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第2章 思春期男子の性と生理

No,22 性教育は女性誌から

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【これは小学校5年のお話】

「私小説とは恥をさらす事」と何かで読んだ記憶がある。僕もここで、あからさまに自分の体験を語ろうと覚悟している。

 三島由紀夫は「仮面の告白」の中で、自らの性的指向を精通を通して表現し、その文学性を疑う声を聞いた事がない。
 僕がその昭和の文豪と同様の物を書こうと試みる事は、その発想自体があまりにも愚かで身の程知らずと言うべきではあるが、せめてワイセツなポルノ紛いにだけはならないように意識したい。
 でもそれを判断するのは僕ではなく、これを読むみなさんである。困難なページだ。

 古今東西、男性にとってポルノは必須である。それが女性にとっても必要なものなのかどうか、男性である僕には計り知れない。
 ただその性質が、僕が思春期を迎えた頃と現在ではあまりにも違いすぎる。

 当時はまだ街の片隅に「ピンク映画館」などと言われる建物があり、小学生の通学路にも露骨なタイトルの映画広告が当然のように掲示されていた。何の配慮もない乱暴な時代である。
 僕達はその掲示に気付いていながら知らない振りをし、伏せ目がちにそそくさと通り過ぎたものだ。

 逆に言えば当時は成人し、あえてそうした施設に足を運ばなければ、多少エッチな映画すら観る事が出来ない世の中だった。
「多少」と言うのは「それ程でもない」と言う意味だ。
 現在のネット社会においては誰彼構わず、クリックひとつであらゆる性的指向に合わせたポルノが自宅で簡単気軽に観覧できる。
──が、ここはその善し悪しを語る場ではない。確実に言えるのは僕自身の記憶と経験。

 僕は小学5年生。
 思春期を向かえ、人並みに性に対しても興味津々の年頃だった。

 当時の僕の「性知識」の仕入れ先は、いわゆる「エロ本」と言われる類いのものでもなければ同級生との会話でもなかった。
 エロ本と言われる成人向けの物との接触には未だ年端もいかなかったし、5年生では回りの同級生も幼かった。

 実はそれは「女性週刊紙」だった。
 意外に思う方も多かろうが、当時の女性週刊紙の読者は、ある意味、今よりずっと清純だった。
 記事は「男性の生理を知る」とか「結婚後の性生活」とか「避妊による家族計画」とか、今だったら到底ネタになる筈もない、初歩の性教育が真面目に数多く特集されていた。
 ある程度の年齢の方なら「ドクトル・チエコ」なる名前にご記憶があるかも知れない。当時一世を風靡していた「愛と性の評論家」で、多くの女性誌に相談コーナー等を連載していた。多くの著書も残している。

 先にも書いたけれど、当時の読者層がうぶで性知識に乏しい人が多かったからこそ成り立つ企画だ。
 当時はネット等も皆無の時代だから、ことさら避妊法などの知識は、女性の自己防衛には必要な知識だったのだと思う。

──で、少年理久はそう言った多くの清純な女性読者と共に、女性週刊紙で性教育を受けているような状態だった。


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