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第10章 偶然で幸運な巡り合せ
No,113 うぬぼれた二人の夜
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【これは大学3年のお話】
文通欄を通した奇跡的な再会を経て「ルカとキノちゃん」だった俺達の関係は「ナッキーと理久」に進化した。
この進化は大きかった。
単なる行き付けの店の「常連客同士」の関係から一気に「親友」と言っても良い関係に昇格した。
そう、「親友」と言うならヅカ友タッチとの仲の方がキャリアは長い。でも、俺にとってナッキーはタッチとは初めから何かが違っていた。
タッチとはそれこそ濃厚な宝塚マニア同士だったけれど、ナッキーは何ていうか、そうだな、年下で可愛いし、恋人ではないんだけど一緒にいていちゃいちゃするのが楽しい。
ん?いちゃいちゃ?
うん、不思議な関係──。
これはナッキーからの誘いを受けて出掛けた、横浜でのクラシック・コンサートの帰りの出来事。
コンサートの終了後──その余韻もあって少し海辺を散歩しようか?となり、デートの名所として定番の山下公園へとやって来た。
時まさにカップルだらけの21時。
俺もナッキーも人目なんかはお構い無しの性格だ。
なんなら俺らの方が熱々だよ♪みたいなノリノリで、イチャコラと氷川丸の前を歩いていた。
(注、付き合ってはいない→俺達はあくまでも友達同士)
「あの~ちょっといいですか?」
「え?」
振り返ると中々いい感じの女の子が二人。
「私達も二人なんですけど、一緒に飲みませんか?」
って、おいおい、逆ナンかよ?!
俺達ゲイなんだけど、なんか悪い気はしない。
もしかしたら勇気を振り絞って声を掛けてくれたのかも知れない。だったら、ちょっとくらいは付き合ってあげてもいいのかな?
──なんて俺は思ってナッキーを見ると、マジで不愉快な顔をしている。
「あのね、オレ達やっと二人きりになれたんだ。邪魔しないで欲しいんだけど!」
って、おいお~い。
いきなり女の子にケンカ売るのかよナッキー!
「え?うそ……あんた達ホンマもんのオカマ?」
「やだ!マジ信じられな~い!」
ってすごすご退散してくれた。
それにしても……。
「ナッキーちゃ~ん。あんな言い方しなくても~」
「だって理久、なんか鼻の下伸びてたぞ!少しぐらいなら付き合ってやろうか?なんて思ってただろ!せっかく二人でブルー・ライト・ヨコハマなのに~!」
(あれ?ばれてた?スルーだスルー!)
「ええっ?でも彼女らのお目当てはナッキーだろうが?なんてったって美少年あがりの美青年だし」
「違うよ、理久だよ!背、高いし手足長いし、色も白いから」
「色白なんてモテないよ!この頃は焼いてるのが流行りなんだぜ?ナッキーこそ流行りの小顔だよ、シルエットからして美形だしね」
「いやいや理久だってば!この頃いい具合に大人っぽくなってきて、なんかすげーカッコいいよぉ!」
「うそうそ!ナッキーの方が絶対にハンサムだし!女の子なんてイチコロだ!」
「理久の方が絶対クールだって!なんかこの頃、男前すぎてキラキラしてる!」
「いやいやナッキーでしょうよ!モデル事務所が放っとかないって!もう、可愛くってレロレロもんだよ♪」
──って、
その勢いで blue night までいちゃこらと二人でやって来ちゃった。
俺達の話を聞いて、カウンターの向こうでケンちゃんが苦笑いしている。
「で、そうやって互いに誉め合いながらイチヤコラとノンキに二丁目までやって来たわけ?うぬぼれもここまでだと、ホント頭ん中お花畑だよね~」
とため息を吐かれた。
「これだから二丁目しか知らないゲイの世間知らずは困りもんだな。あのねぇそれ、キャッチングされてるだけだから」
二人揃って「え?何それ?」
「つまりだね、その子達の誘いに乗ってまんまとぼったくりバーに連れ込まれて、ヘネシーだのフルーツ盛合せだの注文されて、しまいにゃ恐~いお兄さんに何十万円って請求書出されるの!」
二人揃って「ええ~っ!!」
「あのねぇ、ここ二丁目は日本一良心的なお店が集まってる街なんだよ?よそは違うからね?気を付けないと、恐いからね~!」
コンサートの余韻も今飲んでるアルコールも一気に醒めた。
「そうだったんだ。ゲイの俺でさえ、ちょっとは付き合ってあげようかなんて思ったんだから、これノンケだったらひとたまりもないな……」
「ああ~っ!やっぱり理久、鼻の下伸ばしてた~!」
──なんて大騒ぎで結局そのまま始発帰りになってしまった。
まあ、日曜日だからいいけど♪
(注、しつこいけど、付き合ってはいない)
文通欄を通した奇跡的な再会を経て「ルカとキノちゃん」だった俺達の関係は「ナッキーと理久」に進化した。
この進化は大きかった。
単なる行き付けの店の「常連客同士」の関係から一気に「親友」と言っても良い関係に昇格した。
そう、「親友」と言うならヅカ友タッチとの仲の方がキャリアは長い。でも、俺にとってナッキーはタッチとは初めから何かが違っていた。
タッチとはそれこそ濃厚な宝塚マニア同士だったけれど、ナッキーは何ていうか、そうだな、年下で可愛いし、恋人ではないんだけど一緒にいていちゃいちゃするのが楽しい。
ん?いちゃいちゃ?
