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三粒目 黄金李 ~『貪欲は必ず身を食う』の巻~
その八 こんな所に李の木が?! もちろん、引き抜かせていただきます!
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「深緑さん、深緑さん! 起きてますか?! 起きていたら出てきてください!」
「は、はい……。ちょっと、待ってください」
扉の外で、思阿さんが、わたしを呼んでいる。
慌てて身支度を整え、虫籠を腰に下げて扉を開けた。
「深緑さん、今、昭羽が知らせに来ました。すぐに、文家の屋敷に来て欲しいと、あなたに迎えが来たそうです。」
「文家に?! わたしに、何の用でしょうか?」
「わかりません。とにかく薬水を持って、一刻も早く来て欲しいそうです」
「わかりました。今、荷物を取ってきます!」
行李を背負いながら、わたしは、胸騒ぎを感じていた。
夕べ、心配したことが、現実になったのかもしれない――。
母屋へ行くと、昨日、偉強様と一緒に金の李を取りに来て、思阿さんに弓と矢を貸してくれた兵士が待っていた。顔色が悪いし、ひどく慌てている様子だ。
わたしの姿を見つけると、すぐにそばに走り寄ってきた。
「薬水売りの深緑さんでしたね? 早朝より申し訳ないのですが、至急、文様のお邸へお越しいただけませんでしょうか? 偉強様が――、体の不調を訴えられまして、医師より何よりあなたから薬水を分けてもらいたいとおっしゃっております」
医師よりも、わたしの「霊験あらたかな薬水」に頼りたくなるような体の不調?
やはり、金の李を口にしたことで、何かおかしなことが、偉強様の体に起きたに違いない。
心配そうな表情で話を聞いている友德さんも、すでに身支度をすませていた。
「馬車を用意してきたそうです。深緑さんは、思阿さんと一緒にそれに乗って、邸へ向かってください。わたしは、里に来るときに乗ってきた馬があるので、それで追いかけます」
友德さんに急き立てられるようにして、わたしたちは馬車に乗り込み、呂老師と昭羽に見送られながら出発した。
◇ ◇ ◇
文家のお邸は、土塀に囲まれていて、それだけで一つの里ほどの広さがあった。
道に面した門から入ると、兵士や使用人たちの宿舎や住まいが立ち並んでいて、小さな町のようになっていた。物売りたちが商売をする、市のような場所もあった。
もう一つ門をくぐると、ようやく文家の私邸の庭に入ったようで、竹林が広がっていた。
その奥に、文家の立派な母屋が見えてきた。
玄関には、すでに使用人が迎えに出てきていて、わたしたちは、馬車から降りるや否や、偉強様の居室へと連れて行かれた。
わたしたちを案内してくれた侍者は、居室の扉の前でわたしたちの到着を告げると、応えも待たずに扉を開けて、わたしたちを中へ押し込み、さっさと立ち去ってしまった。
あまり、偉強様と関わりになりたくないという雰囲気ね。
部屋の中は薄暗く、目が慣れるまでに少し時間がかかった。
わたしは、心を落ち着けて、部屋にいると思われる偉強様によびかけた。
「偉強様、お召しに従いやって参りました。深緑でございます。思阿さんもいっしょです。いかがなされたのですか?」
「おお、待ちかねたぞ……。思阿殿も一緒か、それは心強い……」
部屋の奥にある寝台から、偉強様の弱々しい声が聞こえた。
「二人とも、こちらに来てくれ。そして、わたしの変わり果てた姿をよく見てくれ」
わたしたちは、おそるおそる寝台に近づいていった。
丸く盛り上がっている上掛けが、中からゆっくりとめくられた。
わたしたちの方を向いて、偉強様が横たわっていた。
青ざめた顔をして、口のまわりはうっすらと髭が伸びている。
そして、頭の上には――。
「頭から木が生えてきたのだ……。寝ている間、ずっと頭の天辺がむずむずしていたので、朝起きて鏡をのぞいてみたら……、こうなっていた……。鋏で切ろうとしたが、痛くて切れぬ!
