31 / 80
三粒目 黄金李 ~『貪欲は必ず身を食う』の巻~
その二 思阿さんは、やっぱり肝心なときにいないのです!
しおりを挟む
荷車は、里の門を入ってすぐの小さな家の前で止まった。
わたしは、荷車の荷台に何度も腰を打ち付けた痛みで、すぐには立ち上がれなかった。
腰をさすっているわたしを、先ほどと同じように、友德様が抱え上げようとした。
しかし、今回は、思阿さんが素早くその腕を掴んで、わたしに触らせなかった。
「それは、俺の仕事ですから――」
怪訝な顔をした友德さんを押しのけるようにして、思阿さんはわたしを抱き上げて荷台から下ろし、家の戸口に立たせてくれた。
「大丈夫ですか? 歩けますか?」
「あ、うん……。は、はい……」
なんだかドキドキし過ぎて、一瞬、腰が痛いのも忘れてしまった……。
気を取り直して家の中に入ると、志勇が待っていて、静帆さんの寝台へ案内してくれた。
静帆さんは、寝台の上で背を丸め、ときどき咳き込んでいた。
熱があるのだろう、顔が赤い……。
わたしは、行李の中から盃と瓶を取り出して、盃を快癒水で満たした。
志勇の目の前で、一口だけ飲んでみせる。悪いものじゃないから安心してね――。
わたしは、寝台のそばにひざまずき、静帆さんの背中に手を添え起こしてあげた。
咳が静まった頃合いを見て、盃を彼女の唇に当て快癒水を飲ませた。
ほんの少し快癒水を口に含んだだけで、静帆さんの息は穏やかになり、顔からは辛そうなこわばりが消えて咳もおさまった。
「す、すごいや……。あんなに、苦しんでいたのが、すっかり楽になったみたいだ……。深緑さん、あ、ありがとう……」
「咳を止めるだけでなく、薬水の効果は体全体に広がって、溜まった疲れも取り去ってくれると思います。だから、できれば、このまましばらく寝かせておいてあげてください」
一口だけ飲んだ快癒水が、わたしの体にも効いてきたようだ。
体が温かくなって、腰の痛みのせいで、しびれていた足にも力が戻ってきた。
振り返ると、思阿さんはにこにこしているし、友德さんは、目を丸くしてわたしを見ていた。
「驚きました! この里には、医師がいないので、医師がいる近くの郷へ使いを出そうと思っていたのですが、もう、その必要はないようですね。
それにしても、素晴らしい薬水です。さぞかし高名な薬師が、処方されたものなのでしょうね? それとも深緑さん、あなたご自身が薬師なのですか?」
高名な薬師? それどころじゃありません! 医薬と生命の女神である紅姫様が、手ずから処方された神秘の薬水です――、とはさすがに言えないわよね。
「これは、ある薬師様が、紅姫様のお告げをもとに処方した薬水です。わたしは、諸州を旅して、様々な傷病でお困りの方に、女神様のご加護をお分けしているにすぎません」
「そうですか。それは、素晴らしいお仕事です。志勇が、あなたと出会えたことも、きっと女神様のご加護でありましょう。志勇は、姉思いの働き者ですから――」
志勇の家の外に出ると、運んできた荷物を引き取りに、大勢の人が集まってきていた。
友德様の姿を見ると、皆一様に礼をしてかしこまっている。
志勇から預かったらしい割り符を確認しながら、友德様は人々に荷物を引き取らせていた。
思阿さんは、親戚から酒甕が届いたというご老人が、重くて運べず難儀をしていたので、「俺が運びましょう!」と言うと、酒甕を抱えてご老人について行ってしまった。
親切なのはいい。しかし、あれは、たぶん、しばらく戻ってこないだろう……、と思う……。
最後に荷物を取りに来た人は、荷車を貸してくれた人だったようで、友德様はなにがしかの礼金を渡そうとしたが、その人は丁寧にそれを断り帰って行った。
そういえば、まだ、友德様がどういう人なのか、何も聞いていなかったっけ――。
「あ、あの、友德様は、どのようなご身分のお方なのですか?」
「ああ、きちんと名乗るのを忘れておりましたね。これは、失礼をいたしました。
わたしは、文國強の息子で、文友德と申します。この里の人々の多くは父の田畑の小作ですし、わたしの祖父がこの里に住んでいますので、皆、顔見知りばかりです。
今日は、うちの李畑の世話をする日で、静帆も手伝いに来てくれていたのですが、このようなことになり、わたしが家まで運んできました」
顔見知りとはいえ、大地主のご子息が、里の小作の娘を自ら家まで運ぶなんて、親切すぎやしないだろうか?
