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8-13、カラス、干渉する

エターナニル魔法学園特殊クラス

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「そうですね」
「削除しますよね、ね。女性には、もちろん男性でも不名誉はことですし」
リトアとロンはお互いを見合わせた。そして、コクリと頷く。
「結構です」
「はい、わかり、って!ええ!!」
「おいおいネーちゃん。ここに来て何の冗談だ?」
「冗談ではありません。削除はこの子に頼みます」
「・・・どうも」
「な、そんな子にできる訳ないっ。できるもんならこの店のシステムに介入してみせろ」
「・・・問題ない」
ロンを中心に波状のエナジーが発せられる。鳴り止まらなくなった呼び出し音。レジが自動に勝手な精算を始める。
「な、何だ?何が起こってる!?」
「嘘だろ。ピンポイント無線アクセスを魔法陣なしで!?」
「何が起こってるの?」
「ろんガ能力ヲ勝手ニ使ッタンダ」
少しよろめいたのは罰が当たったからだ。周囲への影響が少なかったから微量の電撃で済んだ。思考の読めない目が男達を見詰める。
「運営側も自分達のシステムが犯罪に利用されていることを知ったらほっとけない、と思うよ」
申請があれば削除するだろう。しない方が問題だ。
「それに、あなた方に頼んでもしてくれないから、かな」
これを使ってまた同じ電話を他にかけるのでしょうとリトアは微笑んだ。
「兄貴、ばれてます」
リトアの鋭くない鎌に若い男はあっさりと掛かった。
「貴様ら、ただもんじゃないな」
「学園ぎるどノ者ダ。詐欺及ビ恐喝ノ現行犯デ拘束サセテモラウ」
逃げようとした若い男をイスカは飛び乗って取り押さえる。暴れる男の頭スレスレに踵落としを決めると大人しくなった。床にヒビが入って店員が悲鳴を上げたが、イスカは気にしなかった。
「恐喝はどこで付いたのかな?」
「聞キ込ミノ成果ダ」
ロンのね、とイスカとレイカはそっと心の中でツッコミを入れる。ロンは自分が狂わしたシステムの回復に一生懸命だった。その隙をついて男はロンを抱え込んだ。ロイズの口から奇怪音が発せられる。
「サッサトソノ汚イ手ヲ離セ、豚野郎!」
「ロイズ先輩、落ち着いて」
突撃しないところはさすが研究生だな、と思っているとロイズの頭が徐に開き、ロケットランチャーが顔を出した。
「ちょっとちょっと、それは不味いって」
「ロイズはん、ロンはん犠牲にしはりますの?」
「テメー、俺に眼付けるとはいい度胸だ。だがな、俺の後ろにはXIZA会が付いてんだぜ。黙っちゃいねーぞ、オラッ!」
「XIZA会って言ったらインセクターで最強と言われるヤクザ組じゃない!?」
西一帯を勢力下としている九頭龍組、東を支配している御門グループみたいなものかな?レイカは思った。
「ドウセ下ッ端ダロ」
「うるせー」
「XIZA会・・・確か、あの人もそうだったかな」
そう言ってリトアは携帯を操作し始めた。そしてグルグニズという名前を選んで電話をかけ始めた。店内の機械の暴走が治まった時、
「あ、こんにちは、グルグニズさん」
その名前を聞いた途端、男とイスカに電流が走る。
「いえ、気にしないでください。そんな、本当にたまたま偶然居合わせただけなので」
呑気な会話が続く。イスカと男の顔色がドンドン悪くなる。
「りとあ、サッサト内容ニ入レ」
「はい、それでですね。今同じ会の人と会っていまして・・・えっと、すみません、お名前何と言いますか?」
「い、言える訳ないだろ!!」
そう叫んだ男の顔は真っ青になっていた。
「なぁ、イスカはん。グルグニズさんって何者どす?」
「あたしの記憶が正しければ、XIZA会の会長さんのはず。あれ、元だったっけ?」
「先輩どこで知り合ったんやろか?」
「しかも、向こうがこっちに恩があるみたいだし」
「・・・・・・はい、はい。すみませんがお願いします」
「デ、ドウナッタンダ?」
「誰だかわからないから確認しに来るそうです」
そうリトアが言い終わらない内に男は人混みを押し退けて走り出した。乱雑に人を押し退け出口から飛び出す。ロンを抱えたまま。
「待テヤ、ごるぁ!」
「イスカちゃんとレイカちゃんはその人頼みます」
男の後を追ってロイズとリトアが店から駆け出る。
「引っ掻ける相手間違ったわね」
「捕まるのも時間の問題どすな」
若い男はイスカの下でガックリと首を垂れた。遠くでロケランの音を聞きながら、イスカは運ばれてきた料理を食べるのだった。レイカにアーンしてもらいながら。

                              続く
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