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モノローグ ⑭

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──潮風の届く丘にて

 愛には色々な形があるんだね。僕はあの時、初めて気付いた。

 自分のために愛する気持ち。
 相手のために愛する気持ち。
ほんの些細な切り替えひとつで、人は安らぎを得られるものだね。

 君のためにと思えたからこそ、僕は素直に送り出せたよ。
──君がそれを望むのだから。

 君のためにと思えたからこそ、僕は悠久の慈愛に気付いた。
──君が夢を叶えるのだから。

 君は彼女と暮らし始めた。
 僕が二人にそれを勧めた。

 そりゃ色々難しかった。
 音大生は部屋代が掛かる。
僕なんてアパートで十分だった。
でも和志にはピアノがある。防音も大事だし床の強度も大切だ。
 僕が手軽に出て行った後、一人であのマンションを維持して行けるか──。
 問題は山積みだったけど、そこは何とか乗り越えた。

 不思議だね。
──愛する君が選んだ彼女。
 僕もやっぱり彼女を選んだ。

 あれから僕達、三人になった。
──君の思い出に彼女が加わり、徐々に強まる不思議な関係──。

 安らぎの時が三人を包み、僕は君を愛し続けた──彼女をも含めた、君の全てを。

──Memories  of  you

 想い出は必ず、あの日に至る。


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