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65、
依頼ほしい
しおりを挟む「依頼が欲しいのです」
「依頼くれよ」
「ダ~メ、よ」
ここ7日、マジスイ亭で続いているやり取りだ。依頼に行きたいカイとナナがギルドマスターにしがみつくが、軽々と投げ捨てられる。そんな光景もよく見られた。どうやら2人とも訓練に飽きたようである。魔法職のナナには手加減してくれているらしく、着地地点にクッションが用意されている。カイ?当然板張りに投げ出されている。今でこそ受け身ができるようになったが、最初なんて痛みで1日動けない醜態を曝し、翌日受け身の猛特訓をした。彼は非常に覚えがいい。
「簡単なのでいいのですよ」
「町から出れるなら何でもいいぜ」
「そういった系は訓練頑張ってからね」
この調子である。昨日試しにと訓練をしてから依頼を貰いに行ったのだが、「あら、くたくたじゃない今日はもうゆっくりしなさい」とホットミルクをくれ、それを飲んでいる内に姿を晦ました。あの筋肉は伊達ではない。そして、あの筋肉なのに見つかったためしがない。まぁ、冒険者たる職業がある世界である。ムキムキマッチョはそこまで珍しくもない(重鎧系はマッチョマンの職業)。ただ、禿は希少種だと思う。だから、探せば見つかる可能性に賭けて毎日頑張っているのだが、発見できないでいる。
なので、マジスイの営業時間中に何とか依頼を貰おうと二人は格闘しているのだ。大体、マスターもマスターである。他の冒険者にははいはいと二つ返事で依頼を渡すのだから、一つぐらいできる依頼があってもよさそうだが?
続く
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