55 / 220
5-16、カメ、頭を抱える
エターナニル魔法学園特殊クラス
しおりを挟む
「脅かす練習、だと」
身を震わせながらレイカは必死に頷いた。リトアを探してうろついていたところ、誰かから迷子として届け出が出されたらしく見回りをしていた生徒会長に保護名のつく拘束された。
「本人は只歩いとっただけやから怒らんでほしいんどす」
「あの敵はどう説明つける」
「生霊から放たれたエナジーの集合体どす。虫やったのは彼がインセクター(昆虫族)やったから」
「ふむ、筋は通っているな」
通るも何もレイカはその通りに説明している。
「練習も今日までにしはると言ってました」
「ならば、校内の不審者は問題ない。あとの問題も目処が立った」
頭をグリグリと撫でられてレイカは自分が縮んでいくことを感じた。
「問題全部解決するんどすか?」
「ああ、ご苦労だったな」
ポイッと校舎から追い出されてしまった。続々と生徒達が下校していく様子を呆然としているところにリトアが丁度やってきた。
「お」
「あ、さっきの子だね」
何故かグレー勢揃いして。
「この子も連れて行っていいかな?」
「一人にしない方がいい」
「客観的意見も聞きたいし、僕は構わないよ」
見目六歳にて意見を求められたのはレイカにとってあまりないことだった。
「じゃあ、ファミレスでも行くか」
「いや、胃は空にしておいた方がいいと思うよ」
「おやおや、ずいぶんと物騒だが、こればかりは仕方がないか」
「なら、ここで話すか」
「校門前は止めようよ」
「なら、あそこならどうであろう?」
壁際の草むらに四人は身を隠すようにしゃがみこんだ。
「つい先程、これを貰ってな」
ゴックが鞄から取り出したのは一通の手紙だった。雄々しい文字で・・・・・・レイカにはそれが読めなかった。果たし状と書かれているのだが。
「僕も似たようなのを貰ってしまってね。対応に困っていたところだったんだ」
カトレアも鞄から一通の封書を取り出した。
「僕も同じものが・・・・・・」
そう言ってリトアは鞄から二通の手紙を取り出した。
「ふむ」
「さすが、どちらともから貰っていたのか」
「うん、僕にどうしようというの?」
「どっちにつくのか決めろってことだろう」
「僕らには選択肢はないからね」
「でも、何で急にそんなんが届いたんどすか?」
「「「これはいつものこと」」」
三人とも毎回律儀に断っていたらしい。
「問題は内容だ」
「今日喧嘩があるって書いてあるね」
「わざわざ書かれたってことは何かがあるってことでしょう!」
先輩の手紙を見せてもらった。果たし状の方は言葉遣いが独特で読めなかったが、もう一枚の手紙の方は丁寧な字で標準語で書かれていたからすんなり読めた。確かに今日の21:00校舎壁裏にて黒との一騎打ちがあると書かれていた。それに参加しろと続いている。
「これ参加しはりますの?」
「する」
「しようとも」
「するしかないかな」
「普段はどうしてはりますの?」
「無視してた」
「持ってきた人を言いくるめたとも」
「丁重に断ってたよ」
「直接関わるのは初めてじゃないか」
「そう言われればそうですね」
「喧嘩できないから」
リトアの言葉に全員が頷く。リトアとカトレアは見た目で分かるが、ゴックは腕力はあるので喧嘩慣れしていないだけだろう。
「今日はどうしていくんどすか?」
「「「今日しかないから」」」
ダメ、意味が分からない。レイカが頭を抱えている頭上で三人の作戦会議が始まった。
続く
身を震わせながらレイカは必死に頷いた。リトアを探してうろついていたところ、誰かから迷子として届け出が出されたらしく見回りをしていた生徒会長に保護名のつく拘束された。
「本人は只歩いとっただけやから怒らんでほしいんどす」
「あの敵はどう説明つける」
「生霊から放たれたエナジーの集合体どす。虫やったのは彼がインセクター(昆虫族)やったから」
「ふむ、筋は通っているな」
通るも何もレイカはその通りに説明している。
「練習も今日までにしはると言ってました」
「ならば、校内の不審者は問題ない。あとの問題も目処が立った」
頭をグリグリと撫でられてレイカは自分が縮んでいくことを感じた。
「問題全部解決するんどすか?」
「ああ、ご苦労だったな」