これは、何の病だ? それとも、何かの呪いか? 深緑、おぬしの薬水で、これを何とかできぬか?!」
それは、一寸ほどの小さな木だった。先端には鮮やかな緑色の葉が、数枚ついている。
葉の形から、李の木と思われた。
頭から木を生やした人間というのは、可愛らしいものねと思ったけれど、当人はそれどころではない。一晩でげっそりやつれてしまった偉強様は、縋るような目でわたしを見ていた。
どうやら、金の李は、実を食べた者の頭に新たな木が生えるという仕組みを備えているらしい。小さな木なのに、すでに宿主と一体化している。
黄金の種は、その身を差し出してくれた宿主に対する、李の木からの礼金のようなものなのだろう。宿主が飢えたりしたら、木も育たないわけだから――。
「偉強様、この木のもととなるものは、昨日金の李を食したことで、あなたの体に宿ったのだと思います。わたしの薬水にどれほどの効果があるかわかりませんが、まずは、すべての疑念を捨て、ひたすら薬水は効くと信じて飲んでください。よろしいですか?」
「わ、わかった……。おぬしの言うとおりにする。だから、どうか――」
最後は声を震わせて、わたしに手を合わせる偉強様に、わたしは励ますように微笑んだ。
快癒水をなみなみと注いだ盃を、偉強様に渡す。
偉強様は、喉を鳴らしてそれを飲み干した。
しばらくすると、木の根元のあたりから、きらきら光る靄がしみ出し偉強様の頭を包んだ。
偉強様は、寝台の上で膝を抱え、目を閉じて体をゆっくり揺らしている。
「こ、これは、いったい……」
静かに扉を開け、部屋に入ってきた友德様が、驚きの声を漏らした。
偉強様は、眠ってしまったのか、その声にも目を開けることはなかった。
「思阿さん、芽をつまんで引き抜いてみてください。できるだけ、根を切らないように」
「えっ? 引き抜くのですか? 大丈夫でしょうか? 偉強様が、痛みを感じたりしませんか?」
「どうかしら? でも、それしかないと思います」
「わかりました」
わたしと友德様が見守る中、思阿さんは、偉強様に近づくと、頭に生えている木の根元を右手でつまんだ。
つまんだところをぐらぐら揺らし、大きく回すようにして少しずつ引き抜き始めた。
「ううっ……」
偉強様が、小さな呻き声を上げたときには、長い根をつけた木は、頭からすっぽり抜かれていた。わたしは、思阿さんからそれを受け取り手巾にのせた。
宿主から引き離された木は、あっという間に干からび、小さく縮んでしまった。
偉強様の頭には傷一つなかったが、木が生えていたあたりは髪がきれいに抜けていた!
「は、はい……。ちょっと、待ってください」
扉の外で、思阿さんが、わたしを呼んでいる。
慌てて身支度を整え、虫籠を腰に下げて扉を開けた。
「深緑さん、今、昭羽が知らせに来ました。すぐに、文家の屋敷に来て欲しいと、あなたに迎えが来たそうです。」
「文家に?! わたしに、何の用でしょうか?」
「わかりません。とにかく薬水を持って、一刻も早く来て欲しいそうです」
「わかりました。今、荷物を取ってきます!」
行李を背負いながら、わたしは、胸騒ぎを感じていた。
夕べ、心配したことが、現実になったのかもしれない――。
母屋へ行くと、昨日、偉強様と一緒に金の李を取りに来て、思阿さんに弓と矢を貸してくれた兵士が待っていた。顔色が悪いし、ひどく慌てている様子だ。
わたしの姿を見つけると、すぐにそばに走り寄ってきた。
「薬水売りの深緑さんでしたね? 早朝より申し訳ないのですが、至急、文様のお邸へお越しいただけませんでしょうか? 偉強様が――、体の不調を訴えられまして、医師より何よりあなたから薬水を分けてもらいたいとおっしゃっております」
医師よりも、わたしの「霊験あらたかな薬水」に頼りたくなるような体の不調?
