転移者と転生者と現地チート

シロ

文字の大きさ
上 下
77 / 93
74、

埃屋敷の穴

しおりを挟む
 屋敷の中に入った途端、カイは強烈なくしゃみに襲われた。長年掃除していないとすぐにわかる埃が山から宙に舞う。それと、細かい破片のような砂のような粉がある。
「汚いのです」
「マジだな」
「距離が距離だけに定期的に掃除できなかったんだろう」
最寄りの町に往復8日かかる別荘に需要があったらしい。建物自体はかなり丈夫な造りで、壁に蔦が生えても、何かが殴った跡が無数にあっても、壊れていない。
「これ、何の仕業です?」
「うーん、この後だけでは特定は難しい・・か・・・」
防寒着の冒険者くらいの直径がある。
「ゴーレムパンチではないのです?」
拳でドカッと殴ったらこのような跡ができそうだ。
「それ(手で殴った)が事実としたら、全長20mは必要だろうね」
10m程で何とかなるかと思ったが、ちょっと見込みが甘かった。そのナナが考えた10mも一階の天井を突き破る大きさなのだ。
「それで、石のゴーレムだったら縦も横もあるだろうから・・・・重さもあって、床に大穴が空いていると思う」
それは相手したくないなという気持ちはナナに伝わった。
「それは、間抜けです」
「あるぞ、穴」
「「え?」」
カイがいる方を向くと、確かに。床にぽっかりと穴が開いていた。直径は5m程で、ほぼ円形。それ以外にこれといった特徴もない。
「昨日今日ではないけれど、床の状態からして最近落ちた跡です」
「これ開けた奴らが原因かもな」
「カイ、ちゃんと団体行動するのです」
「やだね、面倒臭ぇ」
「言うこと聞かないと・・・・・・・」
「へ、飯を作るのはお前じゃない。こいつだ」
「カイの分も食べるのです」
「ごめんなさい」
食べられることに驚きつつ、防寒着の冒険者は穴の状態を見た。確かに、最近、床の穴と同じくらいに開けられている。ただ、こちらは重量に耐え切れず空いた穴とは異なり、何者かの手で空けられたものだ。それも、知能が低いものの手で。
「そこまでわかるのです?」
「人並の知能があるなら、こっちを使うと思う」
ノブを握り、ゆっくりと回す。音もなく開いた。成程、知能は低い。だが、壁を破る力はあると。脳味噌まで筋肉確定かな。

                                 続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...