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8-8、カメ、飲み込む
エターナニル魔法学園特殊クラス
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コンコンと小さなノック音がし、全員身構えた。
「あのー、リトアいますか?」
「誰?」
「5年2組のガアシよ。リトアとはクラスメイトになるわ。あんた達こそ・・・特殊クラスの人達だったわね」
「5年生ってクラス分けまだのはずよね」
「まだでも知ってるわ。たぶん、学園で知らない人はいないんじゃないかしら」
あなた達有名だから、と言って女子生徒は笑った。
「それで、ガアシ先輩はリトア先輩にどんな御用だったんどすか?」
「そうね・・・・・・」
ガアシはイスカ、レイカ、ロン、ロイズの順に見るとまぁいっかと呟いた。
「ちょっと、話しっていうか、リトアも関係してるから相談に乗ってもらおうと思ってね。リトア起きそう?」
「シバラクハ無理ダロウナ」
「まーた無茶をしたのね」
「また、どすか?」
「ギリギリ無理じゃない依頼ばっか引き受けてるって上級生では有名なんだわ。最近は6年生や先生の幻獣退治も手伝ってるらしいし」
それ、たぶん、リトア独りで片付けている。出かかった言葉をレイカは唾と一緒に飲み込んだ。
「ソレ関係ノ依頼ダッタラ断ルゾ」
ロイズが面倒臭そうに言う。
「ううん、全然別だから・・・・・・昨日あたしに電話があったの」
「・・・脅迫電話」
「うーん、そうだったような、そうでなかったような?」
「ハッキリシナイナ。内容ハ?」
「盗撮被害があるって」
昨日の夜遅く、盗撮被害にあっていますと連絡があった。学園ギルドの依頼を終えた日でもあり、半ば眠りながらガアシは応じた。
「要約すると、ネット上に盗撮写真が出回っているって言うの」
「大変じゃない!」
「それにしては落ち着いてはりますなぁ」
「その、盗撮被害者は肩に掛かるくらいの茶髪の人だって言うの」
4人はガアシの容姿を再確認した。自慢だろう美しい緑髪は腰までの長さがある。そういえば、学園女子学生の間で長髪が流行っていた。理由は簡単で、大人気のリルク先生の真似をしようとしてである。流行とはこうして生まれる。
「それで、パッと思いついたのがリトアだったの。5年で茶髪って言ったらリトアしか思いつかなかったし、実際いないし」
リトアは淡いが、人によっては茶髪に見えるだろう。
「成程、ソレデりとあノ名前ヲ出シタンダナ」
「ううん、思い当っただけよ」
上級生なのもあってその辺はしっかりしている。自分だったら名前出すだろうな~とイスカとレイカは思った。
「名前は出さなかったけど、学校の紋があるからまずその人じゃないかなって話になってね」
「学校ノ紋カ」
黒と白の剣がクロスするこの学園のエンブレムのことだろう。
「決行真実味がある話よね。本当だったら一大事」
「かといって直接調べても見つかるかどうかわからりまへん」
「ろん、検索シテミロ」
「・・・了解した」
机の上にあるパソコンを勝手に起動した。パスワード画面が出たが、それを気にすることなくロンは操作する。しかし、すぐに手が止まった。どうやらネットに繋がってないらしい。机の上に座っていたロンの姿が消える。情報室、と書かれた紙を残して。
「検索に行ったってことかな?」
「アイツニットッテハ筆記ノ方ガ早イカラナ」
「ごめんね。明日から依頼がなかったらあたしが何とかするのんだけど」
非公開の依頼ということでガアシはロイズと契約を結ぶ。
「携帯借リテイイカ?アト声紋ヲ撮リタイ」
「代わりの携帯を貸してくれるならね」
そう言いながらガアシと一緒にロイズは部屋から出ていった。
「どないしょうか?」
「とりあえず、盗撮カメラ探してみましょう」
リトアは深い眠りについている。無断になるが、御免なさいとレイカは一礼する。大きな音に顔をあげるとイスカがもの凄い勢いで部屋を荒らしていた。
「イスカはん、机の中にはカメラないと思うぇ」
机を開けた時にシャッターを切るように仕掛けをしても望むような姿は取れない。
「こういう時は相手の気持ちになればええって優姫先輩が言ってはったなぁ」
「へ?そんな先輩いたっけ?」
「前の学校の先輩どす。今は新聞記者してはります」
「盗撮者の気持ちね・・・・だったら、風呂場と台所は外せないかな」
湯上り姿は分かるが、台所?レイカの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「甘いわね、レイカ。エプロンの破壊力を知らないの」
レイカは想像した。イスカのエプロン姿を・・・・・・後片付けまで考えて頭が痛くなった。確かに、破壊力はありそうだ。イスカはバスルームをレイカは台所を重点的に探した。
続く
「あのー、リトアいますか?」
「誰?」
「5年2組のガアシよ。リトアとはクラスメイトになるわ。あんた達こそ・・・特殊クラスの人達だったわね」
「5年生ってクラス分けまだのはずよね」
「まだでも知ってるわ。たぶん、学園で知らない人はいないんじゃないかしら」
あなた達有名だから、と言って女子生徒は笑った。
「それで、ガアシ先輩はリトア先輩にどんな御用だったんどすか?」
「そうね・・・・・・」
ガアシはイスカ、レイカ、ロン、ロイズの順に見るとまぁいっかと呟いた。
「ちょっと、話しっていうか、リトアも関係してるから相談に乗ってもらおうと思ってね。リトア起きそう?」
「シバラクハ無理ダロウナ」
「まーた無茶をしたのね」
「また、どすか?」
「ギリギリ無理じゃない依頼ばっか引き受けてるって上級生では有名なんだわ。最近は6年生や先生の幻獣退治も手伝ってるらしいし」
それ、たぶん、リトア独りで片付けている。出かかった言葉をレイカは唾と一緒に飲み込んだ。
「ソレ関係ノ依頼ダッタラ断ルゾ」
ロイズが面倒臭そうに言う。
「ううん、全然別だから・・・・・・昨日あたしに電話があったの」
「・・・脅迫電話」
「うーん、そうだったような、そうでなかったような?」
「ハッキリシナイナ。内容ハ?」
「盗撮被害があるって」
昨日の夜遅く、盗撮被害にあっていますと連絡があった。学園ギルドの依頼を終えた日でもあり、半ば眠りながらガアシは応じた。
「要約すると、ネット上に盗撮写真が出回っているって言うの」
「大変じゃない!」
「それにしては落ち着いてはりますなぁ」
「その、盗撮被害者は肩に掛かるくらいの茶髪の人だって言うの」
4人はガアシの容姿を再確認した。自慢だろう美しい緑髪は腰までの長さがある。そういえば、学園女子学生の間で長髪が流行っていた。理由は簡単で、大人気のリルク先生の真似をしようとしてである。流行とはこうして生まれる。
「それで、パッと思いついたのがリトアだったの。5年で茶髪って言ったらリトアしか思いつかなかったし、実際いないし」
リトアは淡いが、人によっては茶髪に見えるだろう。
「成程、ソレデりとあノ名前ヲ出シタンダナ」
「ううん、思い当っただけよ」
上級生なのもあってその辺はしっかりしている。自分だったら名前出すだろうな~とイスカとレイカは思った。
「名前は出さなかったけど、学校の紋があるからまずその人じゃないかなって話になってね」
「学校ノ紋カ」
黒と白の剣がクロスするこの学園のエンブレムのことだろう。
「決行真実味がある話よね。本当だったら一大事」
「かといって直接調べても見つかるかどうかわからりまへん」
「ろん、検索シテミロ」
「・・・了解した」
机の上にあるパソコンを勝手に起動した。パスワード画面が出たが、それを気にすることなくロンは操作する。しかし、すぐに手が止まった。どうやらネットに繋がってないらしい。机の上に座っていたロンの姿が消える。情報室、と書かれた紙を残して。
「検索に行ったってことかな?」
「アイツニットッテハ筆記ノ方ガ早イカラナ」
「ごめんね。明日から依頼がなかったらあたしが何とかするのんだけど」
非公開の依頼ということでガアシはロイズと契約を結ぶ。
「携帯借リテイイカ?アト声紋ヲ撮リタイ」
「代わりの携帯を貸してくれるならね」
そう言いながらガアシと一緒にロイズは部屋から出ていった。
「どないしょうか?」
「とりあえず、盗撮カメラ探してみましょう」
リトアは深い眠りについている。無断になるが、御免なさいとレイカは一礼する。大きな音に顔をあげるとイスカがもの凄い勢いで部屋を荒らしていた。
「イスカはん、机の中にはカメラないと思うぇ」
机を開けた時にシャッターを切るように仕掛けをしても望むような姿は取れない。
「こういう時は相手の気持ちになればええって優姫先輩が言ってはったなぁ」
「へ?そんな先輩いたっけ?」
「前の学校の先輩どす。今は新聞記者してはります」
「盗撮者の気持ちね・・・・だったら、風呂場と台所は外せないかな」
湯上り姿は分かるが、台所?レイカの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「甘いわね、レイカ。エプロンの破壊力を知らないの」
レイカは想像した。イスカのエプロン姿を・・・・・・後片付けまで考えて頭が痛くなった。確かに、破壊力はありそうだ。イスカはバスルームをレイカは台所を重点的に探した。
続く
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