26 / 29
エピソード25、-5%の攻防とリタイア
FGO【フリーゲームオンライン】プレイ中
しおりを挟む
行きは極普通の森だった背景は幾重にもツタが巻き付いている物々しいものに変化していた。フルの森の裏面と言ったところか。こういったダンジョンをクリアする方法は、脱出する、くらいか?裏クリア条件があるのだが、ここはどうだっただろうか?
「建築物系の迷宮じゃないから仕掛けも天然のものはず」
「どういうことだ?」
「背景に人工物が一切ないでしょ。朽ちた遺跡とか植物に浸食された建物とかあってもよさそうなのに」
「成程、木を隠すなら森の中理論だな」
この場合当てはまるのか疑問だが、あながち間違ってはいないだろう。隠されている罠の種類を考えるなら、森にあっても不自然ではないもの。
「この状況で気を付けるのは・・・・トラバサミ系の足止め罠かしら」
スキル“危険感知”と“鷹の目”をコンボ発動。注意深く辺りを見渡す。
「スイちゃん!ストップ!!」
私の声にスイは踏み出そうとした足を止める。踏み込もうとしたその茂みには凶悪なギザギザ歯をむき出しにしたトラバサミが獲物を待ち構えていた。
「うわっ、こんな凶悪なので敏捷-5%とかなしだろ」
「それ程まで下がるのかね。侮れないな」
「それだけで済むんだからいい方じゃねー」
「え?」
「え?」
「95%動けるんならまだまだいけるって」
「いや、回避率95%は油断ならない」
「いやいや、頑張ればなんとかなれるっしょ」
「いやいやいや、100%でなければ当たる」
たぶん、きっと、絶対、しているゲームの種類が違う。そして、リアルラックにもかなりの差があると見た。
「しかし、これはどうしましょう」
腕を組み、フゥとため息を吐く。鷹の目が狂うことはない視覚情報をくれる。危険感知は第六感を基本とした完全に勘を使用した能力だ。その二つを組み合わせてできた能力は、広範囲サーチ能力。精度は90%程度だと聞いている。それが、警告している。ほぼ全面に隠されたトラバサミの罠。その数が凄いこと凄いこと。
「しかし、そう迷ってもいられまい」
こういう場所にピッタリの敵がいるのだ。さすがにまだタイガーレベルはいないだろう。いてレッサーオーガくらいのレベルだろう。ただ、あいつを活躍させたいのならシティーアドベンチャーが適任だと思う。魔法使えるし、何より人化持っている点が強い。
「ウルフやホーンラビットとかは始まりの草原にもいる敵だから苦戦はしないとはず・・・・・・」
問題は森固有の敵である。昆虫系は言わずもがな、動物系も強化されているはずだ。
「何だったかしら?こう、ピッタリの敵がいるんだけれど?」
喉元まで出かかっているのだが、出ない。こういうのってもどかしい。
「まぁ、何にしろ・・・・敵に出会ったら極力逃げるわよ」
「それは意外な判断であるな」
「森が深すぎて時間間隔が掴めないの。ダンジョンと化しているから途中離脱はリタイア扱いだし」
ダンジョン内での途中リタイアは獲得経験値なし、報酬なし、一部技能習得無効の3ないである。特に最後のはとても悲しくなる。使用した消耗品も当然戻らない。マッピングが残るのだけが唯一にして最大の利点である。
「あ、あの・・・途中リタイアと神殿送り。どこが違うのです?」
「ペナルティの多さね」
神殿送りは途中リタイアのペナルティに加えて、レベル半減、所持金半減、装備品の劣化が加わる。もちろん、消耗した品は戻らない。それどころか、そのダンジョンで得た物は全て消滅する。
「得た物が消えない途中リタイアを選ぶ方が利点は多いって訳」
特に採取系の依頼の場合は助かる。なので、採取系の依頼は大抵簡単に分類され、初心者御用達になっている。
「ところで、おじさん気になっちゃったんだけれど。あれに飲まれたらどっち扱いになるんだろうね?」
「神殿送りでしょう」
「ま、ロストにはしないでしょ。序盤だしぃ」
このイラっと感。こっち側の可能性が高い。もしくは敵対NPC。最初の敵は不細工にしておけと言った覚えある。このおじさん裏切り顔であるが故に一種のイケメンなのだ。わかり易くて助かる。キチンと手入れされたパーマとピンクのスーツ。現実では何だこれと言われそうな格好なので・・・・やっぱり裏切り系のNPCかな。
「問題はまだ採取できてないってこと」
リミットがあるが、探しながら進むしかない。しかし、ここは本当にフルの森なのだろうか?赤い木の実一つ、ない。黄色の小粒の実一つ、ない。どこを見ても緑緑緑。
「ないわね・・・・・」
「で、あるな」
「パフェ・・・・・」
ウォルも落胆しつつ探している。だが、ちょっと待ってほしい。パフェはフルーツ名ではない。料理名だ。そして、葉っぱを採取しても無駄だと思う。インベントリを圧迫するだけなのだが・・・・・彼女の悲しい表情を見ていると好きにさせておこうと思う。
「基本おりこうちゃんな集団なんだ。偶にぶっ飛んだ思考してるみたいだけれど」
「そうね。撃破ボーナスでゲットしちゃおって考える悪いおじさんはこちらですぅ」
「「「あ」」」
そうである。ここはゲーム世界である。モンスターを倒してもOKだし、それによって発生したドロップアイテムを失敬しても大丈夫だし、寧ろそれが普通だ。
続く
「建築物系の迷宮じゃないから仕掛けも天然のものはず」
「どういうことだ?」
「背景に人工物が一切ないでしょ。朽ちた遺跡とか植物に浸食された建物とかあってもよさそうなのに」
「成程、木を隠すなら森の中理論だな」
この場合当てはまるのか疑問だが、あながち間違ってはいないだろう。隠されている罠の種類を考えるなら、森にあっても不自然ではないもの。
「この状況で気を付けるのは・・・・トラバサミ系の足止め罠かしら」
スキル“危険感知”と“鷹の目”をコンボ発動。注意深く辺りを見渡す。
「スイちゃん!ストップ!!」
私の声にスイは踏み出そうとした足を止める。踏み込もうとしたその茂みには凶悪なギザギザ歯をむき出しにしたトラバサミが獲物を待ち構えていた。
「うわっ、こんな凶悪なので敏捷-5%とかなしだろ」
「それ程まで下がるのかね。侮れないな」
「それだけで済むんだからいい方じゃねー」
「え?」
「え?」
「95%動けるんならまだまだいけるって」
「いや、回避率95%は油断ならない」
「いやいや、頑張ればなんとかなれるっしょ」
「いやいやいや、100%でなければ当たる」
たぶん、きっと、絶対、しているゲームの種類が違う。そして、リアルラックにもかなりの差があると見た。
「しかし、これはどうしましょう」
腕を組み、フゥとため息を吐く。鷹の目が狂うことはない視覚情報をくれる。危険感知は第六感を基本とした完全に勘を使用した能力だ。その二つを組み合わせてできた能力は、広範囲サーチ能力。精度は90%程度だと聞いている。それが、警告している。ほぼ全面に隠されたトラバサミの罠。その数が凄いこと凄いこと。
「しかし、そう迷ってもいられまい」
こういう場所にピッタリの敵がいるのだ。さすがにまだタイガーレベルはいないだろう。いてレッサーオーガくらいのレベルだろう。ただ、あいつを活躍させたいのならシティーアドベンチャーが適任だと思う。魔法使えるし、何より人化持っている点が強い。
「ウルフやホーンラビットとかは始まりの草原にもいる敵だから苦戦はしないとはず・・・・・・」
問題は森固有の敵である。昆虫系は言わずもがな、動物系も強化されているはずだ。
「何だったかしら?こう、ピッタリの敵がいるんだけれど?」
喉元まで出かかっているのだが、出ない。こういうのってもどかしい。
「まぁ、何にしろ・・・・敵に出会ったら極力逃げるわよ」
「それは意外な判断であるな」
「森が深すぎて時間間隔が掴めないの。ダンジョンと化しているから途中離脱はリタイア扱いだし」
ダンジョン内での途中リタイアは獲得経験値なし、報酬なし、一部技能習得無効の3ないである。特に最後のはとても悲しくなる。使用した消耗品も当然戻らない。マッピングが残るのだけが唯一にして最大の利点である。
「あ、あの・・・途中リタイアと神殿送り。どこが違うのです?」
「ペナルティの多さね」
神殿送りは途中リタイアのペナルティに加えて、レベル半減、所持金半減、装備品の劣化が加わる。もちろん、消耗した品は戻らない。それどころか、そのダンジョンで得た物は全て消滅する。
「得た物が消えない途中リタイアを選ぶ方が利点は多いって訳」
特に採取系の依頼の場合は助かる。なので、採取系の依頼は大抵簡単に分類され、初心者御用達になっている。
「ところで、おじさん気になっちゃったんだけれど。あれに飲まれたらどっち扱いになるんだろうね?」
「神殿送りでしょう」
「ま、ロストにはしないでしょ。序盤だしぃ」
このイラっと感。こっち側の可能性が高い。もしくは敵対NPC。最初の敵は不細工にしておけと言った覚えある。このおじさん裏切り顔であるが故に一種のイケメンなのだ。わかり易くて助かる。キチンと手入れされたパーマとピンクのスーツ。現実では何だこれと言われそうな格好なので・・・・やっぱり裏切り系のNPCかな。
「問題はまだ採取できてないってこと」
リミットがあるが、探しながら進むしかない。しかし、ここは本当にフルの森なのだろうか?赤い木の実一つ、ない。黄色の小粒の実一つ、ない。どこを見ても緑緑緑。
「ないわね・・・・・」
「で、あるな」
「パフェ・・・・・」
ウォルも落胆しつつ探している。だが、ちょっと待ってほしい。パフェはフルーツ名ではない。料理名だ。そして、葉っぱを採取しても無駄だと思う。インベントリを圧迫するだけなのだが・・・・・彼女の悲しい表情を見ていると好きにさせておこうと思う。
「基本おりこうちゃんな集団なんだ。偶にぶっ飛んだ思考してるみたいだけれど」
「そうね。撃破ボーナスでゲットしちゃおって考える悪いおじさんはこちらですぅ」
「「「あ」」」
そうである。ここはゲーム世界である。モンスターを倒してもOKだし、それによって発生したドロップアイテムを失敬しても大丈夫だし、寧ろそれが普通だ。
続く
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
なないろ学園の秘密
あお。
大衆娯楽
日本の何処かにある、私立なないろ学園。
日常生活や学習につまづきがある生徒の集う、小中高一貫校。
そこで勤務する男性養護教諭、金城くるみと、トイレが苦手な生徒の雫森紗友莉を中心としたお話。
実際の団体には関係ありません。
現実には無い設定などもあるので現代ファンタジーです。
排泄描写あり。
時系列は前後すると思います。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お漏らし・おしがま短編小説集 ~私立朝原女学園の日常~
赤髪命
大衆娯楽
小学校から高校までの一貫校、私立朝原女学園。この学校に集う女の子たちの中にはいろいろな個性を持った女の子がいます。そして、そんな中にはトイレの悩みを持った子たちも多いのです。そんな女の子たちの学校生活を覗いてみましょう。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室のクローゼットから女の声がする!夫の浮気相手が下着姿で隠れていてパニックになる私が下した天罰に絶句
白崎アイド
大衆娯楽
寝室のクローゼットのドアがゴトゴトと小刻みに震えて、中から女の声が聞こえてきた。
異様な現象を目の当たりにした私。
誰か人がいるのかパニック状態に。
そんな私に、さらなる恐ろしい出来事が目の前で起きて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる