っておい

シロ

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二、違いにご用心

2ー20、落ち度であった。

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振り返るとサングラスをかけた男が三人、タイラと慎司に拳銃を向けて立っていた。
「後をつけられていたのか!?」
「しまった」
完全にタイラの落ち度であった。任務中は常に警戒をはれ、そう言われていたのに周りに張っていた気が薄れていたのに気付かなかったため、慎司を危険な目に合わせてしまった。
「命が惜しくはその紙を渡してもらおうか」
「誰が」
渡すかと歯向かう意思を見せる慎司の言葉を遮った。慎司にとってこの紙は何者にも代えられないほど大切なもの、決して渡したくないはわかる。タイラも同意したいが、今は慎司の安全確保が第一だ。だが、親しくなったとはいえ、慎司は一般市民。能力を見せる訳にはいかない。風で辺りを確認する。あれを使えば逃がせる。一か八か賭けるしかない。
「わかった。この紙は渡す。だから撃たないでくれ」
両手を挙げ、無抵抗を示すと向こうの緊張が少しだけ和らいだ。
「よし。どっちかが持って来い」
「ほしいんなら勝手に取れ!」
どちらも硬い紙で本当に助かった。投げつけ、二人の銃に当てる。こっそりと魔力を付加したので、強度はバッチリ。銃は手から離れた。
その一瞬の隙にタイラは慎司に体当たりを喰らわし、一気に後ろへ飛ぶ。風の音でわかったが、後ろにはかなり深い裂け目があった。深さがわからないのに飛ぶなど無茶な賭けに出たと思う。
しかし、他に方法が思いつかなかった。放たれた銃弾がタイラの髪を少し切り取る。暗い裂け目に二人は落ちていった。受身をとり、落下の衝撃を弱めると急いで慎司共々岩陰に身を隠す。白馬道場二番弟子を名乗るだけの事あってきちんと受身をとり、タイラに引っ張られながらも自分でも動いていた。
「拳銃を見ても竦まないとは中々やるでござるな」
「・・・・・・初めてじゃないからな」
相手が小龍に銃を向け撃ったのをそばで見たからと岩に凭れ掛かって苦い顔で呟いた。上から降ってくる銃弾は全て岩や後ろの壁が受けてくれた。こっちに届かないことがわかったのかタイラの知らない言語で何やら話すと姿を消した。気配が遠くなっていく。

                                    続く
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