見た感じは、穏やかそうで里人からも慕われているようだけど、妙な下心を抱いていないとも限らない。さっきは、いきなり断りもなくわたしのことを抱き上げたし――。
「友德様―っ! 大変でございますーっ!」
里の奥の方から、大慌てで若い男の人が走ってきた。
その姿を認めた友德様が、急いでそちらに駆け寄った。
「どうしたのですか、暮白?!」
「今度は、忠良が、岩棚から落ちました! 呂老師のお宅に運び込みましたが、右足の骨を砕いたようで――」
「またですか?! あれほど、岩棚へは上るなと釘を刺しておいたのに!」
友德様が、悔しそうに顔を歪めた。
えっ? 岩棚から落ちて右足の骨を砕いた? それって、もしかして――。
「李畑の世話をしていて、金の李が目に入ってしまったようです。目にすれば、もう、あれの誘惑には勝てませぬ。忠良は、三人目の子どもが生まれたばかりですし――」
「愚かなことを! 片足になって、どうやって子どもたちを養っていくのです! 申し訳ないが、暮白は、このまま陳医師の所へ行ってください。すぐに来ていただくよう、お願いしてきてください」
「承知いたしました、では!」
わたしは、頭を抱え大きな溜息をつく友德様の衣の袖を、つんつんつんと引っ張った。
険しい顔で振り向いた友德様に、わたしは言った。
「友德様、忠良さんのところへわたしを連れて行ってください。きっと、お役に立てると思います」
友德様は、一瞬、不思議そうな顔でわたしを見たが、すぐに思い当たったようで、「ああ」とつぶやくと家の中の志勇に声をかけた。
「志勇! 深緑さんと一緒に、呂老師の家に行ってきます。もし、思阿さんが戻っていらしたら、呂老師の家を教えてあげてください」
「はい、わかりました!」
家の中から、志勇の元気な応えがあった。
それを聞くや、友德様がわたしの方へ手を伸ばしてきた。
彼の目線の先にあるのは、志勇の家の荷車……。
「深緑さん、急ぎましょう!」
えーっ?! また、わたしを積み込もうとしてますう?! もう、荷車はたくさんです!
わたしは、友德様の手をすり抜け、ピョンピョンと跳びはねて言った。
「見てください、友德様! わたし、こう見えて、けっこう足が速いんですよ! 呂老師の家はどこですか?」
「こ、この道の突き当たりを、右に曲がったところですが――。ちょ、ちょっと、深緑さん!」
わたしは、友德様を置き去りにし、脱兎の勢いで駆け出した。
忠良さん! あなたの右足は、わたしの快癒水で、きっと治してみせますからね!
わたしは、荷車の荷台に何度も腰を打ち付けた痛みで、すぐには立ち上がれなかった。
腰をさすっているわたしを、先ほどと同じように、友德様が抱え上げようとした。
しかし、今回は、思阿さんが素早くその腕を掴んで、わたしに触らせなかった。
「それは、俺の仕事ですから――」
怪訝な顔をした友德さんを押しのけるようにして、思阿さんはわたしを抱き上げて荷台から下ろし、家の戸口に立たせてくれた。
「大丈夫ですか? 歩けますか?」
「あ、うん……。は、はい……」
なんだかドキドキし過ぎて、一瞬、腰が痛いのも忘れてしまった……。
気を取り直して家の中に入ると、志勇が待っていて、静帆さんの寝台へ案内してくれた。
静帆さんは、寝台の上で背を丸め、ときどき咳き込んでいた。
熱があるのだろう、顔が赤い……。
わたしは、行李の中から盃と瓶を取り出して、盃を快癒水で満たした。
志勇の目の前で、一口だけ飲んでみせる。悪いものじゃないから安心してね――。
わたしは、寝台のそばにひざまずき、静帆さんの背中に手を添え起こしてあげた。
咳が静まった頃合いを見て、盃を彼女の唇に当て快癒水を飲ませた。
ほんの少し快癒水を口に含んだだけで、静帆さんの息は穏やかになり、顔からは辛そうなこわばりが消えて咳もおさまった。
「す、すごいや……。あんなに、苦しんでいたのが、すっかり楽になったみたいだ……。深緑さん、あ、ありがとう……」
「咳を止めるだけでなく、薬水の効果は体全体に広がって、溜まった疲れも取り去ってくれると思います。だから、できれば、このまましばらく寝かせておいてあげてください」
一口だけ飲んだ快癒水が、わたしの体にも効いてきたようだ。
体が温かくなって、腰の痛みのせいで、しびれていた足にも力が戻ってきた。
振り返ると、思阿さんはにこにこしているし、友德さんは、目を丸くしてわたしを見ていた。
「驚きました! この里には、医師がいないので、医師がいる近くの郷へ使いを出そうと思っていたのですが、もう、その必要はないようですね。
それにしても、素晴らしい薬水です。さぞかし高名な薬師が、処方されたものなのでしょうね? それとも深緑さん、あなたご自身が薬師なのですか?」
高名な薬師? それどころじゃありません! 医薬と生命の女神である紅姫様が、手ずから処方された神秘の薬水です――、とはさすがに言えないわよね。
「これは、ある薬師様が、紅姫様のお告げをもとに処方した薬水です。わたしは、諸州を旅して、様々な傷病でお困りの方に、女神様のご加護をお分けしているにすぎません」
「そうですか。それは、素晴らしいお仕事です。志勇が、あなたと出会えたことも、きっと女神様のご加護でありましょう。志勇は、姉思いの働き者ですから――」
志勇の家の外に出ると、運んできた荷物を引き取りに、大勢の人が集まってきていた。
友德様の姿を見ると、皆一様に礼をしてかしこまっている。
志勇から預かったらしい割り符を確認しながら、友德様は人々に荷物を引き取らせていた。
思阿さんは、親戚から酒甕が届いたというご老人が、重くて運べず難儀をしていたので、「俺が運びましょう!」と言うと、酒甕を抱えてご老人について行ってしまった。
親切なのはいい。しかし、あれは、たぶん、しばらく戻ってこないだろう……、と思う……。
最後に荷物を取りに来た人は、荷車を貸してくれた人だったようで、友德様はなにがしかの礼金を渡そうとしたが、その人は丁寧にそれを断り帰って行った。
そういえば、まだ、友德様がどういう人なのか、何も聞いていなかったっけ――。
「あ、あの、友德様は、どのようなご身分のお方なのですか?」
「ああ、きちんと名乗るのを忘れておりましたね。これは、失礼をいたしました。
わたしは、文國強の息子で、文友德と申します。この里の人々の多くは父の田畑の小作ですし、わたしの祖父がこの里に住んでいますので、皆、顔見知りばかりです。
今日は、うちの李畑の世話をする日で、静帆も手伝いに来てくれていたのですが、このようなことになり、わたしが家まで運んできました」
顔見知りとはいえ、大地主のご子息が、里の小作の娘を自ら家まで運ぶなんて、親切すぎやしないだろうか?
見た感じは、穏やかそうで里人からも慕われているようだけど、妙な下心を抱いていないとも限らない。さっきは、いきなり断りもなくわたしのことを抱き上げたし――。
「友德様―っ! 大変でございますーっ!」
里の奥の方から、大慌てで若い男の人が走ってきた。
その姿を認めた友德様が、急いでそちらに駆け寄った。
「どうしたのですか、暮白?!」
「今度は、忠良が、岩棚から落ちました! 呂老師のお宅に運び込みましたが、右足の骨を砕いたようで――」
「またですか?! あれほど、岩棚へは上るなと釘を刺しておいたのに!」
友德様が、悔しそうに顔を歪めた。
えっ? 岩棚から落ちて右足の骨を砕いた? それって、もしかして――。
「李畑の世話をしていて、金の李が目に入ってしまったようです。目にすれば、もう、あれの誘惑には勝てませぬ。忠良は、三人目の子どもが生まれたばかりですし――」
「愚かなことを! 片足になって、どうやって子どもたちを養っていくのです! 申し訳ないが、暮白は、このまま陳医師の所へ行ってください。すぐに来ていただくよう、お願いしてきてください」
「承知いたしました、では!」
わたしは、頭を抱え大きな溜息をつく友德様の衣の袖を、つんつんつんと引っ張った。
険しい顔で振り向いた友德様に、わたしは言った。
「友德様、忠良さんのところへわたしを連れて行ってください。きっと、お役に立てると思います」
友德様は、一瞬、不思議そうな顔でわたしを見たが、すぐに思い当たったようで、「ああ」とつぶやくと家の中の志勇に声をかけた。
「志勇! 深緑さんと一緒に、呂老師の家に行ってきます。もし、思阿さんが戻っていらしたら、呂老師の家を教えてあげてください」
「はい、わかりました!」
家の中から、志勇の元気な応えがあった。
それを聞くや、友德様がわたしの方へ手を伸ばしてきた。
彼の目線の先にあるのは、志勇の家の荷車……。
「深緑さん、急ぎましょう!」
えーっ?! また、わたしを積み込もうとしてますう?! もう、荷車はたくさんです!
わたしは、友德様の手をすり抜け、ピョンピョンと跳びはねて言った。
「見てください、友德様! わたし、こう見えて、けっこう足が速いんですよ! 呂老師の家はどこですか?」
「こ、この道の突き当たりを、右に曲がったところですが――。ちょ、ちょっと、深緑さん!」
わたしは、友德様を置き去りにし、脱兎の勢いで駆け出した。
忠良さん! あなたの右足は、わたしの快癒水で、きっと治してみせますからね!
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる