っておい

シロ

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一、Boy(?) Meets Girl(?)

1ー5、そのネタのカラクリは知っている。

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「で、どんなのがあるんだ」
「しかし、階段の話なんか聞いてどうするのでござる?変わった研究をする友達がいるんでござるな」
「変換が違う。俺が聞きたいのは上り下りする階段じゃなくて、怖い話の怪談の方。代表的なのが学校で起こる七つの幽霊話の総称、七不思議のことだ」
幽霊に関係あるから聞いたのかとタイラは納得した。理由すらりと出てきたのはよく使っていたからだろう。
「じゃあ、案内しながら話すね」
「ここからだと少し戻ることになるけどいい」
案内してもらうのに文句を言う奴は無礼極まる。孟起とタイラは即頷いた。
「その一、学校七不思議で超ポピュラーなトイレの花子さん」
案内されたのは図書室横にあるトイレだった。いるな、と孟起は思った。ただ、その気配は・・・・・・。
「花子さん、遊びましょ、のやつか?」
女の子たちはうんうんと頷いた。
「そうそれ」
「でも、出るのはそっち」
ピンクのマニキュアの塗られた爪で指されたのは男子トイレのほうだった。
「花子さんは男の子だったのか。危うく名前に騙されるところだったでござる」
タイラは本気で言っている。真剣な表情を見れば一目瞭然だ。
「女・・・・・・のはずだ」
性同一性障害じゃなければなと心の中で呟く。戦時中に死んだのと、苛めを苦に死んだのと、が主な理由として挙げられている。どちらとも共通点は苦しい思いをして死んでいったこと。本人に非がほとんどないこと。
「うん、でもここでは男子トイレにでるの」
「いじめられて男子トイレに閉じ込められて死んだ女の子の幽霊じゃないかってのが私たちの考え」
「まぁ、そんなところが妥当だろうな。次頼む」
一同が向かったのは実習塔二階の西端にある美術室だった。
「ここにあったのが夜になると目が動くモナリザの絵」
白い壁には大きなモナリザの絵が・・・・・・なかった。その部分だけがぽっかりと空いていた。日に焼けていない壁紙の跡がそこに絵が飾られていたことを如実に物語っている。なんでも、これ以上変色しないように準備室に仕舞われたのだとか。日の目を見ることはもちろん、生徒の目に見えることもなくなった。
元の場所に戻される予定はない。
「何でもその絵自体に問題が起きたって話よ。詳しくはわからないけど」
「さすが梨佳ちゃん、報道部なだけあるね」
えっへんと胸を張る梨佳や他の女子に気付かれないように孟起はタイラに目配せする。
「次はこの屋上に続く階段」
「一段多くなってそこに足をかけると地獄へ導かれるってやつか」
「そうそれ、そのまんま」
そのネタのカラクリは知っている。無視しても問題ない。
「じゃあ次に行ってみよう」
オーっとやたらノリの良い女子ばかりだ。まぁ、そういう人たちだからこそ案内を買ってでたのだろう。最初にタイラが頼んだ委員長はこいつらの熱気についていけなくなって途中でどこかに消えてしまった。
「増減する飼育ウサギ」
「一週間毎にウサギの数が上下するんだって」
「だから何ってやつよね」
確かに今まで聞いた中で一番どうでもいい。内容がしょぼい。今時小学生でも余程の怖がりでなければ怖がらないだろう。ウサギ小屋の横には鶏小屋があり、朝の騒音が想像できる。二十匹もいれば相当な大きな鳴き声だ。そのうち半分が雄だからでもあるだろう。
「その五、呪いのピアノ」
「午前二時に誰もいないピアノが奏でるベートーベンの『エリゼのために』を最後まで聞き終えると三日以内に死ぬってやつ」
これまたよくありそうなベートーベンシリーズである。モナリザ同様壁画が動く人物としても有名である。曲も怪談でよくあがるものだ。
「でも、体育館のピアノが壊れたからそっちに移されたのよね。今では校歌しか弾かれないってか」
「体育館には弾むバスケットボール」
「美少年バスケットマンの幽霊がいるって噂もあったけど、結局ボールの幽霊だって。はぁ~、残念」
女の子は美形と美少年に弱いと誰かが言っていた。この女子達の落胆振りを見ると結構的を射ているのではと思えてきたタイラだった。
「で、これまた定番保健室三番目のベッド。横になっているとあるはずもないベッドが現れて、膨らんだ布団の奥から何者かがジッとこっちを見てる気がする。うっかり目を合わせるとベッドから黒い塊が這い出してきて、声を上げると地獄に連れて行かれるの」
「ありきたりではあるな」
後半は地方性が出るので変化していることが多い。気にする必要ないと孟起は鼻で笑った。メジャーばかりだが、それ故に退治方法もハッキリしている。


                       続く
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