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埃屋敷の穴
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屋敷の中に入った途端、カイは強烈なくしゃみに襲われた。長年掃除していないとすぐにわかる埃が山から宙に舞う。それと、細かい破片のような砂のような粉がある。
「汚いのです」
「マジだな」
「距離が距離だけに定期的に掃除できなかったんだろう」
最寄りの町に往復8日かかる別荘に需要があったらしい。建物自体はかなり丈夫な造りで、壁に蔦が生えても、何かが殴った跡が無数にあっても、壊れていない。
「これ、何の仕業です?」
「うーん、この後だけでは特定は難しい・・か・・・」
防寒着の冒険者くらいの直径がある。
「ゴーレムパンチではないのです?」
拳でドカッと殴ったらこのような跡ができそうだ。
「それ(手で殴った)が事実としたら、全長20mは必要だろうね」
10m程で何とかなるかと思ったが、ちょっと見込みが甘かった。そのナナが考えた10mも一階の天井を突き破る大きさなのだ。
「それで、石のゴーレムだったら縦も横もあるだろうから・・・・重さもあって、床に大穴が空いていると思う」
それは相手したくないなという気持ちはナナに伝わった。
「それは、間抜けです」
「あるぞ、穴」
「「え?」」
カイがいる方を向くと、確かに。床にぽっかりと穴が開いていた。直径は5m程で、ほぼ円形。それ以外にこれといった特徴もない。
「昨日今日ではないけれど、床の状態からして最近落ちた跡です」
「これ開けた奴らが原因かもな」
「カイ、ちゃんと団体行動するのです」
「やだね、面倒臭ぇ」
「言うこと聞かないと・・・・・・・」
「へ、飯を作るのはお前じゃない。こいつだ」
「カイの分も食べるのです」
「ごめんなさい」
食べられることに驚きつつ、防寒着の冒険者は穴の状態を見た。確かに、最近、床の穴と同じくらいに開けられている。ただ、こちらは重量に耐え切れず空いた穴とは異なり、何者かの手で空けられたものだ。それも、知能が低いものの手で。
「そこまでわかるのです?」
「人並の知能があるなら、こっちを使うと思う」
ノブを握り、ゆっくりと回す。音もなく開いた。成程、知能は低い。だが、壁を破る力はあると。脳味噌まで筋肉確定かな。
続く
「汚いのです」
「マジだな」
「距離が距離だけに定期的に掃除できなかったんだろう」
最寄りの町に往復8日かかる別荘に需要があったらしい。建物自体はかなり丈夫な造りで、壁に蔦が生えても、何かが殴った跡が無数にあっても、壊れていない。
「これ、何の仕業です?」
「うーん、この後だけでは特定は難しい・・か・・・」
防寒着の冒険者くらいの直径がある。
「ゴーレムパンチではないのです?」
拳でドカッと殴ったらこのような跡ができそうだ。
「それ(手で殴った)が事実としたら、全長20mは必要だろうね」
10m程で何とかなるかと思ったが、ちょっと見込みが甘かった。そのナナが考えた10mも一階の天井を突き破る大きさなのだ。
「それで、石のゴーレムだったら縦も横もあるだろうから・・・・重さもあって、床に大穴が空いていると思う」
それは相手したくないなという気持ちはナナに伝わった。
「それは、間抜けです」
「あるぞ、穴」
「「え?」」
カイがいる方を向くと、確かに。床にぽっかりと穴が開いていた。直径は5m程で、ほぼ円形。それ以外にこれといった特徴もない。
「昨日今日ではないけれど、床の状態からして最近落ちた跡です」
「これ開けた奴らが原因かもな」
「カイ、ちゃんと団体行動するのです」
「やだね、面倒臭ぇ」
「言うこと聞かないと・・・・・・・」
「へ、飯を作るのはお前じゃない。こいつだ」
「カイの分も食べるのです」
「ごめんなさい」
食べられることに驚きつつ、防寒着の冒険者は穴の状態を見た。確かに、最近、床の穴と同じくらいに開けられている。ただ、こちらは重量に耐え切れず空いた穴とは異なり、何者かの手で空けられたものだ。それも、知能が低いものの手で。
「そこまでわかるのです?」
「人並の知能があるなら、こっちを使うと思う」
ノブを握り、ゆっくりと回す。音もなく開いた。成程、知能は低い。だが、壁を破る力はあると。脳味噌まで筋肉確定かな。
続く
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