと見詰めている。
(ややっ!瞳が不自然にキラキラと輝いている!こいつ、まさかの涙目か?!
それに何だ?はい……って、
そんな鼻から抜けるような素直な返事、オレは今まで聞いたことがないぞ?!)
理久の呼吸が早い。唇が半開きになっている──。
(もしかしてこれ、正解なのか?とにかくこの勢いで畳み込もう)
「オレはこの見た目だから、小さい頃から可愛いだとか綺麗だとか、ずっと女の子みたいだとか言われて生きて来た」
(このへんは本音だ。芝居じゃない)
「その度にオレは不愉快でずっとずっと嫌だった。こんな事を打ち明けるのは初めてだけど、オレの小学校から中学校までの黒歴史。
不本意なアダ名が……姫だった」
(ああ、本当はこのあだ名、知られたくなかった~)
「初恋が小学校の先生で、父親がいないからなのかなぁ?とか思って、ずっと年上の人ばかりを追い掛けていたけど何か違って、結局は姫扱いされるのが不愉快で」
(いけね!愚痴っぽくなって来たぞ!)
「なぁ、憶えているか?オレ達が初めて会った時のこと」
(あれ?これは借りたビデオにも有った台詞だな)
「もちろん覚えてるよ♡
俺が初めて Blue night へ行った時、ナッキーはルカって名乗ってた……♡♡」
(ややっ!こいつ、うっとりした顔で嬉しそうに答えてるぞ!それに何だ?この甘えた口調は……)
「そう……あの時オレ、おまえ、おしろい塗ってるのか?って聞いたら、なにも塗ってないよって、オレに顔を近付けただろ?
おまえの黒い瞳が大きくなって、オレの目を見てニコリと笑った」
「え?そんなだっけ?」
って、理久は恥ずかしそうに目を逸らし、頬を染めて微笑んだ。
(うん、明らかに顔つきがいつもと違う。こんなにはにかんだ理久の顔、オレは見た事がないぞ)
「オレ、あの時ハッとした。そしてはっきりと分かったんだ」
「な、何がでしょうか?」
「あ、こいつ!……こいつこそがオレの姫なんだって……!」
言った~!言ってしまった~!
いいのか言って?!
こんな非常識な台詞を、本当に言っていいのか~!
「えっ、ええ~っ?!オ、オレが宝塚っすか?!」
びっくり仰天!
青天の霹靂!
「まあ、とにかく理久がぞっこん惚れ込んでいるスターさんのビデオを貸すからよく研究してみて?
男っぽく、力強く、上から目線で迫ってみなよ!あ、ポイントはね、とにかく恥ずかしいくらいに臭~くね♡」
「はあ……臭く、って……」
「ちなみにナッキーちゃんにとって、理久を宝塚の娘役に例えたならどんなイメージ?
おきゃんな村娘?妖艶な小悪魔?それとも粋な酒場の女かな?」
「それは……もちろん姫です」
「ええっ?!姫~?!姫なの~?
迷わず言ったね、いや~アバタもエクボだわ~!僕から見たら理久なんてヒロインに敵対する意地悪な金持ちの娘、ってところなんだ
けど、いやいや、姫とは恐れ入った!」
「え?オレにしたら姫としか思えないんですけど……」
「うん分かった、ナッキーちゃんがそう思うならそれでいい。本人の気持ちが一番大事だし、むしろ姫なら見立てやすい。
ナッキーちゃん、騎士になれ!」
「……それは、前からそんな風に思ってはいたけど……」
でも達也さ~ん!
これってそんなに簡単な話なのかな~?
※──────────※
そしてオレは、理久が大ファンだって言う男役の口調を真似て、トーンの低い声で訴えた。
「理久……!」
──この男役のビデオは頑張って数本観た。確かに現実、こんなに臭い話し方をする男は見たことがない。
「愛する人の幸せを祈るのが本当の愛だなんてそんなの変だ、戯言
だ!……だって、どんなにオレがおまえの幸せを祈ったって、全然おまえは幸せにならないじゃないか」
(本当に大丈夫なのか?こんな学芸会のような台詞で……)
「ナ、ナッキー?俺、何か怒らせた?」
「いいから黙ってオレの話を聞け」
「うん、え?、あ、はい……」
(あれ?理久の顔が真っ赤になってる。耳まで赤いぞ?)
「理久、オレは今日、おまえへの想いを全て打ち明ける決意でここに来た」
「はい……」
理久の身体から力が抜けていくのが伝わった。そしてオレの目をじっと見詰めている。
(ややっ!瞳が不自然にキラキラと輝いている!こいつ、まさかの涙目か?!
それに何だ?はい……って、
そんな鼻から抜けるような素直な返事、オレは今まで聞いたことがないぞ?!)
理久の呼吸が早い。唇が半開きになっている──。
(もしかしてこれ、正解なのか?とにかくこの勢いで畳み込もう)
「オレはこの見た目だから、小さい頃から可愛いだとか綺麗だとか、ずっと女の子みたいだとか言われて生きて来た」
(このへんは本音だ。芝居じゃない)
「その度にオレは不愉快でずっとずっと嫌だった。こんな事を打ち明けるのは初めてだけど、オレの小学校から中学校までの黒歴史。
不本意なアダ名が……姫だった」
(ああ、本当はこのあだ名、知られたくなかった~)
「初恋が小学校の先生で、父親がいないからなのかなぁ?とか思って、ずっと年上の人ばかりを追い掛けていたけど何か違って、結局は姫扱いされるのが不愉快で」
(いけね!愚痴っぽくなって来たぞ!)
「なぁ、憶えているか?オレ達が初めて会った時のこと」
(あれ?これは借りたビデオにも有った台詞だな)
「もちろん覚えてるよ♡
俺が初めて Blue night へ行った時、ナッキーはルカって名乗ってた……♡♡」
(ややっ!こいつ、うっとりした顔で嬉しそうに答えてるぞ!それに何だ?この甘えた口調は……)
「そう……あの時オレ、おまえ、おしろい塗ってるのか?って聞いたら、なにも塗ってないよって、オレに顔を近付けただろ?
おまえの黒い瞳が大きくなって、オレの目を見てニコリと笑った」
「え?そんなだっけ?」
って、理久は恥ずかしそうに目を逸らし、頬を染めて微笑んだ。
(うん、明らかに顔つきがいつもと違う。こんなにはにかんだ理久の顔、オレは見た事がないぞ)
「オレ、あの時ハッとした。そしてはっきりと分かったんだ」
「な、何がでしょうか?」
「あ、こいつ!……こいつこそがオレの姫なんだって……!」
言った~!言ってしまった~!
いいのか言って?!
こんな非常識な台詞を、本当に言っていいのか~!
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