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第8章 ヅカ友タッチと長い夜
No,98 二丁目はまだ早いかな?
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【これは大学2年のお話】
突然タッチが聞いて来た。
「理久は、二丁目には行かないの?」
そう来たか!
東京に住む以上、いつかはそこに触れると思ってた。
「うん。新宿二丁目がそう言う街だって知ってるけど、僕にはこれまで必要なかった。去年上京して、直ぐに亮ちゃんと付き合い始めたからね」
それより俄然、タッチの事に興味が湧く。
「タッチは行くの?」
「僕もあんまり得意じゃないよ。人見知りだしね。でも、今の彼とは二丁目の店で知り合ったんだ」
「そうなんだ」
「うん。二丁目って言っても色々な店があるんだよ?僕もあまり知らないけど」
「恐くない?」
「恐くないよ?同じ新宿なら、歌舞伎町とかゴールデン街とかの方がよっぽど恐いと思う。
てか、金髪で真っ白のロングコート羽織ってる理久の方がよっぽど恐く見えると思うけど?」
「ああ、そりゃそうかもね。でも日比谷だけだよ?あの格好で歌舞伎町なんて行ったら、怖いホストのお兄さんからガンつけられそうって分かってる」
「だよね!」
何て言って笑ってた。
※──────────※
実はタッチも、ゲイ雑誌から扉を開けたのが始まりだった。
──高校3年の時だったって。
偶然それを見付けてしまったタッチは、それを知らなかった自分に後戻りする事が出来ず、書店の雑誌売場に通う事になってしまった。
欲しいけど恥ずかしくて買えない。今日こそ買おうと思ったのに、やっぱり買えない。そして翌日もまたやって来る。
──そんなことの繰り返しを、周りが放っておかないのを僕は知ってる。
(案外どこも一緒なんだな)
と思った。
ただ、タッチに声を掛けてきたのは同年代の若者だった。話してみると同じ高校3年のタメだと言う。
「へぇ~その子とはどうなったの?」
「うん、今でも友達してるよ?もう3年目になる。彼は大学には行かず働いてるんだ。宝塚なんて全然興味がないから理久に紹介する機会はないけど、そもそも二丁目にはその子に連れて行ってもらったのが始まりなんだ。でも、それは大学生になってからだよ」
案外、新宿二丁目の店は若い子に優しい。
一般のバーだと金の無い若者なんて邪険にされるし、キャバクラなんかでは売上にならない若者はお店の女の子にも相手にされない。
でも新宿二丁目のお店は若い子の将来を見る。今は学生でお金がなくても、あるいは未成年でアルコールが飲めなくても、いずれ成人すれば立派な固定客になるわけだ。
それに若い子が多いと店内が華やぐ。当時の一般ディスコ等で女子の料金が安いのと同じだ。
「それで、その子に連れて行ってもらったお店がとても親切で、ソフトドリンクで居させてくれるんだ。カウンターのお兄さんとも仲好くなって、それで時々行ってるうち今の彼と知り合って……」
──と言う話だった。
「うん、二丁目はいつかは行ってみたいとは思っていたけど、今はそのお金をチケットに回したい。バイトはしてるけど貧乏だから」
それは僕の本心だった。
亮ちゃんと楽しく付き合っている。他に出会いを求める気は無い。
「そうだね。無理して行く所じゃないよね。僕も彼氏が出来てからは殆ど行ってないよ」
とタッチもうなずく。
「それよりもう直ぐ亮ちゃんと付き合い始めて一年目の記念日なんだ。ホントはお祝いにどこかで外食したいんだけど、亮ちゃんは出無精だから、僕が何か用意しなくちゃなんだよなぁ」
「うわっ。理久の手作り料理でお祝いって、相変わらず仲良しだよねぇ~」
なんて言っていたのに……
先の事は分からない。
一寸先は闇って?
あ~あ、人生って儘ならない──。
突然タッチが聞いて来た。
「理久は、二丁目には行かないの?」
そう来たか!
東京に住む以上、いつかはそこに触れると思ってた。
「うん。新宿二丁目がそう言う街だって知ってるけど、僕にはこれまで必要なかった。去年上京して、直ぐに亮ちゃんと付き合い始めたからね」
それより俄然、タッチの事に興味が湧く。
「タッチは行くの?」
「僕もあんまり得意じゃないよ。人見知りだしね。でも、今の彼とは二丁目の店で知り合ったんだ」
「そうなんだ」
「うん。二丁目って言っても色々な店があるんだよ?僕もあまり知らないけど」
「恐くない?」
「恐くないよ?同じ新宿なら、歌舞伎町とかゴールデン街とかの方がよっぽど恐いと思う。
てか、金髪で真っ白のロングコート羽織ってる理久の方がよっぽど恐く見えると思うけど?」
「ああ、そりゃそうかもね。でも日比谷だけだよ?あの格好で歌舞伎町なんて行ったら、怖いホストのお兄さんからガンつけられそうって分かってる」
「だよね!」
何て言って笑ってた。
※──────────※
実はタッチも、ゲイ雑誌から扉を開けたのが始まりだった。
──高校3年の時だったって。
偶然それを見付けてしまったタッチは、それを知らなかった自分に後戻りする事が出来ず、書店の雑誌売場に通う事になってしまった。
欲しいけど恥ずかしくて買えない。今日こそ買おうと思ったのに、やっぱり買えない。そして翌日もまたやって来る。
──そんなことの繰り返しを、周りが放っておかないのを僕は知ってる。
(案外どこも一緒なんだな)
と思った。
ただ、タッチに声を掛けてきたのは同年代の若者だった。話してみると同じ高校3年のタメだと言う。
「へぇ~その子とはどうなったの?」
「うん、今でも友達してるよ?もう3年目になる。彼は大学には行かず働いてるんだ。宝塚なんて全然興味がないから理久に紹介する機会はないけど、そもそも二丁目にはその子に連れて行ってもらったのが始まりなんだ。でも、それは大学生になってからだよ」
案外、新宿二丁目の店は若い子に優しい。
一般のバーだと金の無い若者なんて邪険にされるし、キャバクラなんかでは売上にならない若者はお店の女の子にも相手にされない。
でも新宿二丁目のお店は若い子の将来を見る。今は学生でお金がなくても、あるいは未成年でアルコールが飲めなくても、いずれ成人すれば立派な固定客になるわけだ。
それに若い子が多いと店内が華やぐ。当時の一般ディスコ等で女子の料金が安いのと同じだ。
「それで、その子に連れて行ってもらったお店がとても親切で、ソフトドリンクで居させてくれるんだ。カウンターのお兄さんとも仲好くなって、それで時々行ってるうち今の彼と知り合って……」
──と言う話だった。
「うん、二丁目はいつかは行ってみたいとは思っていたけど、今はそのお金をチケットに回したい。バイトはしてるけど貧乏だから」
それは僕の本心だった。
亮ちゃんと楽しく付き合っている。他に出会いを求める気は無い。
「そうだね。無理して行く所じゃないよね。僕も彼氏が出来てからは殆ど行ってないよ」
とタッチもうなずく。
「それよりもう直ぐ亮ちゃんと付き合い始めて一年目の記念日なんだ。ホントはお祝いにどこかで外食したいんだけど、亮ちゃんは出無精だから、僕が何か用意しなくちゃなんだよなぁ」
「うわっ。理久の手作り料理でお祝いって、相変わらず仲良しだよねぇ~」
なんて言っていたのに……
先の事は分からない。
一寸先は闇って?
あ~あ、人生って儘ならない──。
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