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第14章恋は二つに分けられない

No,153 楽しいデートって?②

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 ナッキーがしたり顔で俺をいじりだした。
「そうか~理久は動物好きだから、だから男も珍獣みたいなのばっかり集まってくるのか~」
「ええっ?珍獣って?」

「ほら、亮ちゃんは信楽焼の狸みたいな顔してるし、今はごついラグビー・ゴリラと、あとは通年お○ん○ん固くしてるサカリの付いたワンコ?」
「あ、そりゃひどいな、でもそれで言ったらタッチは頬袋にドングリ詰め込んだリスで、ナッキーは首の細いシャム猫かな?うんうん、俺は確かに動物好き」

 ケンちゃんが口をはさむ。
「ナッキーは案外、猫って言うより虎じゃない?」

 三人爆笑!

「ナッキー、おぼえてる?行川なめがわアイランドの……」

 二人同時に
理「ほろほろ鳥の空中パレードショー!!」
ナ「ほろほろ鳥の空中パレードショー!!」

「あれ傑作!笑ったよね!」
「急斜面から大勢のほろほろ鳥を突き落としてるだけだし!」
 二人で顔見合わせて大笑い!

本気まじで、ちょっと待った!」
 とケンちゃん。
「ホントに二人でありとあらゆる所へ出掛けてるんだね。そんなじゃ二人とも、彼氏とデートなんてしてる暇なかったんじゃない?」

 俺はフッと冷静に思った。
「確かにね、どこ行くんでもナッキーと一緒が一番楽しいかも。亮ちゃんなんて究極の出無精だったし、いま付き合ってる浩一なんて、うち来てやることやって帰るだけだし、隼人だって、彼女がいるって……」
「うん、そうだね。オレも理久と一緒が一番気楽。無理に彼氏と出掛けなくてもいいかも知れない……」

 ケンちゃんが、一呼吸おいてゆっくりと語った。
「と言うことは、いっそこのまま、二人でデートを続けた方がいいんじゃない?つまり……」

「そうだよね。恋人と付き合うって決して楽しい事ばかりじゃないから、我慢するところはしなくちゃね」
 と俺はしみじみ語った。それを受けてナッキーも──
「オレも、あなたに任せますって、素直におしとやかにしておくよ。楽しい事は理久と一緒用にとっておいて、彼氏の前では静かにおとなしくってのが、長続きする秘訣かもね……」
「うんうん」

 ケンちゃんがカウンターの向こうでため息を吐いた。
「いやいやそうじゃなくて、理久とナッキー、君らが一番相性いいと思うんだけどな」

理「え?」
ナ「え?」
──と俺らは声を合わせ、二人揃ってケンちゃんを見た。

「確か去年の春先くらいだったかな?突然二人、当たり前に理久、ナッキーって本名を呼び合うようになったよね?
あの時てっきり、僕は二人がそう言う仲になったのかな?って思ったんだけどな」

 二人同時に
理「付き合ってはいない」
ナ「付き合ってはいない」
 さらに
「それにナッキーって本名じゃないし」
 と夏生なつきがダメ押し。

「おたくらホントに……まあいいや、もう余計な事は言わないよ」
 ってケンちゃんは苦笑い。


「でもね、確かにオレは……理久が望むなら※.:*:でも.:*:・でも構わないんだけど」
 って、ナッキーはポッと頬を赤らめた。
「え?なに?またなんかモゴモゴ言ってる。ナッキーこの頃それ多いぞ?」

「うん、だからね、要するに理久は次々と変なのばっか引っ掛けて来るだろう?隼人だか何だか知らないけどさ、あんなお○ん○ん固くするだけが特技みたいな奴!浩一だけでも持て余してるのにあんなサカリの付いたワンコみたいなのと二股掛けてたら、オレとデートする時間なんて無いだろ!」
「おいおい、お○ん○ん固いの話、2回目だぞ?よっぽど気に食わないんだな。なるほどそれでプンプンしてるか。大丈夫!今後何人恋人を作ってもナッキーは特別枠だから」

「え?もっと男を増やす気?冗談に聞こえないよ?かる鴨の行列か!」
「うそだよ、うそ!いや真面目な話、俺にはとても二股掛けるようなバイタリティは無いから、こりゃ何とかしなくちゃとは思ってる」
「面倒だからいっそ二人とも切っちゃえば?そしたら、このナッキーちゃんが※.:*:'して※.:*:して.:*:・'☆してあげる」

「あ、ナッキー!俺、大変なこと思い出した!ディズニーランドのパレード、新しくなる前にもう一回今のやつ観とこうって話してたよね?もう来週までだよ!いつにする?」
「本当だ!うっかり観ないちゃうところだった!いつにしよ?」


 こうしてフラッシュの夜はふける。

 楽しいね♪ナッキー☆

( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆


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