162 / 220
10ー5、カメ、少ないことに気が付く
エターナニル魔法学園特殊クラス
しおりを挟む
考えてみると、ユーキの家にやってきた同級生はいない。同居人のカノウはロイズと同じで研究生だし、時々顔を出していたカノウの同級生も、研修生になっている。上級生の知り合いとは言えない。
「そういえば、レイカは上級生の知り合いっている?」
「ロンはんとリトアはん。あと知り合っているだけなら保健委員の人と生徒会長はんとその御付きの人どすなぁ」
ロイズは研究生なので除外した。保健委員の人とは一番初めの時空転移直前に会ったあの人のことだ。二人とも名前は覚えていないが、あの時点で委員会が決まっていたのは上級生だけである。研究生研修生になると委員会は免除されるのかロイズは委員会に入っていない。
「入学して三か月、先輩の知り合い少ないわね」
「仕方あらへん。うちら特別クラスやから」
同級生からの侮蔑の目はなくなったが、得体の知れないものを見るような目は変わらなかった。人違う能力、異能を持つのだから仕方がないと無理やり納得するしかない。入学日にクラス分けがあったので二人に話しかけてくれる先輩もいなかった。違うという壁がここにきて重く二人の前に立ち塞がった。ロイズやロンとあったのは一週間後だった。
「あーあ、頭使ったから疲れたー」
ドサリとベッドに飛び込んでイスカはそう叫んだ。テストからの解放がよっぽど嬉しいのだろう。即寝てしまった。出てきそうになった言葉をレイカは苦笑いと共に飲み込んだ。夜ご飯には早くおやつを食べるには遅い時間帯。自分も寝ようかなと下の布団(元は人段ベッドだった)のに入ろうとした時だった。軽いノック音が聞こえた気がした。キョロキョロと辺りを見渡してレイカは首を傾げる。ドアの方向からではない。かといって窓ガラスをノックした音でもない。不気味の思いながら恐る恐るドアノブに手をかける。ゴクリと喉が鳴る。ゆっくりと引きあけると、
外には、誰も、いなかった。
続く
「そういえば、レイカは上級生の知り合いっている?」
「ロンはんとリトアはん。あと知り合っているだけなら保健委員の人と生徒会長はんとその御付きの人どすなぁ」
ロイズは研究生なので除外した。保健委員の人とは一番初めの時空転移直前に会ったあの人のことだ。二人とも名前は覚えていないが、あの時点で委員会が決まっていたのは上級生だけである。研究生研修生になると委員会は免除されるのかロイズは委員会に入っていない。
「入学して三か月、先輩の知り合い少ないわね」
「仕方あらへん。うちら特別クラスやから」
同級生からの侮蔑の目はなくなったが、得体の知れないものを見るような目は変わらなかった。人違う能力、異能を持つのだから仕方がないと無理やり納得するしかない。入学日にクラス分けがあったので二人に話しかけてくれる先輩もいなかった。違うという壁がここにきて重く二人の前に立ち塞がった。ロイズやロンとあったのは一週間後だった。
「あーあ、頭使ったから疲れたー」
ドサリとベッドに飛び込んでイスカはそう叫んだ。テストからの解放がよっぽど嬉しいのだろう。即寝てしまった。出てきそうになった言葉をレイカは苦笑いと共に飲み込んだ。夜ご飯には早くおやつを食べるには遅い時間帯。自分も寝ようかなと下の布団(元は人段ベッドだった)のに入ろうとした時だった。軽いノック音が聞こえた気がした。キョロキョロと辺りを見渡してレイカは首を傾げる。ドアの方向からではない。かといって窓ガラスをノックした音でもない。不気味の思いながら恐る恐るドアノブに手をかける。ゴクリと喉が鳴る。ゆっくりと引きあけると、
外には、誰も、いなかった。
続く
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる