15 / 93
14、
石に頼る
しおりを挟む
「これのことですね」
シサが持ってきた籠の中には何の変哲もない石が入っていた。球ではなく、白くも黒くもなく、光沢がある訳でもない。そこいらの河原にありそうな極普通の拳大の石である。
「これは適性検査石と申します。その名の通り、その人物の戦闘適性を色と光の強さによって測るものです」
「・・・・信用度は」
「かなり高いかと」
「何で最初にそれ使わないんだよ」
「高いからです」
「へー・・・・」
「もちろん、使い捨てでございます」
「ワーウルフの群れ討伐依頼5回分はあるよな」
「・・・・生半可な借金ならこれ一つで返済可です」
「ふーん。素手で触ればいいのか?」
布の上にある石をカイは躊躇なく握った。強烈な光が出る訳でもなく、ファンファーレが鳴り響く訳でもなく、変な匂いが香る訳でもなく、形が変化する訳でもない。
「「「・・・・・・」」」
そっと手を開いてみても、石は石のままだった。
「適正なしは珍しいですわ」
「そうだね」
その言葉にカイは膝から崩れ落ちた。足下がなくなり、深い闇に飲み込まれていく。
「・・・また、待てかよ」
「修行次第でございます。可能性は無限大と言いますし」
「それに、これで測れるのは魔法適性と武器適性だから、可能性はあるんじゃないかな」
この石、握ったら色と形が変わる。色で適性魔法が、形で得意武器がわかる優れもの。ただし、使い捨て。
「ただいま~。この子凄いわよ」
目をランランに輝かせて亭主がナナを連れて戻って来た。連れてでは語弊がある、抱え上げて。
続く
シサが持ってきた籠の中には何の変哲もない石が入っていた。球ではなく、白くも黒くもなく、光沢がある訳でもない。そこいらの河原にありそうな極普通の拳大の石である。
「これは適性検査石と申します。その名の通り、その人物の戦闘適性を色と光の強さによって測るものです」
「・・・・信用度は」
「かなり高いかと」
「何で最初にそれ使わないんだよ」
「高いからです」
「へー・・・・」
「もちろん、使い捨てでございます」
「ワーウルフの群れ討伐依頼5回分はあるよな」
「・・・・生半可な借金ならこれ一つで返済可です」
「ふーん。素手で触ればいいのか?」
布の上にある石をカイは躊躇なく握った。強烈な光が出る訳でもなく、ファンファーレが鳴り響く訳でもなく、変な匂いが香る訳でもなく、形が変化する訳でもない。
「「「・・・・・・」」」
そっと手を開いてみても、石は石のままだった。
「適正なしは珍しいですわ」
「そうだね」
その言葉にカイは膝から崩れ落ちた。足下がなくなり、深い闇に飲み込まれていく。
「・・・また、待てかよ」
「修行次第でございます。可能性は無限大と言いますし」
「それに、これで測れるのは魔法適性と武器適性だから、可能性はあるんじゃないかな」
この石、握ったら色と形が変わる。色で適性魔法が、形で得意武器がわかる優れもの。ただし、使い捨て。
「ただいま~。この子凄いわよ」
目をランランに輝かせて亭主がナナを連れて戻って来た。連れてでは語弊がある、抱え上げて。
続く
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる