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二日目その5、眺める
間違った休日の過ごし方
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夕日に燃える波止場は美しくもありどこか悲しくもある、とご主人様が言っていたのを思い出し、ジッと波向こうに沈む太陽を眺めていた。特に何かあるわけではない。あると言われる心にも別だって変化が起こらない。これは・・・・・・
「不感症かな」
「ちょ、何言ってんだよ?!」
「感動がない」
「ああ、そっちのか~」
「どっち?」
「忘れてくれ」
などとぼんやり話していると刑事を連れたクウがやってきた。
「用意はできたか」
「あれ?俺って見学するだけじゃないの?」
「叶えてほしい願いがあるなら参加してみてもええのう」
「あるある、参加するぜ」
集めた球を全て地面に置くとクウはブツブツと呪文を唱える。黒い雲と共に巨大な龍が出現する。周囲を威圧する雷鳴、鋼鉄の鱗、瞳のない目。
「すげ・・・・・・」
漫画通りの光景に充希は開いた口が塞がらない。
『願いを言え。なんでもひとつ叶えてやろう』
「リジィの記憶戻して」
『無理です。ごめんなさい』
頭まで下げている。
「おいおい、返答早過ぎ。しかも、無理だってよwww」
「『何でも』ではなかったのか?」
『理が違い過ぎて迂闊に手が出せない。こっちの世界の神に頼んでくれ』
「ち、使えないのう」
露骨に舌打ちした。美人だから絵にはなる。
『他の者も何かあるか?ワシの管理できる範囲で叶えてやる』
「言い直したwww」
「一気にしょぼくなったな」
「・・・・・・」
一同考えている時だった。
「俺を最強にしろ!!」
突如響いた声。振り向くとそこには球を奪った不良達がいた。その中の1人、リーダー格の男がしてやったりとふんぞり返っている。
『ふむ、抽象的すぎる』
「なにぃ~」
注文の多い龍だ。たしか、参考文献では神様に等しい存在らしい。どこも似たようなものなのかもしれない。
「な、ならば・・・」
「マッ○のストロベリーシェークを1つ」
『ふむ、何ともわかりやすい願いだ。そなたのを叶えよう』
手の平を差し出すとヒンヤリ冷たい紙コップが降ってきた。ストローに口をつけると甘い味が口いっぱいに広がった。うん、人工的で美味しい。
『満足してくれてくれてなにより』
そういうと龍は泡となって球の中にもどっていった。
「サード!」
「心得た」
飛び散ろうとした球を走り集める。スッカリ魔力を失って石と化したものが9つ。これなら魔力干渉ができる。
「システムオールグリーン、グローバルリンク」
時の流れから一片を紡ぎ、それを石に結び付ける。大量の情報が流れ込んできた。
「ダンジョン構成システム起動」
港が実体のない水の中へ沈む。時間が止まり、対象外人物が次から次へと空間から排除されていく。
「半径1m内のバイオハザードを選択。入力画面出現確認。名前xxx、入力完了。罪名詐欺、入力完了。フィールド想定レベル10」
「げ、いきなり10も」
「ダンジョン:ドリームエンド形成終了」
そう呟いた時、周囲には誰も、いや充希だけが残っていた。
「なぜ?」
「いや、俺のセリフだし」
距離を開け、臨戦態勢を取る。
「な、何をやってるんだ!?」
「敵認識・・・エラー。再認識・・・・エラー」
ノイズでも発生しているのだろうか?何度入力してもエラーと表示されてしまう。あの時もそうだった。彼を敵として攻撃できない。こんなにも、こんなにも怪しいのに。
「ほらほら、おいで。怖くないぞ」
ああ、舐められている。あんな隙だらけの一般人など簡単に殺せるのに。ここにおいていけば確実に死ぬくせに、何故こんなにも見捨てられないのだろう。
試しに広げられた手の中に入って見たら、すっぽりと収まった。力は強くないけれど、温かい。
「ほれほれ、ちょっとは落ち着いたか?」
「・・・・・・(コクリ)」
頭を撫でられているだけなのにこのマイナスイオン効果が得られる。本当はこの人凄い人なのでは、
「うあ~、モンスター来た~!!??」
・・・・・・少なくとも自分にとっては。
暗闇の向こうから現れたのはボロボロのカードの体に長い槍をもったトランプ兵だった。
敵認識、武具出現を選択する。虚空から直刃の刀が現れ、それを手に取る。一緒に出てきたヴェールは首に巻いて防御点を上げる。
「・・・こい」
声に反応した魔物が一斉に襲い掛かる。
「“縛”」
何かに反応して攻撃してくるので攻撃が直線的だ。これ幸いと風で捕まえて一息に首を刎ねる。
「うげ~、えげつない」
「殺し方としては綺麗で確実」
「わかるけどさ~。もっとこう気絶でもいいんじゃないか?」
言いたいことはわかった。ただ、胸が弱点ではない敵も存在するので確実に倒すためにはやはり首チョンが手っ取り早い。偶にこれでも聞かない相手がいる。
「早く合流しようぜ」
「はい」
マップを広げて現在地を確認する。一階の中腹に飛ばされたようだ。
「ポイント消費、仲間の位置掲示」
「何も映らないぞ」
「他階にいる」
「よし、宝箱回収しながら行こうぜ。俺に使える武器もあるかもしれないしな」
一般人でも装備できる武器・・・・・・棍棒や木刀、遠距離武器ならパチンコ辺りが仕えそうだ。トランプ兵の頭を切り飛ばしながら武器リストを思い出す。
さすが細菌感染なだけある。敵の湧き方が半端ではない。雑魚敵ばかりだが、後ろに突撃されないようにしているのもあり結構な手間だ。
ただ、彼を守るのは嫌ではない。
「不感症かな」
「ちょ、何言ってんだよ?!」
「感動がない」
「ああ、そっちのか~」
「どっち?」
「忘れてくれ」
などとぼんやり話していると刑事を連れたクウがやってきた。
「用意はできたか」
「あれ?俺って見学するだけじゃないの?」
「叶えてほしい願いがあるなら参加してみてもええのう」
「あるある、参加するぜ」
集めた球を全て地面に置くとクウはブツブツと呪文を唱える。黒い雲と共に巨大な龍が出現する。周囲を威圧する雷鳴、鋼鉄の鱗、瞳のない目。
「すげ・・・・・・」
漫画通りの光景に充希は開いた口が塞がらない。
『願いを言え。なんでもひとつ叶えてやろう』
「リジィの記憶戻して」
『無理です。ごめんなさい』
頭まで下げている。
「おいおい、返答早過ぎ。しかも、無理だってよwww」
「『何でも』ではなかったのか?」
『理が違い過ぎて迂闊に手が出せない。こっちの世界の神に頼んでくれ』
「ち、使えないのう」
露骨に舌打ちした。美人だから絵にはなる。
『他の者も何かあるか?ワシの管理できる範囲で叶えてやる』
「言い直したwww」
「一気にしょぼくなったな」
「・・・・・・」
一同考えている時だった。
「俺を最強にしろ!!」
突如響いた声。振り向くとそこには球を奪った不良達がいた。その中の1人、リーダー格の男がしてやったりとふんぞり返っている。
『ふむ、抽象的すぎる』
「なにぃ~」
注文の多い龍だ。たしか、参考文献では神様に等しい存在らしい。どこも似たようなものなのかもしれない。
「な、ならば・・・」
「マッ○のストロベリーシェークを1つ」
『ふむ、何ともわかりやすい願いだ。そなたのを叶えよう』
手の平を差し出すとヒンヤリ冷たい紙コップが降ってきた。ストローに口をつけると甘い味が口いっぱいに広がった。うん、人工的で美味しい。
『満足してくれてくれてなにより』
そういうと龍は泡となって球の中にもどっていった。
「サード!」
「心得た」
飛び散ろうとした球を走り集める。スッカリ魔力を失って石と化したものが9つ。これなら魔力干渉ができる。
「システムオールグリーン、グローバルリンク」
時の流れから一片を紡ぎ、それを石に結び付ける。大量の情報が流れ込んできた。
「ダンジョン構成システム起動」
港が実体のない水の中へ沈む。時間が止まり、対象外人物が次から次へと空間から排除されていく。
「半径1m内のバイオハザードを選択。入力画面出現確認。名前xxx、入力完了。罪名詐欺、入力完了。フィールド想定レベル10」
「げ、いきなり10も」
「ダンジョン:ドリームエンド形成終了」
そう呟いた時、周囲には誰も、いや充希だけが残っていた。
「なぜ?」
「いや、俺のセリフだし」
距離を開け、臨戦態勢を取る。
「な、何をやってるんだ!?」
「敵認識・・・エラー。再認識・・・・エラー」
ノイズでも発生しているのだろうか?何度入力してもエラーと表示されてしまう。あの時もそうだった。彼を敵として攻撃できない。こんなにも、こんなにも怪しいのに。
「ほらほら、おいで。怖くないぞ」
ああ、舐められている。あんな隙だらけの一般人など簡単に殺せるのに。ここにおいていけば確実に死ぬくせに、何故こんなにも見捨てられないのだろう。
試しに広げられた手の中に入って見たら、すっぽりと収まった。力は強くないけれど、温かい。
「ほれほれ、ちょっとは落ち着いたか?」
「・・・・・・(コクリ)」
頭を撫でられているだけなのにこのマイナスイオン効果が得られる。本当はこの人凄い人なのでは、
「うあ~、モンスター来た~!!??」
・・・・・・少なくとも自分にとっては。
暗闇の向こうから現れたのはボロボロのカードの体に長い槍をもったトランプ兵だった。
敵認識、武具出現を選択する。虚空から直刃の刀が現れ、それを手に取る。一緒に出てきたヴェールは首に巻いて防御点を上げる。
「・・・こい」
声に反応した魔物が一斉に襲い掛かる。
「“縛”」
何かに反応して攻撃してくるので攻撃が直線的だ。これ幸いと風で捕まえて一息に首を刎ねる。
「うげ~、えげつない」
「殺し方としては綺麗で確実」
「わかるけどさ~。もっとこう気絶でもいいんじゃないか?」
言いたいことはわかった。ただ、胸が弱点ではない敵も存在するので確実に倒すためにはやはり首チョンが手っ取り早い。偶にこれでも聞かない相手がいる。
「早く合流しようぜ」
「はい」
マップを広げて現在地を確認する。一階の中腹に飛ばされたようだ。
「ポイント消費、仲間の位置掲示」
「何も映らないぞ」
「他階にいる」
「よし、宝箱回収しながら行こうぜ。俺に使える武器もあるかもしれないしな」
一般人でも装備できる武器・・・・・・棍棒や木刀、遠距離武器ならパチンコ辺りが仕えそうだ。トランプ兵の頭を切り飛ばしながら武器リストを思い出す。
さすが細菌感染なだけある。敵の湧き方が半端ではない。雑魚敵ばかりだが、後ろに突撃されないようにしているのもあり結構な手間だ。
ただ、彼を守るのは嫌ではない。
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