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第19章 スピンオフ・夏生物語「今明かされる夏生の愛と苦悩の真実」って、おい理久ふざけんな!オレのこと勝手に書くなよ!SP
No,254 夏生、日々悶々とす
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「そうなんだ。何だか思っていた感じと随分違って、大人の人達に幻滅していたところに理久が現れた。
だからね、理久に想定外のドキドキを感じさせられてね、オレ……理久を(意識するようになったんだ)」
って──オレ、この時とばかりに気持ちを伝えた………つもりになっていた。
でも、オレの口下手なモゴモゴが理久にはよく聞き取れなかったみたい──。
「……てか、ナッキーさっきから(オレ)になってるよね。
本来は自分のこと(オレ)って言ってた?」
「……あれ、そうか?オレ、あ、(オレ)って言ってた?本当だ。
理久が同じ鷹岡だからかなぁ?」
「そうだよね!俺も本来は(俺)だよ?鷹岡では(僕)なんて子供か、それか余程かしこまった時にしか言わないよ」
「そうだね、東京来て(僕)なんてかしこまってた……って、理久にまたはぐらかされちゃった」
「え?なにが?」
「もういいよ」
今に始まった事じゃない。
オレは事有るごとに(好き)をアピールしてるのに、理久は全くうわの空だ。
(オレのモジモジがダメなのかな?もっとはっきり言わなくちゃ鈍感な理久には伝わらない……)
──そしてオレ達の会話は続く。
※──────────※
何だか時を忘れて話しまくってるうち、すっかり暗くなってた。
もちろんメインのクラシックの話も沢山したし、オレ達の距離はすごく縮まった。
電話番号も交換した。
──その日は一緒に夕食を楽しんで、理久が駅まで送ってくれた。
オレ達はそこから、掛け替えのない「友達付き合い」が始まった。
この日の事を、後に理久がこう言った。
「ナッキーの事を誤解してたなって、あの時思ったよ。
すぐに赤くなるのは怒っているんじゃなくて、恥ずかしがりやなのかも知れないなって。
口を尖らすのもそう。
目をそらすのもそう。
そう気が付いたらナッキーの全てが可愛くなったよ」
──って、そんなキザなセリフをさらりと言えるのが、これもまた姫たる由縁だな。
オレはその頃はまだ
(理久がオレの事を好きになってくれたらいいのにな~)
なんて夢のような事を望んでいた。
奇跡につぐ奇跡で舞い上がっていたけど──そこから先はそう上手くは行かないって、オレは早々に現実を知る事になる。
理久にとってオレはタイプじゃないみたい。オレの片想いはまだまだこれからも続くんだな──。
恥ずかしがってる場合じゃない。はにかんでいても、理久の方からは来てくれない。
オレの方からガンガン行かなくちゃ、きっと進展はないんだな。理久はいつも、キョトンとおすまししているだけなんだから──。
※──────────※
とある奇跡的な巡り合わせで理久と一気に親しくなれた。でも、それはあくまで友情だった。
理久にとって、オレは決して恋人に発展するタイプではないらしい。
取り敢えず亮ちゃんとか言う恋人とは破局したようだけれど、理久は未だに未練がある様子だった。
オレは、理久が立ち直るまで待っていなければならないかな?と思っていたのに、あれ?いつの間にかサークルの後輩が好きだと言い出した。
「サトシ、サトシ」って耳障りなくらい騒いでいるから、オレは気になってどんな奴かあれこれ聞いた。
「あ、飲み会の時の写真があるよ♪見る?」って言うから見せて貰うと、 なるほど、理久は確かに面食いではないらしい。
いや、それどころかオレから見たら、サトシのどこが良いのか?まるで分からない。
(え~っ、オレの方が可愛いんじゃね?)と思っても、オレの容姿なんて理久に対しては何の効力も期待出来ない。
そのうち色々と不可解な事実が明らかになって、理久のサトシ熱はようやく治まったようだけれど、だからと言ってオレのところで落ち着く事はやはりなかった。
今度はゴリゴリの体育会系に力ずくで押し倒されて、こりゃ手も足も出ないわ~と嘆いていたら、同時期に東宝劇場からまで変な奴を引っ掛けてきた。
浩一と隼人だ。
理久は二股を掛けるような精力は持ち合わせていないらしいけど、要するに優柔不断で八方美人が災いしている。
理久は何かとオレに相談して来るけど、つまりオレの気持ちなんて関係ないんだ。
(オレは、どう頑張ったって浩一や隼人にはなれない……)
だからね、理久に想定外のドキドキを感じさせられてね、オレ……理久を(意識するようになったんだ)」
って──オレ、この時とばかりに気持ちを伝えた………つもりになっていた。
でも、オレの口下手なモゴモゴが理久にはよく聞き取れなかったみたい──。
「……てか、ナッキーさっきから(オレ)になってるよね。
本来は自分のこと(オレ)って言ってた?」
「……あれ、そうか?オレ、あ、(オレ)って言ってた?本当だ。
理久が同じ鷹岡だからかなぁ?」
「そうだよね!俺も本来は(俺)だよ?鷹岡では(僕)なんて子供か、それか余程かしこまった時にしか言わないよ」
「そうだね、東京来て(僕)なんてかしこまってた……って、理久にまたはぐらかされちゃった」
「え?なにが?」
「もういいよ」
今に始まった事じゃない。
オレは事有るごとに(好き)をアピールしてるのに、理久は全くうわの空だ。
(オレのモジモジがダメなのかな?もっとはっきり言わなくちゃ鈍感な理久には伝わらない……)
──そしてオレ達の会話は続く。
※──────────※
何だか時を忘れて話しまくってるうち、すっかり暗くなってた。
もちろんメインのクラシックの話も沢山したし、オレ達の距離はすごく縮まった。
電話番号も交換した。
──その日は一緒に夕食を楽しんで、理久が駅まで送ってくれた。
オレ達はそこから、掛け替えのない「友達付き合い」が始まった。
この日の事を、後に理久がこう言った。
「ナッキーの事を誤解してたなって、あの時思ったよ。
すぐに赤くなるのは怒っているんじゃなくて、恥ずかしがりやなのかも知れないなって。
口を尖らすのもそう。
目をそらすのもそう。
そう気が付いたらナッキーの全てが可愛くなったよ」
──って、そんなキザなセリフをさらりと言えるのが、これもまた姫たる由縁だな。
オレはその頃はまだ
(理久がオレの事を好きになってくれたらいいのにな~)
なんて夢のような事を望んでいた。
奇跡につぐ奇跡で舞い上がっていたけど──そこから先はそう上手くは行かないって、オレは早々に現実を知る事になる。
理久にとってオレはタイプじゃないみたい。オレの片想いはまだまだこれからも続くんだな──。
恥ずかしがってる場合じゃない。はにかんでいても、理久の方からは来てくれない。
オレの方からガンガン行かなくちゃ、きっと進展はないんだな。理久はいつも、キョトンとおすまししているだけなんだから──。
※──────────※
とある奇跡的な巡り合わせで理久と一気に親しくなれた。でも、それはあくまで友情だった。
理久にとって、オレは決して恋人に発展するタイプではないらしい。
取り敢えず亮ちゃんとか言う恋人とは破局したようだけれど、理久は未だに未練がある様子だった。
オレは、理久が立ち直るまで待っていなければならないかな?と思っていたのに、あれ?いつの間にかサークルの後輩が好きだと言い出した。
「サトシ、サトシ」って耳障りなくらい騒いでいるから、オレは気になってどんな奴かあれこれ聞いた。
「あ、飲み会の時の写真があるよ♪見る?」って言うから見せて貰うと、 なるほど、理久は確かに面食いではないらしい。
いや、それどころかオレから見たら、サトシのどこが良いのか?まるで分からない。
(え~っ、オレの方が可愛いんじゃね?)と思っても、オレの容姿なんて理久に対しては何の効力も期待出来ない。
そのうち色々と不可解な事実が明らかになって、理久のサトシ熱はようやく治まったようだけれど、だからと言ってオレのところで落ち着く事はやはりなかった。
今度はゴリゴリの体育会系に力ずくで押し倒されて、こりゃ手も足も出ないわ~と嘆いていたら、同時期に東宝劇場からまで変な奴を引っ掛けてきた。
浩一と隼人だ。
理久は二股を掛けるような精力は持ち合わせていないらしいけど、要するに優柔不断で八方美人が災いしている。
理久は何かとオレに相談して来るけど、つまりオレの気持ちなんて関係ないんだ。
(オレは、どう頑張ったって浩一や隼人にはなれない……)
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