ポイッと校舎から追い出されてしまった。続々と生徒達が下校していく様子を呆然としているところにリトアが丁度やってきた。
「お」
「あ、さっきの子だね」
何故かグレー勢揃いして。
「この子も連れて行っていいかな?」
「一人にしない方がいい」
「客観的意見も聞きたいし、僕は構わないよ」
見目六歳にて意見を求められたのはレイカにとってあまりないことだった。
「じゃあ、ファミレスでも行くか」
「いや、胃は空にしておいた方がいいと思うよ」
「おやおや、ずいぶんと物騒だが、こればかりは仕方がないか」
「なら、ここで話すか」
「校門前は止めようよ」
「なら、あそこならどうであろう?」
壁際の草むらに四人は身を隠すようにしゃがみこんだ。
「つい先程、これを貰ってな」
ゴックが鞄から取り出したのは一通の手紙だった。雄々しい文字で・・・・・・レイカにはそれが読めなかった。果たし状と書かれているのだが。
「僕も似たようなのを貰ってしまってね。対応に困っていたところだったんだ」
カトレアも鞄から一通の封書を取り出した。
「僕も同じものが・・・・・・」
そう言ってリトアは鞄から二通の手紙を取り出した。
「ふむ」
「さすが、どちらともから貰っていたのか」
「うん、僕にどうしようというの?」
「どっちにつくのか決めろってことだろう」
「僕らには選択肢はないからね」
「でも、何で急にそんなんが届いたんどすか?」
「「「これはいつものこと」」」
三人とも毎回律儀に断っていたらしい。
「問題は内容だ」
「今日喧嘩があるって書いてあるね」
「わざわざ書かれたってことは何かがあるってことでしょう!」
先輩の手紙を見せてもらった。果たし状の方は言葉遣いが独特で読めなかったが、もう一枚の手紙の方は丁寧な字で標準語で書かれていたからすんなり読めた。確かに今日の21:00校舎壁裏にて黒との一騎打ちがあると書かれていた。それに参加しろと続いている。
「これ参加しはりますの?」
「する」
「しようとも」
「するしかないかな」
「普段はどうしてはりますの?」
「無視してた」
「持ってきた人を言いくるめたとも」
「丁重に断ってたよ」
「直接関わるのは初めてじゃないか」
「そう言われればそうですね」
「喧嘩できないから」
リトアの言葉に全員が頷く。リトアとカトレアは見た目で分かるが、ゴックは腕力はあるので喧嘩慣れしていないだけだろう。
「今日はどうしていくんどすか?」
「「「今日しかないから」」」
ダメ、意味が分からない。レイカが頭を抱えている頭上で三人の作戦会議が始まった。
続く
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お姉さまは酷いずるいと言い続け、王子様に引き取られた自称・妹なんて知らない
あとさん♪
ファンタジー
わたくしが卒業する年に妹(自称)が学園に編入して来ました。
久しぶりの再会、と思いきや、行き成りわたくしに暴言をぶつけ、泣きながら走り去るという暴挙。
いつの間にかわたくしの名誉は地に落ちていたわ。
ずるいずるい、謝罪を要求する、姉妹格差がどーたらこーたら。
わたくし一人が我慢すればいいかと、思っていたら、今度は自称・婚約者が現れて婚約破棄宣言?
もううんざり! 早く本当の立ち位置を理解させないと、あの子に騙される被害者は増える一方!
そんな時、王子殿下が彼女を引き取りたいと言いだして────
※この話は小説家になろうにも同時掲載しています。
※設定は相変わらずゆるんゆるん。
※シャティエル王国シリーズ4作目!
※過去の拙作
『相互理解は難しい(略)』の29年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の27年後、
『王女殿下のモラトリアム』の17年後の話になります。
上記と主人公が違います。未読でも話は分かるとは思いますが、知っているとなお面白いかと。
※『俺の心を掴んだ姫は笑わない~見ていいのは俺だけだから!~』シリーズ5作目、オリヴァーくんが主役です! こちらもよろしくお願いします<(_ _)>
※ちょくちょく修正します。誤字撲滅!
※全9話
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる