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六粒目 幻灯蓮 ~『我が上の星は見えぬ』の巻~
その四 大事な務めがあるのです! 悩んでなんかいられません!
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縋るような目でわたしを見てくる男の人を、放っておくわけにもいかず、わたしは、荷物から瓶と盃を取り出し、快癒水を飲ませることにした。
「ええっと……、わたしは、旅の薬水売りで深緑と申します。あの、治宏さんですよね……。今、あなたは、かなり困ったことになっています……。とりあえず、この薬水を飲んで心を落ち着けてください」
治宏さんは、黙ってわたしから盃を受け取り、快癒水を飲み干した。
礼を言って盃を返してきたが、立ち上がる気配はなかった。
大きな溜息をついて、相変わらず座り込んでいる。
えっ? 快癒水が効かなかったのかしら? まさかね?
「す、すみません、深緑さん。いったい、何が起きたのでしょうか? なぜ、清茄は、わたしを殴っていなくなったのでしょうか?」
「ああ、何もわかっていないのですね……。ええっと、まず、あなたは、どうして蓮の葉を被って倒れていたのですか?」
「それは――、清茄と池の畔を歩いていたら、彼女が、あの蓮の花を手折って欲しいと言い出したのです。それで、蓮の花の茎を掴んだら、なぜか体が痺れて、あそこに倒れてしまいました。あの葉が頭に被さってきたことまでは覚えていますが、その後は気を失ってしまい、何があったのかさっぱりわからないのです」
蓮の花の茎を掴んだら、体が痺れた? そして、葉が顔に被さってきた?
不思議な靄もそこに浮かぶ映し絵も、蓮が見せたものということなら――。
これはもう、あの蓮こそ、次に天へ返すべき種核に間違いないわね!
わたしは、治宏さんに、彼が気を失っている間に起きたことを説明した。
もちろん、映し絵によって、彼と妹の秘密を清茄さんが知ってしまったことも……。
治宏さんは、信じられないという顔で、わたしの話を聞いていたが、話が終わる頃には、憑き物が落ちたかのようなさっぱりとした様子になり、その場に立ち上がった。
「よくわかりました。清茄にどうやって美芬のことを切り出そうかと、ずっと悩んでいたのです。そんな形で知らせることができたのなら、俺としては、むしろ助かりました」
薬水代だと言って、いくばくかの銅銭を渡し、立ち去ろうとする彼に、わたしは思わず声をかけてしまった。
「清茄さんに、謝りに行くのですか?」
「いや、もう、どうせ会ってはくれませんよ。裏切った俺を許すはずがありません。それに、その不思議な映し絵に嘘はないので、俺はこれから美芬に、姉と別れたことを知らせに行きます。もう二度と、清茄には会いません。お互いのためにも、その方がいいんです」
治宏さんは、繁華街へ向かって、すたすたと歩いて行ってしまった。
誰かが、映し絵の話でも広めたのか、蓮池の周りに人が戻りつつあった。
興味深げに、蓮の葉や蓮の花に手を伸ばそうとして、止められている人もいる。
捕吏と思われるお役人も姿を見せていた。
「ねえ、老夏。恋情とは、ずいぶんと儚いものなのですね。治宏さんと清茄さんだって、思いが通い合った時もあったでしょうに、あんなかたちで別れてしまって……」
わたしは、屋台街へ戻りながら、襟元に収まっている夏先生に話しかけた。
一度はわかったと思った恋情が、また、わからなくなってしまったわ……。
「フォッ、フォッ、フォッ、『近惚れの早飽き』と言ってな、急に高まった恋情は、あっという間に冷えてしまうものじゃ。あの治宏という男、熱しやすくて冷めやすいたちなのじゃろう。美芬とも、長続きはしないかもしれぬな……。
清茄は、上手く治宏を忘れられるといいがのう。自分が騙されていたことに気づいたのに恋情を捨てられなければ、たいそう辛いことになるからなあ……」
屋台街では、まだ、様々な芸人が出し物を披露していた。
夜は深まりつつあるが、ここは、相変わらず光と活気に溢れている。
湧き起こる拍手、楽しげな笑い声、器に放り込まれる銅銭の音――。
清茄さんの気持ちなんて、ここにいる人たちは誰一人気にしていない……。
思阿さんに会いたい……。思阿さんと話がしたい……。
突然、寄る辺ない気持ちになったわたしは、思阿さんの気配を求めるように、一座がいる辺りを目指して走った。
◇ ◇ ◇
「おはよう、深緑さん!」
「お、おはようございます……」
昨晩、宿坊を借りることができた玄姫廟の中庭で、井戸から水を汲む翼翔と出会った。
備え付けの桶に水を分けてもらって、わたしも口をすすいだり顔を洗ったりした。
「今日は、ようやく思阿さんと会えるね?」
「え、ええ……」
「何だか、元気がないね? 思阿さんと会うのは、楽しみじゃないの?」
「そ、そういうわけじゃないですけど……」
思阿さんに早く会いたいと思う、でも、会うのが怖い気もする。
思阿さんが一人で州城へ来た理由が、もし、わたしが恐れているようなことだったらどうしよう――。もう、これ以上、わたしの用心棒を続けられないと言われたら――。
よほど不安な顔をしていたのだろう。
翼翔が、わたしの手を優しく握って言った。
「ねっ、一緒に朝飯を食べに行こうよ! 夕べはお客が多くてね、思ってた以上に稼げたんだ。俺が、何でもおごってあげるよ! いっぱい食べて、元気を出しなよ!」
そのまま、翼翔に手を引かれて、一座のみんなと一緒に近くの茶館へ出かけた。
ところが、行ってみると、茶館は閉まっていて人の気配もない。
座頭が、通りかかったお婆さんに尋ねると、お婆さんは待ってましたとばかりに、張り切って語り出した。
「夕べ遅く、騒動があったんだよ! 包丁を持った女が店に乗り込んできて、店にいた若い男に切りつけたんだ。男と一緒だった女が、包丁を持った女の妹だとかで、泣いたりわめいたり、たいへんな騒ぎだったらしいよ。怪我はたいしたことなかったようだけど、店の中はぐちゃぐちゃになっちまった。女は、捕吏に連れて行かれたよ。まあ、二股かけた男が、女の恨みを買ったってとこだろうね。どっちもどっちさ!」
清茄さんだ! 清茄さんが、美芬さんに会っていた治宏さんに切りつけたんだ!
なんて、恐ろしい! きっと、あの映し絵のせいね!
治宏さんが、きちんと別れ話もせずに、あの映し絵まかせにしてしまったから――。
わたしの胸に、蓮への怒りがこみ上げてきた。
自分の務めを思い出すのよ、深緑! 自分のことで、いつまでも思い悩んでいる場合じゃないわ!
早くあの蓮の種核を、天へ戻してやらなくては!
放っておけば、また、映し絵に惑わされる人が出てくるかもしれない!
わたしは、近くにあった料理屋に、みんなを連れて行き、一座の人数分の饅頭と粥を注文した。自分の分は、饅頭二個と粥二杯、それから粽を一つと揚げ菓子も頼んだ。
わたしは、猛然と食べ物を口に運んだ。
食べれば食べるほど、自分の中に新しい力が湧いてくるのを感じた。
同行させてくれたお礼ですと言って、一座の分もわたしが支払いを済ませた。
「ごちそうさま! やっと、深緑さんらしくなったね! もりもり食べて、元気が出たみたいだね」
「心配してくれてありがとう、翼翔。もう、大丈夫です。今日は、『水嬉』を披露してわたしも稼ぎますよ! 見ててください!」
荷物をまとめ玄姫廟を後にすると、わたしたちは昨晩と同じ場所へ向かった。
まだ、開いている屋台は少なかったが、芸人たちは集まり始めていた。
敷物を広げ、水を張ったたらいを前に置いて座る。
「お待たせしました、老夏! いよいよ出番ですよ!」
わたしが声をかけると、虫籠の蓋が開いて、夏先生が顔を出した。
夏先生が、たらいの中へ身を躍らせゆっくり泳ぎ始めると、周囲にいた芸人たちが、物珍しそうに集まってきた。
「水嬉」は好評で、座頭も驚くほどの数の客と銅銭を集めた。
しかし、昼を迎えても、思阿さんが姿を見せることはなかった――。
「ええっと……、わたしは、旅の薬水売りで深緑と申します。あの、治宏さんですよね……。今、あなたは、かなり困ったことになっています……。とりあえず、この薬水を飲んで心を落ち着けてください」
治宏さんは、黙ってわたしから盃を受け取り、快癒水を飲み干した。
礼を言って盃を返してきたが、立ち上がる気配はなかった。
大きな溜息をついて、相変わらず座り込んでいる。
えっ? 快癒水が効かなかったのかしら? まさかね?
「す、すみません、深緑さん。いったい、何が起きたのでしょうか? なぜ、清茄は、わたしを殴っていなくなったのでしょうか?」
「ああ、何もわかっていないのですね……。ええっと、まず、あなたは、どうして蓮の葉を被って倒れていたのですか?」
「それは――、清茄と池の畔を歩いていたら、彼女が、あの蓮の花を手折って欲しいと言い出したのです。それで、蓮の花の茎を掴んだら、なぜか体が痺れて、あそこに倒れてしまいました。あの葉が頭に被さってきたことまでは覚えていますが、その後は気を失ってしまい、何があったのかさっぱりわからないのです」
蓮の花の茎を掴んだら、体が痺れた? そして、葉が顔に被さってきた?
不思議な靄もそこに浮かぶ映し絵も、蓮が見せたものということなら――。
これはもう、あの蓮こそ、次に天へ返すべき種核に間違いないわね!
わたしは、治宏さんに、彼が気を失っている間に起きたことを説明した。
もちろん、映し絵によって、彼と妹の秘密を清茄さんが知ってしまったことも……。
治宏さんは、信じられないという顔で、わたしの話を聞いていたが、話が終わる頃には、憑き物が落ちたかのようなさっぱりとした様子になり、その場に立ち上がった。
「よくわかりました。清茄にどうやって美芬のことを切り出そうかと、ずっと悩んでいたのです。そんな形で知らせることができたのなら、俺としては、むしろ助かりました」
薬水代だと言って、いくばくかの銅銭を渡し、立ち去ろうとする彼に、わたしは思わず声をかけてしまった。
「清茄さんに、謝りに行くのですか?」
「いや、もう、どうせ会ってはくれませんよ。裏切った俺を許すはずがありません。それに、その不思議な映し絵に嘘はないので、俺はこれから美芬に、姉と別れたことを知らせに行きます。もう二度と、清茄には会いません。お互いのためにも、その方がいいんです」
治宏さんは、繁華街へ向かって、すたすたと歩いて行ってしまった。
誰かが、映し絵の話でも広めたのか、蓮池の周りに人が戻りつつあった。
興味深げに、蓮の葉や蓮の花に手を伸ばそうとして、止められている人もいる。
捕吏と思われるお役人も姿を見せていた。
「ねえ、老夏。恋情とは、ずいぶんと儚いものなのですね。治宏さんと清茄さんだって、思いが通い合った時もあったでしょうに、あんなかたちで別れてしまって……」
わたしは、屋台街へ戻りながら、襟元に収まっている夏先生に話しかけた。
一度はわかったと思った恋情が、また、わからなくなってしまったわ……。
「フォッ、フォッ、フォッ、『近惚れの早飽き』と言ってな、急に高まった恋情は、あっという間に冷えてしまうものじゃ。あの治宏という男、熱しやすくて冷めやすいたちなのじゃろう。美芬とも、長続きはしないかもしれぬな……。
清茄は、上手く治宏を忘れられるといいがのう。自分が騙されていたことに気づいたのに恋情を捨てられなければ、たいそう辛いことになるからなあ……」
屋台街では、まだ、様々な芸人が出し物を披露していた。
夜は深まりつつあるが、ここは、相変わらず光と活気に溢れている。
湧き起こる拍手、楽しげな笑い声、器に放り込まれる銅銭の音――。
清茄さんの気持ちなんて、ここにいる人たちは誰一人気にしていない……。
思阿さんに会いたい……。思阿さんと話がしたい……。
突然、寄る辺ない気持ちになったわたしは、思阿さんの気配を求めるように、一座がいる辺りを目指して走った。
◇ ◇ ◇
「おはよう、深緑さん!」
「お、おはようございます……」
昨晩、宿坊を借りることができた玄姫廟の中庭で、井戸から水を汲む翼翔と出会った。
備え付けの桶に水を分けてもらって、わたしも口をすすいだり顔を洗ったりした。
「今日は、ようやく思阿さんと会えるね?」
「え、ええ……」
「何だか、元気がないね? 思阿さんと会うのは、楽しみじゃないの?」
「そ、そういうわけじゃないですけど……」
思阿さんに早く会いたいと思う、でも、会うのが怖い気もする。
思阿さんが一人で州城へ来た理由が、もし、わたしが恐れているようなことだったらどうしよう――。もう、これ以上、わたしの用心棒を続けられないと言われたら――。
よほど不安な顔をしていたのだろう。
翼翔が、わたしの手を優しく握って言った。
「ねっ、一緒に朝飯を食べに行こうよ! 夕べはお客が多くてね、思ってた以上に稼げたんだ。俺が、何でもおごってあげるよ! いっぱい食べて、元気を出しなよ!」
そのまま、翼翔に手を引かれて、一座のみんなと一緒に近くの茶館へ出かけた。
ところが、行ってみると、茶館は閉まっていて人の気配もない。
座頭が、通りかかったお婆さんに尋ねると、お婆さんは待ってましたとばかりに、張り切って語り出した。
「夕べ遅く、騒動があったんだよ! 包丁を持った女が店に乗り込んできて、店にいた若い男に切りつけたんだ。男と一緒だった女が、包丁を持った女の妹だとかで、泣いたりわめいたり、たいへんな騒ぎだったらしいよ。怪我はたいしたことなかったようだけど、店の中はぐちゃぐちゃになっちまった。女は、捕吏に連れて行かれたよ。まあ、二股かけた男が、女の恨みを買ったってとこだろうね。どっちもどっちさ!」
清茄さんだ! 清茄さんが、美芬さんに会っていた治宏さんに切りつけたんだ!
なんて、恐ろしい! きっと、あの映し絵のせいね!
治宏さんが、きちんと別れ話もせずに、あの映し絵まかせにしてしまったから――。
わたしの胸に、蓮への怒りがこみ上げてきた。
自分の務めを思い出すのよ、深緑! 自分のことで、いつまでも思い悩んでいる場合じゃないわ!
早くあの蓮の種核を、天へ戻してやらなくては!
放っておけば、また、映し絵に惑わされる人が出てくるかもしれない!
わたしは、近くにあった料理屋に、みんなを連れて行き、一座の人数分の饅頭と粥を注文した。自分の分は、饅頭二個と粥二杯、それから粽を一つと揚げ菓子も頼んだ。
わたしは、猛然と食べ物を口に運んだ。
食べれば食べるほど、自分の中に新しい力が湧いてくるのを感じた。
同行させてくれたお礼ですと言って、一座の分もわたしが支払いを済ませた。
「ごちそうさま! やっと、深緑さんらしくなったね! もりもり食べて、元気が出たみたいだね」
「心配してくれてありがとう、翼翔。もう、大丈夫です。今日は、『水嬉』を披露してわたしも稼ぎますよ! 見ててください!」
荷物をまとめ玄姫廟を後にすると、わたしたちは昨晩と同じ場所へ向かった。
まだ、開いている屋台は少なかったが、芸人たちは集まり始めていた。
敷物を広げ、水を張ったたらいを前に置いて座る。
「お待たせしました、老夏! いよいよ出番ですよ!」
わたしが声をかけると、虫籠の蓋が開いて、夏先生が顔を出した。
夏先生が、たらいの中へ身を躍らせゆっくり泳ぎ始めると、周囲にいた芸人たちが、物珍しそうに集まってきた。
「水嬉」は好評で、座頭も驚くほどの数の客と銅銭を集めた。
しかし、昼を迎えても、思阿さんが姿を見せることはなかった――。
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