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11ー9、カメ、腹を満たす

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 ただ、レイカのこの計画には大きな穴があった。
「ダメダメ。子供は家に帰りなさい」
学校に入れてもらえなければ、どうしようもないのである。
「また明日、どすな」
ぐぅぅぅとお腹が鳴る。しかし、財布は寂しい。ラーメン屋に入るも、通常の普通ラーメン(豚骨)ではとても足りない。
「おやっさん、挑戦ラーメン一つね」
はいよ、と威勢のいい返事が返る。
「なぁ、メニューに載ってへぇけんかったけれど何なんどす?」
「ああ、あれね。ここの裏メニューだよ」
恰幅のいい叔母さんが食後のお茶を持ってきてくれた。緑茶ではないのが残念である。
「一杯5kg。二杯食べきれば賞金金貨一枚だけれど、残したら罰金銀貨500枚ね」
10kgを一回で食べきれなければならないのか。
「挑戦する人はいるけれど、食べ切れた人はいないね」
運ばれてきたラーメンを見て腹具合と相談する。1杯食べたけれど、
「うちもやらはる」
店内の空気が凍った。
「やめときなって、あんた、さっき食べたばかりだろ」
「大丈夫どす」
あれは、前座だ。胃を膨らませるための。サイドテーブルを見る。辛子、高菜、紅生姜、下ろしニンニク・・・・・・いつもの食事量から考えるとあれ一杯は確実に入る。
「やらはります」
小さな挑戦者に店内は湧きあがった。
「まぁ、そこまで言うんなら止めないけれどさぁ」
「その代り、お願いがあります」
「うん?何だい?制限時間は7分だよ」
「一杯目食べ終わるくらい、3分過ぎくらいに二杯目を完成させるくらいでお願いしたんどす」
「別にいいけれど、本当にやるのかい?」
「はい、美味しかったから楽しみやわ」
厨房に消えたおばちゃんが戻ってきた時には、お盆からはみ出んばかりの丼にこれまた山盛りに積まれたチャーシューが運ばれてきた。ドンと前に置かれると、向かいの席からはレイカの姿は見えなくなった。
「それじゃあ、今から7分。開始!」
「いただきます」
きちんと手を合わせてお辞儀をすると箸を手に、チャーシューを無視して麺を啜り出した。
6分後。
「ご馳走様でした」
無理と倒れたサラリーマンを後目に、満足に箸をおくレイカの姿があった。
「はー、本当に二杯食べきったね。しかも、綺麗な食べ方だったじゃないか。他の挑戦者達に見習わせたいよ」
倒れているサラリーマンの連れから500銀貨受け取り、レイカには封筒に入った金貨を渡す。封筒に入っているのは一枚だけのはずなのにそれはズシッと重かった。それもそのはず。銀貨10000枚の価値がある。学園ギルドの報酬が銀貨単位なので・・・・レイカがまず手にすることがないものだった。というか、これが100枚集まれば洒落た家が建つ。
「よかったらまた食べに来てよ」
え、いいの?と思ったが、注意書きの後ろに一度クリアした方の再挑戦は受け付けていませんときちんと書いてあった。クリア記念におばさんと写メを取り、レイカは店を後にした。普通に美味しかったので、皆を連れて行きたい。
「さて、ご飯も済んだことだし、儀式の準備しはりましょうか」


                              続く
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