うん、不思議な関係──。
これはナッキーからの誘いを受けて出掛けた、横浜でのクラシック・コンサートの帰りの出来事。
コンサートの終了後──その余韻もあって少し海辺を散歩しようか?となり、デートの名所として定番の山下公園へとやって来た。
時まさにカップルだらけの21時。
俺もナッキーも人目なんかはお構い無しの性格だ。
なんなら俺らの方が熱々だよ♪みたいなノリノリで、イチャコラと氷川丸の前を歩いていた。
(注、付き合ってはいない→俺達はあくまでも友達同士)
「あの~ちょっといいですか?」
「え?」
振り返ると中々いい感じの女の子が二人。
「私達も二人なんですけど、一緒に飲みませんか?」
って、おいおい、逆ナンかよ?!
俺達ゲイなんだけど、なんか悪い気はしない。
もしかしたら勇気を振り絞って声を掛けてくれたのかも知れない。だったら、ちょっとくらいは付き合ってあげてもいいのかな?
──なんて俺は思ってナッキーを見ると、マジで不愉快な顔をしている。
「あのね、オレ達やっと二人きりになれたんだ。邪魔しないで欲しいんだけど!」
って、おいお~い。
いきなり女の子にケンカ売るのかよナッキー!
「え?うそ……あんた達ホンマもんのオカマ?」
「やだ!マジ信じられな~い!」
ってすごすご退散してくれた。
それにしても……。
「ナッキーちゃ~ん。あんな言い方しなくても~」
「だって理久、なんか鼻の下伸びてたぞ!少しぐらいなら付き合ってやろうか?なんて思ってただろ!せっかく二人でブルー・ライト・ヨコハマなのに~!」
(あれ?ばれてた?スルーだスルー!)
「ええっ?でも彼女らのお目当てはナッキーだろうが?なんてったって美少年あがりの美青年だし」
「違うよ、理久だよ!背、高いし手足長いし、色も白いから」
「色白なんてモテないよ!この頃は焼いてるのが流行りなんだぜ?ナッキーこそ流行りの小顔だよ、シルエットからして美形だしね」
「いやいや理久だってば!この頃いい具合に大人っぽくなってきて、なんかすげーカッコいいよぉ!」
「うそうそ!ナッキーの方が絶対にハンサムだし!女の子なんてイチコロだ!」
「理久の方が絶対クールだって!なんかこの頃、男前すぎてキラキラしてる!」
「いやいやナッキーでしょうよ!モデル事務所が放っとかないって!もう、可愛くってレロレロもんだよ♪」
──って、
その勢いで blue night までいちゃこらと二人でやって来ちゃった。
俺達の話を聞いて、カウンターの向こうでケンちゃんが苦笑いしている。
「で、そうやって互いに誉め合いながらイチヤコラとノンキに二丁目までやって来たわけ?うぬぼれもここまでだと、ホント頭ん中お花畑だよね~」
とため息を吐かれた。
「これだから二丁目しか知らないゲイの世間知らずは困りもんだな。あのねぇそれ、キャッチングされてるだけだから」
二人揃って「え?何それ?」
「つまりだね、その子達の誘いに乗ってまんまとぼったくりバーに連れ込まれて、ヘネシーだのフルーツ盛合せだの注文されて、しまいにゃ恐~いお兄さんに何十万円って請求書出されるの!」
二人揃って「ええ~っ!!」
「あのねぇ、ここ二丁目は日本一良心的なお店が集まってる街なんだよ?よそは違うからね?気を付けないと、恐いからね~!」
コンサートの余韻も今飲んでるアルコールも一気に醒めた。
「そうだったんだ。ゲイの俺でさえ、ちょっとは付き合ってあげようかなんて思ったんだから、これノンケだったらひとたまりもないな……」
「ああ~っ!やっぱり理久、鼻の下伸ばしてた~!」
──なんて大騒ぎで結局そのまま始発帰りになってしまった。
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