やはり、金の李を口にしたことで、何かおかしなことが、偉強様の体に起きたに違いない。
心配そうな表情で話を聞いている友德さんも、すでに身支度をすませていた。
「馬車を用意してきたそうです。深緑さんは、思阿さんと一緒にそれに乗って、邸へ向かってください。わたしは、里に来るときに乗ってきた馬があるので、それで追いかけます」
友德さんに急き立てられるようにして、わたしたちは馬車に乗り込み、呂老師と昭羽に見送られながら出発した。
◇ ◇ ◇
文家のお邸は、土塀に囲まれていて、それだけで一つの里ほどの広さがあった。
道に面した門から入ると、兵士や使用人たちの宿舎や住まいが立ち並んでいて、小さな町のようになっていた。物売りたちが商売をする、市のような場所もあった。
もう一つ門をくぐると、ようやく文家の私邸の庭に入ったようで、竹林が広がっていた。
その奥に、文家の立派な母屋が見えてきた。
玄関には、すでに使用人が迎えに出てきていて、わたしたちは、馬車から降りるや否や、偉強様の居室へと連れて行かれた。
わたしたちを案内してくれた侍者は、居室の扉の前でわたしたちの到着を告げると、応えも待たずに扉を開けて、わたしたちを中へ押し込み、さっさと立ち去ってしまった。
あまり、偉強様と関わりになりたくないという雰囲気ね。
部屋の中は薄暗く、目が慣れるまでに少し時間がかかった。
わたしは、心を落ち着けて、部屋にいると思われる偉強様によびかけた。
「偉強様、お召しに従いやって参りました。深緑でございます。思阿さんもいっしょです。いかがなされたのですか?」
「おお、待ちかねたぞ……。思阿殿も一緒か、それは心強い……」
部屋の奥にある寝台から、偉強様の弱々しい声が聞こえた。
「二人とも、こちらに来てくれ。そして、わたしの変わり果てた姿をよく見てくれ」
わたしたちは、おそるおそる寝台に近づいていった。
丸く盛り上がっている上掛けが、中からゆっくりとめくられた。
わたしたちの方を向いて、偉強様が横たわっていた。
青ざめた顔をして、口のまわりはうっすらと髭が伸びている。
そして、頭の上には――。
「頭から木が生えてきたのだ……。寝ている間、ずっと頭の天辺がむずむずしていたので、朝起きて鏡をのぞいてみたら……、こうなっていた……。鋏で切ろうとしたが、痛くて切れぬ!
これは、何の病だ? それとも、何かの呪いか? 深緑、おぬしの薬水で、これを何とかできぬか?!」
それは、一寸ほどの小さな木だった。先端には鮮やかな緑色の葉が、数枚ついている。
葉の形から、李の木と思われた。
頭から木を生やした人間というのは、可愛らしいものねと思ったけれど、当人はそれどころではない。一晩でげっそりやつれてしまった偉強様は、縋るような目でわたしを見ていた。
どうやら、金の李は、実を食べた者の頭に新たな木が生えるという仕組みを備えているらしい。小さな木なのに、すでに宿主と一体化している。
黄金の種は、その身を差し出してくれた宿主に対する、李の木からの礼金のようなものなのだろう。宿主が飢えたりしたら、木も育たないわけだから――。
「偉強様、この木のもととなるものは、昨日金の李を食したことで、あなたの体に宿ったのだと思います。わたしの薬水にどれほどの効果があるかわかりませんが、まずは、すべての疑念を捨て、ひたすら薬水は効くと信じて飲んでください。よろしいですか?」
「わ、わかった……。おぬしの言うとおりにする。だから、どうか――」
最後は声を震わせて、わたしに手を合わせる偉強様に、わたしは励ますように微笑んだ。
快癒水をなみなみと注いだ盃を、偉強様に渡す。
偉強様は、喉を鳴らしてそれを飲み干した。
しばらくすると、木の根元のあたりから、きらきら光る靄がしみ出し偉強様の頭を包んだ。
偉強様は、寝台の上で膝を抱え、目を閉じて体をゆっくり揺らしている。
「こ、これは、いったい……」
静かに扉を開け、部屋に入ってきた友德様が、驚きの声を漏らした。
偉強様は、眠ってしまったのか、その声にも目を開けることはなかった。
「思阿さん、芽をつまんで引き抜いてみてください。できるだけ、根を切らないように」
「えっ? 引き抜くのですか? 大丈夫でしょうか? 偉強様が、痛みを感じたりしませんか?」
「どうかしら? でも、それしかないと思います」
「わかりました」
わたしと友德様が見守る中、思阿さんは、偉強様に近づくと、頭に生えている木の根元を右手でつまんだ。
つまんだところをぐらぐら揺らし、大きく回すようにして少しずつ引き抜き始めた。
「ううっ……」
偉強様が、小さな呻き声を上げたときには、長い根をつけた木は、頭からすっぽり抜かれていた。わたしは、思阿さんからそれを受け取り手巾にのせた。
宿主から引き離された木は、あっという間に干からび、小さく縮んでしまった。
偉強様の頭には傷一つなかったが、木が生えていたあたりは髪がきれいに抜けていた!
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