っておい

シロ

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一、Boy(?) Meets Girl(?)

1ー27、なおさら情が入る。

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「ほんと、青春してるよな、こいつ」
『うむ、そのすばらしい青春の一ページに我が名を残すため、この美人保険医 香月先生がビックな情報を教えてあげよう』
ピクリと三角の黒耳が反応する。タイラは結構現金な性格のようだ。
「おまえ、あいつのこと知ってるのか?」
「ぜひ、教えてくだされ」
『何度か会ったことはあるけど、詳しくは知らないわよ。あの子、誰とも話さないから。昼間の授業を受けていたし、この学校の生徒であることは確かよ』
そう言って香月先生が孟起とタイラを連れてきたのは職員室だった。入ると香月先生は誰に遠慮することもないと知っているからこそであろう。盛大に棚を引っ掻き回し始めた。そしてほとんどの棚の中のものを散らかした後、一つのファイルを持ってきた。
『えっと、確かこの学年の・・・・・・う~ん、どこのクラスだったかしら?よく覚えていないけど図書室に近い方から三番目の教室だったと思うわ。セーラー服を着てたもの、たぶん』
「図書室から三番目といえば二年E組、って今日拙者らが編入したクラスでござる」
「おそらく女子生徒だとよ。よかったな」
だが、この情報本当に正しいのか?孟起とタイラは首を捻った。仕事柄、一日でクラス中の人を覚えたはずが、いくら記憶の中を探してもそれらしい人物は思い浮かばない。欠席していたのかもと生徒名簿を見たが、それらしい人物は見当たらない。さすがに銀髪は目立つと染めているようだ。
「なら簡単だな。明日見つけて、体育館裏に呼び出して訊けばいい」
『クラスの人に彼女の人柄聞いてから普通に話しかけることから始めなさい』
不良の呼び出しと誤解されないだろうかと心配になる香月先生だった。
『個人的なことだけど、最初に話しかけるのはそっちの化け猫さんにしたほうがいいわ。どうせあなたも人間に化けて潜入しているんでしょう』
孟起がやったら100%カツアゲと誤解される。自分で教えといてなんだが、昨日転入してきた美形ではあるが不良男に呼び出される生徒に同情してしまう。彼女はクラスで目立たない平穏を好む傾向の生徒だと認識している。内緒のことだが、自分と話ができる数少ない人物の一人なのでなおさら情が入る。おしゃべり好きの香月先生にとって年は離れているが大切な話友達なのだ。
「今日はこんなもんだろう。帰るか」
「そうでござるな。貴重な情報ありがとうござる」
『そうそう、言わなきゃいけないことがありましたわ』
高い声で香月先生は出て行こうとした孟起とタイラを呼び止めた。
『その少女(仮)からの伝言よ。「この件から手を引いてください。」だって。年の割に達筆よね。習字でも習ってたのかしら。まぁ、深くは聞かないけどよっぽど深刻な問題のようね』
「さあどうだろうな」
不敵に笑うと孟起はドアを閉めた。
『やっぱりいい男ね。授業覗きに行っちゃおうかしら』
落ちかけた脳を元に戻しつつ彼らがもう一度夜中に来たときのためにいそいそとクロロホルムの在庫を確認するのだった。


                             続く
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